1. サステナビリティTOP
  2. 社会
  3. 従業員の尊重

基本的な考え方

いすゞグループは、経営理念体系として策定した「ISUZU ID」において、「MISSION(任務):あなたと共に「運ぶ」の課題を解決する」として4つの分野のNo.1を目指していくことを掲げました。
さらに、2024年4月に中期経営計画として策定した「ISUZU Transformation(IX)」において、人的資本経営への進化とした上で、2030年に目指す姿と道筋を具体化しました。
従来の従業員尊重に関する取り組みの継続に加え、「働きがいNo.1」を果たすため、さまざまな施策に取り組んでいきます。

マネジメント体制

当社は、グループ全体で「ISUZU ID」に掲げる「働きがいNo.1」を目指し、「やりがい」と「働きやすさ」の両面から課題や施策について検討を図り、下記の体制で推進してきました。

  • やりがい:人事制度改革プロジェクト会議にて新人事制度について毎月議論
  • 働きやすさ:働き方改革に関する検討会議にて在宅勤務やノンコアフレックス等の勤務制度について毎月議論

上記の部門横断的な会議で検討した結果は、適宜経営会議へ諮問し、制度・施策・対応等を決定する体制としています。

取り組み

「やりがい」に関する取り組み

  1. 人事制度改革
  2. 人財育成
  3. エンゲージメントの向上

「働きやすさ」に関する取り組み

  1. 多様な人財の活躍
  2. 多様な働き方への取り組み
  3. 労働安全衛生(協力企業含む)
  4. 労使関係

人事制度改革

「ISUZU ID」を実現するためのビジョンとして、「『安心×斬新』で世界を進化させるイノベーションリーダー」を掲げています。このビジョンに近づくためには、社員⼀人ひとりが常に「変化」、「挑戦」、「貢献」するという成長意欲を持ち、個々が能力・個性を惜しみなく発揮する集団になることが必要であると考え、2024年4月より新人事制度をスタートしました。本制度のコンセプトは、

  • ①成長機会を見出す、②仕事で成長する、③成長が報われる、という「人財成⻑サイクル」を回していく
  • このサイクルにより、会社は社員⼀人ひとりの成⻑意欲を最⼤限に引き出し、社員は自分らしく成長し「ISUZU ID」の実現に貢献する

というものです。本制度は、2026年度までに当社グループ全体へ展開する予定です。

新人事制度のコンセプト:人財成長サイクル
人財成長サイクル

人財育成

教育・研修体系

いすゞの教育体系は、キャリア開発、スキル開発、マネジメント能力開発の3分野から成り立っています。キャリア開発では、新入社員と若手従業員を対象としており、自らの専門性を高め、自身でキャリアを開発できる人財を養成しています。スキル開発では、それぞれの階層や職位に必要とされる能力を中心に、グローバルに活躍するために必要な知識や見識を身に付けられるよう、従業員のスキルアップをサポートしています。マネジメント能力開発では、将来の経営人財を育成するために、マネジメント力や人間力強化を目的とした教育を実施しています。

事務技術職および上級職
キャリア開発 スキル開発 マネジメント能力開発 上級職 中堅 若手 新人 新入社員 OJT
技能職
いすゞ技能職 実施研修
いすゞ自動車高等工業学校

いすゞ自動車高等工業学校(以下、いすゞ高工)では、高校を卒業した技能系新入社員(以下、訓練生)に対して、教育訓練を行っています。3カ月の短期育成と1年訓練の2コースがあり、どちらも技能系社員としていすゞの「ものづくり」に必要な知識・技能、心構えを重視した教育内容となっています。
また、いすゞ高工の指導員は、現場で実務を担っている従業員から選ばれ、訓練生に指導します。これにより、指導員となった従業員が自分自身の業務知識を見直す機会にもなるとともに、人財育成の方法を学習することができ、指導員自身の成長にもつながっています。

