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基本的な考え方

ISUZU IDで掲げる「地球の『運ぶ』を創造する」という使命をお取引先様と共有し、協力し合いながら購買活動に取り組みます。オープンでフェアな取引を行い、サプライチェーンに関わるさまざまなお取引先様と双方向のコミュニケーションを行うとともに、信頼関係を築いていきます。

購買活動における考え方

いすゞは、企業の社会的責任を果たすとともに、社会からの信頼を獲得し、社会の持続可能な発展に貢献するためには、環境、品質、コンプライアンス、人権、および地域・社会貢献などの各活動分野において、お取引先様を含めたステークホルダーの皆様のご協力と信頼を得ることが非常に重要であると認識し、各種課題に取り組んでいます。
購買活動に関する基本的な方向付けを示し、その一貫性を保つための「購買基本理念」と「購買基本方針」を1997年に制定し、購買活動に関する基本的な理念と方針については、新入社員および購買部門外からの転入者への導入教育の際に、その徹底を図っています。
いすゞ製品に使用する部品などは、その多くを外部のお取引先様から購入しています。万が一購入品の品質不良や環境・社会・事業継続リスクの顕在化などにより供給に影響が発生した場合、いすゞ製品をご利用いただくお客様に多大なご迷惑をおかけすることになります。そのような事態を未然に防ぐために、いすゞでは、品質管理に加えて環境・社会・事業継続に関する取組状況のモニタリング体制を強化しています。これからもいすゞは、お取引先様との相互信頼に基づく購買活動を継続し、良品を安定的に確保するため、より強靭なサプライチェーンの構築を目指します。

購買基本理念

私たちは、購買活動を通じて円滑な生産活動が達成されるよう、購入品の満足のゆく品質と納期と数量を保証すると共に、購買市場を通じて新技術の提供に協力し、会社の利益に貢献します。また、お取引先様との相互信頼に基づく双方向コミュニケーションを確立します。
(制定:1997年7月、最新改訂:2008年4月)

購買基本方針

  1. 品質を第一に考え「お客様が満足する商品を創り出し提供する」体制の構築を目指します。
  2. 品質・価格・納期に於いて満足のいく商品であれば、国内・海外を問わず「公平・公正」な競争のもと調達することを目指します。
  3. お取引先様との共存共栄を目指した購買活動を展開し、会社の競争力強化に取り組みます。また、いすゞは、サプライチェーン全体の付加価値向上、お取引先様との持続可能な共存共栄関係の構築を目指す「パートナーシップ構築宣言」の趣旨に賛同し、いすゞとしてのパートナーシップ構築宣言を公表しています。

購買部門員への購買基本理念・基本方針徹底

購買基本理念・基本方針を「購買部門コンプライアンス・ガイドブック」に記載し、購買部門員がいつでもこのガイドブックを閲覧できるよう、社内のデータベースに掲示しています。
2023年度も、購買部門へ配属された際の導入教育に購買基本理念・基本方針の説明を組み込み、全員に徹底しています。
また、併せて購買部門員の知識として不可欠な「下請代金支払遅延等防止法」、および「自動車産業適正取引ガイドライン」に関する講習会を開催し、その理解と遵守にも努めています。

マネジメント体制

いすゞでは、購買部門品質会議を毎月1回開催し、前月の購入部品の品質状況、新規お取引先様の監査結果、およびISO/IATF関連の内部監査/外部審査結果などの報告と討議を行っています。さらに、購買部門品質・コンプライアンス推進会議、および購買部門環境会議をそれぞれ毎月1回開催し、各委員会からの情報を購買部門内の各部に展開しています。コンプライアンスと環境に関する購買部門の活動方針は、この会議体で決定しています。

部門教育の実施

新入社員および購買部門に新たに配属された従業員に対する導入教育では、コンプライアンスやサステナビリティ教育を実施しています。また全部門員を対象とした下請法・自動車産業適正取引ガイドライン講習会の実施や、脱炭素社会の実現に向け、組織としてゼロエミッション車に関する知識を深めるため、EVバッテリー、FCVセミナー等の学習機会を提供しています。

お取引先様相談窓口の設置

お取引先様に対する中立的な相談窓口として、「お取引先様相談窓口」をリスクマネジメント部コンプライアンス推進グループ内に設け、コンプライアンスに関するお取引先様からの相談を受け付けています。

