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生物多様性保全
基本的な考え方
いすゞグループの事業活動は、生物多様性を育む自然界に依存していると同時にさまざまな影響も与えています。そのため、いすゞグループは環境省による「⽣物多様性⺠間参画ガイドライン」や「経団連⽣物多様性宣⾔」などを参考に、いすゞグループ生物多様性方針を策定し、持続可能な社会実現のため生物多様性と事業活動の調和を目指した行動を推進しています。
いすゞ環境長期ビジョン2050のAspirationで掲げた「地域本来の生物多様性を保全」を実現するため、いすゞグループの周辺地域を基点にNGOなど各種ステークホルダーと協働・連携し、地域本来の生物多様性を保全する活動に取り組みます。
また、いすゞは2020年1⽉に経団連の⽣物多様性宣⾔にも賛同しています。
いすゞ環境長期 ビジョン2050 |
2030環境ロードマップ | |
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Aspiration | 2030チャレンジ | グローバルアクション |
地域本来の生物多様性を保全 |
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いすゞグループ生物多様性方針(2018年策定)
基本理念
私たちいすゞグループはすべての事業活動における生態系との関わりを理解し、持続可能な社会実現のため、生物多様性と事業活動の調和を目指した行動を推進します。
行動指針
- 従業員一人ひとりが私たちの事業活動は生物多様性が生み出す恵みを受け、同時に影響を与えていることを学び、自覚します
- すべての事業活動で生物多様性への影響の低減、生物多様性の保全につながる活動を積極的に行います
- グローバルな視点で多様な地域性に配慮し生物多様性の保全を図ります
- より良い保全活動を推進するため、ステークホルダーとの連携、協力を積極的に推進します
- 活動内容などの情報開示を通して、ステークホルダーとのコミュニケーションと協調を大切にし、地域社会に貢献します
取り組み
自然への依存と影響の評価
いすゞでは、自然への依存や影響の大きさを把握するツール「ENCORE」※1を用い、バリューチェーンにおける依存および影響について評価し、ヒートマップを作成しました。今後、この結果および当社の事業を踏まえ、自然資本に関するリスクと機会の評価を進めます。
原材料の調達については、環境負荷の低減やGHG排出量の削減などに対するお取引先様とのコミュニケーションによるエンゲージメントの強化、製造および使用については2030環境ロードマップに沿った取り組みにより、リスクの低減と機会の獲得を目指します。
依存に関するヒートマップ※2
直接的に提供される 生態系サービス |
生産プロセスを有効にする 生態系サービス |
直接的影響を緩和する 生態系サービス |
妨害から保護する 生態系サービス |
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動物由来エネルギー | 繊維等の自然素材 | 遺伝資源 | 地下水 | 地表水 | 受粉機能 | 土壌の質 | 換気機能 | 水循環 | 水質 | 生物による汚染物質の分解等 | 大気や水による希釈機能 | ろ過機能 | 騒音や光害の軽減 | 流量の緩和 | 気候調整機能 | 病害の低減 | 洪水や防風からの保護 | 植生による浸食防止等 | 害虫の抑制 | |
原料調達 | ||||||||||||||||||||
製造 | ||||||||||||||||||||
使用 |
-
- 低
- 中
- 高
影響に関するヒートマップ※2
土地改変 | 直接採取 | 気候変動 | 汚染 | その他 | |||||||
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陸域の 利用 |
淡水域の利用 | 海域の 利用 |
水利用 | その他の資源利用 | GHG 排出 |
大気汚染 | 水汚染 | 土壌汚染 | 廃棄物 | 騒音・ 光害等 |
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原料調達 | |||||||||||
製造 | |||||||||||
使用 |
-
- 低
- 中
- 高
- ※1Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure の略
- ※2原料調達に関しては、複数の原料(石油、鉱物、ガラス、天然ゴムなど)や調達プロセス(化学品、金属、電子部品、タイヤなど)があるため、依存および影響の度合いが大きいものを採用することで過小評価とならないよう配慮
生物多様性保全活動を推進
いすゞは藤沢工場、栃木工場において、近隣の大学と協働で工場敷地内の生物多様性保全活動に取り組んでいます。
