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気候変動対策

基本的な考え方

気候変動を起因とするさまざまな自然災害が私たちの社会に大きな影響を及ぼしており、気候変動は喫緊に解決すべき最重要課題として世界の共通認識となっています。こうした認識を踏まえ、日本をはじめとする各国のカーボンニュートラル戦略が急進しており、世界的に脱炭素社会実現に向けた動きが加速しています。いすゞグループは、いすゞ環境長期ビジョン2050のAspirationに「事業活動から直接排出されるGHGゼロ」、「製品ライフサイクル全体でGHGゼロ」を掲げ、気候変動への対応をいすゞグループのさらなる成長の機会と捉え、さまざまな取り組みを推進しています。また、いすゞは、2021年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、シナリオ分析を通じて、気候変動へ対応した事業戦略の策定も進めています。

いすゞ環境長期
ビジョン2050
2030環境ロードマップ
Aspiration 2030チャレンジ グローバルアクション

事業活動から直接排出されるGHGゼロ

  • 2030年までにCO2排出量を2013年度比で50%削減します
  1. Scope1+Scope2
  • エネルギー使用総量を削減します
  • クリーンエネルギーの導入・拡大を推進します
  • 革新技術を積極的に導入します

製品ライフサイクル
全体でGHGゼロ

  • 多様なニーズに応えるCN車両のラインアップを揃えていきます
  • 2025年までに技術の見極めを行っていきます
  • 2030年までに社会実装を進めながら量産モデルを拡大していきます

TCFD提言に沿った情報開示

ガバナンス

いすゞは、グループ全体でサステナビリティの推進を図るため、取締役を委員長とし、各領域の担当役員を常任委員とするサステナビリティ委員会を設置しています。
サステナビリティ委員会は、定期的(年4回以上)に開催し、気候変動リスクや人権など、サステナビリティに関わる事項の審議を行っており、審議事項は、内容の重要度などを鑑み、必要に応じて経営会議、取締役会へ報告します。
また、サステナビリティ委員会の傘下には、環境および社会の専門部会を設置して個別課題について具体的な議論を行っているほか、2025年度にはサステナビリティ情報開示の動向を踏まえてサステナビリティ情報開示部会を新設し、情報開示の改善に向けて取り組んでいます。
特に、カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みについては、サステナビリティ委員会の傘下に、生産活動を中心に事業活動のカーボンニュートラル達成に向けた活動を推進する「事業系CN推進部会」と脱炭素技術/エネルギーなどによる製品のカーボンニュートラルに資するさまざまな活動を推進する「製品系CN推進部会」において、具体的な対応方針や活動の検討、実務展開を行う体制を整えています。

  1. CN:カーボンニュートラル

リスク管理

気候変動に関するリスク全般については、グループCRMO(Chief Risk Management Officer)主導による全社グループのリスク管理体制のもとで管理しています。個々の具体的な気候変動リスクについては、サステナビリティ委員会が特定・評価を行い、事業への影響を踏まえた対策の進捗を管理しています。

指標と目標

いすゞは、「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定し、2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体でGHGゼロを目標に掲げました。また、「2030環境ロードマップ」において、2030年までに当社グループのCO2排出量(Scope1+2)を2013年度比で50%削減する目標を設定しました。
さらに、パリ協定の目指す気温上昇1.5℃以内達成を支持し、達成に向けた科学的な根拠に基づく目標設定を進めています。その一環として2022年にSBT(Science Based Targets)イニシアチブにコミットメントレターを提出し、脱炭素社会への貢献を目指していきます。

戦略

いすゞでは、産業革命以前と比較した気温上昇1.5℃と4℃における環境長期シナリオにてシナリオ分析を実施し、気候変動がいすゞグループの事業活動や製品に与えるリスクと機会を特定しました。リスクの対策には、環境に関する規制強化への対応や新しい技術開発が必要です。⼀⽅で、脱炭素社会に貢献するイノベーションの創出が社会から期待されており、適切に対応することで新たな事業の機会につながると認識しています。
いすゞグループでは、2050年カーボンニュートラルに向け、マルチパスウェイによるカーボンニュートラルソリューションの展開と事業活動から直接排出されるGHGの削減に取り組んでいます。これらを通じ、リスクの低減と機会の獲得を目指します。

