2005年04月04日
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いすゞエルフCNG車を改良 - ディーゼルポスト新長期規制案レベルをクリア -

エルフCNG-MPI
エルフCNG-MPI

いすゞ自動車(株)は、小型トラック「エルフ」のCNG(*1)車に、燃料供給装置にMPI(マルチ・ポイント・インジェクション)方式を採用した新型エンジンを搭載し低排出ガス性能を更に進化させ、CNG車としては初めて新長期排出ガス規制に適合させると共に、ディーゼルポスト新長期規制案レベルをクリアする排出ガス値を実現し、『エルフCNG-MPI』 として4月4日より全国一斉に発売します。

いすゞでは、化石燃料の有効活用と地球環境保全の観点から、代替エネルギーを使った低公害車の開発、普及に早くから積極的に取り組んでいます。
なかでも、天然ガス(*2)を燃料とするCNG車は、PM及び黒煙をほとんど排出せず、また三元触媒を使用することで、NOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)の排出量を極めて少なくすることが可能なため、特に大気汚染などの環境問題が深刻な大都市において、地方自治体や物流事業者を中心に需要が高まっています。このような中「エルフCNG車」は、発売以来の累計台数が7千台を突破し、シェアも70%前後(*3)を常に確保するなど、日本国内の全CNG車の中で最も多く走っている車両となっています。
今回の改良では、CNG車の特長である低排出ガス性能を更に進化させ、ディーゼルポスト新長期規制案レベルをクリアする排出ガス値を実現しました。また、動力性能においてもクラス(*4)トップの最高出力及び最大トルクを達成し、商品力の大幅な向上を図りました。
主な特長は次の通りです。

  1. 1燃料供給装置にMPI(マルチ・ポイント・インジェクション)方式を採用した、新型4HV1エンジン(4.6リッター)を搭載しました。エンジンの各気筒にインジェクターを配置することで、燃料の噴射量や噴射タイミングのきめ細かな制御が可能となりました。また、電子制御で空気と燃料の比率(空燃比)を走行状況に応じて最適にコントロールし、ベストな燃焼状態を形成することで、三元触媒の酸化還元能力を最大限に高め、NOx、HC、COを極限まで浄化。これにより、CNG車としては国内で初めて新長期排出ガス規制(平成15年CNG車排出ガス技術指針)に適合すると共に、ディーゼルポスト新長期規制案レベルをクリアする排出ガス値を実現しました。
    ディーゼル 新長期比 80%低減 ほとんどゼロ 30%低減 ディーゼル並
    • *CNG車の場合、NMHC非メタン系炭化水素。ディーゼル車の場合、HC炭化水素。
    • 中央環境審議会大気環境部会の専門委員会により本年2月22日に規制案が発表された「ディーゼル自動車09年目標値(案)」。ポスト新長期規制値(答申値)はNOx:0.7g/KWh、PM:0.01g/KWh。車両総重量12t以下の車両は2010年10月から規制開始見込み。
  2. 2MPI方式の採用をはじめとするCNGエンジンシステム全体の改良と、エンジンの総排気量を 4.3リッターから4.6リッターに増大したことで、クラストップの最高出力・最大トルクを達成。従来比9%増の最高出力96kW(130PS)、従来比12%増の最大トルク363N・m(37.0kg・m)を実現しました。CNGの優れた特性のひとつである低騒音・低振動はそのままに、低燃費も実現しています。
  3. 3CNG燃料ボンベを、ショートボディ・インデペンデントサスペンション系は従来の168リットルから186リットルに、ロング系は従来の260リットルから300リットルにそれぞれ増大し、一充填あたりの航続距離の延伸を実現しました。
  4. 4MPI化と電子制御スロットルバルブを採用する事により、アクセルオフ時の燃料カットと吸入空気量の増加が可能となり、排出ガス性能に優れたより強力な排気ブレーキの装着が可能となりました。従来の電磁石式リターダに対し、5速40㎞/hからの減速度では約10%向上し、抜群の制動力となめらかな減速フィーリングを実現しました。
  5. 5いすゞ独自のトランスミッション「スムーサーEオートシフト」(*5)をオプション設定しました。
    (2005年5月発売予定)

