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  2. 社会
  3. 従業員の尊重

基本的な考え方

従業員を尊重し、その能力を最大限に発揮でき、また安全で快適に働くことのできる環境を整えることで、従業員と会社がともに成長します。

従業員の尊重における取り組みテーマ

従業員の尊重を推進するために、以下の取り組みテーマを設定し、人事施策の改善に取り組んでいます。

  1. 多様な働き方への取り組み
  2. 労働安全衛生(協力企業含む)
  3. 多様な人材の活用
  4. 人材育成
  5. 働きがいの向上
  6. 労使関係

マネジメント体制

人事施策の取り組みについては、経営会議で人事施策関連案件をその都度報告するほか、定期的に管理部門会議を実施し、部門間での取り組みやその進捗に関する情報を共有しています。管理部門会議は、管理部門のEVP、VP、人事企画部長、総務人事部長、労務部長、いすゞ病院事務長により執り行われています。

取り組み

多様な働き方への取り組み

働き方改革の基本的な考え方

いすゞが追求する働き方改革の基本的な考え方は、「仕事に適した働き方を追求し、生産性を向上すること」にあります。会社全体で働き方改革を実現していくため、3カ月に1度開催する「働き方改革推進会議」にて職場課題の解決に向けた新たな施策を積極的に議論し、速やかに全社へ展開しています。

働き方改革推進会議の体制

働き方改革推進会議は、各部門のVP、代表部長により構成され、管理部門が事務局となって運営しています。また、いすゞ自動車労働組合がオブザーブ参加することで、従業員代表の意見も加味しながら、より実効性を高めた取り組みを行っています。

体制図 マネジメント体制

働き方改革推進会議の活動内容

3カ月に1度の頻度で推進会議を実施

  • 全部門の代表者(VP・部長)が働き方改革推進会議メンバーとして議論を推進
  • 各部門における取り組み事例の共有や、新たな取り組み(在宅勤務における課題など)の議論を実施
  • 推進会議で共有された内容や決定事項を各代表者が自部門に展開し、浸透を図る

働き方改革推進会議の取り組み施策

1. 質への転換
  • 仕事内容に応じた生産性向上の追求(部門ごとに在宅勤務含む働き方を検討/刷新)
  • 海外時差対応のためのノンコアフレックスを一部導入
  • 業務の効率化/標準化、RPA活用による定型業務の自動化
2. 柔軟な働き方
  • 育児/介護による在宅勤務制度の拡充
  • 長期欠勤からの復職時、不妊/難病治療のための在宅勤務
  • コロナ禍における就業体制の柔軟な変更

生産性の継続的な向上に向けた取り組み

働き方改革推進会議では、各自部署にあるベース業務※1を分析し、RPA活用などにより、自動化・簡素化する取り組みを推進しています。本活動の目的は、労働時間の削減にとどまりません。自動化・簡素化への取り組みによって捻出した労働時間をバリュー業務※2に充てることで、生産性の継続的な向上にも取り組んでいます。

  1. ※1ベース業務:ビジネス成立のための必要機能であり、既存の枠組みの中で行われる定常業務
  2. ※2バリュー業務:その業務に注力することにより、会社全体の競争力を伸ばし、会社の業績が向上する業務。会社にとって付加価値の高い業務
業務の把握 分析・改善 バリュー業務 ベース業務 改善活動 調査 分析

労働安全衛生

労働安全衛生の基本的な考え方

いすゞの安全衛生理念に基づき、従業員の安全と健康を事業活動の基盤に据え、活動を推進しています。この価値観は、いかなる時代・環境においても変わることのない普遍的な考えです。なお、この理念はいすゞで雇用されている方の雇用形態を問わず、また、構内で働く全ての関係会社の従業員にも適用されています。

いすゞの安全衛生理念

いすゞの安全衛生理念
安全衛生活動方針

従業員一人ひとりが「わが社の安全衛生理念」に立ち返り、安全を最優先に考え行動します。さらに、安全・衛生意識を向上させて、全員で全員の「安全」を保つ活動を展開します。

労働安全衛生の体制

各事業所では月1回、「安全衛生委員会」を開催し、従業員の労働安全・交通安全・健康管理、職場の環境改善などについて労使間で議論を行っています。さらに、安全衛生委員会での議論の内容を踏まえて、部単位で委員会を実施し、円滑な情報共有を図っています。国内協力会社に対しては、協力企業からなる「いすゞ安全衛生協力会」を設置し、毎月の企業診断を通じて、安全・健康・防火/防災に関する指導を行っており、連携の強化を図っています。また、事業のグローバル化に伴い、海外関連会社に対しても国内の災害情報を配信し、定期的に会議体を設けて情報共有を行い、指導を行っています。