シナリオ分析

環境長期シナリオ
4℃シナリオ(RCP8.5※1、SSP3※2
  • 化石燃料への依存が続き、気候変動が進行し、自然災害が増大する社会
  • 化石燃料は奪い合いとなり、格差の増大による反グローバル化が進み、国際的なガバナンスは機能不全に
  • 災害に脆弱で経済が停滞すると想定
1.5℃シナリオ(RCP2.6※1、SSP1※2、2DS※3
  • 規制の強化と技術革新により、社会構造や産業構造が大きく変化したカーボンニュートラルな社会
  • いすゞグループの製品群は用途により大きな変化が生じ、事業活動に大きな変化があると想定

製品

<車両>

  • 近距離、少量輸送を支える小型商用車はEVなど次世代パワートレインの開発、提供が進む
  • 中~大型商用車にも電動化など新たな流れが生まれる
  • 長距離・大量輸送を支える中~大型商用車では今後も内燃機関が果たす役割が大きい

<パワートレイン>

  • 持続可能な脱炭素化したクリーンエネルギーを活用
  • 従来以上に超省燃費でエネルギーロスのないパワートレインとそれらを搭載した製品の開発、市場提供が必要

サービス

  • 現在実証実験を行っている自動運転、隊列走行、フルトレーラーが一般化
  • より効率的な輸送方法が一般化

事業活動

  • 製品生産をはじめとする事業活動で使用するエネルギーは脱炭素化したクリーンエネルギーへ切り替え
  • カーボンニュートラル実現のため、資源投入量の最小化、排出物の有効利用を徹底
  1. ※1国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成した気候シナリオ
  2. ※2国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成した社会経済シナリオ
  3. ※3国際エネルギー機関(IEA)が作成した社会経済シナリオ
リスクと機会
分類 リスク 機会 対策 事業への影響度
脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会 政策規制
  • さらなる環境対応規制の強化への対応遅れによる、シェア低下
  • ゼロエミッション車への需要増加
  • カーボンニュートラル化に対応できるフルラインアップ確立に向けた取り組み推進
技術
  • EV、FCVなど多様なパワートレインに対応するための開発、生産コストの増加
  • オープンイノベーションの拡大
  • 安価なクリーンエネルギーの普及拡大
  • アライアンスを活用した効率的な共同開発
  • 安価なクリーンエネルギーへの切り替えによる低炭素な操業とコスト低減
  • 物流インフラの多様なニーズに対応できないことによるブランド力低下
  • 自動運転、隊列走行、フルトレーラーのニーズ拡大
  • お客様との協創活動によるカーボンニュートラルに資する物流イノベーションの創出
市場
  • 化石燃料を使う内燃機関車の市場縮小
  • 次世代燃料(カーボンニュートラル燃料)の活用による既存内燃機関技術やインフラの活用
評判
  • 事業全般におけるGHG削減対策や再生可能エネルギー導入の遅れによるエネルギーコストの増加、評判リスクの増加
  • 早期の再生可能エネルギー導入によるコスト低減と企業イメージ向上
  • 再生可能エネルギーの導入拡大
  • 省エネ活動のさらなる推進によるエネルギーコスト低減
自然災害の増大や水資源の枯渇等のリスク・機会
  • 異常気象(洪水、台風等)発生増加による事業被害
  • 災害対応可能な車両へ需要増加
  • 自然災害に強靭なインフラサービスへのニーズ拡大
  • 災害対応車の提供
  • 水害等で被水した車両の復旧サービス提供
  • BCPの拡充による企業体質の強靭化

取り組み

製品・サービス

2050年までにいすゞグループ製品のライフサイクル全体でGHGゼロを実現するため、いすゞグループでは、全世界で販売する新⾞ラインアップのすべてにおけるカーボンニュートラル化(化⽯由来のエネルギーからカーボンニュートラルなエネルギーに変更)を目指します。いすゞは量産を⾒据えた電動⾞開発を推進し、2023年には量産型のBEV(バッテリー式電気⾃動⾞)の新型エルフEV、2024年には国内初のBEVフルフラット路線バス エルガEVの発売を開始しました。また、FCVについては、社会実装のための実証実験を⾏い、商品の市場投⼊を進めています。
一方で、さまざまな市場環境で使用される商⽤⾞では、内燃機関が必要な場合があります。また、いすゞグループの製品は世界中で使用されており、国や地域によっては電動化が難しい可能性があります。いすゞグループは、内燃機関が必要な場合を想定し、CN燃料に対応した内燃機関の開発も継続して進めています。

