省燃費運転マニュアル(運転テクニック編)

早め早めのシフトアップ

一般道の走行では信号や一時停止など発進・加速の頻度が多くなります。この発進・加速の方法が燃費を大きく左右します。
発進・加速の際にはアクセルペダルの踏み込みを控えめにしてグリーンゾーン内で早め早めにシフトアップするように心掛けましょう。

ポイント
  1. 1グリーンゾーン内で、または、目標設定回転数でのシフトアップ
  2. 2アクセルペダルの踏み込みは控えめに

エンジン回転数とアクセル踏み込み量ちがいの燃料消費量(発進から400mまで加速した場合)

エンジン回転数とアクセル踏み込み量ちがいの燃料消費量
大型車
2100回転シフト
100%踏み込み
1600回転シフト
75%踏み込み
1200回転シフト
50%踏み込み
消費量(cc) 328 270 248
燃費(km/L) 1.22 1.48 1.61
燃費差(%) 基準 21 32
中型車
3300回転シフト
100%踏み込み
2350回転シフト
75%踏み込み
1400回転シフト
50%踏み込み
消費量(cc) 145 130 116
燃費(km/L) 2.76 3.08 3.46
燃費差(%) 基準 11 25
小型車
3900回転シフト
100%踏み込み
2750回転シフト
75%踏み込み
1600回転シフト
50%踏み込み
消費量(cc) 108 94 86
燃費(km/L) 3.70 4.28 4.64
燃費差(%) 基準 16 25
  1. ※1発進から60km/hまで400m加速するのに、エンジン回転数とアクセルペダル踏み込み角度を上記の条件で行なった実験値です。
  2. ※2上記数値は気象条件等により実際の数値と異なる場合があります。

高速段の多用

一般道において使用ギア段は小型車で4速、中型車で5速、大型車で5~6速というのが最も多いという実態になっています。それは加速・減速性が良く車の流れにまかせて走りやすいからですが、このような運転は燃料消費量が多くなるだけでなく、追突時の危険と常に背中合わせと言えます。
同一走行速度でギア段を1つ上げるだけでエンジン回転が下がり、燃費が大きく節約できます。同じ速度でしたら所要時間は変わりません。できるだけ上のギア段を使うことを心掛けましょう。

ポイント
  1. 1できるだけ高速段を活用する(空いた道や平坦路は最大活用のチャンス)

ギヤ段ちがいの燃料消費量(時速50km/hで1000m走行した場合)

ギヤ段ちがいの燃料消費量
大型車
5速 6速 7速
エンジン回転数(rpm) 1410 1100 800
消費量(cc) 189 164 150
燃費(km/L) 5.29 6.09 6.69
燃費差(%) 基準 15 26
中型車
4速 5速 6速
エンジン回転数(rpm) 2400 1570 1100
消費量(cc) 161 128 113
燃費(km/L) 6.21 7.84 8.87
燃費差(%) 基準 26 43
小型車
4速 5速 6速
エンジン回転数(rpm) 2780 2180 1600
消費量(cc) 149 110 94
燃費(km/L) 6.72 9.07 10.62
燃費差(%) 基準 35 58
  1. ※1時速50km/hで1000m走行するのに、ギヤ段を上記の条件で行なった実験値です。
  2. ※2上記数値は気象条件等により実際の数値と異なる場合があります。

一定速運転の励行

夜間走行などでよく見かける車間距離を詰めつつ追い越しのチャンスをうかがう運転や、常に前の車と連なって走る運転。こういった走り方は、スピードも上がりやすいですし、無駄な減速と加速を何度も繰り返す事になってしまいます。
一定の速度で走ることのできる空いた道や高速道路ではできるだけアクセルを一定に保って走行することが燃費の向上につながります。

ポイント
  1. 1充分な車間距離をとって急な減速や加速をしないようにする
  2. 2排気ブレーキは必要時のみ手動で入れる(空いたいる郊外や高速道路は最大活用のチャンス)

波状走行と安定走行の燃料消費量(時速80km/h・最高ギヤ段で4.4km走行した場合)

波状走行と安定走行の燃料消費量
大型車
75km/h~85km/h 波状走行 80km/h
安定走行
+リターダ +排気ブレーキ2 +排気ブレーキ1 エンジンブレーキのみ
消費量(cc) 1701 1496 1359 1106 947
燃費(km/L) 2.59 2.94 3.24 3.98 4.65
燃費差(%) 基準 14 25 54 80
中型車
75km/h~85km/h 波状走行 80km/h
安定走行
+排気ブレーキ エンジンブレーキのみ
消費量(cc) 910 767 701
燃費(km/L) 4.83 5.74 6.28
燃費差(%) 基準 19 30
小型車
75km/h~85km/h 波状走行 80km/h
安定走行
+排気ブレーキ エンジンブレーキのみ
消費量(cc) 794 716 657
燃費(km/L) 5.54 6.14 6.69
燃費差(%) 基準 11 21
  1. ※1中型車・小型車はリターダ未装着のためエンジンブレーキ+リターダの条件では測定していません。
  2. ※2時速80km/hを最高ギヤ段で4.4km走行するのに、上記の条件で行なった実験値です。
  3. ※3上記数値は気象条件等により実際の数値と異なる場合があります。

