社長メッセージ

CV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社へ
平素よりいすゞへの格別のご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。
2019年度は、日本各地に甚大な被害を与えた令和元年台風15号、19号などの自然災害に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各国で人々の行動は大きな制約を受け、経済はもとより社会や生活そのものが変化するという未曽有の事態となりました。また、こうした災害や疫病の影響で人々の生活環境や行動様式が大きく変化していくと予想される中、ステークホルダーの皆様からの企業に対する関心は、短期的な売上や利益などの財務上の数値だけでなく、社会的価値を踏まえた企業の長期的な戦略や成長に関連する情報開示にも広がりつつあると強く感じています。いすゞは、大きな社会変革も見据えながら、ステークホルダーの皆様に長期的に提供できる価値や目標について、当社の強みを生かしながら今後も検討を進めてまいります。
まず本レポートにおいては、いすゞが考える価値とは何かを中長期視点で考えた「価値創造ストーリー」と、長期的な気候変動対策指針として「いすゞ環境長期ビジョン2050」を掲載しました。
「価値創造ストーリー」は、これまで提供した商品やサービスを通じて培ったいすゞの強みや、この強みを生かした事業活動をどのような方向性で発展させ、私たちが解決したい社会課題につなげていくのか議論を重ね図式化したものです。この「価値創造ストーリー」を通じて、ステークホルダーの皆様に当社の生み出す価値をご理解いただくとともに、皆様と積極的な対話をしていきたいと考えております。
「いすゞ環境長期ビジョン2050」は、気候変動をはじめとする地球環境問題が年々深刻化している中で、いすゞのグループ従業員一人ひとりが、私たちの暮らす社会全体が重大な岐路に立っているということを認識し、地球環境への負荷を最小限にすることを目指した指針となります。いすゞは、ステークホルダーの皆様とも協力しながら、グループ一丸となって持続可能な社会の構築に向け、さらなる挑戦に取り組んでまいります。
2018年に策定した重要課題(マテリアリティ)については、本レポートでは役員による対談の形式で、いすゞの目指す方向性や将来展望について表現しました。これまでいすゞが培ったノウハウを基に、休車時間の軽減や先進安全装備の開発などに取り組むとともに、多様化する社会ニーズに対応していくためパートナーとの協創活動を積極的に進め、事業を通じて着実に社会課題の解決を果たしていきたいと思います。
また、こうした事業の発展を下支えするガバナンスの強化に向けて、役員候補の指名や役員報酬に関わる取締役会の独立性・客観性を強化するため、2019年6月29日に「指名・報酬委員会」を設置したのに続き、2020年4月1日付にて、当社および各グループ企業を含む全社の特定分野について、横断的に指揮命令権限を有する責任役員(CFO、CRMO、CISO)を設置しました。コンプライアンスにおいては、タイに日本国内同等のコンプライアンス推進体制を整備するとともに、リスクマネジメントにおいて、情報セキュリティの強化を軸として推進体制を構築しました。当社はこうした取り組みを今後も続けることでステークホルダーの皆様の権利と利益の確保に努めてまいります。
コロナ禍を経て社会・経済・生活がどう変容していくのか不透明な状況ですが、いすゞは関係者と従業員の安全を確保しつつ「運ぶ」を支える使命の下、輸送機器メーカーとしての社会的責任を果たすとともに、引き続き広くステークホルダーの皆様からのご意見やご要望をお聞きし、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社」となるよう努力を続けてまいります。
今後とも一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
代表取締役社長
片山 正則