株式会社志太紙業
環境への想いを形にしたEV導入 市街地を巡回する資源回収で活躍
リサイクル事業者でのEVトラック導入
- #エルフEV
静岡県藤枝市で古紙回収や中間処理事業を展開し、市民向けの資源回収拠点エコステーション34カ所を運営する株式会社志太紙業。環境省の「エコアクション21」にも取り組むなか、環境への貢献や市街地での回収作業における騒音・CO2排出の削減を目指し、エルフEVを導入しました。本記事では、代表取締役社長の鈴木徹さんに、エルフEV導入のきっかけや決め手、現場での実際の使用感、そして今後のEV普及に向けた期待についてお話を伺いました。
※掲載内容は2026年3月の取材に基づきます。

「NEW環境展」での情報収集でエルフEVと出会う
鈴木さん 当社の創業は1980年。親会社は非鉄金属スクラップを扱う桜井資源株式会社で、その子会社として設立されました。当初は島田市で事業を行っていましたが、その後、藤枝市へ移転し、現在に至っています。
私自身はもともと異業種で経営に携わっており、前社長とのご縁から現職に就いて15年になります。入社当時は、紙および古紙(新聞・雑誌・段ボール)の取り扱いが中心でした。加えて、容器包装プラスチックの中間処理も行っており、市が回収したものを受け入れ、ベーラーと呼ばれる機械で圧縮処理を行う業務を担っていました。
入社当初は分からないことも多くありましたが、お客様の声を受けるなかで可能性も感じ、この15年の間にさまざまなチャレンジを重ねてきました。
例えば、紙管(古紙を原材料とした紙の筒)は、そのまま売却しても返品されてしまう、リサイクル処理にもコストがかかる、扱いづらいものでした。しかし、「細かくすればよいのではないか」という発想から破砕機を導入して砕いてみたところ、販売できることが分かりました。こうした取り組みを通じて、徐々に取り扱い品目を増やし、リサイクルに関するさまざまなノウハウを蓄積してきました。
現在では、企業に対して単に回収するだけでなく、「このように分別すれば価値が高まります」といった提案ができる点が、当社の強みとなっています。

鈴木さん 先ほども申し上げたように、私は廃棄物に関する知識はほとんどないところから始めました。当初は手探りの状態でしたが、徐々にわかってきたのは、廃棄物は適切に分類し、加工方法を工夫することで、環境に配慮した資源として生まれ変わらせることができるということ。そしてそのためには、「廃棄物を資源として活かす」という個人の意識が重要だということです。
こうした背景から、私自身「廃棄物をいかに有効活用するか」を常に意識し、情報収集の一環として、毎年さまざまな企業の環境技術やサービスが発信される「NEW環境展」に足を運んでいます。そんな折、昨年の環境展でいすゞのブースに展示されていた「エルフEV」塵芥車と資源回収車を見る機会がありました。「うちのトラックをEVにできれば、社内外における環境意識の向上につながるのではないか」と考え、EV導入を検討しました。

