いすゞ自動車(株)の小型トラック「エルフ」は、積載量2-3トンクラスのキャブオーバー型トラック市場における国内年間登録台数シェアで、1970年以来30年連続ナンバーワンを達成した。(自販連及びいすゞ調べ)1999年暦年の登録台数は37,267台、シェアは36.3%を記録し、エルフは名実ともに小型トラックの 代名詞となっている。
いすゞエルフは1959年の発売以来、その時代の要請に対し、先進技術と市場ニーズを先取りした商品で応えてきた。1960年に小型トラックで日本初のディーゼルエンジン搭載車を発売、1973年にはクラス初の直接燃料噴射式ディーゼルエンジンを搭載した。環境との共生と省資源が求められる現在、最新型のディーゼルエンジンには、新分配型高圧燃料噴射システムやEGRなど、最新の排出ガス低減技術が採用されている。
また、ドライバーの快適性と作業性の向上を常に追求し、集配作業に最適なフラットロータイプ (1974年)やキャビンスペースの広いワイドキャブ(1980年)、フロント独立懸架式サスペンション (1990年)などを他社に先駆けて採用するなど、ユーザーの視点から商品力の向上に努めてきた。
さらに、エルフはキャブのスタイリングやボディカラーでも、常に市場のトレンドセッターとなってきた。1968年に採用したブルーのボディーカラーはエルフブルーとして親しまれ、1984年から導入したホワイトのカラーは、現在このクラスのスタンダードカラーになっている。
エルフは、その高い信頼、耐久性と利便性から、国内のみならず海外でも高い評価を得ている。 中国では年間約4万台のエルフ(海外名Nシリーズ)が現地生産されており、エルフのスタイルが小型トラックのスタンダードとなっている。また北米では、いすゞとGMの両ブランドで年間約2万5千台を販売している。
米国製トラックにはないキャブのチルト機構や、都市部での配送に最適な取り回しの良さが人気で、同クラス(クラス3-4)の輸入車部門では、1986年から1999年まで14年連続シェアナンバーワン(いすゞブランド)を記録している。
【積載量2―3トントラックの登録データ(過去5年)】
全需(台) | エルフ登録台数(台) | シェア | |
---|---|---|---|
1995年 | 168,739 | 57,487 | 34.1% |
1996年 | 177,232 | 60,927 | 34.4% |
1997年 | 159,493 | 56,618 | 34.4% |
1998年 | 112,899 | 40,559 | 35.9% |
1999年 | 102,614 | 37,267 | 36.3% |
【生産累計】
1959年 6月 | 生産開始 |
---|---|
1978年 9月 | 100万台達成 |
1988年10月 | 200万台達成 |
1995年 6月 | 300万台達成 |
1999年12月末 | 3,569,000台 |
【歴史】
1959年 | 初代エルフ2トン積ガソリン車発売 |
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1960年 | 小型トラックで日本初のディーゼルエンジン搭載車発売 |
1970年 | 二代目エルフ発売 3トン積をシリーズに追加 |
1972年 | FF小型トラックエルフ「マイパック」発売 |
1973年 | 直噴式ディーゼルエンジン搭載 |
1974年 | フラットロータイプ発売 |
1975年 | 三代目エルフ発売 |
1980年 | エルフ「ワイドキャブ」発売 |
1984年 | 四代目エルフ発売 |
1990年 | フロント独立懸架式サスペンション採用 |
1991年 | 電子制御4速オートマチックトランスミッションを採用 |
1993年 | 五代目エルフ(現行)発売 |