2003年06月02日
ニュースルーム

いすゞ 大型トラック『ギガ』シリーズに”省燃費シフトマシーン”「スムーサーG」を搭載し発売

いすゞエルフ大型トラック『ギガ』

いすゞ自動車(株)は、大型トラック『ギガ』シリーズに、いすゞ独自の"省燃費シフトマシーン"「スムーサーG」 を標準装備(一部車型)するなど、燃費を中心に経済性能を追求した改良を施し、6月2日より全国一斉に発売します。

いすゞでは、商用車に求められる経済性能を様々な角度から追求し、車両の開発を行っています。
新型ギガでは、「輸送にかかわる経済効率のさらなる向上」を主眼に、大型トラックのランニングコストの中で最も重要視される「燃費の改善」を最大のテーマに、各部の改良を実施しました。
なかでも、燃費に大きな影響をおよぼすドライバーとその運転技術に着目。ドライバーの運転技量にかかわらず、より効果的で確実な省燃費走行を実現するいすゞ独自のトランスミッションを開発し、"省燃費シフトマシーン"「スムーサーG」として投入します。
また、平成13年騒音規制に適合した他、「スピードリミッター(速度抑制装置)」を標準装備し安全性の向上も図っています。
主な特長は次の通りです。

  1. 1スムーサーGをフルキャブ6×2・8×4のGVW25トンエアサス車に標準装備(その他は一部の車型を除くカーゴ系にオプション設定)しました。スムーサーGは、機械式のマニュアルトランスミッションをベースに、発進・変速・停止のシフト/クラッチ操作を完全自動化した12段変速のフルオートマチックトランスミッションです。ドライバーの運転技量にかかわらず、誰にでも簡単に省燃費運転が可能になり、運転領域におけるすぐれた経済性を実現しました。これにより、旧モデルのギガ(7M/T車)に比べ、スピードリミッター装着による燃費向上効果も含めて平均約 25%(*)、新型車にマニュアルトランスミッション(7M/T車)を搭載した場合に比べ平均約 11%(*)、燃費の向上を実現しました。(*社内試験値)
  2. 2エンジンは、低燃費で二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないインタークーラーターボエンジンに集約し、無過給エンジンを廃止しました。また、特装車用として、6WF1-TCエンジンに、243kW(330PS)の低出力仕様エンジン (6WF1-TCN)を追加しました。
  3. 3シャシおよびサスペンションのベーススペックの向上を図り、走破性、信頼性、架装性などの向上を図りました。
  4. 4エンジンやトランスミッションへの遮音プレート追加や、大型サイレンサーの採用などにより、平成13 年騒音規制に適合しました。また、「速度抑制装置取付け義務化」の法規制に適合したスピードリミッターを全車(消防車を除く)に標準装備し、安全性の向上を図りました。

<目標販売台数> ギガシリーズ全体で 8,000台/年

<ギガシリーズ 東京地区希望小売価格>

(消費税含まず)
車型 用途 GVW
(トン)
エンジン 主な仕様 東京地区
希望小売価格
KL-CYL51V4(*) カーゴ 25t 6WF1-TC エアコン、スムーサーG、標準ウィング架装車 17,110,000円
KL-CXZ51K4 ダンプ 20t 6WF1-TC エアコン、強化ダンプ架装 13,305,000円
KL-CYJ51W4 カーゴ 25t 6WF1-TC エアコン、スムーサーG、平ボディ゙架装 15,260,000円
(*写真添付、カタログ用特別仕様車)
  • 社内試験値
    <試験条件>
    車型:CYL51V型バン架装,エアディフレクター付
    実車率:80%
    積載率:70~100%
    高速路:43%(新型ギガ 90km/h、旧モデルギガ 100km/h)/一般路:57%(70km/h)
    年間走行距離:18万km
    実際の燃費は走行条件(天候・交通状況等)により異なります。

商品概要

スムーサーG

スムーサーGは、機械式のマニュアルトランスミッションをベースに、発進・変速・停止のシフト/クラッチ操作を完全自動化した12段変速のフルオートマチックトランスミッションです。ドライバーの運転技量にかかわらず、より効果的かつ確実な省燃費走行を実現するために開発しました。最適な変速制御で、ドライバーに無理な負担をかけずに、ハイレベルな省燃費運転を実践します。

