パルシステム東京
探し求めたスペックでCO2削減と働きやすさを両立
生協でのEVトラック導入
- #エルフミオEV
島嶼部を除く東京都全域を事業エリアとするパルシステム東京。2024年度、「多摩センター」と「狛江センター」に各1台ずつ普通免許対応のエルフミオEVを導入しました。関係者によれば「自らのニーズに合致したEVトラック」だったそうで、2026年度以降も導入を検討しています。総務部 部長 工藤明さん、多摩センター センター長 中山雅之さんに話を伺いました。
※掲載内容は2025年8月の取材に基づきます。

細かい配送を手がける生協のニーズに合致
工藤さん 2年ほど前、2030年度までにどの程度CO2排出量を削減しなければならないかを試算しました。内訳は施設由来が4割、車両由来が6割でしたが、施設については太陽光パネルの設置や省エネ機器の導入、電球のLED化に至るまで施策を実施していたため、車両でCO2を削減していくしかないとの結論になりました。
まずはグループの委託協力会社でEVトラックを2023年度に1台、2024年度に3台を導入し、荷物の重量や積載可能量を機器で正確に計測するなど多角的な検証を行ないました。

工藤さん メインで想定していた普通免許対応EVトラックは普通免許で運転できるメリットはありましたが、積載量が不足していました。私たちは基本的に毎日1便60~70件を満載状態で配送しますが、そのEVトラックは7~8割しか積めず、1便での運行が難しい状況だったのです。CO2削減以前に生協の通常配送が成立しない点が最大の課題になりました。
工藤さん いすゞ自動車とはディーゼル車を通じて、もともと長くお付き合いさせていただいています。次の候補を探しているときに、これらの要件に対応するいすゞ自動車のエルフミオEVが発売され、じっくりと検証して最終的に当組織の配送トラックとして採用することになりました。普通免許対応だったことも後押ししました。
普通免許対応は若い職員にとって必須の条件
工藤さん 2024年度に「多摩センター」と「狛江センター」に各1台ずつエルフミオEVを導入しました。先ほどもお話したように、1日60~70件の配送で運用しています。
中山さん 月曜日から金曜日までの週5日の運用で稼働時間は7~8時間。バッテリー消費量は1日あたり約10~20%で、1日の走行距離は10キロ~20キロ程度です。

中山さん 多摩センターには20代の職員が多く在籍しており、免許制限による制約が発生しています。3年、5年、10年と先を見据えると、普通免許のみを持つ人の割合がどんどん増えていきます。そう考えると、普通免許で運転できるエルフミオEVはメリットが大きいです。さらに、夜間に充電ができることや給油に立ち寄る必要がないため、時間効率が向上した点もメリットとして挙げられます。
中山さん 夏場は冷房使用時間が長くなり、バッテリー消費が課題になると予想していました。しかし1日の走行距離は最大でも20キロ程度で、毎日充電できる環境が整っているため、大きな問題にはなっていません。導入当初は慣れていないことから不安を抱えながら運転していましたが、問題は発生しておらず、安心して運用できています。
中山さん パルシステムではすべてのトラックに共通デザインを施していますが、今回のEVトラックは特別仕様として通常の約3倍の費用をかけたデザインにしました。これにより、組合員や一般の方々へのアピール効果を高めています。
工藤さん 実際、他生協からもパルシステム東京のエルフミオEVに関する問い合わせをたくさんいただいています。少し前にはパルシステム千葉さんが視察に訪れ、情報交換したところ、エルフミオEVが最適だと判断されたようです。

中山さん 操作性や発進時のスムーズさに加え、音の静かさが担当ドライバーからも好評です。宅配業務は短い距離を「止まって進んで」を繰り返す動きが多いため、走行のスムーズさはとても重要なポイントだと思っています。
また、パルシステム東京の宅配は住宅街を走行することが多く、騒音の問題もあるため、その対策としてEV導入は有効だと感じます。とくに多摩地区はマンションよりも一戸建てが主流で、都市部や湾岸エリアとは状況が異なるため、騒音を気にされる方が多いのが特徴です。
これまではエンジンをかけたままにすることで組合員以外の地域住民の方から問い合わせをいただくことがよくありましたが、EVトラックのおかげでその問題を回避できています。
エルフミオEVのおかげで達成できたCO2排出削減目標
工藤さん 2013年度比で2030年度までに46%削減を目標としており、車両だけで多くの削減が必要になります。
2年前は車両におけるCO2削減計画がまったく立てられない状況でした。しかしこの間に各メーカーの実験導入を行ない、私たちの状況に適したエルフミオEVを導入したことで計画を一から見直し、目標を達成できる計画を立てることができました。
計画通りに進めば、その削減量を達成できる見込みです。開発に尽力いただいた関係者には感謝しています。

工藤さん CO2削減効果についてコストシミュレーションを行なっていただきました。また、車両のリース契約についても、他社では5年で返却の場合が多い中、いすゞ自動車は10年リースまで対応可能で助かりました。
現在は一旦5年リースを組み、その後は1年ごとに更新する計画です。なぜならバッテリーの耐久性が懸念点として残るからです。実際には10年持つ想定で作られているとのことですが、こうした不確定要素があるため、その後の状況を見ながら判断することにしました。
EVトラック以外のリースはすべて他社にお願いしていて非常に満足しているのですが、サービス内容の手厚さはまったく変わりません。いろんな質問への対応もスムーズに進んでいます。何の心配もなく進んでおり、トラブルが発生しても安心して対応できると信頼しています。
工藤さん まずは2025年9月と10月にエルフミオEVを10台導入し、各センターに1~2台ずつ均等に配置します。国の補助金に加え、白ナンバーの場合は東京都の補助金も利用可能で、期限が2027年9月となっています。ですからその期間内にEVトラックを集中導入する計画です。

工藤さん 現在は各センターに設置した充電器で対応できていますが、将来を考えると外部での充電環境がまだ十分整っていません。メーカーと行政が連携し、外部でも充電可能な体制を整えていただけることを期待しています。
中山さん 現場からもEVトラックをもっと増やしてほしいという声が上がっています。サポート体制もしっかり整っているので、今後もいすゞ自動車との関係性を強化しながら取り組みを進めていきたいですね。
中山さん EVトラックはドライバーの職場環境改善にも大きく寄与していると感じます。操作性やスムーズさが向上し、長時間運転による疲労軽減効果が大きく、従来のディーゼル車と比べても快適に運転できます。
運送業界、特にまちなかを走行する企業にはおすすめしたいです。
工藤さん EVトラックの導入はハードルが高いと感じる企業も多いかもしれません。しかし実際に導入してみると、環境面での効果に加え、外部への企業アピール、運転の快適さなど数多くのメリットがあります。ぜひ一歩踏み出して導入を検討してみてください。

- 所在地
- 東京都新宿区大久保2-2-6 ラクアス東新宿
- 設立
- 1970年4月
- 事業内容
- パルシステム事業
共済事業
福祉事業
電力事業
- 従業員数
- 1,770名