<目標販売台数> エルフCNG-MPI車 1800台/年

<エルフCNG-MPI 東京地区希望小売価格>

(※添付写真は撮影用特別仕様車)
車型 エンジン 最大積載量 主な仕様 東京地区希望小売価格
消費税抜 消費税込
AFG-NKR82AN-L6EXY(※) 4HV1(130PS) 2.0トン キャブ付きシャシ 4,204,000円 4,414,200円
  1. *1CNGは、Compressed Natural Gas=圧縮天然ガス の略称。CNG車は、燃料である天然ガスを気体のまま高圧(20Mpa)で圧縮し、車に搭載されたガス容器に貯蔵するものを指す。
  2. *2天然ガスは、メタンを主成分としたガスで、硫黄分などの不純物を含まないクリーンな燃料。燃焼させてもSOx(硫黄酸化物)やススが発生せず、CO2(二酸化炭素)の排出量も石油より2~3割少ないという特性を持つ。天然ガス自動車は、PM及び黒煙を殆んど排出せず、また三元触媒を使用することで、NOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)の排出量を極めて少なくすることが可能。
  3. *3平成16年度実績(自社調べ)
  4. *42~3トンクラスキャブオーバー型CNG車
  5. *5通常のマニュアルトランスミッションをベースに、クラッチシステムにロックアップ付フールドカップリング+湿式多版クラッチを採用し自動的にクラッチ操作を行うクラッチペダルレスの2ペダルマニュアルトランスミッション「スムーサーE」に、シフト操作も完全自動制御したいすゞ独自のAMT(オートメ-テッド・マニュアル・トランスミッション)。イージードライブ化による快適・安全運行の実現と、メンテナンスコストの低減・省燃費モードによる燃費向上に寄与します。

<エルフCNG-MPI 商品概要>

  1. 1新型4HV1エンジン搭載

    今回採用した4HV1エンジンは、4.6リッターの4HG1型ディーゼルエンジンをベースとした新型のCNGエンジンで、燃料噴射システムにMPI(マルチ・ポイント・インジェクション)方式を採用しました。 エンジンの各気筒にインジェクターを配置し、従来のガスミキサー方式に比べて、燃料の噴射量や噴射タイミングのよりきめ細かな制御が可能となりました。 また、電子制御により走行状況に応じて空気と燃料の比率(空燃比)を最適にコントロールし、ベストな燃焼状態を形成して、三元触媒の酸化還元能力を最大限に高め、NOx、HC、COを極限まで浄化しました。

      新型CNG-MPI 現行型
    エンジン型式 4HV1 4HF1改
    総排気量cc 4570 4334
    燃焼室形状 球形 バスタブ゙型
    内径×行程mm 115×110 112×110
    最高出力kW(PS)/rpm 96(130)/3200 88(120)/3400
    最大トルクN・m(Kg・m)/rpm 363(37.0)/1400 323(33.0)/1500
    燃料供給装置 マルチ・ポイント・インジェクション
    (MPI方式)
    ガスミキサー
    (ベンチュリー式)
  2. 2CNG車の新長期排出ガス規制 「新CNG車排出ガス技術指針」 に適合

    エルフCNG-MPIは、CNG車に対する新長期排出ガス規制 「新CNG車排出ガス技術指針」 に国内で初めて適合しました。 実用可能な低公害車のなかでは、最高の排出ガス性能を達成した新次元の低公害車です。
    ディーゼル新長期排出ガス規制と比較した場合、NOxは80%低減、PMや黒煙はほとんど排出せず、HCも30%低減します。

    ディーゼル 新長期比 80%低減 ほとんどゼロ 30%低減 ディーゼル並
    • *CNG車の場合、NMHC非メタン系炭化水素。ディーゼル車の場合、HC炭化水素。
  3. 3クラストップの最高出力&最大トルクを実現

    MPI方式の採用をはじめとするCNGエンジンシステム全体の改良と、エンジンの総排気量を 4.3リッターから4.6リッターに増大したことで、クラストップの最高出力・最大トルクを達成。従来比9%増の最高出力96kW(130PS)、従来比12%増の最大トルク363N・m(37.0kg・m)を実現しました。CNGの優れた特性のひとつである低騒音・低振動はそのままに、低燃費も実現しています

  4. 4CNGボンベ容量アップ

    ショートボディ・インデペンデントサスペンション系のCNG燃料ボンベを、従来の168Lから10%増大し186Lに、ロング系は従来の260Lから15%増大し300Lとしました。一充填あたりの航続距離が延びることで、今まで以上に安心して運行できます。

      05.0型 現行型
    ショートボディ
    (インデペンデントサスペンション)
    93リットル2本=186リットル(37.2立米)
    ⇒従来比10%向上
    91リットル1本+77リットル1本
    =168リットル(33.6立米)
    ロングボディ
    超ロングボディ
    150リットル2本=300リットル(60立米)
    ⇒従来比15%向上
    130リットル2本
    =260リットル(52立米)
  5. 5排気ブレーキ標準装備

    従来のガスミキサー方式のシステムは、排気ブレーキを装着しても吸入空気が少ないことからブレーキの効きが悪いうえに排気ブレーキのオン/オフ時に空燃費がずれることから排出ガス性能にも悪影響が出るという特性があるため、電磁石式リターダによって補助ブレーキ力を確保し、お客様よりご好評をいただいていました。 エルフCNG-MPIはMPI化と電子制御スロットルバルブを採用する事によりアクセルオフ時の燃料カットと吸入空気量の増加が可能となり、排出ガス性能を犠牲にすることなくより強力な排気ブレーキの装着が可能となりました。従来の電磁石式リターダに対し、5速40㎞/hからの減速度では約10%向上し、抜群の制動力となめらかな減速フィーリングを実現しました。

以上

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