  1. カーボンニュートラル燃料の略称で、バイオ燃料や再生可能エネルギー由来の合成燃料など

次世代車両の開発普及

EV小型トラック

エルフEVは、カーボンニュートラル社会の実現のため、いすゞが初めて開発した量産BEVトラックです。2025年2月にエルフEVのラインアップに、塵芥車と高所作業車を新たに加え、展開しています。架装物への動力供給にはいすゞ独自開発の電動PTO(Power Take Off)を開発、採用しています。

EV小型トラック
FCV大型トラック

2020年より本田技術研究所との共同開発を開始し、2023年12月に公道実証走行を開始しました。
2025年9月までの本実証実験を通じて、2027年の市場導入へ向けたデータの取得、知見の蓄積、技術的課題の抽出などを進めます。
いすゞ環境長期ビジョン2050に基づきマルチパスウェイで技術開発を進め、地域状況・社会動向に適した商品開発展開の一環としてFCVの開発を進めていきます。

FCV大型トラック
FCV小型トラック

2021年より、Commercial Japan Partnership Technologies(以下、CJPT)において共同企画され、いすゞとトヨタで共同開発をしました。
2023年から福島県・東京都・福岡県にて水素技術活用の社会実装に車両供給を進めています。

FCV小型トラック
BEVフルフラット路線バス

2024年5月に国内初のBEVフルフラット路線バス エルガEVを発売しました。
いすゞは、決められたルートを走行することの多い路線バスにおいては、BEVがカーボンニュートラル対応の動力源として有力な選択肢のひとつであると考えています。いすゞは、長年の商品開発で培った実績を活かし、乗客・ドライバー・道路事情に配慮したBEVフルフラット路線バス エルガEVを開発しました。
「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」において、バス事業者3社が運行するシャトルバスとして採用され、運行を開始しています。

BEVフルフラット路線バス
BEVフルフラット路線バス
BEVフルフラット路線バス
北米中型BEV

北米におけるGHG削減のために、いすゞはAccelera by Cumminsのパワートレインを搭載した中型電動トラックを2026年を目指して発売することを発表しました。カミンズ社といすゞの両社の強みを活かし、お客様のゼロエミッション達成をサポートしていきます。

北米中型電動プロトタイプトラック

BEVの導入・運用支援トータルソリューションプログラム「EVision」の提供

いすゞは、2023年、量産BEV「エルフ EV」の市場投入に合わせ、BEVの導入・運用支援トータルソリューションプログラム「EVision」の提供を開始しました。
EVisionは、商⽤EVの導⼊検討のサポート、導入課題の解決、効果の定量化、さらなる改善提案によりお客様のカーボンニュートラルを実現するソリューションプログラムです。
今後は、お客様の拠点当たりのEV導入台数の増加を見込み、充電による電力基本料金の上昇を抑制するエネルギーマネジメントサービスを展開し、幅広いお客様に安心してEVをお使いいただけるようEvisionのサービス内容を拡充していきます。

EVision Cycle Concept(商用車バッテリー交換式EVコンセプト)

カーボンニュートラルの新たな選択肢として、いすゞはバッテリー交換式ソリューションの検討開発を行っています。車両とバッテリーの分離運用により、さまざまな社会課題の解決が期待できます。2025年度中に国内およびタイでの実証実験を目指し、社内実証実験を開始、車両やバッテリーステーションの開発を進めています。

バッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」
CNガス燃料(低炭素燃料の取り組み)

メタンガスは既にバイオメタンの活用やe-methane製造の技術開発が進められています。特にバイオメタンは既に量産車利用の事例もあり、天然ガス車はこれらのメタンガスを燃料にすることで、そのまま低炭素、脱炭素化が可能となります。いすゞは大型幹線輸送車に対してLNG車をカーボンニュートラル化の現実解のひとつとして捉え、普及に向けた実証活動を各ステークホルダーとともに推進しています。
事例としては北海道での三菱商事との液化バイオメタン実証や、岡山県真庭市でのバイオメタン事業に車両を供給し実証を行いました。今後もCNガス実証に向けた活動をステークホルダーとともに継続し、モビリティのカーボンニュートラル化の取り組みを推進していきます。