いすゞ高工での訓練風景と実習風景
いすゞ高工での訓練風景と実習風景
いすゞ高工での訓練風景と実習風景
いすゞ高工での訓練風景と実習風景

技能の伝承と育成

いすゞでは、技能の伝承と育成に関して、技能職を対象として階層別に教育体系を定め、技能レベルの向上に努めています。

部門ごとの取り組み
生産部門
  1. 高度で長い経験が必要とされる特殊技能について、職場単位で伝承教育を実施していることに加え、生産部門全体として体系立てた技能伝承を進めています。
    1. 技能職の階層別教育:新入社員・若手・中堅・管理監督者など
  2. 国内トップレベルの技能習得を目指して技能五輪に毎年挑戦しており、例年上位入賞しています。
    • 2019年度銀賞:自動車板金(1人)
      敢闘賞:自動車板金(1人)、旋盤(1人)、機械組立て(1人)
    • 2020年度銀賞:機械組立て(1人)
      銅賞:自動車板金(1人)
      敢闘賞:自動車板金(1人)、機械組立て(1人)
    • 2021年度銅賞:機械組立て(1人)、旋盤(1人)
      敢闘賞:機械組立て(1人)
    • 2022年度敢闘賞:機械組立て(1人)、旋盤(1人)
    • 2023年度銀賞:自動車板金(1人)
      敢闘賞:機械組立て(1人)
  3. 外部教育機関と連携して、高度な技術教育や指導育成を図っています。2011年と比較すると、国家技能検定取得者数は倍増しています。引き続き管理部門と職場が一体となり、資格取得を支援するための勉強会・練習会を実施していきます。
開発部門
  1. キャリア目標を上司・部下が共有するキャリアプランを毎年策定し、それぞれの階層に応じた技能研修とOJTで身に付けることを目指して、各種カリキュラムを実施しています。
  2. いすゞの教育施設である「いすゞものづくりサービストレーニングセンター」に加え、職業能力開発促進センターなどの外部教育機関と連携することにより、高度な技能研修を行っています。
  3. 試験車両の運転業務に対して独自の認定制度を定めて、運転技能レベル向上に努めています。

人事評価制度

人財育成・活用サイクル

いすゞでは、育成~配置~評価・処遇の流れを「人財育成・活用サイクル」として整備し、自律的かつ計画的に人財が育つ仕組みとして導入しています。

公正な評価・処遇

いすゞでは、従業員個々人の仕事、役割、貢献度、能力伸長/発揮度などを基軸とした評価制度を導入しています。これにより、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すとともに、社会的身分・出身・人種・信条または性別など、非合理的な理由での差別を認めない公平・公正な評価によって処遇することで、従業員の働きがいや成長意欲の向上につなげています。

キャリア開発支援

いすゞでは、階層別教育プログラムのほかに、自ら選択し受講できる各種ビジネス講座や、オンライン英会話の研修といった、従業員のさらなるキャリア形成のための自己啓発支援を行っています。

エンゲージメントの向上

働きがいの向上の基本的な考え方

いすゞグループで働く全ての従業員の働きがいを経営理念体系のミッションに掲げ経営課題と捉え重点的に取り組んでいきます。
中期計画計画において2030年にエンゲージメント肯定的回答水準70%を掲げ、エンゲージメントサーベイを毎年度従業員に対して実施し、課題の把握分析とともに改善活動を行いながら、働きがいNo.1に向け取り組んでいきます。

従業員家族向け工場見学会

従業員家族の職場環境の理解促進、職場や家族のコミュニケーションの促進を目的に家族向けの工場見学会を開催しました。
工場が稼働する祝日に実施していましたが、従業員、家族からの反響が大きく、春休み時期の平日にも実施し、従来の見学会より日程、内容も大幅に充実させました。参加者からは「働く姿が見られてよかった」「帰宅後に仕事について質問された」など、好評を得ることができました。

2023年度開催実績:10回開催、87家族、254名参加

従業員家族向け工場見学会

多様な人財の活躍

多様な人財の活躍の基本的な考え方

年齢・性別・国籍・障がいの有無・就業雇用環境などの違いを認め、その違いを生かすことで、従業員の働きがい向上や新たな発想、価値の創造による企業の競争力向上が期待できると考えます。
引き続き、障がい者・外国人など多様な従業員の採用や、育児や介護など事情のある人でも働きやすい環境づくりなど、さまざまな施策を推進していきます。
なお、いすゞでは、同性であっても、自治体が発行するパートナーシップ認定を取得している場合は、異性配偶者と同様の各種社内制度を利用することができます。(一部、社会保険など法律による規定があるものは除く)

女性の活躍推進

いすゞが持続的に成長し、社会に貢献し続けるためには、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が重要な要素であることを十分に認識しています。現在、いすゞには女性正社員が約580名おり、そのうち10%超が管理職(上級職)です。併せて、女性活躍推進法に基づき、行動計画を設定しています。今後も育成ならびに登用を積極的に進め、女性の活躍を推進する取り組みを行っていきます。

