2025年11月10日
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いすゞ、「第41回素形材産業技術賞」で「経済産業省製造産業局長賞」を受賞 ~生産部門の開発した高効率アルミ溶解炉でエネルギー消費を半減~

いすゞ自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長COO:南真介、以下「いすゞ」)は、このたび「第41回素形材産業技術賞」において、「経済産業省製造産業局長」を受賞したことをお知らせいたします。対象となったのは藤沢工場の生産部門 要素技術部、株式会社宮本工業所、互交産業株式会社が協働で開発した大型ダイカスト*1用高効率アルミニウム溶解炉で、業界全体への展開が期待されること、また経済性と環境性を兼備した先進的かつ将来性の高い技術であることが評価され、今回の受賞に至りました。

11月7日に機械振興会館で行われた表彰式の写真

一般財団法人素形材センターが主催する「素形材産業技術賞」は、優秀な素形材産業技術の開発により、日本の素形材産業の技術水準の進歩向上に著しく貢献した技術の開発者を表彰する制度です。

受賞対象となった大型ダイカスト用高効率アルミニウム溶解炉
開発技術名 大型ダイカストに対応したコンパクトな省燃費アルミニウム溶解保持炉の開発
受賞者 いすゞ自動車株式会社 要素技術部
鋳造技術グループ
塩谷聡(えんや さとし)
いすゞ自動車株式会社 佐藤智治(さとう ともはる)
いすゞエンジン製造北海道株式会社 和田淳一(わだ じゅんいち)
株式会社宮本工業所 青木公俊(あおき きみとし)
株式会社宮本工業所 松井仁嗣(まつい ひとし)
互交産業株式会社 井浦茂一(いうら しげかず)

現在、自動車用アルミニウム鋳物製品の8割がダイカストで生産されています。その工程において最もエネルギー使用量の大きいのは溶解炉ですが、本技術によりその消費量を半分近くまで削減することができました。さらに、既存の小型アルミ溶解炉に加え、この大型開発炉によりダイカスト生産の大半に対応できるようになりました。近年注目されているギガキャスト*2にも適応します。また水素やバイオ燃料、合成ガスなどの次世代燃料への対応も可能であることから、経済合理性を持ったカーボンニュートラル化への貢献も期待されます。

同グループは、今年8月に水素燃料を用いてダイカスト用高効率アルミ溶解炉を稼働する実証を行い、従来と比べ少ない量の水素による生産が可能になることを確認しました。開発した高効率アルミ溶解炉は、都市ガス以外のさまざまな燃料を用いたマルチフューエル燃焼が可能であり、将来の燃料事情に合わせたカーボンニュートラル化に適用することができます。水素は燃料価格が高く、また高温で溶解し液化した金属内へのガス吸収による品質劣化の問題から、これまで鋳物製品の生産に利用することが難しいとされていましたが、本技術を適用することにより、国内で初めてコストと品質の両面でカーボンニュートラル化の可能性を示すことができました。

いすゞは、中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030(IX)」のもと、カーボンニュートラルソリューションの推進を重要戦略と位置付けています。本開発はその取り組みの一環として、ものづくり領域からのCO2削減と環境負荷低減を実現したものであり、持続可能な生産体制構築に向けた重要な技術革新です。

いすゞは今後も、「地球の『運ぶ』を創造する」というパーパスのもと、生産技術の高度化・環境技術の進化を通じて、商用モビリティの未来を支えるサステナブルなものづくりを推進してまいります。

  1. *1ダイカスト(Die Cast):アルミニウムなどの非鉄金属による合金を高温で溶かし、高圧をかけて冷やして固める鋳造方式。高い精度の鋳物を短時間で大量に生産できるため自動車関連部品などの生産現場で広く使用される
  2. *2ギガキャスト:大型の鋳造設備で大きなアルミ部品を一体成型する技術。ダイカストはギガキャストの基礎的な鋳造法にあたる

以上

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