取り組み

いすゞのサプライチェーン

いすゞは、国内外を問わず、「公平・公正」な選定プロセスのもとで調達先を決定しています。2023年からは、調達先の選定プロセスにサステナビリティ評価を組み込みました。お取引先様との共存共栄を目指した購買活動を展開し、グローバル調達拠点でも同様の活動に取り組み、企業の競争力強化に努めています。日本での取引社数は国内と海外を合わせて675社で、このうち約9割が日本国内のお取引先様です。取引金額を費目別で見ると、車両・エンジン部品の購入が約8割を占めています。

主なグローバル調達拠点
日本での取引実績

地域の発展と雇用創出

いすゞが事業を展開している国・地域では、現地の自動車産業の活用と発展および雇用への貢献のため、現地部品の採用を進めています。

お取引先様各種ガイドライン

いすゞグループサプライヤーサステナビリティガイドライン

いすゞでは、これまで「サプライヤーCSRガイドライン」に基づき、お取引先様と一体となった社会的に責任のある調達活動を行ってきましたが、サステナビリティの潮流やステークホルダーの皆様の期待の変化を踏まえ、2022年12月に「いすゞサプライヤーサステナビリティガイドライン」(以下、本ガイドライン)に改定しました。2024年4月には「いすゞグループサプライヤーサステナビリティガイドライン」と改題し、いすゞグループ全体のお取引先様への展開を進めています。
ガイドラインでは、「いすゞグループ人権方針」をはじめ「いすゞグループ責任ある鉱物調達方針」やいすゞグループの方針類、そして国際的に広く認知されている国際規範やフレームワークを参照しています。お取引先様への要請項目では、いすゞグループのサプライチェーン全体で環境や人権などサステナビリティに関する価値観を共有するため内容の充実を図り、本ガイドラインをお取引先様の取り組みの推進に活用いただくとともに、お取引先様のみならずお取引先様のサプライチェーンに対しても周知・実態把握に努めていただくよう依頼しています。
お取引先様にはこのいすゞの考えに同意し、いすゞに供給する全ての製品・サービスに関して本ガイドラインの要請に準ずることの確認として、同意書への署名をお願いしています。2024年5月現在、年間購買金額の約95%を占めるお取引先様から署名をいただいています。
また、サステナビリティガイドラインに沿った取り組みができているかを評価する自己評価調査票(Self Assessment Questionnaire、以下SAQ)を作成し、2023年度より調査を開始しました。2023年度は主要なお取引先様284社(年間購買金額の96%)へSAQの提出をお願いし、17社のお取引先様において、サステナビリティに関するリスクがあることがわかりました。リスクが明らかになったお取引先様については、実地もしくはリモートでのヒアリングを実施し、改善に取り組んでいただいています。

ISUZUグリーン調達ガイドライン

いすゞグループ地球環境憲章などの紹介と環境に関するお取引先様への依頼事項を業種ごとにまとめた「ISUZUグリーン調達ガイドライン」を制定しています(最新改訂2020年10月)。事業活動に関わる環境活動への取り組みを一層強化し、ビジネスパートナーと連携した活動を積極的に推進していきます。

お取引先様とのコミュニケーション

いすゞは、説明会および会合を通して、お取引先様との相互コミュニケーションの強化に取り組んでいます。2023年度は、適宜WEBツールも活用しつつ、コロナ禍後の状況変化を受け、対面での情報発信を段階的に増やしてきました。また、いすゞでは日頃からお取引先様との丁寧なコミュニケーションを心がけています。お取引先様との相互信頼に基づく双方向コミュニケーションを充実させ、お取引先様のお困りごとがないかお伺いするなど寄り添った対応を進めております。このようなコミュニケーションがサプライチェーン強化につながると確信しています。

お取引先様との主なコミュニケーション機会

  • 新年経営者懇談会
  • 購買方針説明会
  • 生産説明会
  • 品質方針説明会
  • いすゞ協和会
  1. いすゞ協和会:いすゞのお取引先様で構成された協力会

