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気候変動対策

基本的な考え方

気候変動を起因とするさまざまな自然災害が私たちの社会に大きな影響を及ぼしており、気候変動は喫緊に解決すべき最重要課題として世界の共通認識となっています。こうした認識を踏まえ、日本をはじめとする各国のカーボンニュートラル戦略が急進しており、世界的に脱炭素社会実現に向けた動きが加速しています。いすゞグループは、いすゞ環境長期ビジョン2050のAspirationに「事業活動から直接排出されるGHGゼロ」「製品ライフサイクル全体でGHGゼロ」を掲げ、気候変動への対応をいすゞグループのさらなる成長の機会と捉え、さまざまな取り組みを推進しています。また、いすゞは、2021年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、シナリオ分析を通じて、気候変動へ対応した事業戦略の策定も進めています。

いすゞ環境長期
ビジョン2050
2030環境ロードマップ
Aspiration 2030チャレンジ グローバルアクション

事業活動から直接排出されるGHGゼロ

  • 2030年までにCO2排出量を2013年度比で50%削減します
  1. Scope1+Scope2
  • エネルギー使用総量を削減します
  • クリーンエネルギーの導入・拡大を推進します
  • 革新技術を積極的に導入します

製品ライフサイクル
全体でGHGゼロ

  • 多様なニーズに応えるCN車両のラインアップを揃えていきます
  • 2025年までに技術の見極めを行っていきます
  • 2030年までに社会実装を進めながら量産モデルを拡大していきます

TCFD提言に沿った情報開示

ガバナンス

いすゞは、グループ全体でサステナビリティの推進を図るため、取締役を委員長とし、各領域の担当役員をはじめとする経営層を常任委員とするサステナビリティ委員会を設置しています。
サステナビリティ委員会は、定期的(年4回以上)に開催し、気候変動リスクや人権・多様性への対応など、サステナビリティに関わる事項の審議・決定を行っています。審議事項は、内容の重要度などを鑑み、必要に応じて経営会議、取締役会へ報告します。
また、サステナビリティ委員会の傘下には、関連する常任委員を部会長とする環境系、社会系の専門部会を設置し、個別課題について具体的な議論を行っています。
特に、カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みについては、サステナビリティ委員会の傘下に、生産活動を中心に事業活動のカーボンニュートラル達成に向けた活動を推進する「事業系CN推進部会」と脱炭素技術/エネルギーなどによる製品のカーボンニュートラルに資するさまざまな活動を推進する「製品系CN推進部会」において、具体的な対応方針や活動の検討、実務展開を行う体制を整えています。

リスク管理

気候変動に関するリスク全般については、グループCRMO(Chief Risk Management Officer)主導による全社グループのリスク管理体制のもとで管理しています。個々の具体的な気候変動リスクについては、サステナビリティ委員会が特定・評価を行い、事業への影響を踏まえた対策の進捗を管理しています。

指標と目標

いすゞは、「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定し、2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体でGHGゼロを目標に掲げました。また、「2030環境ロードマップ」において、2030年までに当社グループのCO2排出量(Scope1+2)を2013年度比で50%削減する目標を設定しました。
さらに、パリ協定の目指す気温上昇1.5℃以内達成を支持し、達成に向けた科学的な根拠に基づく目標設定を進めています。その一環として2022年にSBT(Science Based Targets)イニシアチブにコミットメントレターを提出し、脱炭素社会への貢献を目指していきます。

戦略

いすゞでは、産業革命以前と比較した気温上昇1.5℃と4℃における環境長期シナリオにてシナリオ分析を実施し、気候変動がいすゞグループの事業活動や製品に与えるリスクと機会を特定しました。リスクの対策には、環境に関する規制強化への対応や新しい技術開発が必要です。⼀⽅で、脱炭素社会に貢献するイノベーションの創出が社会から期待されており、適切に対応することで新たな事業の機会につながると認識しています。
いすゞグループでは、2050年カーボンニュートラルに向け、マルチパスウェイによるカーボンニュートラルソリューションの展開と事業活動から直接排出されるGHGの削減に取り組んでいます。これらを通じ、リスクの低減と機会の獲得を目指します。

シナリオ分析

環境長期シナリオ
4℃シナリオ(RCP8.5※1、SSP3※2
  • 化石燃料への依存が続き、気候変動が進行し、自然災害が増大する社会
  • 化石燃料は奪い合いとなり、格差の増大による反グローバル化が進み、国際的なガバナンスは機能不全に
  • 災害に脆弱で経済が停滞すると想定
1.5℃シナリオ(RCP2.6※1、SSP1※2、2DS※3
  • 規制の強化と技術革新により、社会構造や産業構造が大きく変化したカーボンニュートラルな社会
  • いすゞグループの製品群は用途により大きな変化が生じ、事業活動に大きな変化があると想定

