いすゞ自動車株式会社(本社:東京都品川区、社長:片山正則、以下「いすゞ」)は、路線バスご利用時の感染リスク低減を検証するため、国土交通省(以下「国交省」)、国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」)、旭化成株式会社(以下「旭化成」)、エスペック株式会社(以下「エスペック」)、日本カノマックス株式会社(以下「カノマックス」)、国立大学法人 豊橋技術科学大学(以下「豊橋技科大」)、国立大学法人 九州大学(以下「九大」)、国立大学法人 東京工業大学(以下「東工大」)等と協力し、路線バス車内でのマスク着用の効果と、換気性能のシミュレーションを行いました。
路線バスご利用時にご留意頂きたいこと
- 1発生する飛沫・飛沫核を減少させるため、運転者・乗客ともにマスクの着用をお願いします。
- 2路線バスは換気扇を排気モードにすることにより換気の効果が高まります。通常の運行における乗降扉の利用でも外の空気が取り込むことができますが、窓を開けることにより、走行時にも空気の取り込みが行われますので、運行時の状況に合わせたご利用をお願いいたします。
- 1マスク着用の効果
マスク着用により口元から放出される飛沫核および飛沫の総量が約7割減少します。特にウィルス濃度が高いと考えられる10μm以上の飛沫の拡散が防止されます。
下図は、マスク未着用(動画1)とマスク着用(動画2)のシミュレーションで示したものです。飛沫核および飛沫の粒子径を色で表しており、赤色(250μm程度の粒子)~水色(60μm程度の粒子)については、マスク着用により飛沫拡散が防止されています。また、マスク着用により粒子径が小さい空気中に拡散する飛沫核(青色10μm未満)の数も減少しています。
マスク未着用のシミュレーション(動画1)
マスク着用のシミュレーション(動画2)
- 2換気性能
- 換気扇と窓の位置
- 路線バスには、天井の前後に換気扇が備えられています。また、窓は、左側は中扉より後ろに2か所、右側はドライバー席、ドライバー席の後ろ、最後席の2か所、計5か所に設置してあります。(図1)
- 車内の換気シミュレーション
- 停留所での停車時に換気扇と乗降扉の開放で換気をした場合(動画3)、窓を5cm開けて20km/hで走行した場合(動画4)のシミュレーションです。
停車時、走行時共に、乗降扉または窓から外部の空気(緑色又は青色)が取り入れられることにより、元の車内の空気(赤色)がなくなり、換気が行われている様子がわかります。
停車時のシミュレーション(動画3)
走行時のシミュレーション(動画4)
停車時(動画3) | 走行時(動画4) | |
車速 | 0km/h(停車) | 20km/h |
乗降扉 | 開 | 閉 |
窓 | 閉 | 開(5cm) |
換気扇 | あり(排気) | あり(排気) |
- エアロゾルフィルターの効果
- エアコンの車内空気取り入れ口(図2)には、防じんフィルターが装着されていますが、そこにエアロゾルフィルター(図3)を使用した場合の効果を確認するため、乗降扉および窓は閉めた状態で、エアコンのブロアを強にして換気のシミュレーションを行いました(動画5)。排出された飛沫核は、エアコンのブロアの気流により上昇し、エアコンの空気取り入れ口に吸い込まれまれ、エアロゾルフィルターにより飛沫核が捕集されます。
(ただし、エアロゾルフィルターではCO2は捕集・低減できませんので、適度な換気が必要です。) (図4)
エアロゾルフィルター使用時の
シミュレーション(動画5)
- 換気時間
- 換気時間(容積分の空気を取り込むのに必要な時間)は、路線バスの運行パターン(20km/h、1回の走行距離300m、停留所の停車時間60秒)で換気扇をご使用いただくと、窓を閉めていても停車時の乗降扉の開放により外気が導入され、約3.5分で換気が行われます。さらに窓を5cm開けていただくと換気が促進され、約2.5分で換気が行われます。
また、エアロゾルフィルターを使用しエアコンを内気循環にしていただくと、飛沫核がフィルターに捕集され、約2分で窓を開放することによる換気と同じ効果が得られます。(図5)
車速 | 20km/h | 20km/h | 20km/h |
窓 | 閉 | 開(5cm) | 閉 |
換気扇 | あり(排気) | あり(排気) | あり(排気) |
エアロゾルフィルター | なし | なし | あり |
今回、バス事業者および乗客の皆様が安心してご利用いただけるように、路線バス車内でのマスク着用の効果と、換気性能のシミュレーション結果をご紹介いたしました。いすゞは、このような取り組みを通して、これからも、「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献してまいります。
以上