CN燃料の普及と対応

いすゞグループのCN戦略を統括、推進する部門を2023年4月に新設し、全社横断的活動としてCN燃料使用による車両の諸性能・耐久信頼性等の影響についての評価などを実施し、CN燃料の社会実装化に向けた取り組みを進めています。
具体的な一例として、いすゞは協力する8社とともに、東京都の令和6年度「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に、「新規HVO混合燃料の開発及びサプライチェーン構築とその社会実装」が採択されました。
このたび採択された9社は、かねてよりバイオ燃料などの使用を通じてサステナブルな社会の実現への貢献を目指しており、各々の分野でHVOベースの新たなバイオ燃料の開発・製造・貯蔵・輸送・実証利用などを実施し、サプライチェーン構築と社会実装への取り組みを進めます。
また、CN燃料の普及加速のため、CN燃料製造事業者に対し、燃料品質上の課題提起や改善提案について働きかけるとともに、供給や販売などの流通過程で追加の投資を必要としない制度作りなどにも積極的に参画していきます。

  1. HVO:Hydrotreated Vegetable Oil(水素化処理植物油)の略。バイオマス(生物資源)原料を水素化処理した燃料で、軽油と混合でも単独でも利用することが可能。石油由来の軽油使用時と比較してCO2排出量の削減効果が高いCN燃料のひとつ

事業活動

2050年までに事業活動から直接排出されるGHGをゼロにするため、いすゞグループでは、エネルギー使用総量の削減や再生可能エネルギーの導入・拡大などに取り組んでいます。

エネルギー使用総量の削減

⼯程の効率化、設備などの運転⽅法の⾒直し、適正化、エネルギー使⽤量の⾒える化など、省エネルギー活動を継続して実施しています。
従来の運⽤⽅法を⾒直すことで効果が見られた取り組みは、グループ内で⽔平展開を⾏うことで、いすゞグループの事業活動全体でのエネルギー使用総量の低減につなげています。
いすゞグループは各国の気候変動に関連する法規制(国内の場合は、省エネ法※1や温対法※2など)や政策などを⽀持し、法に基づく⾏政機関への各種報告などを通じ、使用エネルギーの低減に対応しています。

  1. ※1エネルギーの使⽤の合理化及び⾮化⽯エネルギーへの転換等に関する法律
  2. ※2地球温暖化対策の推進に関する法律

環境配慮型販売拠点の拡大

販売拠点を新設、または改修する際には、LED照明やトップライトの採⽤、再⽣可能エネルギーの導⼊など、エネルギー使用量の低減を進めています。また、新設時には車両整備や洗車からの排⽔による環境汚染を防⽌するため、従来より環境に配慮した排水処理装置 を採用するなど、環境配慮型拠点を拡大することを推進しています。

いすゞ自動車近畿 住之江サービスセンター
いすゞ自動車近畿 住之江サービスセンター
いすゞ自動車九州 佐賀サービスセンター
いすゞ自動車九州 佐賀サービスセンター
いすゞ自動車中部 飯田サービスセンター
いすゞ自動車中部 飯田サービスセンター
富山いすゞ自動車 富山営業所
富山いすゞ自動車 富山営業所

クリーンエネルギーを創出

クリーンエネルギーを創出するため、日本国内では、2022年度に栃木工場に1,156kWの太陽光発電設備を導入し、藤沢工場と栃木工場を合わせて1,389kWの太陽光パネルを設置しました。
またタイのいすゞグループ各社も、大規模な太陽光発電設備の導入を推進しています。2018年度以降、泰国いすゞ自動車(IMCT)などでは合計出力7,069kWの太陽光パネルを設置しました。
今後もいすゞグループは積極的な省エネ機器の導入、太陽光発電設備をはじめとするクリーンエネルギー発電設備の導入拡大を計画しています。

