トラックゼミナール
せかいで初めて作られた
自動車って?
人類は紀元前から効率よく「ものを運ぶ」ための工夫を発明してきました。
今回はこの「ものを運ぶ」というキーワードに焦点を当てて、トラックの歴史を紹介します。
紀元前
文明が興り、人が集まり、市場が開かれるようになると、一度に大量の農作物を運ぶための手段が必要になりました。このとき用いられたのがソリやコロです。
はじめて車輪の付いた荷車というものを発明したのは、紀元前3000年ごろのメソポタミア文明であったと言われています。また、馬やロバ、そして牛などに引かせる荷車は、紀元前2500年ごろのシュメール文明で用いられたと考えられています。

1500年
動物以外の動力源を利用するクルマの代表的なものとして、1599年にオランダの軍事技術者シモン・ステヴィンが作った帆走車があります。
この車両は、帆船のように風の力を利用して走るクルマで、一度に28人の乗客を乗せて海岸を時速24kmで走ったそうです。しかし、風の強さや向きに左右されるため細かいコントロールができず、実用化されませんでした。

1700年
1765年、ジェームス・ワットの努力によって、蒸気機関が実用化されました。石炭を燃やして力を得る蒸気機関は、汎用性が高く、産業用動力源として活用されました。
蒸気機関を小さくしてクルマに搭載したのが、フランスのルイ15世軍の技術大尉であったニコラス・ジョセフ・クノーです。しかし、車体の最前部に蒸気エンジンを搭載していたため前後のバランスが悪く、試運転で壁に衝突してしまいました。

1800年
産業の成熟とともに物品輸送のため、クノー以降にも世界各地で多くの人々が蒸気機関で動く自動車を作る試みが行われました。
イギリスのリチャード・トレヴィシックが1801年に作った蒸気自動車は時速14kmで走ることに成功しました。2年後の1803年には、小さな前輪と直径3.2mもの後輪を組み合わせた本格的な蒸気自動車を作り上げました。この蒸気自動車は実用度が高く、
「馬より速いスピード」で走り、人々を驚かせました。

19世紀後半、蒸気機関以外の動力源が研究されていました。
ドイツのカール・ベンツは、1878年に独力で2サイクルガソリンエンジンの研究に方針を変えて、開発を進めました。
1886年、ガソリンエンジンの開発に成功し、ドイツの特許を取得。3輪車に搭載して、はじめて本格的なガソリン自動車の開発に成功しました。

ガソリンエンジンよりも熱効率の良い動力機関として、1892年、ルドルフ・ディーゼルはディーゼルエンジンの基本原理をまとめた論文を発表し、翌年2月に特許を取得しました。1897年に公開されたディーゼルエンジンは20馬力を毎分172回転で発生させるもので、他の内燃機関に比べ熱効率が高い(25%)と評価されました。

1900年
ガソリン自動車は加速度的に進化して、交通手段の主役だった馬車を駆逐しましたが、購入層は裕福な人々に限られていました。
そんな状況を変えたのが、アメリカのフォードでした。自動車工場に流れ作業を導入して、T型フォードを大量生産し、低価格で売り出しました。この結果、T型フォードは大ヒット作となり、1500万台以上も生産されました。「馬なし馬車」と呼ばれ、全世界に広まりました。

1896年にダイムラーがトラックを製造して以来、数多くのメーカーがトラックを作り、物品輸送は目覚しい発展を遂げました。しかし、「より多くの荷物を一度に運びたい」という要求が強まり、次の輸送手段が考えられました。
そんな中、世界初のトレーラが、1914年、アメリカで開発されました。開発したのは鍛冶屋を営んでいたオーガスト・C・フルハーフです。ボートの運搬用として開発されましたが、物品輸送に適しており、近代的なトレーラの元祖といえます。

ルドルフ・ディーゼルの発明から約30年、低回転で高トルクを生み出すディーゼルエンジンは、次々に改良が加えられながら、軽量・小型化が進みました。
初期の自動車(商用車)用ディーゼルエンジンのひとつとして、ダイムラーベンツのOB2型(直列4気筒8.8リッター、45馬力)が1923年から製造されました。なお、同時期にMAN社、サウラ社でも自動車ディーゼルエンジンが完成していました。
