みやぎ生活協同組合

普通免許対応のEVトラックはルート配送に最適
生協でのEVトラック導入

  • #エルフミオEV

生協でEVトラックの採用が進んでいます。宮城県全域と福島県中通り・浜通りを事業エリアとするみやぎ生協では、仙台市中心部をカバーする「仙台中央センター」に普通免許対応のエルフミオEVを導入しました。女性ドライバーが多く在籍する同センターにとって、エルフミオEVはさまざまな効果をもたらしています。宅配運営本部 課長 渡辺憲一さん、仙台中央センター センター長 黒田明彦さん、仙台中央センター 配送グループマネージャーの井島貴之さんに話を伺いました。
※掲載内容は2025年7月の取材に基づきます。

日々の積み下ろし作業にジャストフィット

――エルフミオEV導入のきっかけを教えてください。

渡辺さん みやぎ生協では、環境理念・方針の中で温室効果ガス排出削減をテーマに掲げています。その一環として宅配部門で次世代車両を導入し、2030年までに全車両に占める割合を高める計画があります。こうした背景から、EV車両の導入が環境理念・方針の達成につながると考えて導入しました。EVトラックを導入したのは約2年前。現在は仙台中央センターで3台を運用しています。

みやぎ生活協同組合 宅配運営本部 課長 渡辺憲一さん
みやぎ生活協同組合 宅配運営本部 課長 渡辺憲一さん
――どのような業務で使用されていますか。

井島さん 週5日稼働しており、月曜日と金曜日は1日を通して運行しています。走行距離は1日10キロ前後です。宅配で組合員様を訪問して商品のお届けと容器の回収をしており、1日60件ほど回っています。

――導入にあたっての課題・懸念事項についてお話しください。

渡辺さん 1回の充電で走行できる距離、東北という寒冷地でのバッテリーへの影響、必要な積載量の確保、充電設備の設置場所が限られていることを念頭に置きました。
仙台市はそこまで雪が多くないのですが、県内は広いので拠点によっては積雪に悩まされます。そのため、寒冷地対策は必須と考えていました。

EVトラックのすぐ後ろに充電設備が設置されている
EVトラックのすぐ後ろに充電設備が設置されている
――エルフミオEVを選んだ決め手を教えてください。

渡辺さん 配送作業ではプラットフォーム(荷物の積み下ろし場所)に車をつけて作業しますが、その高さは規格で地面から850ミリ~900ミリと決まっています。
エルフミオEVはちょうど855ミリで、作業にフィットすることが決め手になりました。

普通免許対応はドライバー確保の武器になる

――導入から現在までの運用状況を教えてください。

黒田さん 現場に到着するまでに数キロで、その周辺を走行するのでトータルの距離はそこまで多くはありません。
一方で停車と発進の連続で1日60件平均を回るため、モーターを切ったり入れたりの繰り返しです。ただ、ガソリン車での同じ作業と比較すれば戻ってきたときのバッテリーは想定以上に残っています。

井島さん 帰庫時の残量は50~60%で、夜間に充電して翌朝に満充電の状態で出発するスタイルです。最近は夏の暑さが厳しいのでエアコンを使う機会は増えますが、バッテリーが大きく減ることはなく、その点はとても良いと思います。
ただ万が一のトラブルに対応できるように、センターから近い距離のエリアを選定しています。

みやぎ生活協同組合 仙台中央センター センター長 黒田明彦さん
みやぎ生活協同組合 仙台中央センター センター長 黒田明彦さん
――導入後に感じたメリットを教えてください。

渡辺さん 普通免許で運転できることは大きなメリットです。
新しく入る職員のほとんどは準中型や中型免許を持っておらず、普通免許対応は必要条件となっているからです。ただし積載量は確保しなければならないため、架装メーカーと協力しながらいかに車両を軽量化するかを工夫しています。

黒田さん 仙台中央センターは、普通免許のドライバー、そして女性ドライバーが多い特徴があります。また免許取り立ての職員が入協することが多いため、ほとんどが普通免許しか持っていない状況です。求人で入ってくる若い人たちも同じなので、ドライバー不足の解消に役立つと考えています。
事実、仙台中央センターではすべてのEVトラックを女性職員が運転しています。女性でも無理なく運転できることをもっと訴求したいですね。

