EVトラックの充電時間はどのくらい?|業務を止めない充電のコツも紹介
EVトラックの導入を検討するとき、多くの担当者は「充電時間」に不安を感じるでしょう。「充電に何時間もかかるのでは」「1回の充電で現在の配送ルートをそのまま回れるのか」と疑問に感じるのは当然のことです。
結論からいうと、業務時間外に十分な充電時間を確保することで、スムーズにEVトラックを導入している企業は多くあります。
本記事では、EVトラックにおける充電時間の目安に加えて、普通充電と急速充電の違い、充電時間が変動する理由、導入しやすい運行パターンなどを解説します。

EVトラックの充電時間の目安|普通充電と急速充電の違い
EVトラックの充電方法は、主に「普通充電」と「急速充電」の2種類に分けられます。
普通充電の目安充電時間は5時間〜11時間半、急速充電の目安充電時間は1時間〜1時間半ほどです。充電時間は、バッテリー容量によって幅があるほか、充電開始時のバッテリー残量によっても変動します。
- ※上記の充電時間の目安は、バッテリーを20%から80%程度まで充電する場合の想定です。
EVトラックの充電時間を考える際は、「どれくらいかかるか」に加えて「どのタイミングで充電できるか」を確認することが大切です。例えば、18時に帰庫して翌朝8時から稼動する車両には、14時間の待機時間があります。この待機時間に充電を行うと、ドライバーの待ち時間を増やさずに翌日の運行準備を進められます。
普通充電を使用した場合
普通充電は急速充電に比べると低出力ですが、バッテリーの負担を抑えやすい特徴があります。
他にも以下のようなメリットやデメリットがあげられます。
| 普通充電の特徴 | |
|---|---|
| 出力 | 一般的に3kWまたは6kW程度 |
| メリット |
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| デメリット |
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| 主な用途 | 営業所や車庫での夜間充電など |
急速充電を使用した場合
急速充電は、普通充電と比べて高出力ですが、運用コストやバッテリーの負担が大きくなりやすい特徴があります。
| 急速充電の特徴 | |
|---|---|
| 出力 | 一般的に50kW程度 |
| メリット |
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| デメリット |
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| 主な用途 | 日中のつぎ足し充電、休憩・荷役中の補給など |
急速充電は短時間で電力を補えるため、例えば業務の合間に急遽充電が必要な場面に便利です。ただし、使用時には電力契約やデマンド(※)を考慮する必要があり、想定以上に電気代が膨らむ可能性もあります。
- ※一定期間内の最大電力などをもとに、電気料金を計算する指標。
充電時間を左右する4つの注意点

EVトラックのおおよその充電時間は、「バッテリーの容量(kWh)÷充電器の出力(kW)」で計算できます。単純計算で言えば、仮に容量が30kWhのバッテリーを6kWで充電する場合、所要時間の目安は約5時間(30kWh÷6kW)です。
ただし、充電環境やバッテリーの状態によって、実際の所要時間は変わることがあります。ここでは、充電時間を左右する4つの外的要因を紹介します。
充電器の出力と車両の受入出力
EVトラックの充電スピードは、充電設備の出力が関係します。ただし、出力だけではなく、それぞれのEV車両が受け取ることができる電力の最大値を示す「受入出力」も影響を与えます。
例えば、20kWの充電設備を使っても、車両側の受入出力が6kWの場合、実際の充電は6kW相当のスピードになります。「高出力な設備を選べば必ず速くなる」というのはよくある誤解で、車両側の仕様と合っていなければ期待した速度で充電ができない場合があります。
導入前に必ず車両の受入出力を確認し、それに合わせた充電設備を選びましょう。
充電スピードの変動
EVトラックの充電スピードは、最初から最後まで一定ではありません。バッテリー残量が80%を超えたあたりから、バッテリー保護のために充電速度が落ちやすくなります。
そのため、日中の満充電は目指さず「80%前後で切り上げるルール」を作ると効率的です。例えば、昼休みの30分だけ充電する、荷役中に必要分だけ補う、帰庫後は普通充電に切り替えるなどの方法があります。休憩や積み下ろしなどの時間を有効活用し、ドライバーの待ち時間のムダを省きましょう。
外気温
EVトラックのバッテリーには、効率よく充電できる「適正温度」があり、冷えすぎても熱くなりすぎても本来の性能を十分に発揮することはできません。
例えば、夏場にはバッテリーの温度が上がり、保護機能が働いて充電出力が抑制されることがあるため、直射日光の当たる場所での長時間駐車を避けた方が良いでしょう。
一方で、冬場にはバッテリーの温度が下がることで内部抵抗が増し、電気が流れにくくなります。また、バッテリーが冷えすぎていると充電器からの電力をスムーズに受け入れられず加温に時間がかかります。
バッテリーの劣化(SOH)
EVトラックのバッテリーは、使用を重ねるにつれて少しずつ充電できる最大容量が減少していきます。
こうしたバッテリーの劣化状態は「SOH(State of Health)」と呼ばれ、車両のディスプレイなどで確認できます。バッテリーの状態を適切に管理するためにも、定期的にSOHを確認し、把握しておくようにしましょう。
充電時間を計画しやすい運行パターン

