EVトラックの走行距離は?|現場で使える運用の秘訣
脱炭素化や物流課題を解決する施策の一環として、EVトラックを導入する企業が増えています。しかし、実用面に不安を感じた現場からは「途中でトラックが止まったら困る」「積載が減るなら仕事にならない」といった声が挙がることもあります。特に疑問視されやすいのが、一充電あたりの走行距離(航続距離)で「1日のルートを回りきれるのか」という点です。
本記事では、EVトラックにおける走行距離の目安に加え、効果的に導入する方法や運用方法についてご紹介します。

EVトラックの走行距離はどのくらい?
日本で販売されている小型トラックの走行距離は、一充電で100~200km程度が目安です。この目安を「1日の最大利用距離」と考えると、導入可否の判断がしやすくなります。
通常は、バッテリー容量を増やすことで走行距離を伸ばせますが、物流においては「走行距離を延ばすほどいい」とは限りません。EVトラックのバッテリーは重量があり、バッテリー容量を増やすほど最大積載量が減ってしまうためです。
そのため、EVトラックの導入可否を判断する際は、確保したい走行距離と積載量に応じてバッテリー容量を検討しましょう。
【業種別】EVトラックは1日にどれくらい走る?
実際のところ、運輸業でも1日の走行距離が200kmを超えるケースは多くありません。日本自動車工業会の調査によると、業界別の走行距離は以下のとおりです。

月間の走行距離と行動半径を見ると、1日あたりの走行距離は平均して100km未満が一般的と考えられ、特に非運輸業は短い傾向にあることがわかります。一充電あたりの走行距離が100km程度のEVトラックなら、大半の業務をカバーできる計算です。
参考:一般社団法人 日本自動車工業会「2024年度 小型・軽トラック市場動向調査」
走行距離を左右する4つの要因とは?

EVトラックの走行距離は、「エアコンの使用」「外気温」「走行ルート」「バッテリーの劣化」によっても変わります。
走行距離を延ばすには、変動要因を踏まえて計画的に運用することが大切です。ここでは、それぞれの要因が走行距離に及ぼす影響や、対策のポイントをご紹介します。
エアコンの使用
電力を使うエアコンは、走行距離に影響を及ぼす要因の代表例です。特に真夏や真冬の時期は影響が大きく、「強く冷やす」または「強く暖める」の状態が続くとバッテリーの電力消費が増大します。
エアコンの温度設定を見直し、過度な使用を控えることが、走行距離の延長につながります。
外気温
EVトラックのバッテリーは、4℃未満の低温環境で性能が下がりやすい傾向にあります。外気温が下がると、動力であるリチウムイオンバッテリーの反応が鈍り、使える電力が減ったり充電に時間がかかったりなどの影響が生じるためです。
特に早朝稼働や寒冷地での運用が多い企業は、寒さによる走行距離の目減りを踏まえたルートを設計しましょう。なお、エルフEVはバッテリーの温度管理をする「バッテリーサーマルコントロール」を搭載しており、氷点下環境でも安定した性能の発揮・劣化防止にも貢献します。
走行ルート
EVトラックは走行ルートの工夫により、一充電あたりの走行距離を延ばせるケースもあります。
たとえば、上り坂が多いルートはエネルギー消費が増えるため、電費(電力あたりの走行効率)が悪化しやすくなります。一方で、下り坂や減速区間が多いルートは、減速時にエネルギーを電力として回収する「回生ブレーキ」によって電費が伸びる傾向にあります。
そのほか、渋滞の生じやすさや信号の多さなども電費に影響する要素です。EVトラックの導入前には、電費が伸びやすいルートを確認しておきましょう。
バッテリーの劣化
EVトラックのバッテリーは充放電を繰り返すと劣化が進み、蓄えられる電力量が少しずつ減少します。
一般的にバッテリーの寿命は8~10年ほど、走行距離では15万~20万km程度が目安です。ただし、技術の進歩により小型化や電費改善も進んでいます。
EVトラックを効果的に導入する方法は?
商用車としてEVトラックを導入する際は、「ルート設計」と「充電計画」をセットで考えることが重要です。
また、いきなり全ての車両を置き換えるのではなく、配送ルートが決まっている「店舗配送」や一定距離を走行し、1-2拠点に荷物を届ける「拠点間輸送」から導入を始めると安心です。ここからはルートと充電サイクルを最適化し、EVトラックを効果的に導入するポイントを解説します。
運行状況に応じたルートの見直し

