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資源循環推進

基本的な考え方

持続可能な社会への移⾏には、⼤量⽣産・⼤量消費型の経済システムから⽣まれた「線形経済」システムから、「循環経済」システムへの転換が重要です。いすゞグループは、いすゞ環境長期ビジョン2050のAspirationに「廃棄物・廃棄車両の再資源化率100%」を掲げ、事業活動全体で省資源、資源の再利用、資源循環など資源の有効利用の取り組みを通じて、付加価値の最⼤化を図る「循環経済」の実現に向けた活動を推進します。

いすゞ環境長期
ビジョン2050
2030環境ロードマップ
Aspiration 2030チャレンジ グローバルアクション

廃棄物・廃棄車両の
再資源化率100%

  • 循環経済の実現に向けた活動を推進します
  • 全拠点の排出資源量総量管理を徹底します
  • 資源の有効利用を推進します
  • ビジネスを循環型にしていきます
循環経済への移行イメージ
循環経済への移行イメージ

取り組み

資源の有効利用を推進

梱包・包装資材の削減:リターナブルラックの導入拡大

いすゞグループでは、物流全体における環境負荷を低減する活動の一環として、グループ内で行う梱包出荷から海外工場における廃棄までを考慮した、環境負荷の少ない梱包資材の導入拡大を推進しています。中でも繰り返し利用可能な全仕向地共通のリターナブルラックの導入は2017年から推進しており、国内外の工場間部品輸送などに順次展開・拡大しています。リターナブルラックの導入拡大により、海外の組立工場で廃材となっていた、ノックダウン(KD)部品の梱包用ワンウェイラックの使用を削減することができました。

リターナブルラック
リターナブルラック

従来は木製でワンウェイであったキャブ用ラックも鉄製のリターナブルラックへ変更することで、廃棄時の釘抜きなどの木材解体作業が不要となり、作業時の安全性も向上しています。
また、2021年度からは完成キャブをコンテナに積載する際に発生する上部空間を活用するため、キャブ用ラックの下に入る部品用リターナブルラックを開発しました。これにより、段積みによるコンテナ内充填率が向上しました。アクスルなどの大物部品や他のコンテナを使用して出荷していた部品をこの部品用リターナブルラックに搭載することにより、40ftコンテナを年間約300本分削減でき、省資源化のみならず、輸送における温室効果ガス(GHG)の低減にもつながっています。
2019年度には、単体重量が従来⽐33%減の軽量型リターナブルラックやコンテナ内の充填率を上げるための⾼さ違いの2種類のラックも開発し、2023年度には主要仕向国への展開が完了しました。また、2024年度から新規モデル車型に合わせて開発してきた新規キャブ用リターナブルラックを2025年度より追加導入しました。
今後も、環境負荷の低減と物流効率の向上を目指し、リターナブル資材の有効活用を推進していきます。

キャブ用リターナブルラック(オレンジ)+部品用リターナブルラック(ブルー)
キャブ用リターナブルラック(オレンジ)+
部品用リターナブルラック(ブルー)
新規キャブ用リターナブルラック
新規キャブ用リターナブルラック

梱包・包装資材の削減:ストレッチフィルムの廃止

いすゞグループでは資源循環活動の一環として、国内拠点間の搬送に使用している資材の削減にも取り組んでいます。部品を国内の2拠点間で搬送する際、2段の台車を使用しており、屋外作業が発⽣することを考慮しその台車の上から雨避けカバーを設置しています。従来はその雨避けカバーから包装部品の落下を防ぐため、カバーの上からストレッチフィルムを巻き、搬送後はそのストレッチフィルムを廃棄していました。また、⾼さ50㎝、重量2㎏のストレッチフィルムを持ち上げて2段の台車を2周巻く作業は姿勢が悪く、作業者への腰痛や転倒リスクもありました。2024年10月より、ストレッチフィルムから繰り返し使用可能なラッシングベルトへ変更し、作業面では軽量のラッシングベルトを2本巻くだけで容易となり、品質面においても台車からの部品の落下がなくなりました。この取り組みにより、ストレッチフィルムの廃棄量を年間約5t削減し、作業効率も改善されました。