女性活躍推進法に基づく行動計画について

いすゞは企業理念ISUZU IDで掲げる「働きがいNo.1」を実現するため、いすゞで働く誰もが性別、国籍、社歴などのバックグラウンドに関わらず、活躍できる環境づくりを積極的に推進していくことを目的に以下の行動計画を定めています。

計画期間

2024年4月1日から2027年3月31日までの3年間

目標と取り組み

目標①

女性管理職比率を引き上げ、自動車業界の上位の水準(4.7%目標)にする

取り組み①

  • 女性社員の成長支援のため、各部門と人事が計画的な職務経験/One on One/キャリア研修を実施
  • 採用選考プロセスにおいて男女の応募者数差を縮めるため、女性に当社の仕事の魅力を積極的に発信

目標②

育児と仕事を両立する社員に対する理解促進のため、育児中の男性社員が育児休業を取得(100%目標)する

取り組み②

  • 対象者および職場のマネージャーの課題を把握し、柔軟に休業取得できるような施策を実施
  • 育児期における職業生活と家庭生活の両立を経験するため、対象者全員へ育児休職・休暇取得を促進

高齢者(定年後)の活躍推進

いすゞでは、定年後再雇用制度などにより、従業員が60歳以降も継続して活躍できる環境を整えています。現在、約880人の従業員が定年後に再雇用従業員として活躍しています。

外国籍従業員について

多種多様な文化的背景を持つ従業員が働きやすい職場環境を整備する取り組みとして、事業所内の一部に「お祈り部屋」を整備し、宗教上の制約に配慮した食堂メニューを提供するなどの取り組みを行っています。

現地雇用

いすゞグループは現地での雇用を基本的な方針としており、事業展開する国、地域での現地採用を積極的に行っています。海外グループ会社では、現地雇用者を中心に15,951名が従事しています。

障がい者雇用の促進

障がいのある人もない人も、お互いに支え合い、豊かに暮らせる社会を目指し、新卒採用に限らず中途採用なども積極的に進め、障がい者の雇用に取り組んでいます。また、配属先については障がい者の方が活躍できるよう、本人適性や本人希望に鑑み、障がいの内容に配慮しながら事務系の職場のみならず技能系の職場へも配属しています。

多様な働き方への取り組み

働き方改革の基本的な考え方

いすゞが追求する働き方改革の基本的な考え方は、「仕事に適した働き方を追求し、生産性を向上すること」にあります。会社全体で働き方改革を実現していくため、「働き方改革推進会議」にて職場課題の解決に向けた新たな施策を積極的に議論し、速やかに全社へ展開しています。

従業員参画型の働き方改革の実現

いすゞでは従業員意見を反映した働き方改革を実現するため、「ISUZUTTO!(いすずっと)」という従業員が主体となる働き方検討チームを組織しています。この会議で議論された内容は「働き方改革推進会議」に提言され、さまざまな働き方改革の実現に活かされています。

ISUZUTTO!
働き方改革推進会議

働き方改革による導入施策

  • 在宅勤務制度の導入
  • フレックス勤務制度のコアタイム廃止
  • 年次有給休暇の取得単位の柔軟化
  • 育児介護在宅勤務の拡充

ワーク・ライフ・バランスの推進

いすゞでは、有給休暇について、年間18日以上を目標に取得を推進しています。具体的には、各部門の年次有給休暇取得日数や、推進施策事例の共有などを労働組合と共有し協働しながら、年次有給休暇の取りやすい風土づくりを推進しています。また、一斉退社日の設定(毎週水・金曜日)や、在宅勤務・フレックス勤務の活用なども推奨しながら、ワーク・ライフ・バランスを推進しています。

仕事と育児・介護の両立を支援する主な制度
出産・育児 育児休職制度 子どもが満2歳に達した直後の4月末まで分割して取得が可能
配偶者出産休暇 出産日より2週間以内に3日間取得が可能
看護休暇 小学校就学の始期に達するまでの子どもの看護のために取得可能
短時間勤務制度 子どもが小学3年生に達した直後の3月末まで時短勤務が可能
在宅勤務制度 妊娠時から、子どもが中学3年生に達した直後の3月末まで在宅勤務が可能
介護 介護休職制度 介護に必要な期間(1年以内)
介護休暇 家族の介護のために取得可能
短時間勤務制度 介護に必要な期間、時短勤務が可能
在宅勤務制度 家族の介護のために在宅勤務が可能