製品

<車両>

  • 近距離、少量輸送を支える小型商用車はEVなど次世代パワートレインの開発、提供が進む
  • 中~大型商用車にも電動化など新たな流れが生まれる
  • 長距離・大量輸送を支える中~大型商用車では今後も内燃機関が果たす役割が大きい

<パワートレイン>

  • 持続可能な脱炭素化したクリーンエネルギーを活用
  • 従来以上に超省燃費でエネルギーロスのないパワートレインとそれらを搭載した製品の開発、市場提供が必要

サービス

  • 現在実証実験を行っている自動運転、隊列走行、フルトレーラーが一般化
  • より効率的な輸送方法が一般化

事業活動

  • 製品生産をはじめとする事業活動で使用するエネルギーは脱炭素化したクリーンエネルギーへ切り替え
  • カーボンニュートラル実現のため、資源投入量の最小化、排出物の有効利用を徹底
  1. ※1国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成した気候シナリオ
  2. ※2国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成した社会経済シナリオ
  3. ※3国際エネルギー機関(IEA)が作成した社会経済シナリオ
リスクと機会
分類 リスク 機会 対策 事業への影響度
脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会 政策規制
  • さらなる環境対応規制の強化への対応遅れによる、シェア低下
  • ゼロエミッション車への需要増加
  • カーボンニュートラル化に対応できるフルラインアップ確立に向けた取り組み推進
技術
  • EV、FCVなど多様なパワートレインに対応するための開発、生産コストの増加
  • オープンイノベーションの拡大
  • 安価なクリーンエネルギーの普及拡大
  • アライアンスを活用した効率的な共同開発
  • 安価なクリーンエネルギーへの切り替えによる低炭素な操業とコスト低減
  • 物流インフラの多様なニーズに対応できないことによるブランド力低下
  • 自動運転、隊列走行、フルトレーラーのニーズ拡大
  • お客様との協創活動によるカーボンニュートラルに資する物流イノベーションの創出
市場
  • 化石燃料を使う内燃機関車の市場縮小
  • 次世代燃料(カーボンニュートラル燃料)の活用による既存内燃機関技術やインフラの活用
評判
  • 事業全般におけるGHG削減対策や再生可能エネルギー導入の遅れによるエネルギーコストの増加、評判リスクの増加
  • 早期の再生可能エネルギー導入によるコスト低減と企業イメージ向上
  • 再生可能エネルギーの導入拡大
  • 省エネ活動のさらなる推進によるエネルギーコスト低減
自然災害の増大や水資源の枯渇等のリスク・機会
  • 異常気象(洪水、台風等)発生増加による事業被害
  • 災害対応可能な車両へ需要増加
  • 自然災害に強靭なインフラサービスへのニーズ拡大
  • 災害対応車の提供
  • 水害等で被水した車両の復旧サービス提供
  • BCPの拡充による企業体質の強靭化

取り組み

製品・サービス

2050年までにいすゞグループ製品のライフサイクル全体でGHGゼロを実現するため、いすゞグループでは、全世界で販売する新⾞ラインアップの全てにおけるカーボンニュートラル化(化⽯由来のエネルギーからカーボンニュートラルなエネルギーに変更)を目指します。2023年、いすゞは量産を⾒据えた電動⾞開発を推進し、量産型のBEV(バッテリー式電気⾃動⾞)の新型エルフの発売を開始しました。また、FCVについては、社会実装のための実証実験を⾏い、商品の市場投⼊の準備を進めています。
一方で、さまざまな市場環境で使用される商⽤⾞では、内燃機関が必要な場合があります。また、いすゞグループの製品は世界中で使用されており、国や地域によっては電動化が難しい可能性があります。いすゞグループは、内燃機関が必要な場合を想定し、CN燃料に対応した内燃機関の開発も継続して進めています。

  1. カーボンニュートラル燃料の略称で、バイオ燃料や再生可能エネルギー由来の合成燃料など

次世代車両の開発普及

EV小型トラック

2023年3月にフルモデルチェンジを行った新型エルフからBEVも商品ラインアップに加わりました。
2024年1月には、昨今の慢性的なドライバー不足という社会課題に着目し、普通免許でも運転できる、車両総重量3.5t未満の小型BEVトラック エルフミオEVを販売開始しました。さらに、電動PTOを搭載した特装シャシの開発も進めています。

