直富商事株式会社

環境業の事業者にこそEVトラックを導入してほしい 地方都市でのEVトラック運用

  • #エルフEV

長野県内を中心に、主に固形廃棄物のリサイクル事業や不用品・粗大ごみの収集を手がける直富商事。地域に根ざした「静脈産業の総合商社」として、持続可能な組織づくりと経営方針を推進しています。早くからいすゞ自動車のEVトラックに注目していた同社では、長野県で初めてエルフEVを導入しました。脱炭素実現にかける思いやEV導入の効果について、代表取締役の木下繁夫さん、執行役員 環境事業本部 本部長の佐藤善則さん、管理本部 総務部 部長の小須田崇さんに話を伺いました。
※掲載内容は2025年3月の取材に基づきます。

SDGsや脱炭素の取り組みの一環として迅速導入

――エルフEV導入のきっかけを教えてください。

木下さん SDGsや脱炭素の取り組みの一環として導入しました。
長野県は冬は雪が降り、夏はかなり暑い。
そうした点から、地球温暖化の影響を肌で感じています。
地方の中小企業としても気候変動対策をしなくてはならないとの危機感があったのです。

現在、当社では200台ほどのトラックが排気ガスを出しながら走行しています。
そこでEVトラックを導入し、排気ガスの削減に貢献したいと考えました。
ちょうどその頃、いすゞさんがEVトラックを発売するとの記事を拝見して、すぐに問い合わせをしました。

直富商事 代表取締役 木下繁夫さん
――現在、どのような業務で使用されていますか。

佐藤さん 各企業や個人からその都度排出される廃棄物の収集という日常的なスポット業務で使用しています。
収集する内容はプラスチック、古紙類、家具類など多岐にわたります。

――導入にあたっての課題・懸念事項についてお話しください。

小須田さん 1つ目は走行距離の問題です。
2つ目は季節によって気候の落差が激しいので、その変化にバッテリーが耐えられるかどうかとの心配もありました。
ただ、先ほど木下の話にもあったように、脱炭素は避けられない社会課題となっています。
そこでトップが「行くぞ!」と背中を押してくれたので、とにかく1台導入してみて、EVならではの使い方をしていこうとなりました。

直富商事が導入したELF EV
――エルフEVの選定理由、決め手を教えてください。

木下さん 信頼するいすゞの車両というのが大きいですね。正直「やっと出してくれた」との思いもありました。
商用車、とくにトラックでは日本メーカーの選択肢が限られていて、中国製に後れを取っている印象が強い。しかし導入するなら、いすゞさんの車両にしたいと最初から考えていました。長い付き合いがありますし、何度も足を運んでもらってキャッチボールしながら導入につなげていただきました。
対応が非常に早かったので満足しています。

騒音がなくて運転が楽、管理ソフトで効率的充電も可能に

――導入から現在までの運用状況を教えてください。

佐藤さん 長野市内周辺を中心に週4〜5日、大体朝の7時頃から出発して13時過ぎには戻る収集スタイルで、平均50km前後の走行距離になります。
本来は60kmと想定していますが、パワーゲートを搭載したり、側面が開くようにしたりなどバッテリーに負荷がかかる仕様になっているので、想定走行距離より10kmほど少ない走行を心がけています。

50kmを走るとバッテリーは約60%の状態まで減っています。
ただ、帰社して夕方に充電を開始すれば翌朝には満充電の状態になっていますので、毎日の走行に支障はありません。

直富商事 執行役員 環境事業本部 本部長 佐藤善則さん
――一方で、運用上の課題や想定外の問題はありましたか。

佐藤さん 初期には、自分たちでは把握していない場所のランプがついてしまうなどのトラブルがありました。しかし、いすゞさんには24時間対応のコールセンターがあるので、朝に連絡すればすぐに電話で対応していただけました。

EV車両なので室内環境に関してもこまめな電力管理が必要かと思っていましたが、厳しい夏や冬の環境でもバッテリーで悩むことはなかったです。
ドライバーにも充電のメーターは気にしておいてほしいとは伝えましたが、今の作業で困ったことは一度もないです。

小須田さん 設備管理の面では課題が見えてきました。現状は車両1台だけなので建物の横に充電器を設置していますが、多くの台数に供給する際にどの場所に設置すべきかは今後の大きなハードルです。

