いすゞ自動車(株)は、小型トラック「エルフ」に、酸化触媒コンバーター(*1)やEGR(*2)、クールドEGRの追加などの改良を加えた指定低公害車をラインナップに加え、12月8日から全国一斉に発売する。
「エルフ」は、1997年5月に車両総重量3.5トン超の国内小型キャブオーバートラックとして初めて平成10年排出ガス規制に適合したモデルを発売するなど、常に市場ニーズを先取りした商品を展開している。今回は、追加車型としてNOx(窒素酸化物)・PM(粒子状物質)・黒煙などの排出ガス中の有害成分をさらに低減した指定低公害車をラインナップに加えた。この追加車型は、すでに平成10年排出ガス規制に適合している「4JG2型ディーゼルエンジン」に酸化触媒コンバーター及びEGRを採用、また「4HG1型ディーゼルエンジン」にクールドEGRを採用し、NOx・PM・黒煙などの排出ガス中の有害成分を、七都県市低公害車指定制度及び京阪神六府県市低NOx車指定制度に適合するレベルにまで低減させた。
- *1酸化触媒コンバーター :有害物質のCOや排出ガスのPMに含まれるHCを、酸化触媒を通すことにより、無害物質のH2OとCO2に転換する装置。
- *2EGR :排出ガスの一部を吸気管に再循環させることにより、燃焼温度を低下させ、NOxの排出を抑制する装置。
主な改良点は次の通り:
- 1渦流室式 3.1リットル 4JG2型ディーゼルエンジン (排出ガス低減仕様)
現行の4JG2型ディーゼルエンジンにEGR及び酸化触媒コンバーターを追加した。EGRの採用により燃焼室内の燃焼温度を下げ、NOxを低減させると共に、排出ガスを酸化触媒コンバーターに通すことにより、PM中のHCなどの未燃焼成分を低減させた。
- 2直接噴射式 4.6リットル 4HG1型ディーゼルエンジン (排出ガス低減仕様)
現行の4HG1型ディーゼルエンジンにクールドEGRを採用した。
高温になった排出ガスをクーラーで冷却し吸気と混合させることで通常のEGRよりさらに燃焼温度を低下させ、NOxを低減させた。
また、冷却されることで吸入空気密度が増加することにより、空気過剰率(*3)が向上し、PMも低減させた。- *3空気過剰率:燃料を完全に燃焼させるのに必要な空気量に対して実際に供給される空気量の割合。
七都県市低公害車指定制度/京阪神六府県市低NOx車指定制度
自動車から排出される窒素酸化物(NOx)削減のため、平成4年6月に施行された「自動車NOx総量削減法」に基づき、各地方自治体ベースで排出ガスの指定基準値を設け、指定基準値に適合する自動車を指定し、広く一般に周知・普及を図って行く制度。指定基準値は平成10年排出ガス規制値に比べ、車両総重量3.5トン超のトラックでNOx、PM、黒煙をそれぞれ20%削減する数値となっている。
*七都県市:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市
六府県市:京都府、大阪府、兵庫県、京都市、大阪市、神戸市
<目標販売台数> エルフ 指定低公害車 100台/月
<エルフ 東京地区希望小売価格> (消費税含まず)
車型 | エンジン | 最大積載量 | 主な仕様 | 東京地区希望小売価格 |
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KK-NKR71LAR- 6EXA-X(*) |
4HG1 排出ガス 低減仕様 (133馬力) |
2.0トン | 平ボディ、ハイキャブ、 ロング、フルフラットロー |
3,284,000円 |
KK-NPR71LR- 6LXA-X |
4HG1 排出ガス 低減仕様 (133馬力) |
3.5トン | 平ボディ、ワイドキャブ、 ロング、フルフラットロー |
3,618,000円 |
KK-NHR69EA- 4CXA-X |
4JG2 排出ガス 低減仕様 (94馬力) |
1.5トン | 平ボディ、標準キャブ、 標準、フラットロー |
2,187,000円 |