EV小型トラック
FCV大型トラック

2020年より本田技術研究所との共同開発を開始し、2023年12月に公道実証走行を開始しました。
2024年9月までの本実証実験を通じて、2027年の市場導入へ向けたデータの取得、知見の蓄積、技術的課題の抽出などを進めます。
日本政府が掲げる大型商用車導入目標である2030年までに電動車5,000台導入に貢献すべく開発を進めていきます。

FCV大型トラック
FCV小型トラック

2021年より、Commercial Japan Partnership Technologies(以下、CJPT)において共同開発を開始しました。
福島県での水素技術活用による社会実装の取り組みに協力していくとともに、2023年には東京都のプロジェクトにも参画しました。今後も他の都市での社会実装に向けて車両提供を進めていきます。

FCV小型トラック
BEVフルフラット路線バス

2024年5月に国内初のBEVフルフラット路線バス エルガEVを発売しました。
いすゞは、決められたルートを走行することの多い路線バスにおいては、BEVがCN対応の動力源として有力な選択肢の一つであると考えています。また、開幕が迫る「2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)」というワールドショーケースの場において、国産の先進BEV路線バスへの期待が高まる中、いすゞは、長年の商品開発で培った実績を生かし、乗客・ドライバー・道路事情に配慮したBEV路線バスを開発しました。

BEVフルフラット路線バス
北米中型電動トラック

北米におけるGHG削減のために、いすゞはAccelera by Cumminsのパワートレインを搭載した中型電動トラックを2026年を目指して発売することを発表しました。カミンズ社といすゞの両社の強みを生かし、お客様のゼロエミッション達成をサポートしていきます。

北米中型電動プロトタイプトラック

BEVの導入・運用支援トータルソリューションプログラム「EVision」の提供

いすゞは、2022年、量産BEV「ELF EV」の市場投入に合わせ、BEVの導入・運用支援トータルソリューションプログラム「EVision」の提供を開始しました。
EVisionは、商⽤EVの導⼊検討のサポート、導入課題の解決、効果の定量化、さらなる改善提案によりお客様のカーボンニュートラルを実現するソリューションプログラムです。

EVision Cycle Concept(商用車バッテリー交換式EVコンセプト)

カーボンニュートラルの新たな選択肢として、いすゞはバッテリー交換式ソリューションの検討開発を行っています。車両とバッテリーの分離運用により、さまざまな社会課題の解決が期待できます。2025年度の実証実験を目指し、車両やバッテリーステーションの開発を進めています。

バッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」

CN燃料の普及と対応

いすゞは2021年にCN燃料の活用を推進する専門部署を立ち上げ、2023年4月にはいすゞグループのCN戦略を統括し推進する部門に拡充し、CN燃料の普及と対応に取り組んでいます。CN燃料使用による車両の諸性能・耐久信頼性等の影響についての評価などを実施し、CN燃料の社会実装化に向けた取り組みを進めています。
具体的な一例として、伊藤忠商事、伊藤忠エネクス、鹿島建設、鴻池組、清水建設および竹中工務店とともに、大阪府が公募した「令和5年度カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に応募し採択されました。2025年の大阪・関西万博に向けて世界最大のリニューアブル燃料メーカーであるNeste社から燃料を調達し、これを活用した建設・輸送分野での脱炭素化の実証を進めています。
また、CN燃料の普及加速のため、CN燃料製造事業者に対し、燃料品質上の課題提起や改善提案について働きかけるとともに、供給や販売などの流通過程で追加の投資を必要としない制度作りなどにも積極的に参画していきます。

  1. 廃食油や廃動植物油等を原料として製造され、ライフサイクルアセスメントベースでのGHG排出量が石油由来の軽油と比べて少ない燃料

事業活動

2050年までに事業活動から直接排出されるGHGをゼロにするため、いすゞグループでは、エネルギー使用総量の削減や再生可能エネルギーの導入・拡大などに取り組んでいます。

エネルギー使用総量の削減

⼯程の効率化、設備などの運転⽅法の⾒直し、適正化、エネルギー使⽤量の⾒える化など、省エネルギー活動を継続して実施しています。
従来の運⽤⽅法を⾒直すことで効果が見られた取り組みは、グループ内で⽔平展開を⾏うことで、いすゞグループの事業活動全体でのエネルギー使用総量の低減につなげています。
いすゞグループは各国の気候変動に関連する法規制(国内の場合は、省エネ法※1や温対法※2など)や政策等を⽀持し、法に基づく⾏政機関への各種報告などを通じ、使用エネルギーの低減に対応しています。

