トラック大図鑑

教えて!「安全サポートシステム」のこと

ここは、神奈川県湘南台の喫茶店「いすゞCafe」。しぶいマスターが一人で切り盛りしている。
若いころはトラックドライバーとして活躍したらしく、
店にはそのころの写真や思い出の品が飾られている。
今日も地元の若いカップルが、おいしい珈琲に惹かれてやってきたようで・・・。

きょうこ

マスター、ブレンド

あきら

ぼくも濃い目のブレンド・・・。これからドライブするんで、バシッと眼を覚まさないと

マスター

あきらくん、疲れているんだったら、しっかり休憩してから運転しないと注意力が下がるからね。ゆっくりしていってくれていいからさ

きょうこ

そうよ

あきら

いまから高速道路走ってくるんだ

マスター

今日みたいに天気のいい日、高速道路を走るのは気持ちいいけれど、いきなり渋滞していることがあるからね。そんな渋滞の最後尾にはとくに注意して欲しいなあ

きょうこ

あたしも気をつけて前を見てるから

マスター

きょうこちゃんみたいな、しっかりものがそばで注意してくれるといいんだけどねえ。でもトラックの運転手さんはひとりで長い距離を走らなくちゃいけないから。疲れてくると注意力が落ちてしまうこともあるんだ

あきら

トラックの運転手さん、たいへんだね。何かサポートしてあげられないのかな?

マスター

うん、いろいろ新しいシステムが開発されているんだ。それはね・・・

安全運行サポートするシステム

トラックに求められるものは色々ありますが、中でももっとも大切なもののひとつが「安全に走行すること」です。ドライバーが注意して運転することがもちろん大事なのですが、最新のテクノロジーを使って、ドライバーの安全な運行をサポートするシステムがトラックで導入されはじめています。

まずは、「レーダー」を使ったシステムの例をご紹介しましょう。トラックに搭載されたレーダーが、前の車との車間距離をすばやく計算して、自動的にスピードを調節して、安全な距離を保つようにするというものです。こうして自動的に前の車との車間距離を調節してくれるシステムが働くと、安全面でもプラスですし、ドライバーの負担が軽くなり運転の疲労がおさえられます。

また、このシステムでは、前の車が急ブレーキをかけた時に、こちらも急ブレーキをかけなくてはいけなくなるような状況をレーダーにより自動的に検知し、「警報」を出してドライバーに注意を促します。

ドライバーが先行車や停止車両に気づかず、衝突の危険が高まった場合、「警報」を出してドライバーに注意を促します。

また、そのレーダーと連動して働くシステムがあります。「警報」を出したにもかかわらず、さらに近づいて衝突する可能性が高い、という時に「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ばれるシステムが働きます。これは、警報を出しても、衝突を避けるような運転がされなかったときに、自動的にブレーキがかかるようにするものです。危険な状態と判断されたときに軽く自動ブレーキが掛かりドライバーに知らせますが、それでも適切な運転がされないときには強い自動ブレーキをかけ、衝突時の、被害を軽減するものです。

車両が衝突する可能性が高いと判断した場合、自動的にブレーキを作動させ、衝突時の被害を軽減します。

こうした状況を常に察知するため、レーダーは常に安全な車間距離を計算できるように道路のかなり先の方まで検知しているのです。また、レーダーには「レーザー式」「電波式」などの種類があります。「レーザー式」は人間の目に近く、天候などによって検知しづらいことがありますが、「電波式」は天候などの影響を受けにくく安定して前にある物体を検知することができます。
トラックメーカーはこのレーダーの性能を高めようとさまざまな工夫をしています。というのは、前にあるものが「車」なのか、それを一瞬にして判断するには、たいへん高い性能が必要となるからです。レーダーは「動いているもの」より、むしろ「止まっていて衝突する可能性の高いもの」を判断するのが難しく、たとえば、道路にある物体が、小さくて上を通過できるようなものについては検知しても、対象外と判断するようにしなくてはいけません。
また、レーダーは道路の曲がり具合なども計算して、自分のトラックが進行する方向にあるものだけを検知するようにされています。つまり、隣接車線の車や、道路脇にある標識などの物体を対象から外すのです。こうした最新型のレーダーを中心としたシステムが搭載され、安全サポートのために働くようになってきています。

レーダーの前方に障害物を検知しても横方向にかかる力から道路の曲がり具合を計算して、対象を判断します。
あきら

トラックってすごいことになっているんだね!

マスター

そうなんだよ。安全な運転をサポートし、少しでも事故を減らしたいと言うことなんだね

きょうこ

確か、高級な乗用車にもそんなシステムがあるって聞いたことがあるけど?

マスター

そうだね。乗用車もそうなんだけど、レーダーで前にあるものを検知できても、走っている道路の曲がり具合が判らないと、衝突する可能性が有るかどうか判断出来ないんだ。そこでトラックの横方向にかかる力を調べることによって、走行中の道路の曲がり具合も計算してるんだよ

あきら

ふーん。そんな工夫がなされているんだ

マスター

もうひとつ、レーダーの他にこんなシステムがあるんだよ!

まだまだあるよ 最新システム

ドライバー自身の「運転集中度」を監視して、おかしいな、という時には警報を出すシステムも開発されています。運転中には、居眠りやわき見などの他、何か落としたものを拾おうとしたり、事故の原因となるいろんな行動がありますよね。
このシステムはドライバーの「運転のクセ」を自動的に学習して、そのハンドル操作がおかしいとき、たとえば「ふらつき」などを検知すると運転手に警報で知らせるものです。音だけでなく、エアコンの風を顔に吹き付けるということもできます。こうしたことによって、「わき見運転」「居眠り運転」をできるだけ防ごうとするものです。

これらすべての安全サポートに関する操作ボタンは、操作しやすい位置に配置するなど、いちいち確認しなくても扱えるぐらい使い勝手よく工夫されています。また、警報の音や、注意を喚起するディスプレイ表示のデザインなども、直感的にわかりやすくしてあるのです。

あきら

トラックにはこんなにいろんな安全サポートシステムが開発されているんだ!

マスター

もちろん運転手さんが気をつけることが一番大事なんだけれど、運転手さんも人間だからね。疲れて集中力が落ちてしまうこともあるだろう。これらのシステムがそのサポートになればいいけどね

きょうこ

あたしたちも気をつけていってきます

あきら

コーヒーのおかげで気分もスッキリしたし

マスター

安全運転でね!

きょうこ

あたしが隣で『集中監視』してますから

あきら

いつも寝てるくせに・・・

こうして湘南台の喫茶店『いすゞCafe』では、マスターとカップルのよもやま話はつきることがないようである。

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