<ECON(エコノ)モード>
いすゞでは、エンジンやシャシで経済性を追求すると同時に、省燃費効果の出る運転方法を調査・研究し、エコノミー運転走行会・省燃費講習会・みまもりシステムなどで、省燃費コンサルティングとして広く実践/啓蒙活動を行っています。
今回、この長期間に渡って蓄積した省燃費運転のノウハウを集約、プログラミングし「ECON (エコノ)モード」として設定しました。
このモードでは、燃料消費の少ないグリーンゾーンといわれるエンジン回転域の、さらにごく狭い範囲で最大の燃費効率を弾き出す回転域(燃費のスウィートスポット)で自動変速するようにプログラミングされています。これにより、誰にでも簡単に省燃費運転が可能になり、運転領域におけるすぐれた経済性を実現します。

<設定車型> 6×2・8×4のフルキャブGVW25トンエアサス車に標準装備。その他はカーゴ系にオプション設定(一部車型除く)。

<燃費の改善>
省燃費走行は、(1)早め早めのシフトアップ、(2)高速段の使用、(3)一定速運転、(4)最高巡航速度の設定、(5)エンジンブレーキの有効活用、(6)必要最小限のアイドリング、を実行することです。ギガでは、スムーサーGが(1)と(2)を、標準装備のスミードリミッターとオートクルーズが(3)と(4)をそれぞれ担当し、省燃費走行を実現しています。
マニュアルトランスミッション(7段)搭載車と比べた場合の燃費向上率は次の通りです。

条件 平均燃費向上率
旧型ギガ + マニュアルトランスミッション(7段)比 約 + 25%
新型ギガ + マニュアルトランスミッション(7段)比 約 + 11%
(※社内試験値)
Smoother-G"ECONモード"による
平均燃費向上イメージ(7段MT車比)
スムーサーG”ECONモード”による平均燃費向上イメージ(7段MT車比)

<モデル走行パターン>
CYL51V4型(バン架装・エアデフ装着)実車率80% 積載率70~100%
高速道路43% 一般道路57% (いすゞ調べ)
グラフ中の数値はモデル走行による社内試験値です。
実際の燃費は、走行条件(天候・交通状況等)により異なります。

<本体構成>

  • 最も燃費効率の高いエンジン回転域をつねに維持するために、12段の完全自動変速を採用し、インタークーラーターボエンジンのすぐれた燃費性能を最大限に引き出します。
  • 主変速機部のギヤの同期機構にカウンターシャフトブレーキを採用し、構造の簡素化と信頼性の向上を図りました。
  • 12 段変速ながら、本体は従来の7 段マニュアルトランスミッションと同様のコンパクトサイズを実現しました。
  • シフトレバー上のスイッチで、自動変速⇔手動変速の切替えが可能です。
  • ペダル数は、2(アクセル・ブレーキ)+1(クラッチ(微速のみ))となります。
  • スムーサーGではリニア制御弁による高度なクラッチ制御を採用。これにより、ベテランドライバー並みのスムーズな自動発進を実現しています。また、クラッチの寿命を倍増(※)させました。
    • 自社試験値:平均的なドライバー比
本体構成

<運行方法>
通常走行中は、クラッチを一切使わず2ペダル(アクセル・ブレーキ)で運行が可能です。
発進 = Dレンジにシフトし、アクセルを踏んで発進
走行 = アクセル操作のみで自動的にシフトアップ(マニュアル操作も選択可)
停止 = ブレーキを踏んで停止
微速走行 = プラットホーム付けなど極低速での半クラッチ走行が必要な場合はクラッチペダルを使用。これによりマニュアル車感覚の繊細な速度コントロールが可能。

<機能>

  • コンピュータ制御によるシフトダウンで、永久磁石式リターダと同等の制動力を生み出すシフトダウンリターダ機能を標準で内蔵。滑らかで安定感のある制動力を発揮します。
  • 12 段自動変速と連動し、よりきめ細かな速度制御が可能となったことで、オートクルーズの性能向上を実現しました。
  • 停車した際、ブレーキペダルから足を離してもブレーキ力を保持するHSAとも連動制御するため、アクセルペダルのみで坂道発進が可能です。

エンジン

  • 低燃費で二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないインタークーラーターボエンジンに集約し、無過給エンジンを廃止しました。
  • 6WF1-TCエンジンに、243kW(330PS)の低出力仕様エンジン(6WF1-TCN)を追加しました。余裕の大排気量と各部のベストチューニングにより低回転高トルクを実現し、ダンプ・ミキサ車に展開します。