  1. ※1エネルギーの使⽤の合理化及び⾮化⽯エネルギーへの転換等に関する法律
  2. ※2地球温暖化対策の推進に関する法律

環境配慮型販売拠点の拡大

販売拠点を新設、または改修する際には、LED照明やトップライトの採⽤、再⽣可能エネルギーの導⼊など、エネルギー使用量の低減を進めています。また、新設時には車両整備や洗車からの排⽔による環境汚染を防⽌するため、従来より環境に配慮した排水処理装置 を採用するなど、環境配慮型拠点を拡大することを推進しています。

いすゞ自動車近畿(株)住之江サービスセンター
いすゞ自動車近畿(株)住之江サービスセンター
いすゞ自動車九州(株)佐賀サービスセンター
いすゞ自動車九州(株)佐賀サービスセンター
いすゞ自動車中部(株)飯田サービスセンター
いすゞ自動車中部(株)飯田サービスセンター
富山いすゞ自動車(株)富山営業所
富山いすゞ自動車(株)富山営業所

クリーンエネルギーを創出

クリーンエネルギーを創出するため、日本国内では、2022年度に栃木工場に1,156kWの太陽光発電設備を導入し、藤沢工場と栃木工場を合わせて1,389kWの太陽光パネルを設置しました。
またタイのいすゞグループ各社も、大規模な太陽光発電設備の導入を推進しています。2018年度以降、泰国いすゞ自動車(IMCT)と泰国いすゞエンジン製造(IEMT)、泰国いすゞロジスティクス(ILT)では、合計出力3,460kWの太陽光パネルを設置しました。
今後もいすゞグループは積極的な省エネ機器の導入、太陽光発電設備をはじめとするクリーンエネルギー発電設備の導入拡大を計画しています。

栃木工場の太陽光発電設備
栃木工場の太陽光発電設備

クリーンエネルギーへ転換

事業所で使用するエネルギーについても、順次クリーンエネルギーへの転換を進めています。
いすゞでは、2019年度より東京電力エナジーパートナーから購入している電力の一部に、100%水力発電による電力を適用する電気料金メニュー「アクアプレミアム」を採用しています。このメニューは、発電の際にCO2を排出しない水力発電による電力を、東京電力エナジーパートナーが希望するユーザーに販売する仕組みで、ユーザーは購入電力の一部をCO2フリーの電力に変更できます。
また、2022年度からは非化石証書付きの電力購入を開始し、再生可能エネルギー由来の電力購入を拡大しています。
2023年度からはいすゞ横浜本社で使用する全ての電力を非化石証書付きの電力に切り替えており、同ビルに在籍する全てのいすゞグループのオフィスの使用電力は再生可能エネルギー由来の電力となりました。こうした活動の推進により2023年度は使用電力の約25%を脱炭素化しました。
燃料についてはまだ電気のようなクリーンエネルギー技術が確立されていません。こうした状況を鑑み、いすゞでは2021年度から工場で使用する燃料の一部にカーボンニュートラルLNGを使用しています。カーボンニュートラルLNGは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するGHGを、CO2クレジットで相殺(カーボンオフセット)し、燃焼しても地球規模ではCO2が発生しないとみなす液化天然ガスです。このクレジットはボランタリークレジットではありますが、国際的にも信頼性の高い機関から発行されたものであり、地域や生態系に重大な悪影響を及ぼさない等、導入先の調達要件・品質基準等が満たされたプロジェクトで構成されています。
こうした取り組みを天然ガス車利用ユーザーの皆様にも広く知っていただくため、いすゞではカーボンニュートラルLNGを藤沢工場に併設する天然ガススタンドにも供給しています。同スタンドで供給する天然ガスは全てカーボンニュートラルLNG由来となっています。

藤沢工場併設天然ガススタンド
藤沢工場併設天然ガススタンド

物流過程におけるCO2排出量の低減

いすゞでは、物流過程におけるCO2排出量を毎年1%低減することを目標に掲げ、CO2排出量の低減の取り組みを実施しています。

主な取り組み
  • 輸送方法の見直し
  • 搬送時の省燃費運転促進
  • 新規航路開拓による海上輸送の増便(モーダルシフト)
  • 荷量に合わせたトラック輸送管理の徹底
  • 返却時に折り畳めるリターナブルラックの使用拡大
  • トレーラー輸送の拡大とコンテナ内貨物充填率向上
  • コンテナラウンドユースの拡大
製品車両輸送時のモーダルシフト状況
輸送方法の見直し