(変更前)ストレッチフィルムを巻く作業
(変更前)ストレッチフィルムを巻く作業
(変更後)ラッシングベルトを巻く作業
(変更後)ラッシングベルトを巻く作業

梱包・包装資材の削減:プラスチック固定材から段ボール固定材への切り替え

いすゞグループでは、持続可能な社会の実現に向け、日々、環境に配慮した梱包方法を検討しています。
2024年度には、初のEV車のKD⽣産に伴い、車両コンセプトに合わせ、環境に配慮した梱包資材の開発、採用を本格的に開始しました。
従来は、梱包仕様を設計する際、部品の固定材には石油由来であるプラスチック発泡材を主に使用していましたが、EV車の車両コンセプトに合わせ、段ボールを用いた固定材の導入に取り組みました。
品質やコストなどクリアすべき課題が多くありましたが、2024年6月よりEV車のラジエターを含む8部品に段ボール固定材を導入することで、プラスチック発泡材を年間308㎏削減することができました。
今後も引き続き環境に配慮した設計を取り入れ、梱包分野でも環境負荷の低減に貢献していきます。

段ボール固定材を使用した部品包装
段ボール固定材を使用した部品包装

水資源の有効活用

いすゞの事業活動では車両製造、工場の維持管理、排水処理など、さまざまな場面で大量の水を使用しています。
限りある水資源を保全するため、工程使用水や排水処理水の再利用、使用量低減などに取り組んでいます。

再利用の取り組み

リマニユニットを活用したメンテナンスリース

いすゞでは、短期間で⾼稼働運⾏したリースアップ⾞に対し、いすゞのリマニ※1技術によって、再利用可能なエンジンやトランスミッションなどの主要部品を新品同等に機能回復させ再⽣した車両(以下「リマニユニット車」)を、再度メンテナンスリースで提供しています。
⼤型トラック”GIGA type-Re”に加え、さらにお客様からのご要望にお応えし、2025年3月より中型トラック ”FORWARD type-Re”の提供も開始しました。
リマニユニット車の機能回復にあたっては、⾼度純正整備「PREISM」を活用して車両のコンディションを把握し、交換が必要な部品のデータを検出したうえで実施しています。
部品を再利用することで資源の循環利用に貢献するだけでなく、新車と⽐較して製造時のCO2排出量を、⼤型トラックでは約76t/台※2、中型トラックでは約28t/台削減※3することが可能で、GHG削減にもつながります。
今後は、これまでの導入実績や知見を活かし、お客様からもご要望をいただいているトラクタヘッドや冷蔵冷凍車といった、他の車型や架装物への対応拡⼤も進めていきます。

  1. ※1リマニ:再生産(Remanufacturing)のこと。使用済み製品を回収した後、分解、部品交換などを経て新品同様の製品とすること
  2. ※25年間で約100万km走行した大型トラック「ギガ」にて算出
  3. ※35年間で約70万km走⾏した中型トラック「フォワード」にて算出

リビルトの推進

いすゞグループでは、使用済みエンジンや部品を分解、洗浄、検査し、劣化部品を新品に交換したうえで、再組み立てを行うリビルトに取り組んでいます。
新品の製造ラインと同等の検査基準に合格したリビルト製品を、いすゞの純正リサイクルパーツ「E-PARTS」として販売しています。
いすゞエンジン製造北海道では、エンジンや部品のリビルトを行い、資源投入量、製造エネルギーの低減に取り組んでいます。今後、部品の再生技術と再生品の評価基準を確立し、部品再生率を向上させ、リビルトを推進拡大することで、さらなる資源/エネルギー投入量の低減を図っていきます。

再組み立て中のリビルトエンジン
再組み立て中のリビルトエンジン

再資源化を推進

自動車リサイクル法への対応

いすゞグループでは事業活動により排出される排出物すべてにおいて、排出量そのものを低減するとともに、排出物の有効利用を推進することで有価物を含めた排出物の排出量低減・抑制、そして有効利用に取り組んでいます。
また、使用済み自動車は各国の法規に基づき適切に処理を行っており、日本国内では自動車リサイクル法(使用済み自動車の再資源化等に関する法律)に基づき、使用済み自動車のリサイクルを推進するとともに、指定3品目(ASR 、エアバッグ類、フロン類)の再資源化などに取り組んでいます。
また、ASRの再資源化については、自動車メーカー12社と協働し、ASRの適正処理を推進するためART(自動車破砕残さリサイクル促進チーム)を運営しています。

  1. ASR:Automobile Shredder Residue(自動車シュレッダーダスト)の略