タイ インターナショナル ダイ メイキング(TID)の太陽光発電設備
タイ インターナショナル ダイ メイキング(TID)の太陽光発電設備

クリーンエネルギーへ転換

事業所で使用するエネルギーについても、順次クリーンエネルギーへの転換を進めています。
いすゞでは、2019年度より東京電力エナジーパートナーから購入している電力の一部に、100%水力発電による電力を適用する電気料金メニュー「アクアプレミアム」を採用しています。このメニューは、発電の際にCO2を排出しない水力発電による電力を、東京電力エナジーパートナーが希望するユーザーに販売する仕組みで、ユーザーは購入電力の一部をCO2フリーの電力に変更できます。
また、2022年度からは非化石証書付きの電力購入を開始し、再生可能エネルギー由来の電力購入を拡大しています。
2023年度からはいすゞ横浜本社で使用するすべての電力を非化石証書付きの電力に切り替えており、同ビルに在籍するすべてのいすゞグループのオフィスの使用電力は再生可能エネルギー由来の電力となりました。こうした活動の推進により2024年度は使用電力の約26%を脱炭素化しました。
燃料についてはまだ電気のようなクリーンエネルギー技術が確立されていません。こうした状況を鑑み、いすゞでは2021年度から工場で使用する燃料の一部にカーボンオフセット都市ガス(地球環境貢献型)を使用しています。カーボンオフセット都市ガス(地球環境貢献型)は、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するGHGを、CO2クレジットで相殺(カーボンオフセット)し、燃焼しても地球規模ではCO2が発生しないとみなす液化天然ガスです。このクレジットはボランタリークレジットではありますが、国際的にも信頼性の高い機関から発行されたものであり、地域や生態系に重大な悪影響を及ぼさない等、導入先の調達要件・品質基準などが満たされたプロジェクトで構成されています。
こうした取り組みを天然ガス車利用ユーザーの皆様にも広く知っていただくため、いすゞではカーボンオフセット都市ガス(地球環境貢献型)を藤沢工場に併設する天然ガススタンドにも供給しています。同スタンドで供給する天然ガスはすべてカーボンオフセット都市ガス(地球環境貢献型)となっています。

藤沢工場併設天然ガススタンド
藤沢工場併設天然ガススタンド

物流過程におけるCO2排出量の低減

いすゞでは、物流過程におけるCO2排出量を毎年1%低減することを目標に掲げ、CO2排出量の低減の取り組みを実施しています。

主な取り組み
  • 輸送方法の見直し
  • 搬送時の省燃費運転促進
  • 新規航路開拓による海上輸送の増便(モーダルシフト)
  • 荷量に合わせたトラック輸送管理の徹底
  • 返却時に折り畳めるリターナブルラックの使用拡大
  • トレーラー輸送の拡大とコンテナ内貨物充填率向上
  • コンテナラウンドユースの拡大
製品車両輸送時のモーダルシフト状況
輸送方法の見直し

いすゞグループでは常に製品、部品の輸送ルートの見直し、最適化を進めており、グループ間の共同運送などを行うことで、輸送に伴うCO2排出量削減に取り組んでいます。
2024年度には、販売店・修理工場の休業日を把握して、全国の部品配送センターからの配送便の調整を行うことにより、配送トラックを前年度と比べて40台削減し、燃料1,053ℓを削減しました。また、従来は関西配送センターから奈良サービスセンターを経由して三重あのつ部品センターへ配送していましたが、中部配送センターから配送するルートに変更して約30㎞の輸送距離を短縮し、CO2排出量を削減しました。
さらに物流2024年問題解消への取り組みとして、従来は藤沢地区から栃木地区への配送便は一般道を走行していましたが、往復便全線を高速道路利用に変更することにより燃費向上とCO2排出量の削減を実現しました。
また、配送拠点である倉庫内も環境負荷低減に取り組み、軽油を燃料とするディーゼルフォークリフトから、電動フォークリフトへ切り替え、2030年度までにディーゼルフォークリフト0(ゼロ)を目標に活動しています。2024年度からは栃木エリア倉庫内のLED照明を人感センサー付き照明へ交換し、無人時には自動で消灯する仕組みを構築しました。その結果、大幅にCO2排出量を削減し、職場環境も改善されました。

電動フォークリフト
電動フォークリフト
人感センサーにより無人時に消灯された倉庫
人感センサーにより無人時に消灯された倉庫
コンテナラウンドユースの拡大

いすゞでは物流分野全体でカーボンニュートラル活動を実施しており、栃木、藤沢、横浜港、上尾の各エリアで、輸入用コンテナから貨物を取り出した後、空になったコンテナを輸出用コンテナとして再利用するコンテナラウンドユース(CRU)に取り組んでいます。
栃木エリアでは従来、栃木工場で梱包されるノックダウン(KD)部品の輸出用空コンテナを横浜港まで引き取りに行っていましたが、現在では船社が指定する栃木工場近隣の内陸エリアのデポで他社が貨物を取り出した輸入用コンテナを引き取り、栃木工場にてKD部品の輸出用コンテナとして再利用しています。
また、藤沢エリアでは他社との協業により、貨物を取り出し後の空コンテナを横浜港へ戻さず、藤沢工場近隣のいすゞグループ倉庫へ持っていき、KD部品の輸出用に再利用するCRUを実施しています。
2024年6月からはいすゞグループ内でのCRUにも取り組み、海外の組み立て工場が藤沢エリアへリターナブルラックを返却する際に利用した空コンテナを横浜港へ戻さず、同一エリアでKD部品の輸出用コンテナに再利用しました。
このような4エリアでのCRU活動により安定的な物流の確保が可能になり、輸送時の使用燃料を年間約2万ℓ削減したことで、CO2排出量の削減にもつながりました。また、一般社団法人日本物流団体連合会よりCRU活動を評価され、協業他社とともに2022年度、2023年度、2024年度 物流環境大賞「特別賞」を受賞しました。