EVトラックを効果的に運用するには、夜間の普通充電を基本にし、日中の急速充電を必要最小限に留めることが重要です。日ごろの配送ルートやスケジュールがある程度決まっていれば、必要な充電量を計算しやすくなります。
ここでは充電計画を立てやすい4つの運行パターンを紹介します。
- <店舗配送タイプ>
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店舗配送は、EVトラックを導入しやすい代表例です。決まった店舗を回り、夕方や夜に営業所へ戻る運行であれば帰庫後に普通充電をして翌朝に出発できます。
静岡県で古紙回収や中間処理事業を手掛ける株式会社志太紙業は、1日の走行距離が平均約70kmに収まるため、「夜間充電で翌日の業務に対応できる」と判断してEVトラックの導入に踏み切りました。
- <エリア配送タイプ>
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一定エリア内で個人宅や事業所へ配送する場合は、走行距離が変動しにくく必要なバッテリー容量を把握しやすくなります。
みやぎ生活協同組合では、仙台市中心部をカバーする「仙台中央センター」にEVトラックを導入しました。1日平均60件ほどの配達を行いますが、日中の充電切れもなく夜間の充電のみで安定した運用が行えています。
- <戸別収集タイプ>
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ごみ収集や資源回収などの戸別収集も、一定のエリアでルートを定めて運行するためEVトラックの導入に向いているといえるでしょう。
長野県で不用品・粗大ごみの収集事業を手掛ける直富商事株式会社は、日中のつぎ足し充電を避け、夜間の普通充電だけで運用を完結しています。これにより、営業所全体のデマンド値を抑え、電気代の削減を実現しました。
- <拠点間輸送タイプ>
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拠点間輸送とは、工場や倉庫などの物流拠点から、配送センターや店舗など別の物流拠点に荷物を届ける輸送形態のことです。
走行距離が一定である場合が多いため、必要なバッテリー容量や充電時間を試算しやすく、EVトラックを導入しやすい形態といえます。<補足>
行き先が日によって変わるランダム運用でも、走行距離がおおむね一定であれば、EVトラックの導入が検討できます。
例えば、行き先は日によって異なるものの、特定地域やエリア内での運用が基本のため、走行距離が極端に長くなることがない場合などです。道路や公共インフラの土木工事などを手掛ける株式会社シミズローディックは、3kW仕様の充電設備を導入しました。出力は低めですが、翌朝にはバッテリーが満充電になり、問題なく運用できています。
上記の事例から、「営業時間外に普通充電を行うことが可能か」、もしくは「走行距離はおおむね一定か」が導入判断の決め手となることが分かります。まずは現在の運行状況を把握し、運用計画に普通充電を組み込む余地があるかを確認しましょう。
将来的にEVトラックの充電時間は短くなる?
現在では、日本だけでなく世界中のメーカーがEVの開発に力を入れています。さまざまな技術開発が進むことで、EVトラックの充電時間が短くなる可能性は十分にあるでしょう。実際にどのような開発が進んでいるのか、以下では事例を紹介します。
EVバッテリーの性能向上
現在のEVに使われているリチウムイオンバッテリーは、ここ数年で性能向上が進んでいます。容量や耐久性、安全性、急速充電性能の改善が進めば、EVトラックの充電時間や走行距離にも良い影響が期待できるでしょう。
さらに、次世代バッテリーとして、電解質を液体ではなく固体にする技術の開発も進んでいます。固体電池が実用化されれば、バッテリーの安全性や出力特性(※)の改善、高容量化などが期待できます。
- ※電気が必要なときに、どれだけ効率よく電気を出し入れできるかという性質。
充電待機時間を短縮する「バッテリー交換式」の登場

