EVトラックの普及率は?導入の課題・メリットと物流の未来を解説
EVトラックとは、エンジンではなく電気モーターで駆動するトラックです。バッテリーの電力で動くため、エンジンを搭載するディーゼルトラックなどに比べると、走行中の二酸化炭素や有害排出物を抑えられる特徴があります。
物流業界のEV化は、政府が掲げるカーボンニュートラル目標と密接に関わり、各企業にとっても重要な経営戦略になり得ます。しかし、欧米などの先進国と比較すると、日本ではそれほど普及していないのが現状です。
本記事では、EVトラックのリアルな普及率や、いすゞをはじめとするメーカーが「なぜEV化を加速させているのか」解説します。

EVトラックの普及率
車通りが多い街中でも、EVトラックを見かける機会は少ないかもしれません。「EVの導入は現実的ではない」「コストが高い」などの声も聞かれますが、実際にはどれくらい普及しているのでしょうか。ここでは、日本と海外におけるEVトラックの普及率をご紹介します。
日本のEVトラックの普及率は約1%?
国内におけるEVトラックの普及率は、令和7年3月末時点で1.06%です。全日本トラック協会の資料によると、「EVトラック」「FCEV(燃料電池車)トラック」の保有台数は計4,582台であり、最も保有率が高いのは群馬県(5.05%)とされています。
日本政府は、2030年までにEV・PHEVの新車販売比率を20~30%に引き上げることを目標に掲げていますが、欧米などの先進国と比べても、日本のEVトラック普及率は伸び悩んでいます。
参考:全日本トラック協会「都道府県別 電動車保有割合(令和7年3月末時点)」
海外のEVトラック普及率
| 中国 | ヨーロッパ | アメリカ | |
|---|---|---|---|
| 小型トラック (車両総重量3.5t未満) |
約32% | 約5% | 約5% |
| 中・大型トラック | 約4.4% | 約2.2% | 約0.5% |
- ※「小型トラック」の普及率は、
全LCV(3.5トン未満)販売台数に占めるEVの割合。 - ※「中・大型トラック」の普及率は、
全中・大型トラック販売台数に占めるEVの割合。
海外のEVトラック市場(2024年)を見てみると、小型から中・大型まで、中国の普及率が高い状況です。
IEA(国際エネルギー機関)の調査によると、小型EVトラック(車両総重量3.5トン未満)分野では、中国国内のEV普及率が約32%に達しており、新しく売れる小型トラックの3台に1台がEVという急速な広がりを見せています。一方、ヨーロッパの普及率は約5%(約12万台)、アメリカも普及率は約5%(約2万5,000台)と、日本と比べると高い数値となっています。
中・大型トラックについても、海外ではEV車両が実用化されており、普及率は中国で約4.4%、ヨーロッパでは約2.2%となっています。
中国でここまでEVトラックの普及が進んでいる背景には、政府による手厚い施策があります。新車購入時の税金免除や古い車両からの買い替え補助金に加え、都市部を優先的に走れる権利、充電料金の割引など、企業がEVを導入したくなる環境づくりが急成長を後押ししています。
EVトラックが普及しにくい理由とは?
物流などの現場にはいくつかの懸念があり、多くの日本企業は導入に踏み切れていないのが現状です。ここでは、EVトラックが国内に普及しにくい3つの理由を解説します。
長距離輸送が難しい
ディーゼル車と比較すると、EVトラックは一充電あたりの走行距離を伸ばすことが難しい傾向にあります。バッテリーの搭載個数を増やすと、その分の最大積載量が減ってしまうためです。
ただし、一日の平均走行距離が短い都市部や近距離配送は、現在のモデルでも十分に対応できます。環境面にやさしく加速性も快適なため、ストップ&ゴーが頻繁な配送業などに向いているでしょう。
EVトラックの詳しい走行距離については、以下の記事でも解説しています。
充電に時間がかかる

EVトラックのバッテリーは、満充電に半日~1日程度の時間がかかります。
自家用車向けの一般的な充電器(3kW)を使った場合、容量60kWhのバッテリーを0%から100%まで満充電するのにかかる時間は約24時間。6kWの普通充電器の場合は、満充電までには約12時間を要しますが、終業後に充電をすることで翌朝の始業時には充電が完了した状態で出発することができます。
なお、実際の運行ではバッテリー残量を一定程度残した上で帰庫するケースが多いため、満充電に必要な時間はバッテリー残量に応じて短くなります。
また、地域によっては街中の急速充電器も見られますが、トラックに対応した機器は少ないのが現状です。ただし、近年は充電スポットが増加傾向にあるため、EVトラックを導入するハードルは下がりつつあります。
いすゞはEVトラックが利用できる充電スポットマップを公開しています。
導入コストが高い