いすゞグループサプライヤーサステナビリティガイドライン、ISUZUグリーン調達ガイドラインの展開

万が一、お取引先様において企業としての社会的な責任を果たせなかった事象が起きてしまうと、取引をしているいすゞのイメージが損なわれるだけでなく、生産活動も多大な影響を受けてしまいます。例えば、検査データのねつ造、人権に関する問題などの不正が発生した場合、いすゞのイメージだけでなく、購入部品の供給停止などによって、いすゞの生産活動に影響が発生し、いすゞ製品をご利用いただいているお客様に大変なご迷惑をおかけしてしまいます。このようなリスクを回避するため、お取引先様に対しては、「いすゞグループサプライヤーサステナビリティガイドライン」に沿った活動の展開をお願いしています。新規のお取引先様についても、契約時に人権、環境、不当な取引制限や不当な接待・贈答・金銭授受・提供禁止などの腐敗防止など、「いすゞグループサプライヤーサステナビリティガイドライン」に沿った取り組みを要請しています。お取引先様にはこのいすゞの考えに同意し、いすゞに供給する全ての製品・サービスに関して本ガイドラインの要請に準ずることの確認として、同意書への署名をお願いしています。

お取引先様の取り組み状況のモニタリング実施

品質

いすゞでは、お取引先様の納入品質と市場品質をモニターするために、不良の発生件数、個数、重要度などを基に、毎月、評価点を算出しています。その結果、納入品質の評価点と不具合件数が一定基準に達しないお取引先様は「管理企業」に、評価点は一定水準に達するも、不具合件数が一定以上あり、納品品質に改善が必要なお取引先様は「観察企業」に区分し、毎月の品質会議開催などによって納入品質の改善に努めています。このような取り組みの結果、2023年度は、約91%のお取引先様が納入品質評価点の基準を満たしました。管理企業はなかったものの、観察企業は数社あったため、該当するお取引先様に対しては、ともに改善活動に取り組みながら、品質向上に励んでいただきました。
また、いすゞでは、一部のお取引先様に対して、3年ごとの直納認定更新審査時に実地監査を行い、品質マネジメントシステムの運用状況を確認しています。なお、新規のお取引先様については、取引開始前に実地監査を行い、品質マネジメントシステムの有効性を評価し、採用基準に達しているかの確認を行っています。

BCP

事業継続の観点において、部品供給不足や感染症、またその他の自然災害による生産計画変更、稼働調整など、今後の生産活動において、短期・中長期的視点で対応すべき課題が数多くあります。また、地政学リスクにも留意する必要があります。2023年度は原材料の輸入制限、紛争による航路変更リスクなど、調達リスクが顕在化したこともあり、在庫を多く持つとともに、リスク地域以外からの調達が可能な運営も視野に、対応を検討してきました。
BCP/BCM体制構築も推進しており、サプライチェーンの可視化も新たな課題として取り組んでいきます。自然災害が発生した際にはシステムを活用し、お取引先様から納入への影響度を即時に報告いただく体制を取っています。2023年度より新たなシステムを導入し、サプライチェーンの情報を収集してきました。サプライチェーンは常に変化するものであり、日々新たな課題が発生することから、収集した情報については常にアップデートを行い、レベル向上に向けた活動を推進しています。この活動を通じ、サプライチェーンに潜む脆弱な部分を明確にし、戦略的な在庫保持、リードタイム圧縮、地政学的なリスク排除を進めていきます。併せて災害などの発生時に初動を早め、お取引先様と協力し合いながら早期の復旧に努めるとともに、いすゞ商品の販売への影響を最小限に抑える体制を構築しています。

環境

いすゞでは、お取引先様に対して、「環境マネジメント自主評価報告書」によって環境マネジメントシステム推進に関する活動報告をお願いしています。2023年度の「環境マネジメント自主評価報告書」は、お取引先様367社に自主評価をお願いしました。評価結果は、回答率は98.6%と昨年に続き過去最高を更新し、平均点でも過去最高となりました。活動に取り組むお取引先様の裾野が一層広がっていることが確認できました。良くなった点としては、「物流におけるCO2削減活動」における取り組み事例の増加や、「省エネ活動」、「水の使用量削減」、「廃棄物削減活動」などについての取り組みを実施いただいているお取引先様が増加しており、環境活動への意識が一段と高まっていることが確認できました。また、2022年度から「CDPサプライチェーンプログラム」を活用し、お取引先様の気候変動関連の取り組みや、GHG排出量の把握を進めてきました。今年度は回答を要請したうち、年間購買金額の約90%にあたる190社のお取引先様からご回答をいただきました。また2023年度より、お取引先様の環境への取り組みに対する表彰「サステナビリティ賞(環境)」を開始いたしました。いすゞは、環境活動を推進していくことはサプライチェーン強化にとって非常に重要であるとの認識のもと、後のGHG排出量の段階的な削減に向けて活動を推進していきます。