直富商事 管理本部 総務部 部長 小須田崇さん

充電器の数を減らすために急速充電器で補う方法もありますが、現時点ではかなり高額です。一方、通常充電器で2ラウンドをこなすために日中充電を繰り返すと、今度は会社全体の電気代のデマンド値が跳ね上がるのでそれも現実的ではない。
やはりEVを使用するとなれば、夜間に充電するスタイルが理想的です。

ですから、いすゞさんが用意してくれている充電の時間指定ができる管理ソフト(PREISM)は助かっています。
例えば13時に戻ってきた車両が一旦昼間に充電して、残りは夜間に充電するなどの段階的な方法も可能になり、デマンド値に配慮した省エネを実現しています。

コネクテッド技術による充電マネジメント
――これまでの評価について、コメントと5段階評価をいただけますか。

佐藤さん EV車両に乗っているドライバーからは、「オートマチックで走り出しもスムーズ。乗り心地も良い」との声が届いています。
いつもはマニュアル車を運転しているので、最初は違和感があるのではないかと思っていたようですが、「むしろ楽になった」と喜んで運転しています。
また、「朝早くから収集する場所でも騒音を気にしなくても良いので助かっている」と話しています。騒音に対するストレスを感じなくなったことは大きな利点です。

バッテリーがずっしりと重いため、安定感があるのもメリット。
操作性や乗り心地に関しては十分に満足しています。
バッテリーに気を遣う部分だけが多少ネックですが、5点満点に近い4点だと思います。

0.7トンのCO2を削減、持続可能な社会の貢献にEV導入効果は大きい

――効果検証プログラムの「EVision レビュー」によれば、CO2排出削減量はこの1年間で0.7トンを達成したそうですね。この数値に関してはいかがですか。

小須田さん 1台のみですので総合的な判断はできませんが、減っている事実は誇りに感じていいと思います。
この数字があれば、約200台のトラックを置き換えたときにどれだけの効果があるのかの目安になるので、データを有効活用していくつもりです。

木下さん CO2排出量はゴルフのスコアと同じで、減ることで価値が上がるもの。ボギーよりもバーディのほうがいい。少しでもゼロに近づけることが願いです。

エルフEVの実績データを見える化しフィードバックするEVisionレビュー
――周囲からEVトラック導入に対し、何か反応はありましたか。

木下さん ホームページやSNSで積極的に発信したところ「EV車両はどうですか?」といったご質問をたくさん頂戴しています。私自身も実際に運転してみて、静かでパワフルな走行性能に感動しました。
お問い合わせいただいた方には「走行距離が課題ですが、近場の作業だったら問題なく使えます」とお伝えしています。

――今後、エルフEVやその他のEV車両のさらなる導入計画はありますか。

木下さん グローバルでは乗用車のEV化の流れは止められないじゃないですか。このトレンドは確実にトラックにも波及してくるはずです。
直富商事では排気ガスによるCO2排出量が約4割を占めています。
持続可能な社会に貢献するためにも、EV導入による効果は大きいと考えています。

さらに我々は環境業であり、環境問題の解決に携わっています。
だからこそ、より使いやすく、経済的にもメリットが大きい車両を出していただければ、順次切り替えていきたいとの思いを強く持っています。

――いすゞ自動車に期待することがあれば教えてください。

木下さん これは直富商事に限らず同業各社の願いですが、いろんな特殊車両に対応できるEVトラックを開発してほしい。あとは長距離の走行距離確保。
そうした課題を一つ一つ解決していただければ、使用できるレパートリーが増えますから。いずれにしろ技術やコストの課題は時間とともに解消されますから、いすゞさんの展開に期待しています。

EVの今後に期待
――エルフEVは、どのような課題を持つ企業におすすめだとお考えですか。

木下さん 持続可能な社会の実現は世界中の目標ですから、トラックを保有する企業にはすべておすすめしたいです。とくに我々の同業者は環境に極めて近い立場にあるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

直富商事株式会社
所在地
長野県長野市大字大豆島3397番地6
設立
昭和50年3月10日
事業内容
製鐵原料・非鐵原料の回収リサイクル
一般・産業廃棄物の回収/処分
古紙の回収リサイクル・廃プラスチックリサイクル・OA機器解体
建築物・構造物の解体工事
重仮設工事と仮設資材のリース/販売
BDF製造/販売
堆肥製造/販売
環境計量証明事業、リサイクル技術研究
オフィスビル・ホテルのビルメンテナンス
リゾート地・別荘・工場等の環境整備 他
従業員数
608名
URL
https://www.naotomi.co.jp/