労働安全衛生

労働安全衛生の基本的な考え方

いすゞの安全衛生理念に基づき、従業員の安全と健康を事業活動の基盤に据え、活動を推進しています。この価値観は、いかなる時代・環境においても変わることのない普遍的な考えです。なお、この理念はいすゞで雇用されている方の雇用形態を問わず、また、構内で働く全ての関係会社の従業員にも適用されています。

いすゞの安全衛生理念

いすゞの安全衛生理念
安全衛生活動方針

従業員一人ひとりが「わが社の安全衛生理念」に立ち返り、安全を最優先に考え行動します。さらに、安全・衛生意識を向上させて、全員で全員の「安全」を保つ活動を展開します。

労働安全衛生の体制

いすゞグループの安全推進活動は、代表取締役 取締役社長COOを最高責任者とし、グループCRMOが取りまとめる体制で推進しています。

所管役員 南 真介(代表取締役 取締役社長COO)
審議機関​ 安全推進特別委員会​
委員会の活動状況は、社内規則に基づき、経営会議および取締役会に付議・報告されています​
事務局​ グループCRMO

いすゞの各事業所では月1回、「安全衛生委員会」を開催し、従業員の労働安全・交通安全・健康管理、職場の環境改善などについて労使間で議論を行っています。さらに、安全衛生委員会での議論の内容を踏まえて、部単位で委員会を実施し、円滑な情報共有を図っています。国内協力会社に対しては、協力企業からなる「いすゞ安全衛生協力会」を設置し、毎月の企業診断を通じて、安全・健康・防火/防災に関する指導を行っており、連携の強化を図っています。また、事業のグローバル化に伴い、海外関連会社に対しても国内の災害情報を配信し、定期的に会議体を設けて情報共有を行い、指導を行っています。

体制図 マネジメント体制
  1. 安全衛生管理については、安全衛生担当部署を所管する役員が統括する体制としており、その内容や必要性に応じて、適宜報告がなされています。

労働安全衛生活動の取り組み

従業員の安全確保は、企業の最優先課題であり、いすゞでは、重点課題を日々、地道に積み重ね、安全の原則を確実に守れる職場を築くとともに、工場の安全管理目標達成に向け積極的に取り組んでいます。

2023年度の労働災害目標値

全災害件数 6件
死亡災害件数 0件

機械設備清掃中の重大災害について

2023年4月7日、いすゞの藤沢工場構内において、機械設備の清掃作業中に従業員1名が亡くなるという非常に痛ましい重大災害を発生させてしまいました。お亡くなりになった方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、ご遺族の皆様に衷心よりお詫び申し上げます。この重大災害は、従業員が機械設備内の切粉清掃作業を実施している際に、体を挟まれ被災したものです。

当該重大災害の発生後、真因究明と対策検討を目的としたチームを編成し、再発防止策を講じました。また、この重大災害を教訓に、安全に対する体制・組織の強化、安全パトロールや従業員安全教育の強化による安全意識の向上、機械・設備の安全仕様の強化による物的対策等を実施しています。いすゞは、安全第一の原点に立ち戻り、役職員一丸となって、本質的に安全と言える職場の実現を目指していきます。

リスク評価の取り組み

いすゞでは、災害リスク低減のため、製造、開発における新規設備および新規化学物質の導入時、使用部署、計画部署および安全衛生部署が協力してリスク評価を行っています。
また、既存のプロセスにおいても、法令で定められた職場巡視に加え、工場長や各職場の代表者が定期的に安全パトロールを実施し、「不安全状態・不安全行動」などの問題点がないかリスク評価を行っています。明らかになった問題点を速やかに改善することで、安全な職場づくりを推進しています。

体感型安全教育の拡充

各職場には、「いすゞ安全の原則」に関連した従業員が災害を疑似体感できる「安全道場」を常設しています。現業職場の従業員には年1回以上、災害を疑似体験してもらい、各人の危険感受性向上に努めています。また、ヒューマンエラーに起因した労働災害防止の観点から、安全マインドをより深めるための手段として、「VR安全教育」を導入しています。先期より、VR安全教育の対象者の拡大およびVRコンテンツを拡充し、ハード対策だけではカバーしきれなかった不安全行動のさらなる抑止を図ります。