物流環境大賞「特別賞」トロフィー

物流環境大賞「特別賞」トロフィー

CRU KD出荷コンテナ内外
CRU KD出荷コンテナ内外

CRU KD出荷コンテナ内外

部品梱包ケース搬送便の削減

いすゞグループではさらなる取り組みとして、KD部品を梱包したケースの物流に着目し、物流運営の効率化を図りました。
従来では、生産と船積み計画を個別に行っており、生産した部品を梱包したケースをKD工場から外部倉庫へ搬送、一時保管した後、船積み計画に合わせてコンテナへ部品の積み込み作業を行っていました。
KD部品の外部倉庫への搬送を減らすため、仕向地別の船積み計画を起点に生産を計画するようにしました。船積み日を起点として逆算し、KD工場での部品をケースへ梱包する日を設定することで、次の工程であるコンテナへのケース積み込み作業を連続してKD工場で行うことが可能になったため、外部倉庫へのケース搬送が減少しました。
その結果、2024年4月より年間で大型トラックによる搬送便数を1,250便、使用燃料を約1,200ℓ、CO2排出量 約3tをそれぞれ削減しました。

KD工場でのコンテナへの部品積み込み作業
KD工場でのコンテナへの部品積み込み作業

省燃費・安全運転講習会の開催

いすゞ製品のライフサイクルを考慮すると、CO2排出が最も多いのは製品(車両)使用時となります。
いすゞでは、お客様に車両の走行性能に合わせた省燃費運転方法をお伝えするため、1995年から「省燃費・安全運転講習会」を国内外で開催しています。

過去3年間の開催実績

回数(回) 参加人数(人)
2024年度 77 1,039
2023年度 76 999
2022年度 65 885
省燃費・安全運転講習会の様子
省燃費・安全運転講習会の様子

省燃費・安全運転講習会の様子

お取引先様との取り組み

いすゞは、「いすゞグループ サプライヤーサステナビリティガイドライン」にのっとった調達活動を実施し、お取引先様に対してもこのガイドラインに沿った活動を要請するとともに、要請に準ずる同意書への署名をお願いしています。さらに、環境に関するお取引先様への依頼事項を業種ごとにまとめた「グリーン調達ガイドライン」も制定し、お取引先様と一体となってバリューチェーン全体の環境マネジメントを強化しています。
2022年度からはCDPのサプライチェーンプログラムに参画し、お取引先様の気候変動関連の取り組みやGHG排出量の把握を進め、お取引先様との連携を強化しています。

横浜市との取り組み

いすゞは2023年10月に横浜市と 「横浜市内の商用車部門におけるカーボンニュートラルの実現に向けた連携協定」を締結しました。横浜市内の商用車部門におけるカーボンニュートラル車の普及や、脱炭素に資する輸送の効率化に協働で取り組むことを目指しています。
この活動の一環として、2023年12月21日よりBEVトラック対応として、日本で初めて設置された公道充電ステーションの実証実験に参画しました。この取り組みは、効率的な充電ステーションのネットワーク構築に向けた協創活動として開始され、地域モデルケースの創出を目標に推進してきました。
2024年3月まで行った実証実験ではその成果が高く評価され、2024年4月以降の事業化が決定しました。これにより、公道充電ステーションは継続的に運用されることとなり、商用車の電動化推進における重要なインフラとして機能しています。
この事業化への移行は、持続可能な物流システムの構築に向けた関係者との取り組みが着実に成果を上げていることを示すものであり、今後のBEVトラック普及促進に向けた基盤整備において重要な一歩となりました。

横浜市と連携協定を締結
横浜市と連携協定を締結
事業化された公道充電ステーション
事業化された公道充電ステーション