長期的には、充電時間の概念を変えるような技術も登場しています。その一つが、いすゞが実証実験を進めている「バッテリー交換式ソリューション(EVision Cycle Concept)」です。バッテリー交換式とは、車両を充電設備につないで待つのではなく、専用ステーションで充電済みのバッテリーパックに交換する方式です。
この仕組みが実用化されれば、充電設備の前で長時間待機する必要がなくなり、燃料の給油に近い感覚で運行できる可能性があります。特に昼夜問わず稼動が求められるような運行形態では効果が期待されます。
いすゞは、バッテリー交換をスムーズに行うステーションと、対応するEV車両を用いた実証実験を進めており、将来的なインフラの選択肢として注目されています。
2025年より横浜市やファミリーマート等との取り組みとして、コンビニへの商品配送の実証実験を行っています。詳しくは以下の動画をご覧ください。
関連動画:バッテリー交換式EVトラックを使用したファミリーマート配送実証- ISUZU -
参考情報:いすゞとファミリーマートと伊藤忠商事、バッテリー交換式EVトラックを使用した配送実証を横浜市で開始~国内初の両サイド同時交換を採用、カーボンニュートラル化と輸送効率化を両立~
自社ルートに最適な「充電×バッテリー」のシミュレーションはいすゞへ
EVトラックの導入は充電時間だけでなく、車両価格、補助金、電気代、電費、メンテナンス費、充電設備の工事費まで含めて判断することが大切です。車両価格が高いと感じていても、補助金や長期的な運用コストまでを考慮すると、ディーゼル車よりもトータルコストを低く抑えられるケースもあります。
また、充電時間の不安は入念な計画によって解決できます。自社のルートで1日に何km走るのか、どの時間帯に車両が止まっているのか、どの拠点に何台の充電設備が必要なのかを可視化すれば数字で判断できるでしょう。
いきなり全車両をEVトラックに置き換えるのではなく、相性の良いルートから少しずつ導入を始めるほうが失敗を避けやすくなります。そこで重要になるのが導入前のシミュレーションです。
インフラ整備から運行管理まで丸ごと頼れる
「EVision」

いすゞの「EVision」は、EVトラック導入に伴う課題を整理し、導入検討から運用、効果検証までを支援するトータルソリューションプログラムです。車両だけでなく、充電インフラや運行管理、充電マネジメントまで含めて検討できるため、「自社で本当に使えるのか」を具体的に判断しやすくなります。
運用計画はルートや積載量、車両台数などで大きく変わるため、「EVision」では個々の運行状況をもとに、最適な充電器、充電時間、タイムスケジュール、電気代まで含めた個別のご提案を行います。
「夜間充電だけで足りるのか」「急速充電は必要か」「充電設備をどれだけ設置すべきか」といった疑問は、運行データをもとに判断しましょう。まずは現在の走行距離や帰庫時間などを整理し、「EVision」を使ってEV化しやすいルートから検討すると、現場の不安を減らしながら導入を進めることが可能です。
「ELF EV」の充電方法とバッテリー容量の最適化
いすゞの「ELF EV」は、一般的な国産EVでも使われているCHAdeMO規格の急速充電に対応したEVトラックです。運行先のエリアや公共の施設でも、CHAdeMO規格の充電設備が見つかれば、そのままプラグを挿して急速充電が可能です。
また、「ELF EV」では実務でのニーズや用途に合わせて、バッテリーをモジュール単位で搭載するため、「積載量」と「走行距離」の最適なバランスを維持できます。
自社の走行距離に合わせた容量を選ぶと、充電にかかる時間を短縮でき「何度も急速充電が必要になる」といった課題を解決できる可能性があります。「ELF EV」の特徴や仕様が気になる方はお気軽にご相談ください。




