志賀興業株式会社
環境を意識して働く立場として、1台でも多くEVトラックを導入したい 都市部でのEVトラック導入
- #エルフEV
東京都三鷹市、武蔵野市、小金井市のごみ収集運搬業務委託、産業廃棄物の収集運搬業務などを手がける志賀興業。以前から天然ガス自動車を導入して環境配慮に努めてきた同社では、資源回収車として3台のエルフEVを採用しました。「我々の導入が普及のきっかけにつながればいい」と語る代表取締役 志賀隆宏さんに、環境貢献に対する思いや導入効果などについて話を伺いました。
※掲載内容は2025年3月の取材に基づきます。

「EVision コンシェルジュ」でコスト面や運用面も納得して導入
志賀さん もともと1999年に天然ガス自動車を導入して、そこから積極的に拡大してきた経緯があります。DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)が不要ですし、CO2排出量も削減できますから、天然ガス自動車では環境への負荷が少ないことを実感していました。
これらの取り組みが評価され、2008年には三鷹市の「環境活動表彰」を受賞しています。
ただ、ガス充填所の整備が追いつかず、会社の周辺で利用できる場所がなくなってしまいました。
現在も10台ほど残っていますが、充填所まで一時間かかります。
そうしたとき、いすゞの営業担当者からEVトラックの話を伺い、その時点で導入することを決めました。
我々の導入が普及のきっかけにつながればいいと考えたからです。

志賀さん びん・かん、古紙などの資源回収車として活用しています。
三鷹市、武蔵野市、小金井市でそれぞれ毎日、月曜日から金曜日まで同じコースの回収業務です。
志賀さん 天然ガスの充填所で苦労したので、充電設備は懸念していました。
エルフEVは3台導入しましたが、会社の敷地に充電器を3基設置して順調に運用しています。
一方、操作性に関しては心配していませんでした。なぜなら自家用車でもEV車両を使用しており、乗り心地はわかっていたからです。
静かで低速のトルクも高いので、仕事で使うには問題ないと判断しました。
志賀さん 当社の業務用車両は以前からいすゞさんオンリーなので、営業担当者との太いパイプや長年築き上げてきた信頼関係があります。その点が決め手になりました。今回は導入前の準備段階から大変お世話になっています。
導入検討をサポートする「EVision コンシェルジュ」でも、とても満足できるご提案をいただきました。
リースの受け先や補助金を含めていろんな説明をいただき、将来的なコスト面や運用面も納得したうえでいすゞさんにお願いしました。

運転時の負担軽減、クリーンな環境実現に手応え
志賀さん 各市ともに朝8時頃に出発して15時頃に帰社するルートです。
帰社したら充電を開始し、翌朝には満充電の状態になっています。走行距離は30km前後。
ただし戸別回収なので、こまめに発進と停止を繰り返す作業になります。新聞配達のように数メートル置きに止まって回収するスタイルです。

志賀さん 車内の静粛性もさることながら、住宅街で騒音がなくなったことがメリットです。
さらにドライバーからは、オートマチックになったことで体の負担が少なくなったと聞いています。走り出しや停止がスムーズなことも負担の軽減につながっています。
私も試験運転は体験しましたが、静かで出足が良いと感じました。
また、バッテリーがボディの下にあるので重心が安定している感覚があります。
特殊車両でオートマチックであれば運転が楽ですから、人手不足を解消する意味でも早く浸透してほしいと思っています。
環境面ではディーゼル車のようにDPFや尿素水に頼らずに済むことが利点です。
現在、当社には約90台のトラックがありますが、事業でのCO2排出量はトラックからのものが最も大きい。
ごみ収集車だけではなく産廃用の特殊車両も30台ほどあり、産廃用トラックは東京都武蔵村山市の中間処理施設まで片道20kmを運ぶ必要があります。
こうした特殊車両もEVに代われば、将来的には劇的なCO2削減が見込めます。
志賀さん やはり充電が課題です。現状は3台だけなので1台につき1基で運用できていますが、設置場所やコストの問題を考えると今後どうするかは悩みどころです。
現行の仕組みでは駐車スペースを十分に確保したうえで充電器を設置する必要があります。究極の理想は駐車場所の下にコンセントがあることですが、なかなかそうは行きませんから。
志賀さん 星をつけるとすれば3.5。マイナスした1.5の分は充電と走行距離の課題です。今回導入したEV車両は近距離で使っているのでさほど問題はありませんが、業務内容によっては長距離を走る場合もあります。もっと長い距離が走れるようになれば、さらに活躍できる場面が増えるのではないでしょうか。
1トンのCO2を削減、今後はEVの塵芥車に期待
志賀さん 2024年夏から2025年2月末までの間で、3台合計で1トンのCO2を削減できたといすゞさんから報告を受けました。
改めて数字を目にするとインパクトがあります。
当社では「次の50年へ」というビジョンを掲げていますが、そのきっかけになればいいと思いながらCO2削減を推進しています。
私はこうしたメッセージを朝礼などを通じて積極的に発信しています。
我々の仕事は最も環境維持に近いものですから、率先して脱炭素に取り組まねばならないとの思いがあります。
意志をつなげていけるように、次の世代を育成しているところです。

志賀さん とても充実していて、EVトラック導入のイロハや充電器の設置まですべてをフォローしていただきました。
導入後に若干のトラブルはありましたが、運転に支障が出るようなものではありませんし、何か問題があったとしても電話一本ですぐに対処してもらえます。その信頼感は大きいです。
志賀さん 塵芥車の本格投入を待ち望んでいます。
塵芥車は平ボディの資源回収車とは構造が異なりますから、実運用してみないとわからない部分があります。
ごみを回収して押し込む仕様がディーゼルとどのように違うのかも検討がつかないため、まずは1台導入して様子を見てみたいですね。
志賀さん 公共の充電スポットは充電時間が30分かかります。業務中に30分待つことは多大なロスにつながるので、なるべく急速で充電したいのが本音です。
そう考えると、EVトラック購入の補助金だけではなく、よりハイパワーな急速充電スポットの拡大などインフラの整備もお願いしたいです。
志賀さん 現時点では充電や導入コストの課題がありますが、常に環境を意識して働く立場としては1台でも多くEVトラックを導入したいと考えていますので、いすゞさんには難問をどんどんクリアしていってほしいです。
志賀さん ごみ収集に関して言えば都市部の事業者におすすめできます。とくに夜間や早朝収集に関しては非常に有効です。
三鷹市も三鷹駅周辺で夜間収集を実施しているので、騒音低減やCO2削減の観点からも都市部の収集業務には適しているはずです。
こうした取材で皆さんにメリットが伝われば隣接する自治体にも波及するでしょうし、この業界の事業者も興味を示してくれると思います。
- 所在地
- 東京都三鷹市新川4丁目1番11号
- 設立
- 昭和39年1月1日
- 事業内容
- 東京都三鷹市、武蔵野市、小金井市のごみ収集運搬業務委託
家庭で排出される廃棄物処理
企業の事業所、店舗等の廃棄物処理
廃棄物中間処理
道路公園清掃・建物管理
粗大ごみ受付センター業務委託 他
- 従業員数
- 131名