主な環境自主評価項目

  1. 環境マネジメントシステム
  2. 環境担当者の届け出
  3. 環境関連法規の遵守
  4. 省エネ活動の推進
  5. 水使用量の低減
  6. 廃棄物排出量の低減と廃棄物の適正処理
  7. 規制化学物質の排出低減
  8. 環境マネジメントシステム自主評価報告書の提出
  9. 環境負荷物質の管理
  10. 物流におけるCO₂排出量の削減と梱包・包装資材の低減
人権

2021年度より、お取引先様の責任ある鉱物調達や人権への取り組みなど、サステナビリティに関する取り組み状況の調査を開始しました。2023年度からは、「いすゞサプライヤーサステナビリティガイドライン」の内容に沿った新SAQを用いた調査を開始しています。2023年度は主要なお取引先様284社(年間購買金額の96%)へSAQの提出をお願いし、17社のお取引先様において、サステナビリティに関するリスクがあることがわかりました。リスクが明らかになったお取引先様については、実地もしくはリモートでのヒアリングを実施し、改善に取り組んでいただいています。

サステナビリティに関する取り組み状況の調査の考え方

サステナビリティに関する取り組み状況の調査の考え方
サイバーセキュリティ

2021年度より、お取引先様の会社全体のサイバーセキュリティ対策状況の確認とレベルアップを目的として、自工会/部工会・サイバーセキュリティガイドラインの確認および自動車産業セキュリティチェックシートによるセルフチェックをお願いしています。また、2022年度より車両の製品サイバーセキュリティに関する国連規則(UN-R155) および国内法規(道路運送車両法保安基準)に対応するために、対象となる製品のお取り扱いのあるお取引先様へ、サイバーセキュリティマネジメントシステムの構築、運用状況の確認を実施しました(2022年度28社、2023年度15社/計43社)。
今後もお取引先様に会社全体のサイバーセキュリティ対策を推進いただくべく、定期的なアンケート調査による改善状況の確認と、適宜いすゞからの支援を実施いたします。また、法規適合のために、対象お取引先様に対して車両の製品サイバーセキュリティマネジメントシステムの確認を実施します。

環境活動セミナーの開催

2023年度は、「生産説明会」にてお取引先様向けに環境への取り組み活動計画や化学物質についての規制動向、ならびに、いすゞの方針について周知しました。年2回の開催で各回約500名が参加されました。また、コロナ禍後の対面でのコミュニケーション再開等の情勢変化に合わせ、お取引先様への訪問活動や環境セミナーを開催しました。訪問活動では計6社にご協力いただき、環境への取り組みについて、現認および意見交換をさせていただきました。環境セミナーでは、省エネルギーセンターの講師による講演を行いました。約400名が参加し、主に省エネについての事例紹介や考え方の解説を実施し、サプライチェーン全体でのレベルアップを図りました。
2024年度も引き続きサプライチェーン全体のレベルアップに努めていきます。

人権セミナーの開催

お取引先様のサプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの取り組みを促進するため、前年度に続き2023年度も外部専門家を招いて、「責任ある鉱物調達セミナー」と題して、鉱物調達を取り巻く環境や、企業に期待される鉱物デュー・ディリジェンスに関するセミナーをオンラインで開催しました。
2024年度は取り組み状況の底上げとさらなる理解促進を進めていきます。

責任ある鉱物・原材料調達

いすゞでは、紛争地域における人権侵害、環境破壊や不正採掘を引き起こし、武装勢力の資金源となっている紛争鉱物の使用は、重大な問題として捉え、サプライチェーン上流までさかのぼって紛争に関与していないことの確認を「いすゞグループサプライヤーサステナビリティガイドライン」で要請しています。2021年度より、お取引先様のサプライチェーンにおける紛争鉱物の使用状況、責任ある鉱物調達に関する取り組み状況に関する調査を開始しました。2022年度よりRMIが提供する統一フォーマットであるCMRT、EMRTを用いた調査を実施しています。2023年度には「いすゞグループ責任ある鉱物調達方針」を策定しました。今後もお取引先様への要請を継続し、責任ある鉱物調達を促します。

  1. RMI:Responsible Minerals Initiative:紛争鉱物問題に取り組む米国の組織

【いすゞグループ責任ある鉱物調達方針】

技能実習生インタビュー

いすゞでは、外国人技能実習生など外国人労働者に係る問題を重大な人権テーマの一つとして、2022年度から取り組みを進めています。2023年度はグループ企業およびお取引先様2社において、第三者機関(経済人コー円卓会議日本委員会)の協力のもと、外国人技能実習生へのインタビューを実施しました。