EVトラックは一充電あたりの走行距離と積載量に制限があるため、運用特性に合わせたルート設定が欠かせません。以下のポイントを意識し、効率的に運用できるルートを検討しましょう。
- ・各車両の走行距離:1日の平均走行距離、週や月間の合計走行距離、最大走行距離
- ・運行ルートの距離:休憩地点、立ち寄り先の電力状況
- ・積載内容:日常的な積載量と容積
- ・時間帯:稼働している時間帯、充電できるタイミング(夜間駐車の時間など)
これらの点を具体的に検討することは、充電計画を策定する上でも重要です。また、最適なモデルを選びやすくなるため、将来の安定稼働を実現しやすくなります。
計画的な充電と運用

EVトラックの運用効率を上げるには、夜間の普通充電で「出発時に満充電の状態を作ること」が最も重要です。
EVトラックの安定運用を目指している企業は、事務所内に充電器を設置することで運用の効率化が期待できます。公共の充電スポットも増えてはいますが、外部のスポットはバックアップとして位置づけるのが望ましいです。
とはいえ、不測の事態で電欠が発生する可能性もあるため、充電スポットを確認できる体制は整えておきましょう。
いすゞはEVトラックが利用できる充電スポットマップを公開しています。
走行距離を延ばすためにできること
EVトラックの走行距離は、運行時の工夫や機能活用でコントロールできます。現場で実行しやすく、効果も出やすい方法は「加減速を抑えたエコ運転」「停車中のEVシステムオフ」「車内温度管理の最適化」の3つです。
いすゞ公式YouTubeチャンネルの「エコ運転のコツ」でも、走行距離を延ばす運転テクニックをご紹介しています。
ここからは、本動画で紹介している3つのテクニックを解説します。
加減速を抑えたエコ運転

急発進・急制動を避けると、電力の消費を抑えられます。
また、エコ運転は安全運行にもつながるため、加減速を抑えたエコ運転をドライバーに呼びかけましょう。
加えて、EVでは加速時にエコモードを使うと、出力が穏やかになり無駄な電力消費が抑えられます。また、下り坂などの減速時には回生ブレーキを活用し、減速エネルギーを回収しましょう。
停車中のEVシステムオフ

停車して荷物を運搬する場面では、スタータースイッチをロックしてEVシステムを停止しましょう。特に短時間の停車が多い現場は、EVシステムのこまめなオフが省エネにつながります。
一方で、業種によってはオン・オフの切り替えが負担になるかもしれません。現場に負担がかからないように、動線に合わせて「○分以上停車するときだけオフにする」といった基準を決める方法がおすすめです。
車内温度管理の最適化

車内温度の管理は、快適性と省エネの両立が前提です。冷暖房の設定温度を極端にせず、かつ必要な範囲で安定させるだけでも、エネルギーの消費を抑えやすくなります。
また、省エネの観点ではシートヒーターの活用も有効です。車内温度を上げるより、体を直接温めるほうが電力負担を抑えられる場合もあります。
ドライバーの負担を優先して、季節や体感温度に合わせて選べる体制を整えておきましょう。
いすゞのEVトラックをご紹介
いすゞではEV車両の販売に加え、EVトラックの導入支援プログラム「EVision」も提供しております。EVisionは、電欠への不安や充電インフラ整備などの課題に対して、利用状況に合ったEV導入・カーボンニュートラル戦略をトータルで支援するサービスです。
「走行距離が不安で現場の合意が取れない」「充電設備をどこまで整えるべきか迷っている」といった段階でも、最適な解決策をご提案いたします。また、EVトラック自体に興味がある方は、操作性から安全装備にまでこだわった「ELF EV」をぜひご検討ください。
EVトラックの導入に関するご相談や、「ELF EV」の詳細につきましては、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。