2013年から、工場敷地内の動植物について調査を開始し、その結果、両工場ともに林の手入れが不十分なことで敷地内の生態系の偏りや外来種の繁茂が生じ、里山としての公益的機能が弱まっていることが分かりました。そこで大学からの助言を基に、2016年度から在来種が繁茂するエリアの整備など構内の手入れを実施しています。2017年以降、毎年の調査により外来種の減少や生態系の偏りの改善傾向が確認されています。
地域の生態系保護活動を推進
周辺地域の生態系保護活動を推進し、周辺地域の生態系と生物多様性の保全を推進します。また、こうした活動をいすゞグループ全社で推進することで、グローバルな生物多様性保全活動を推進していきます。
渡良瀬遊水地保全活動
いすゞは、2016年から栃木工場近隣にある渡良瀬遊水地の保全活動に参画しています。
渡良瀬遊水地は日本最大の遊水地であり、地域の水害を防ぐための重要な治水機能を担うとともに、絶滅危惧種を含む多数の動植物が生息するラムサール条約登録湿地です。いすゞは、栃木工場と周辺地域のグループ会社の有志とその家族とともに、地域行政やNPOが主催するヨシ刈りや外来植物除去、ごみ拾いなどの活動に参加しています。地域の皆様と続けている保全活動が実を結び、渡良瀬遊水地はコウノトリの飛来、営巣が確認されるようになりました。
2021年度には栃木市から「環境保全団体」として、また小山市からは2021年度、2022年度、2023年度と3年連続で「小山市渡良瀬遊水地湿地保全サポート団体」として、それぞれ感謝状をいただきました。
また、栃木工場では、渡良瀬遊水地に流れ込む渡良瀬川の上流にある足尾の植樹活動にも取り組んでいます。足尾は銅山の精錬による煙害で周囲の山が荒廃しました。山の復元のため植樹活動に参加することで、上流と下流の環境活動を通し環境を学ぶ場としています。
かながわ水源の森林づくり活動
いすゞ藤沢工場では、2018年度から神奈川県の森林再生パートナー事業に参画し、同工場で使用する地下水の水源となる森を守るため足柄上郡やどりき水源林保全活動を実施しています。
2019年度からは藤沢工場内のグループ会社も活動に加わっています。荒れた森から元気な森に戻すための間伐作業や自然観察を通し、生物多様性の大切さと水源となる森を保全することの重要性を改めて認識しながら活動しています。
2020年度と2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため活動を自粛しましたが、2022年度から活動を再開し、2023年11月に行った保全活動には2社18名の従業員とその家族が参加しました。
いすゞプラザのビオトープ
いすゞプラザでは、所在地である藤沢地域固有の生態系を再現したビオトープを設置しています。
2019年度より地域の大学の研究室と連携し、ビオトープが地域の皆様にとっての憩いの場として、自然を身近に感じてもらえる場所になるよう樹木表示の内容見直しなど、さまざまなアドバイスをいただき、改善を進めています。
学生の皆様にはフィールドワークの場として、また地域共生を考える実践の場として活用いただき、研究成果をいすゞに発表してもらう場を設けています。従業員も学生の斬新なアイディアに刺激を受けながら、生態系保全の大切さを改めて学んでいます。
持続可能な調達を推進
環境に配慮した素材の採用
いすゞは、従来のトラックの荷台の材料である木材を森林保全の観点から、イネ科の⽵に変更しました。
竹は成長スピードが早く、約5年で材料として活用できることに加え、耐久性に優れることからトラックの荷台に適した素材と言えます。
竹製の床材は2023年3月に発売した新型エルフをはじめ、多くの車種で採用しています。
自然共生社会を実現するための人材育成推進
いすゞでは、従業員の環境意識啓発、いすゞの環境活動への理解を深めることを目的に、2016年度より従業員を対象に定期的に環境教育を実施しています。
教育の実施形態は、eラーニングと集合教育を併用することで、従業員の移動によるCO2発生の抑制にもつながっています。
また、2023年度から新たに全いすゞグループの環境活動担当役員や担当者を対象に共通の環境教育を実施し、「いすゞ環境長期ビジョン2050」や「2030環境ロードマップ」の理解促進を進めています。この活動は今後いすゞグループ全従業員に拡大し、いすゞグループの一人ひとりがお客様やパートナーの皆様とともに「いすゞ環境長期ビジョン2050」の実現に取り組めるよう人材育成につなげていきます。
工場周辺地域とのコミュニケーション
いすゞ藤沢工場では、近隣6地区の自治会役員の皆様を対象に、いすゞと藤沢工場の環境保全の取り組みを紹介し、いすゞの活動にご理解をいただく場を設けています。
2019年10月の開催時には46名の方にご参加いただきました。
- ※2020~2023年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため活動を自粛しましたが、2024年度より再開予定となっています。