VRを用いた危険体感教育の様子
講師による危険体感教育の様子
職場環境改善① 多角的な視点による現場パトロール

いすゞでは、「安全に役職、部署、年齢などは関係ない」という考えに基づき、工場長自ら工場内に出向き、作業者との対話を交えたパトロールを実施しています。さらに、職場ごとに選任された安全衛生担当者による相互パトロールや、労働組合によるパトロールも実施しており、さまざまな視点から現場の危険を事前に察知し、危険の芽を摘むよう努めています。各パトロール内では、不安全行動や不安全状態の指摘だけでなく、「良好事例の展開」や「新たな気づき」を積極的に見つけ出し、社内全体に展開して、安全衛生のレベルアップを図っています。

パトロールの様子
職場環境改善② ドローンを用いた高所作業による墜落リスクの低減および震災時の活用について

屋根点検を人力で実施する場合、高頻度の実施点検は難しく、高所作業による危険も伴います。そこで、いすゞでは、ドローンを活用した屋根点検方法を確立しています。ドローンの活用によって、作業者は屋根に上る必要がなくなり、安全性が向上しているだけでなく、高頻度での点検や詳細な画像の取得が可能となり、作業効率の向上にも寄与しています。また、震災時の工場内、周辺地域の被災状況の迅速な情報収集にも使えるため、防災・BCM訓練時にも活用しています。

ドローン
空撮の映像を確認する様子
職場環境改善③ つまずきにくい安全靴の導入による転倒対策

加齢は筋力の低下等による転倒を引き起こしやすく、若年世代に比べて被災時の重篤度も高くなる傾向があります。そこで、「つまずきにくい安全靴」を導入し、労災抑止ひいてはエイジフレンドリーな働きやすい職場環境の実現につなげています。導入後、従業員からは、「つまずきにくくなった」という声が多数上がっています。

防災・BCM訓練

各事業所では、さまざまな災害リスクを想定し、迅速かつ的確に対応できるよう、防災・BCM訓練を実施しています。訓練時には、対策本部の設置、各職場での避難訓練、火災想定箇所の消火訓練などを実際に行っています。なお、この訓練では、外部コンサルタントからリスク低減に向けた助言を得ながら、より実践的なオペレーション・フローの確立を目指しています。また、被災時に帰宅困難者が発生することを想定し、食糧・水の備蓄や宿泊所の整備を行うなど、従業員の安全を第一に対策を進めています。

防火概念図
ソーシャルディスタンスを確保した避難訓練の様子(ドローンによる空撮)
ソーシャルディスタンスを確保した避難訓練の様子(ドローンによる空撮)
BCM訓練の様子(震災を想定して屋外で対策本部を開設)
BCM訓練の様子(震災を想定して屋外で対策本部を開設)
夜勤時のBCM訓練の様子
夜勤時のBCM訓練の様子

従業員の健康維持・増進に関する取り組み

従業員の健康維持、職業性疾病予防に向けて、定期健康診断・特殊健康診断を実施し、有所見者への個別指導・受診推奨を行っています。また、疾病による休業者の職場復帰・両立支援、長時間労働者への個別対応を行っています。加えて、健康増進の取り組みとして、従業員食堂への「ヘルシーメニュー」の導入や、受動喫煙対策も行っています。
また、HIV/AIDS、デング熱、狂犬病、マラリアや結核などをはじめとするグローバルな健康問題に多面的に取り組んでいきます。具体的には、海外赴任者とその帯同家族に対し、健康診断結果に基づく保健指導や再検査フォロー、赴任先の国の感染状況に応じた衛生指導、推奨ワクチンの接種、現地の医療情報の提供と受診サポート、赴任中の受診や治療・心身面の悩みなどに関する相談対応、赴任先への産業医巡回を行っています。

メンタルヘルス対策の推進

セルフケアサポートとして、ストレスチェックの実施やその後の面談対応、新入社員へのセルフケア研修などを行っています。またラインケアとして、職場での相談体制の構築に加え、ラインケア研修やストレスチェック結果を活用した職制へのカウンセリングなどを行っています。産業保健スタッフによるケアとしては、日々職場からの相談に対応し、必要時には外部機関の紹介や職場との就業調整、継続的なフォローを行っています。また外部資源としてEAPを活用しカウンセリングや研修の実施を行っています。