カラフルなラッピングが特徴的なみやぎ生協のエルフミオEV
カラフルなラッピングが特徴的なみやぎ生協のエルフミオEV
――周囲の方からEVトラック導入に対し、どんな反応がありましたか。

黒田さん 配送先のお客様からは「静かでいいね」「この車どうしたの?」といった声をいただいています。ラッピングに力を入れたこともあって宣伝効果も高く、導入当初は「いいね」と好意的な反応を数多くいただきました。

――これまでの評価についてはいかがでしょうか。

井島さん 担当ドライバーからは「すごく乗りやすくなった」「運転がしやすく、走っていてもストレスが少ない」と好評です。さらに停車して休憩するときにアイドリングの騒音や排気ガスが出ないのは非常に大きい。私も数回運転しましたが、ハンドリングがスムーズで操作性の良さを実感しました。

みやぎ生活協同組合 仙台中央センター 配送グループマネージャー 井島 貴之さん
みやぎ生活協同組合 仙台中央センター 配送グループマネージャー 井島 貴之さん

黒田さん 環境理念で掲げる目標を達成することはもちろん大切ですが、ドライバーがストレスなく働ける環境づくりも見逃せません。その点でもエルフミオEVは働きやすさに貢献しています。

まずはチャレンジ、頼れるパートナーと一緒に改善していく

――CO2排出削減についての手応えはいかがですか。

渡辺さん いすゞ自動車が提供するCO2可視化の「EVisionレビュー」に関しては今後台数が増えてきた際に検討していきたいと考えています。ただ現在でも月に1回定期レポートをいただいており、その結果を見ても期待通りの運用ができている手応えがあります。

――ランニングコスト(燃料費・電気代)は導入前と比べてどう変化しましたか。

黒田さん 仙台中央センターでは太陽光パネルを設置しており、再生可能エネルギーも活用しています。電気料金は変動しますが、おおむね1kWhあたり30円程度です。
その結果、軽油よりも月に約1万円安くなり、ディーゼル車に比べて大幅なコストダウンにつながります。年間では10万円以上の節約になる見込みです。

――いすゞのサポート体制はいかがですか。

渡辺さん 補助金のサポートが大変ありがたかったです。EV車両の補助金申請は内容が複雑で一企業だけでは対応が難しい面もあり、慣れていない部分もあります。他社と比較しても丁寧に対応してくださったと感じています。

黒田さん リコールが発生した際、こちらの都合でEVトラックを持ち込むのが難しい状況だったのですが、いすゞの担当者がすぐに来てくださり、センターからトラックを運んでいただきました。余剰人員が少なく、ましてやEVの不具合に関しては対処できる人間がいないので本当に助かりました。

――今後、EVトラックのさらなる導入計画はありますか。

渡辺さん はい。普通免許で運転可能な車両の方針は変わらず、2025年度中に2台のエルフミオEVを導入する計画です。次回は仙台中央センター以外に導入予定ですが、充電設備の工事もすでに完了しています。

――EVトラック導入について、どのような課題を持つ企業におすすめだとお考えですか。

井島さん EVトラックは今後導入企業が増えていくと思いますが、環境配慮の視点からも企業価値の向上につながると思います。

黒田さん トラックのイメージは古い、汚い、うるさいといったものかもしれませんが、エルフミオEVは静粛性に優れ、外装もキレイで清潔感があります。
また、新しい技術や環境に配慮した車を導入し、職員が実際に運転できることは「先進的な取り組みをしている職場で働いている」という良い刺激になっています。そうした面でも企業のアピールにつながるはずです。

渡辺さん 先ほど話したプラットフォームの高さなど、導入して初めて分かったこともあります。しかしいすゞ自動車は我々のフィードバックをもとに改善を図ってくれています。まだ新しい領域ですから、まずはチャレンジしてみて導入後に改善を進めていく形でも良いのではないでしょうか。

みやぎ生活協同組合
所在地
宮城県仙台市泉区八乙女4-2-2
設立
1982年3月21日
事業内容
供給事業(店舗・個人宅配)
文化・サービス事業
福祉事業
受託共済事業
相談貸付事業
豆腐・揚げの製造事業
肉・魚の加工事業など
従業員数
8,119名
URL
https://www.miyagi.coop/