2020年に栃木工場の近接地へ新しい海外出荷拠点である「グローバルセンター」を新設しました。同時に栃木地区の拠点再配置を実施し、外部倉庫の集約で倉庫間輸送が削減され、輸送効率が大幅に向上しました。また、従来は隣接したパーツセンターの部品輸送にトラックを使用していましたが、倉庫間に高架橋を設置することで、新しい物流導線を作りました。従来のトラック輸送から無人けん引車へ輸送方法を切り替えることで、トラックで使用していた燃料を減らすとともにCO2排出量を削減しました。
また、いすゞグループでは常に製品、部品の輸送ルートの見直し、最適化を進めており、グループ間の共同運送などを行うことで、輸送に伴うCO2排出量削減に取り組んでいます。

倉庫間に設置された高架橋
倉庫間に設置された高架橋
倉庫間の輸送を無人けん引車で実施
倉庫間の輸送を無人けん引車で実施
コンテナラウンドユースの拡大

いすゞでは物流分野全体でカーボンニュートラル活動を実施しており、最近では輸入で使用したコンテナの荷降ろし後、空になったコンテナを輸出用コンテナとして再利用するコンテナラウンドユース(CRU)に取り組んでいます。
従前、栃木工場で梱包されるKD部品の輸出用空コンテナを横浜港まで引き取りに行っていましたが、現在では船社が指定する栃木工場近隣の内陸エリアのデポで他社が荷降ろしした輸入用コンテナを引き取り、栃木工場にてKD部品の輸出用コンテナとして再利用しています。また、藤沢エリアでは他社との協業により、荷降ろし後の空コンテナを横浜港へ戻さず、藤沢工場近隣のいすゞグループ倉庫へ持っていき、KD部品の輸出用に再利用するCRUを実施しています。この活動により安定的な物流の確保が可能になり、輸送時の使用燃料を削減したことで、CO2排出量の削減につながりました。

バイオマス資材の導入

いすゞグループでは、海外組立工場向けKD出荷の包装資材にサトウキビ由来のバイオ原料を配合したバイオマス資材を導入しています。このバイオマス資材の主原料はサトウキビで、成長の過程において光合成によりCO2を吸収するため、廃棄焼却時はCO2が相殺されるとみなされます。
2017年度から、年間約900万枚と最も多く使用されるA4サイズのポリ袋を石化由来のものからバイオマス資材へ切り替え、CO2排出量を約7%削減しました。その後、他のサイズのポリ袋にも展開し、2023年度には、全10サイズのポリ袋をバイオマス資材へ切り替えています。
気泡緩衝材についても2022年度から全16サイズについてバイオ原料を約15%配合したバイオマス資材へ切り替え、CO2排出量を約5%削減しています。
これらの取り組みにより、約120t/年のCO2排出量を削減しています。

省燃費・安全運転講習会の開催

いすゞ製品のライフサイクルを考慮すると、CO2排出が最も多いのは製品(車両)使用時となります。
いすゞでは、車両を購入いただいたお客様に車両の走行性能に合わせた省燃費運転方法をお伝えするため、1995年から「省燃費・安全運転講習会」を国内外で開催しています。

過去3年間の開催実績

回数(回) 参加人数(人)
2023年度 76 999
2022年度 65 885
2021年度 60 1,128
省燃費・安全運転講習会の様子
省燃費・安全運転講習会の様子

省燃費・安全運転講習会の様子

お取引先様との取り組み

いすゞは、「いすゞグループ サプライヤーサステナビリティガイドライン」に則った調達活動を実施し、お取引先様に対してもこのガイドラインに沿った活動を要請するとともに、要請に準ずる同意書への署名をお願いしています。さらに、環境に関するお取引先様への依頼事項を業種ごとにまとめた「グリーン調達ガイドライン」も制定し、お取引先様と一体となってバリューチェーン全体の環境マネジメントを強化しています。
2022年度からはCDPのサプライチェーンプログラムに参画し、お取引先様の気候変動関連の取り組みやGHG排出量の把握を進め、お取引先様との連携を強化しています。

横浜市との取り組み

いすゞは2023年10月に横浜市と 「横浜市内の商用車部門におけるカーボンニュートラルの実現に向けた連携協定」を締結しました。横浜市内の商用車部門におけるカーボンニュートラル車の普及や、脱炭素に資する輸送の効率化に協働で取り組むことを目指しています。
この活動の一環として、2023年12月21日よりBEVトラック対応として、日本で初めて設置された公道充電ステーションの実証実験に参画しました。効率的な充電ステーションのネットワーク構築に向けた協創活動を行うとともに、地域モデルケースの創出を目指します。

横浜市と連携協定を締結
横浜市と連携協定を締結
実証実験開始式の様子
実証実験開始式の様子