  1. EAP:外部専門家による支援

復職・就労の支援

いすゞでは、病気療養後も従業員が安心して復職できるよう支援を行っています。復職前には綿密な状況確認を行い、産業医・保健師・職場・労務担当者と連携しながらサポートを行います。生活指導や出社訓練、EAPとしてリワーク施設(外部の職場復帰支援施設)の活用も行い、復職に向けての準備を整えます。復職後は、産業医・保健師による定期面談を通じて継続的なフォローを行い、安心して就労が続けられるよう支援しています。

健康維持増進への取り組み

従業員とその家族の健康管理については、レセプト(医療費)や健診データを定期的に分析し、優先すべき健康課題を抽出して保健事業を計画・実施しています(データヘルス計画)。

(人)
重点課題 2021年度 2022年度 2023年度
特定保健指導受診者 1,677 2,056 2,268
人間ドック受診者 4,194 5,219 5,225
メンタルヘルスカウンセリング相談者 100 76 87
24時間電話健康相談利用者 101 64 77
レクリエーション・スポーツ参加者 0 0 0
高齢者訪問指導 0 3 2
健康セミナー参加者 0 0 0
生活習慣病予防、うがい・手洗いキャンペーン、ウォーキングチャレンジ 他 参加者 1,375 1,667 3,184
トレーニングエリア利用者 0 1,336 2,521
婦人科検診受診者 1,399 1,456 1,470
  1. レクリエーション・スポーツや、高齢者訪問指導、健康セミナーは、新型コロナウイルス感染症の影響により未実施となったことなどから、大幅減となっています

把握している主な健康課題

  • 40歳代からの生活習慣病関連疾患の1人当たりの医療費が拡大している
  • 家族(被扶養者)の健康診断(特定健診)受診率が低く、疾病予防が後手に回っている
  • 従業員の喫煙率が平均と比較して非常に高く、その影響により健康保持・増進が進まない

これらは、現在、いすゞが保険者として把握している主な健康課題です。これらの課題への対策を中心に保健事業を展開しています。なお、健康管理やメンタルヘルス対策などは、総務人事部・労務部の健康相談室が担っています。

労使関係

労使関係の基本的な考え方

いすゞでは、従業員の「結社する自由(しない自由)」、および「団体交渉の自由」を尊重し、労使が協力して働きやすい環境づくりに努めています。労使相互信頼を基盤として公正かつ健全な労使関係を確立しており、労使が協力して課題解決への取り組みを進めています。

  • 特に重要な経営上の課題:労使間で定期的に開催している労使協議会などを通じて検討・協議
  • 経営施策:労働組合から職場の現況を踏まえた提言を受け、活発に議論
  • 人事・労務関連の諸制度の運用・改定:労使双方の課題認識を基に十分に協議した上で実施

こうした労使関係により、企業運営の客観性や透明性とともに諸施策の実効性を高めており、今後も労使が協力して働きやすい環境づくりに努めていきます。

実施している主な労使協議会

主な労使協議実施内容
労使交渉 春闘 主旨:総合生活改善に関する労使交渉の場
議題:賃金/賞与、労働条件全般
出席者:社長、部門EVP
労使検討委員会 主旨:年間を通じた議論の場
議題:労働諸条件全般
出席者:人事企画部長、総務人事部長、労務部長
労使協議会 中央労使協議会 主旨:全社の事業活動を協議する場
議題:会社の経営方針、生産、販売、経理、賃金、研究開発など
出席者:社長
専門労使協議会 主旨:生産活動に関する専門的な労使協議の場
議題:生産に関する取組方針、生産性、課題進捗など
出席者:生産に関する役員、VP、部長
工場労使協議会 主旨:毎月実施の労使協議の場
議題:稼働体制、職場環境、福利厚生など
出席者:工場長、担当部長など
労使懇談会 主旨:部門単位の労使の意見交換の場
議題:各部門の方針や課題、職場の声など
出席者:部門EVP、VP、部長など
年間の主な労使交渉・労使協議会スケジュール Ⅰ期(4~9月)  Ⅲ期(10月~翌3月) 全社イベント  5月 決算発表 11月決算発表 労使交渉 春闘  労使検討委員会  通年議論 労使協議会 中央労使協議会 専門労使協議会 工場労使協議会 労使懇談会 2月中旬~3月中旬 6月中旬 12月上旬頃 5月下旬頃 11月中旬頃 毎月下旬 5月中旬~6月上旬 11月頃