<エンジン展開一覧表>

エンジン
型式
6WG1-TC 6WF1-TC 6SD1-TC
N R - N S N
総排気量(cc) 15,681 14,256 9,839
最高出力
KW(PS)/rpm
331(450)/1750 302(410)/1750 272(370)/1750 243(330)/1750 250(340)/2200 228(310)/2000
最高トルク
N・m(kgm)/rpm
2010(205)/1100 1961(200)/1100 1814(185)/1000 1422(145)/1000 1422(145)/1400 1422(145)/1300
種類 直列6気筒インタークーラーターボ

<エンジン展開一覧表>

  • 平成11年排出ガス規制適合
  • PMについては、次期環境基準(新短期排出ガス規制)のPM規制値(0.18g/kW・h)を達成。
  • 自動車NOx・PM法適合
  • 各自治体の条例によるディーゼル車規制に適合
    (平成17年に強化予定の東京都環境確保条例への対応にはPMキャタコンバーター(メーカーオプション)装着が必要となります。)

<各エンジンの特徴>

  • 6WG1-TC
    低回転高トルク型の低燃費インタークーラーターボエンジン。高い動力性能を発揮します。
  • 6WF1-TC
    国産の大型トラック用エンジン(272kW~279kW出力クラス)としては、最も低い回転域で最高トルク(1814N・m/1000rpm)を発揮する低燃費インタークーラーターボエンジン。余裕の排気量(14L)でパワーとの両立も果たし、カーゴから特装までマルチに対応します。
  • 6SD1-TC
    軽量・小排気量の低燃費カーゴ用インタークーラーターボエンジン。今回はエアクリーナーを変更し燃焼効率の改善を行い、燃費を向上させました。

その他の変更箇所

  • エアサスペンション

    エアサス車(ギガマックス)全車に、スタビライザーとリンクロッドを一体化した、スタビリンカー方式の4バッグエアサスペンションを採用し、サスペンションストロークを増大。すぐれた輸送品質はそのままに、走破性の向上とエアサスペンションの軽量化を図りました。

  • シャシ
    • CAN( Controller Area Network )システムの採用
      コンピューター間をデータ通信網で結ぶ LAN(Local Area Network)を車両に応用。エンジン、スムーサーG、HSAなど車両各部で用いられている電子制御ユニット(ECU)間を業界標準のプロトコル(CAN)で通信し、データを共有化しました。これにより、より高度な統合制御を可能にし、車内ネットワーク全体の信頼性の向上を図りました。
    • ナイロンチューブ化
      エア配管をナイロンチューブ化することで配管後の改造工事を容易にし、架装性の向上を図りました。また金属性に比べ防錆性も向上しています。
    • 可変容量パワステポンプ(VDP :Variabele Displacement Pump )の採用
      パワーステアリングのポンプに、大型トラックでは世界で初めて可変容量タイプを採用。消費馬力を約60%低減し、燃費の向上を図りました。
    • APU(Air processing unit)搭載
      サスペンションやブレーキ等で使用するエアの量を一括制御し、効率的かつ最適なエア圧でエアを各部に振り分けます。配管を簡素化・省スペース化し、架装スペースの増大を図りました。
  • セーフティー
    • フルエアウェッジブレーキを全車標準装備しました。従来のエアオイルブレーキに比較し、油圧制御が不要となる事から構造がシンプルで、少ないエア消費ですばやい制動力の立ち上がりと良好な制動フィーリングを実現しました。
    • ショートキャブ車にディスチャージヘッドランプを標準装着しました。
    • ミリ波方式による車間距離警報装置(日立製作所製)を、大型トラックとしては国内で初めて、オプションとして採用しました。従来のレーザー方式より検知能力・精度等が飛躍的に向上し、市街地での低速走行やカーブ走行にも威力を発揮します。
  • インテリア
    • シートデザインを一新。ダイナミックでグラフィカルなカラー&パターンを採用しました。
  • 法規対応
    • 騒音規制に適合
      エンジンやトランスミッションへの遮音プレート追加や、大型サイレンサーの採用などにより、平成13年騒音規制に適合しました。
    • 「速度抑制装置取付け義務化」の法規制に適合したスピードリミッターを全車標準で装備しました(消防車を除く)。これにより、全車で速度表示灯を廃止し、タコグラフを120km/hへ統一しました。
  • X
  • LINE