運用スタイルとEVの特徴がマッチ
鈴木さん もともとNEW環境展へは、エルフEVを目的に訪れたわけではありませんでした。当社では長年、いすゞのトラックを主力として使用していることもあり、普段から関わりのあるいすゞのブースに立ち寄ったところ、エルフEVの塵芥車と資源回収車が展示されていました。
実は、NEW環境展で拝見する以前より、エルフEV塵芥車が発売されるという話は販売会社の営業スタッフから聞いていました。しかし、実際に環境展でEV塵芥車確認すると、当社の業務に必要な積載量を確保するのが難しい状況。そんな中、ブースの説明員の方に声をかけていただき、回収業務での活用を想定していることや、1日70〜80kmの走行距離であることをお伝えしたところ、「EV導入できるかシミュレーションしてみましょうか?」とご提案いただいたのです。
最初は時間の都合もあり別の機会にと考えたのですが、「すぐに結果が出ます」とのことだったのでお願いしました。「EVision コンシェルジュ」によって、当社業務における充電時間を含めたオペレーションや、導入後のランニングコスト、CO2削減効果まで、その場で詳細なシミュレーションができました。この提案をふまえ、最終的にはワイドキャブモデルを採用し、ウィング車として導入することにしました。この仕様であれば積載容量を十分に確保でき、当社の資源回収業務に適していると考えたのです。
当初は、本格的に導入を検討していたわけではなかったのですが、NEW環境展でのシミュレーションを経て「当社の業務でも十分に活用できる」という確信を持てたことが、決め手の一つとなりました。また、NEW環境展の後も、すぐに販売会社の営業スタッフにつないでいただき、一気通貫でご提案いただけたことも大きかったですね。
鈴木さん いすゞ車両の運転操作や使い勝手に慣れていることもあり、EVについても他メーカーは選択肢にありませんでした。これはオペレーション面を考慮した結果で、例えば異なるメーカーの車両が混在すると、レバー位置の違いなどから混乱が生じ、操作ミスにつながる恐れがあるためです。エルフEVであれば、安全面での問題も生じにくいと考え、実際にこれまでのディーゼル車と同じ使い勝手で運用できています。
鈴木さん いくつかありましたね。まず、コストの問題です。車両価格がディーゼル車よりも高額になるため、導入にも慎重になりました。また、約100kmという航続距離にも不安がありました。一番気になったのが、充電時間です。日々の業務に支障をきたすことなく運用できるのかどうかが、大きな懸念事項でした。
コストの問題については、リース契約にすることで初期負担を抑えました。航続距離や充電時間については、当社が展開するエコステーション専用の回収車として活用することで解決しました。
エコステーションとは、当社が12年前から始めた事業で、資源ごみを地域住民がいつでも持ち込める回収施設です。市街地で決められたルートを巡回するため、1日の走行距離は平均して約70kmに収まります。帰社後に夜間充電を行えば、翌日の朝には満充電の状態で使用することができるため、業務において特段の問題はないと判断し、導入に踏み切ったのです。

「エコアクション21」の取り組みにも貢献
鈴木さん エコステーション専用の回収車として使用しています。当社では、段ボールや新聞紙、アルミ缶、スチール缶、ペットボトル、牛乳パック、雑誌・雑がみ、古着の8品目をエコステーションで回収しています。1日2〜4回、会社と各ステーションを往復稼働しています。


鈴木さん まず、走行音がとても静かであることです。エコステーションは市街地にあるため、回収作業における近隣住民への騒音配慮は大きなメリットになります。このエルフEVでエコステーションを巡回すると、「EVなんですか?」「いいですね!」といった声を利用者からいただくこともあり、当社の環境への取り組みをアピールするきっかけにもなっています。
また、滑らかな走り心地で、ドライバーの疲労軽減にもつながると感じています。実際に運転した従業員からも、「加速がスムーズでストレスなく運転できる」との声があがっています。
そして、なんと言っても走行中にCO2を一切排出しないことです。当社では、環境省の「エコアクション21」に取り組んでおり、軽油使用量とCO2排出量の削減に大きく寄与するものと考えています。

コストよりも環境価値の訴求を
鈴木さん EVを増やしていきたいという思いはあり、EV塵芥車の導入についても関心はあります。当社は太陽光発電で工場内をはじめとする自社使用電力をまかなっているため、ランニングコストの面では抑えられていると思いますが、今回導入したエルフEVの効果を検証しながら、慎重に検討していきたいと考えています。

鈴木さん EVの普及率を高める取り組みに期待しています。メーカーとしてはランニングコストの面をアピールしたいところかもしれませんが、現状では車両価格が高く、大きな決め手にはなりにくいと感じています。それよりも、「環境にこれだけ良い車である」という点を強く打ち出したほうが、市民や企業が関心を高めることにつながるのではないでしょうか。
また、現在はこれまでにも増して“働く上での心地よさ”が重視される時代ですので、引き続きドライバーの働く環境づくりに配慮していただけるとありがたいです。
特にトラックを運転する従業員にとって、車内は長い時間を過ごす大切な空間であり、いわば生活の一部です。だからこそ、例えば多少はコストをかけてでも、シートなどの内装をより快適で質の高いものにするなど、従業員が気持ちよく乗務できる空間を提供し続けていただきたいと思います。
加えて、修理やトラブル時の迅速な対応があれば、いすゞのEVを使用する上での安心感はさらに高まると感じています。
繰り返しになりますが、環境貢献には一人ひとりの意識が非常に重要です。そのきっかけとして、EVが社会により広く普及していくことを願っています。いすゞさんには、ぜひその一翼を担っていただければと期待しています。

- 所在地
- 静岡県藤枝市高柳2335-1
- 設立
- 1980年10月
- 事業内容
- 一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処理業、紙くず卸、計量証明、古紙卸、古紙回収、古着回収、再生資源回収・卸、再生資源リサイクル、産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処理業、製紙原料、金属くず商
- 従業員数
- 30名