体制図 マネジメント体制
  1. 安全衛生管理については、安全衛生担当部署を所管する役員が統括する体制としており、その内容や必要性に応じて、適宜報告がなされています。

労働安全衛生活動の取り組み

従業員の安全確保は、企業の最優先課題であり、いすゞでは、重点課題を日々、地道に積み重ね、安全の原則を確実に守れる職場を築くとともに、工場の安全管理目標達成に向け積極的に取り組んでいます。

2022年度の労働災害目標値

全災害件数 6件
死亡災害件数 0件

リスク評価の取り組み

いすゞでは、災害リスク低減のため、製造、開発における新規設備および新規化学物質の導入時、安全衛生部署を中心にリスク評価を行っています。
また、既存のプロセスにおいても、法令で定められた職場巡視に加え、工場長や各職場の代表者が定期的に安全パトロールを実施し、「不安全状態・不安全行動」などの問題点がないかリスク評価を行っています。明らかになった問題点を速やかに改善する事で、安全な職場づくりを推進しています。

体感型安全教育の拡充

各職場には、「いすゞ安全の原則」に関連した従業員が災害を疑似体感できる「安全道場」を常設しています。現業職場の従業員には年1回以上、災害を疑似体験してもらい、各人の危険感受性向上に努めています。また、ヒューマンエラーに起因した労働災害防止の観点から、安全マインドをより深めるための手段として、「VR安全教育」を導入しています。先期より、VR安全教育の対象者の拡大およびVRコンテンツを拡充し、ハード対策だけではカバーしきれなかった不安全行動のさらなる抑止を図ります。

VRを用いた危険体感教育の様子
講師による危険体感教育の様子
職場環境改善① 多角的な視点による現場パトロール

いすゞでは、「安全に役職、部署、年齢などは関係ない」という考えに基づき、工場長自ら工場内に出向き、作業者との対話を交えたパトロールを実施しています。さらに、職場ごとに選任された安全衛生担当者による相互パトロールや、労働組合によるパトロールも実施しており、さまざまな視点から現場の危険を事前に察知し、危険の芽を事前に摘むよう努めています。各パトロール内では、不安全行動や不安全状態の指摘だけでなく、「良好事例の展開」や「新たな気づき」を積極的に見つけ出し、社内全体に展開して、安全衛生のレベルアップを図っています。

パトロールの様子
職場環境改善② ドローンを用いた高所作業による墜落リスクの低減および震災時の活用について

屋根点検を人力で実施する場合、高頻度の実施点検は難しく、高所作業による危険も伴います。そこで、いすゞでは、ドローンを活用した屋根点検方法を確立しています。ドローンの活用によって、作業者は屋根の上に登る必要がなくなり、安全性が向上しているだけでなく、高頻度での点検や詳細な画像の取得が可能となり、作業効率の向上にも寄与しています。また、震災時の工場内、周辺地域の被災状況の迅速な情報収集方法として活用するため、防災・BCM訓練時に活用しています。

ドローン
空撮の映像を確認する様子
職場環境改善③ 躓きにくい安全靴の導入による転倒対策

加齢は筋力の低下等による転倒を引き起こしやすく、若年世代に比べて被災時の重篤度も高くなる傾向があります。そこで、「躓きにくい安全靴」を導入し、労災抑止ひいてはエイジフレンドリーな働きやすい職場環境の実現につなげています。導入後、従業員からは、「躓きにくくなった」という声が多数挙がっています。

防災・BCM訓練

各事業所では、さまざまな災害リスクを想定し、迅速かつ的確に対応できるよう、防災・BCM訓練を実施しています。訓練時には、対策本部の設置、各職場での避難訓練、火災想定箇所の消火訓練などを実際に行っています。なお、この訓練では、外部コンサルタントからリスク低減に向けた助言を得ながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を踏襲した、より実践的なオペレーション・フローの確立を目指しています。また、被災時に帰宅困難者が発生することを想定し、食糧・水の備蓄や宿泊所の整備を行うなど、従業員の安全を第一に対策を進めています。

防火概念図
ソーシャルディスタンスを確保した避難訓練の様子(ドローンによる空撮)
ソーシャルディスタンスを確保した避難訓練の様子(ドローンによる空撮)
BCM訓練の様子(震災を想定して屋外で対策本部を開設)
BCM訓練の様子(震災を想定して屋外で対策本部を開設)