ディーゼル車に比べると、EVトラックは導入時のトータルコストが高くなる傾向にあります。専用の充電設備の設置工事や受電容量の増設といったインフラ整備費用が発生するため、車両価格にこれらを合わせた初期コストの大きさは課題のひとつといえるでしょう。
ただし、導入コストについては補助金で抑えることが可能です。たとえば、国の「商用車電動促進事業」の補助金を利用することで、EVとディーゼルの差額の2/3をベースとした金額が交付されます。東京都などの自治体でも同様の制度が見られるため、複数の支援制度を併用すれば、ディーゼル車との価格差を埋められる可能性があります。
EVトラックを導入するメリット
EVトラックを導入すると、環境汚染や騒音、ドライバーの負担を抑えられる可能性があります。現状では課題が目立つかもしれませんが、メリットも確認したうえで導入の可否を判断しましょう。
二酸化炭素の削減

EVトラックは、走行中に温室効果ガスのひとつである二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化の防止に貢献します。
国土交通省によると、2023年度の日本の二酸化炭素排出量は約9億8,900万トンで、運輸部門はうち19.2%を占めています。また、貨物自動車は運輸部門の38.3%(日本全体の7.4%)を占めるため、すべてのトラックがEVに置き換えられると、日本全体の二酸化炭素排出量の約1割を削減できる計算です。
参考:国土交通省「環境:運輸部門における二酸化炭素排出量」
騒音問題の解消
モーターで駆動するEVトラックでは、大きな騒音が発生しません。走行中のモーター駆動音も、ディーゼル車に比べるとはるかに静かです。振動もほぼないため、荷物への負荷を減らすことにも貢献します。
騒音問題を解消できる点は、住宅街などでの配送業務や土木工事において住環境への配慮にもつながります。工事現場での導入効果については、以下の事例をご参照ください。
ドライバーの業務負担の削減
EVトラックはエンジン由来の騒音や振動が少ないため、ドライバーの負担を抑えられます。小さなメリットに思えるかもしれませんが、身体への負荷やストレスを軽減することは、集中力の維持につながるポイントです。
また、給油やエンジンオイルの交換が不要になるため、付加業務を減らす効果も期待できるでしょう。実際に導入したところ、「ドライバーのウェルビーイングにつながった」といった声も聞かれます。詳しくは、以下の導入事例をご参照ください。
今EVトラックが必要とされている理由とは?

EVトラックの運用面には課題がある一方で、必要としている業界があるのも事実です。たとえば、二酸化炭素排出量を削減できることは、社会貢献や企業価値のPRにつながります。ここでは、世界的にEVトラックが注目されている背景や、必要とされている理由を解説します。
荷主の意識変化に伴い加速する「グリーン物流」
環境意識が高い荷主の間では、EVの導入企業を優先する「グリーン物流」が加速しています。
荷主と物流業者の双方にとって、EV導入は単なる環境対策ではありません。社会的な評価にも関わるため、競合他社との差別化や良好な関係の維持、受注競争を有利に進めるなど、重要な経営戦略のひとつに位置づけられます。
ただし、業界全体でEVトラックを普及させるには、荷主と物流業者が相互に歩み寄ることが必要です。荷主側にはEV化への意識を高めてパートナーを正当に評価・選択すること、物流業者側はその期待に応えて戦略的にEV導入を進めることが求められます。
「2050年カーボンニュートラル目標」などの政府目標
日本政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」をし、2030年までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減する目標を掲げています。物流関係のカーボンニュートラル化は、この目標を達成するための現実的な一歩です。
EVトラックは走行中の二酸化炭素排出量がゼロのため、導入する事業者が1社でも増えれば、その分目標に近づけます。保有車をEVに置き換えるのと同時に、再生可能エネルギーを活用した充電体制や、バッテリーのリサイクル体制を整えることも必要です。
ひとり一人の意識と行動の変化が不可欠になるため、周りの変化を待つのではなく、先がけてEVに注目または導入することも検討してみましょう。
EVトラック普及に向けたいすゞのソリューションをご紹介
いすゞ自動車株式会社は、EVトラックの生産・販売だけではなく、EVトラックの導入支援プログラムも用意しています。「EVision」では、課題のヒアリングや車両データに基づくシミュレーション、充電ソリューションの解決など、EVの導入計画やカーボンニュートラル戦略をトータルでサポートすることが可能です。
実際に車両を比較検討している方には、いすゞの「ELF EV」がおすすめです。このEVトラックでは、AT限定普通免許でも乗れる標準キャブをはじめ、3つのモデルをご用意しております。操作性から安全性までこだわった仕様で、貴社の運送・配送をサポートさせていただきます。
EVトラックの導入に関するご相談や、「ELF EV」の詳細につきましては、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。




