藤沢市役所 環境部 環境事業センター
市議会議員も期待、平ボディで踏み出した環境配慮の第一歩 自治体のEVトラック導入
- #エルフEV
藤沢市役所 環境部 環境事業センターでは、市民から排出される可燃ごみ、不燃ごみ、ペットボトル、容器包装プラスチックの戸別収集を行い、藤沢市北側の約40%をカバーしています。将来的に塵芥車のEV化を目指す同センターでは、第1段階としてエルフEVを1台導入しました。その効果について、藤沢市役所 環境部 環境事業センター 団地・狭隘担当 上級主査の鈴木優史さん、ドライバーの鈴木由則さんに話を伺いました。
※掲載内容は2025年3月の取材に基づきます。

使い慣れた操作性で乗り心地にも不満なし
鈴木優史さん 藤沢市役所 環境部では脱炭素を掲げており、将来的に塵芥車のEV化を検討しています。
そこで第1段階として平ボディのEVトラックを試験的に1台導入することになりました。
2025年3月で、導入してからちょうど1年が経過しました。
鈴木優史さん 藤沢市とセブン-イレブン・ジャパンが包括連携協定を結んでいて、その協定に基づき、市内のセブン-イレブンに置かれた回収機から1日置きでペットボトルを回収しています。

鈴木優史さん 平ボディかつ用途が単純なごみの運搬なので、そこまで懸念はありませんでした。
塵芥車の場合は収集するにつれて自重が増してきますが、今回の業務に関しては平ボディでEVがフィットするかどうかを確かめるのが目的です。
実際に使用してみて操作性能を中心にEVの良さを確認してきました。
鈴木優史さん 環境事業センターのごみ収集車は平ボディ含めてすべていすゞ製のディーゼル車ですので、操作性に慣れていることがポイントでした。
また、今はただでさえ人手不足ですし、商用車でもオートマチック限定でしか運転できない人たちも増えています。
現在、塵芥車はすべてマニュアルのため、これからEVへの切り替えを想定するとオートマチックであることは強みになると考えました。

鈴木由則さん 業務用ですから、使い慣れた操作性であることが大前提です。仮にEVに変わって操作を一から学ばなくてはならないとなれば、こちらにとってはかなりの負担になってしまいます。
エルフEVは車両パネル類の表示などもディーゼル車と変わらず、何ら問題はありません。

運転のしやすさ、効率化、充電の快適さを含めて満点評価
鈴木由則さん 環境事業センターが回収するのは約25店舗ですから、比較的長い走行距離になります。
ルート回収で1日あたり約40kmの走行距離です。
午前、午後に2時間ずつ、あわせて1日4時間程度の運転になります。
驚いたのは、走行中に道路標識を読み込んで運転席のモニターに表示してくれること。
例えば40km制限の標識を表示して、少しでも超えるとアラームが鳴る仕組みです。ほかにも「止まれ」や「進入禁止」などもカバーしてくれます。

鈴木由則さん 運転に関して言えばEV車両はスムーズなイメージでしたが、まさにその通りで自然に受け入れることができました。
発進や停止がまるで電車のような感覚で、圧倒的に静かです。
それからオートマチックでショックがないため、運転が楽でとても助かっています。
鈴木優史さん 乗っていてもノイズを感じることはまったくありません。ディーゼル車と両方乗っている人間からすれば明らかに違いを感じます。
副産物としては側面に藤沢市のマークと「ELF EV」のステッカーが貼ってあるので、セブン-イレブンを回ったときに「EV車両だ」と気づく人もいて、藤沢市が環境に配慮していることのアピールにつながっています。

鈴木由則さん センターに帰ってきて充電すれば済んでしまうので、ガソリンスタンドに行って給油する時間をカットできただけでもかなりの効率化です。
センターには急速充電器と通常充電器を設置しており、今回の平ボディは急速充電器が使えませんが、1日走って充電すれば次の日には満充電になっています。
急速充電に対応していないからといってデメリットは感じません。

鈴木優史さん 運転のしやすさ、効率化、充電の快適さを含めて5点です。
ただ1つだけ、センサーが非常に敏感に反応するのが気になっています。
逆に言えば、EV車両のテクノロジーはそこまで進んでいるのだなと感じました。
密集した住宅街を抱えるベッドタウンには最適
鈴木優史さん 現在は平ボディの1台で特化した活用しかしていないので、数値に関しては申し上げられません。これが主力の塵芥車で多くの台数を導入するとなれば、具体的な数値目標を掲げると思います。
塵芥車は住宅街で発進と停止を繰り返しますから、停止時の排気ガスが出ないだけでもかなりのCO2削減効果が見込まれます。
一方で行政は期待しています。平ボディを導入したときには藤沢市議会議員の方から取材を受け、ヒアリングをされました。
どのように脱炭素に配慮した市民サービスを展開しているのかに関しては、議員の方も高い関心を持っておられるようです。
鈴木優史さん ディーゼル車を含めて関係は深いので、EV車両に関してもアフターフォローに不安を感じることはありません。
それに、乗り慣れた車両なので安心という気持ちも強いです。
藤沢市でも、まずは数台でいいのでEVの塵芥車を導入してほしいですね。すでに神奈川県の他自治体では導入しているところもありますから。
これまで述べたように、我々は静かでスムーズに運転できるメリットを実感しています。ですから導入すること自体が、結果的に市民サービスの向上につながると思います。

鈴木優史さん 密集した住宅街を抱えているベッドタウンには適しているのではないでしょうか。住宅街をディーゼル車で収集するとなるとそれなりのCO2を排出しますし、子どもたちもたくさんいます。
EV車両はアクセルを離したときにスーッとエンジンブレーキがかかる特性があるため、スムーズなブレーキングでより安全な運転が可能で、環境に配慮したクリーンなスタイルで収集業務を遂行できるわけですから、自治体は多くの利点を感じられるはずです。

鈴木優史さん 私は入所当時から仕事ではいすゞの車しか乗っていません(笑)。操作性の良さはわかっているので、だからこそEVの塵芥車を運転してみたいとの思いは強いですね。実際に導入した際には効果検証プログラムの「EVision レビュー」で脱炭素の数値を可視化してもらいながら、どんな燃費なのか、どれだけのランニングコストがかかるのかを見てみたいです。
- 所在地
- 神奈川県藤沢市遠藤2023-17
- 事業内容
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- 1可燃ごみ、不燃ごみ、大型ごみ及び資源の収取計画の策定及び収集
- 2市民、事業所等に対するごみの減量化及び適正処理の指導
- 3環境事業センターの所管する車両の整備に関すること
- 4廃棄物処理手数料の収納
- 5一声ふれあい収集業務
- 6不法投棄物の処理
- 7ユスリカ及びはえの駆除並びに災害時の消毒業務
- 8施設の維持管理
- 9廃棄物の減量化、資源化及び適正処理等の計画の策定及び推進
- 10廃棄物の減量化、資源化及び適正処理等に対する意識の啓発