「はこぶ」の世界をささえる人々
今野梱包株式会社はどんな会社なの?
今野梱包株式会社は、梱包資材(しざい)を作ったり、加工して、販売(はんばい)する会社です。
1973年に宮城県石巻(いしのまき)市で創業(そうぎょう)し、製紙(せいし)会社向けの木製パレットや木箱を専門(せんもん)にあつかっていました。そして、2005年に3代目社長が「トライウォール・パック」という強化ダンボールをあつかう部門を立ち上げ、東北・北海道でゆいいつの正規(せいき)代理店になりました。今では「トライウォール・パック」を使った梱包資材が主な取りあつかい商品となっています。
梱包資材ってなんですか?
梱包資材というのは、荷物がこわれたりよごれたりしないよう、安全にはこぶためにつかわれるもののこと。
荷物の種類や大きさ、どこにどうやってはこぶかなどによって、いろいろな種類の梱包資材があります。今野梱包では大型(がた)の部品から精密(せいみつ)機器まで、いろいろな商品をそれぞれにあった形で梱包することで、「はこぶ」をささえています。
「トライウォール・パック」ってどんなもの?
「トライウォール・パック」は、1952年にアメリカで開発されたダンボール。
1974年から日本でも製造(せいぞう)されるようになりました。みんなが普段よく見るダンボールよりも、ずっとかたくてじょうぶな強化ダンボールです。どれくらい頑丈(がんじょう)かというと、みかん箱くらいの大きさの空箱の上に乗用車2台分以上の重さの荷物をのせることができるほど。雨などの水ぬれにも強いので外でも使えます。すきまができないようにぴったりと封ができるのも特徴(とくちょう)です。
強化ダンボールがすぐれているのはどんなところ?
とても頑丈だということ。それにくわえて、木箱にくらべて強化ダンボールはとても軽いです。
軽いということは、トラックなどに負担(ふたん)をかけずにはこべるということ。1回の輸送(ゆそう)でより多くの荷物をはこぶことができるので、燃料(ねんりょう)も少なくてすみ、省エネにもつながります。
また木箱を使った梱包の仕事は体力のある男性(だんせい)が主に担当(たんとう)していましたが、強化ダンボールは軽いうえに工具を使わなくても組み立てられるので、女性や高齢者(こうれいしゃ)もはたらきやすくなりました。
強化ダンボールってすごいですね!
ほかにもすばらしい点はたくさんあります。
たとえば木箱は使わなくなると産業廃棄(はいき)物として処分(しょぶん)しなくてはなりませんが、強化ダンボールは100%リサイクルができます。地球環境(かんきょう)にもやさしいですね。
加工がしやすいというのもいいところ。箱型(はこがた)だけでなく、はこぶ荷物の形にぴったり合う梱包資材を作ることができます。レーザーカッターをつかって、かなり細かいパーツも作ることができますよ。今野梱包では強化ダンボールをつかって、梱包資材のほかにもいろいろなものを産み出しています。
梱包資材のほかに、どんなものをつくったの?
小さなものから大きなものまで、たくさんのものを強化ダンボールでつくってきました。
ここ石巻市は、東日本大震災(しんさい)の被災地(ひさいち)です。
今野梱包の工場も被害を受けましたが、避難所(ひなんじょ)でプライバシーを守るための仕切りやテーブルなどの家具をつくり提供(ていきょう)しました。また被災した学校の仮設校舎(かせつこうしゃ)のためにつくえやロッカーなどもつくりました。
それから、小さなころから大好きだったスーパーカーを、本物と同じ大きさで再現(さいげん)した「ダンボルギーニ」! これもプラットホーム(車の土台や骨組み)は強化ダンボール、ボディはダンボールで作られています。かっこいいでしょう? 被災地の人たちを元気にしたいという願いをこめて、明るいピンク色でぬりました。これは大きな話題になって、テレビや新聞でもたくさん紹介(しょうかい)されました。
これは強化ダンボールで作ったバッグ。
このバックを持って訪問(ほうもん)すると、初対面の人でもバッグをきっかけに話がはずみます。商談に来た人がこんなバッグを持っていたら、びっくりするよね?
ほかにも、子ども向けの昆虫(こんちゅう)キットや恐竜(きょうりゅう)キット、かっこいい輪ゴム銃(じゅう)といった小さなものから、すべり台などの遊具や舞台(ぶたい)のセットなどとても大きなものまで、たくさんのものをダンボールや強化ダンボールでつくってきました。
どうしてそんなにいろいろなものを作るの?
ダンボールの可能性(かのうせい)を広げたいからです。
いまは物流業界だけでなく、世界中がつねに変化し続けています。より環境にやさしく、人にもやさしく、そしてなにより荷物を目的地まで安全にはこぶために、梱包資材も変化し続けなければならない。梱包資材である強化ダンボールをつかって、梱包に関わりのないものを作ってみることで、新しい発見がある。それをまた、本業である梱包に反映(はんえい)できたらすてきですよね。
子どもたちに、モノづくりの楽しさを伝えたいという気持ちもあります。自分のアイデアや自由な発想を大切にしてほしいし、正解(せいかい)のないことに自分なりの答えを見つけるというむずかしさやおもしろさも知ってほしいな。
仕事をするうえで大切にしていることはある?
やりたいことは全部やる、そしてやり続ける、ということかな。
バカだなって笑われるようなことでも、自分が納得(なっとく)するまでやりつくしたらそこに価値(かち)が生まれます。「価値を生み出したら勝ち」なんです。困難(こんなん)に直面したときも、とことん考えぬいたら光が見えてくる。何かをしてみたいとか、あんな風になりたいなとか、みんなも夢(ゆめ)を見つけたらそれをやりぬいてほしいです。
「トライウォール・パック」の代理店になるときも、最初は反対されました。どうやったら熱意を伝えられるだろうと考え、まだ代理店になると決まってないのに自分の貯金(ちょきん)をはたいて荒地(あれち)を開発して工場をつくりました。梱包のことも徹底的に調べ尽くして、東北にも強化ダンボールの市場を作りたいという思いを伝え続けたことで、代理店として契約(けいやく)することができました。
仕事は楽しいの?
楽しいし、おもしろい!
「おもしろい」という気持ちは、仕事をするうえでとても大切にしていることのひとつです。どんなことでも興味(きょうみ)を持ってみると、いろいろなアイデアがうまれるからね。
実は最近、物流業界がひっくり変えるような大発明をしました。これが世に出たら、大ニュース!みんなびっくりするだろうな。もちろん強化ダンボール製です。特別に、みんなにもお見せしますね。おもしろいでしょ?