スピードは控えめに

車速と時間は綿密な関係にあります。特に荷物を時間内に届けるトラックは荷着時間に合わせて車速を決定するケースもあります。しかし、車速と燃費も非常に綿密な関係にあります。それは、空気抵抗の影響であり、空気抵抗は車速の2乗に比例します。したがって速度が上がるにつれその影響は飛躍的に増えていきます。
時間で見れば"速く走れば早く着く"こともありますが、燃料消費量で見れば"ゆっくり走れば遠くまで走れる"ことになります。運行には時間のゆとりを持ち、経済速度で走るようにしましょう。

ポイント
  1. 1時間にゆとりを持ち、極力低い速度で走る
  2. 2最高巡航速度を設定する

車速ちがいの燃料消費量(最高ギヤ段で4.4km走行した場合)

車速ちがいの燃料消費量
大型車
90km/h 80km/h 70km/h
エンジン回転数(rpm) 1410 1280 1110
消費量(cc) 1060 947 871
燃費(km/L) 4.15 4.65 5.05
燃費差(%) 基準 12 22
中型車
100km/h 90km/h 80km/h
エンジン回転数(rpm) 2200 2000 1780
消費量(cc) 854 771 701
燃費(km/L) 5.15 5.71 6.28
燃費差(%) 基準 11 22
小型車
100km/h 90km/h 80km/h
エンジン回転数(rpm) 3180 2800 2500
消費量(cc) 818 727 657
燃費(km/L) 5.38 6.05 6.69
燃費差(%) 基準 13 25
  1. ※1大型車はスピードリミッター装着のため100km/hで測定していません。
  2. ※2最高ギヤ段を定速で4.4km走行するのに、上記の条件で行なった実験値です。
  3. ※3上記数値は気象条件等により実際の数値と異なる場合があります。

エンジンブレーキの活用

燃費を向上させる運転はアクセルペダルの踏み方が全てだと思われがちですが、アクセルペダルの離し方でも大きく変わります。
究極の省燃費運転は燃料を使わずに走ることです。もちろん、発進・加速ならびに通常の走行時には不可能ですが、降坂時や減速時には可能になります。なぜならディーゼルエンジンはアクセルペダルから足を離すと燃料が無噴射状態になるからです。したがって燃料無噴射状態を多用することで究極の省燃費運転につながるのです。長い下り坂はもちろん、いずれにしろ止まるような赤信号や一時停止なども、早めに足を離し、エンジンブレーキを活用することで燃料消費量が大幅に低減できます。

ポイント
  1. 1赤信号の減速・停止時は早めにアクセルペダルを離し、車の転がりを利用する
  2. 2降坂時は坂の勾配や積載量に合わせ、排気ブレーキ等を有効活用する

アクセルペダルをはなすタイミングちがいの燃料消費量

アクセルペダルをはなすタイミングちがいの燃料消費量
大型車
アクセル+
やや強めの
制動
アクセル+
一般的な
制動
エンジン
ブレーキ
有効活用
消費量(cc) 51.9 29.6 1.8
燃費(km/L) 7.71 13.54 222.22
燃費差(%) 基準 76 2783
中型車
アクセル+
やや強めの
制動
アクセル+
一般的な
制動
エンジン
ブレーキ
有効活用
消費量(cc) 27.8 21.0 0.9
燃費(km/L) 10.79 14.29 333.33
燃費差(%) 基準 33 2989
小型車
アクセル+
やや強めの
制動
アクセル+
一般的な
制動
エンジン
ブレーキ
有効活用
消費量(cc) 24.1 18.1 0.8
燃費(km/L) 12.45 16.57 375.00
燃費差(%) 基準 33 2913
  1. ※1大型車は400m、中型車・小型車は300mかけて停止するのに、上記の条件で行なった実験値です。
  2. ※2上記数値は気象条件等により実際の数値と異なる場合があります。

必要最小限のアイドリング運転

最近は自治体の条例や会社の指示などでアイドリングストップ運動が盛んになってきました。しかし、駐停車時に必ずエンジンを止めることは、諸事情により徹底されていない事も考えられます。
不要なアイドリングを削除するだけでも月間・年間でみると大きな削減効果があります。少なくとも車両から離れる時はエンジンオフの習慣をつけましょう。

ポイント
  1. 1無人状態でのアイドリングはやめる
  2. 2待ち時間等での冷房・暖房運転は極力避ける
アイドリング消費量
大型車
+エアコン
スイッチON
無負荷
アイドリング
エンジン停止
1分間の
消費量(cc)
25.8 20.9 0
1時間の
消費量(L)
1.55 1.26
中型車
+エアコン
スイッチON
無負荷
アイドリング
エンジン停止
1分間の
消費量(cc)
14.3 11.5 0
1時間の
消費量(L)
0.86 0.69
小型車
+エアコン
スイッチON
無負荷
アイドリング
エンジン停止
1分間の
消費量(cc)
12.2 9.7 0
1時間の
消費量(L)
0.73 0.58
  1. ※1アイドリング時の燃料消費量の測定を、上記の条件で行なった実験値です。
  2. ※2上記数値は気象条件等により実際の数値と異なる場合があります。