WELL認証

2022年5月に移転したいすゞ横浜本社において、米国・健康建築性能評価制度「WELL Building Standard™(以下、WELL認証)」の最高ランク「プラチナ」レベルを取得しました。

「WELL認証」は、オフィス空間で働く従業員が、心身ともに健康で働くことができるオフィス空間かどうかを評価する国際的な認証制度です。米国の公益企業IWBI(International WELL Building Institute)が運用を担っており、4つの認証レベル(プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ)で格付けされ、国内自動車メーカーとして初めての取得となります。

いすゞは、中期経営計画で「ESGを視点とした経営への進化」を掲げ、人材・組織面では「イノベーションを創出する集団」への転換を目指しています。本社移転にあたっては、従業員が心身ともに健康で、いきいきと働くための職場環境整備に取り組みました。その結果、第三者機関である「WELL認証」のプラチナレベルを満たすオフィス空間として、高く評価いただきました。

WELL認証
WELL認証

従業員の健康維持・増進に関する取り組み

従業員の健康維持、職業性疾病予防に向けて、定期健康診断・特殊健康診断を実施し、有所見者への個別指導・受診推奨を行っています。また、疾病による休業者の職場復帰・両立支援、長時間労働者への対応などの個別対応を行っています。加えて、健康増進の取り組みとして、従業員食堂への「ヘルシーメニュー」の導入や、受動喫煙対策も行っています。
また、HIV/AIDS、デング熱、狂犬病、マラリアや結核などをはじめとするグローバルな健康問題に多面的に取り組んでいきます。具体的には、海外赴任者とその帯同家族に対し、健康診断結果に基づく保健指導や再検査フォロー、赴任先の国の感染状況に応じた衛生指導、推奨ワクチンの接種、現地の医療情報の提供と受診サポート、赴任中の受診や治療・心身面の悩みなどに関する相談対応、赴任先への産業医巡回を行っています。

新型コロナウイルス感染症対策

新型コロナウイルス感染症の蔓延に対して、社内の感染症対策設備の整備、従業員への感染症予防に関する啓発を行い、感染予防に努めています。感染者が発生した時には、早期対応・綿密な個別対応を行い、感染拡大防止に努めます。感染者の療養終了後には産業医による復職面談を行い、後遺症に関する相談対応など、安心して職場復帰できるようサポートしています。また、新型コロナウイルスワクチンの接種について、職域接種の実施を行い、従業員とその家族に対して接種のサポート強化を図りました。

いすゞモーターズサウスアフリカ(IMSAf)での感染症対策

南アフリカおよび周辺国向けに商用車、バス、LCVの生産・販売を行っているいすゞモーターズサウスアフリカ(以下、IMSAf)では従業員とその家族、地域の健康問題に対する取り組みとして、以下の感染症の対策を行っています。

新型コロナウイルス感染症

地域の医療機関と提携しIMSAf施設内に新型コロナウイルスワクチン接種センターを設備し、従業員とその家族・親戚にワクチン接種機会を設け感染予防に努めています。
また、老朽化が進み閉鎖していた地元の病院を、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種会場として使用できるよう、IMSAfは病院の改修事業に従事しました。具体的には改修事業そのものや改修に必要な経費を負担し、地域での新型コロナウイルス感染症拡大防止を目標に、医療関係者、地域の人々が一刻も早くワクチン接種できるようにIMSAf従業員一丸となりワクチン接種会場の開設に取り組みました。

新型コロナウイルスワクチンを接種したIMSAf従業員の様子
病院改装時のIMSAfの現場責任者と自治体の担当者
HIV/AIDS

毎年世界エイズディにIMSAf従業員とその家族、友人で点灯式を開催しています。亡くなった方、感染者へお祈りする機会を設けることで、HIV/AIDSへの意識を高め、結果的に予防することに貢献しています。

従業員に対して世界エイズデイに、点灯式開催を伝える案内メール

メンタルヘルス対策の推進

セルフケアサポートとして、ストレスチェックの実施やその後の面談対応、新入社員へのセルフケア研修などを行っています。またラインケアとして、職場での相談体制の構築に加え、ラインケア研修やストレスチェック結果を活用した職制へのカウンセリングなどを行っています。産業保健スタッフによるケアとしては、日々職場からの相談対応を行い、必要時には外部機関の紹介や職場との就業調整、継続的なフォローを行っています。また外部資源としてEAPを活用しカウンセリングや研修の実施を行っています。

  1. EAP:外部専門家による支援

復職・就労の支援

いすゞでは、病気療養後も従業員が安心して復職できるよう支援を行っています。復職前には綿密な状況確認を行い、産業医・保健師・職場・労務担当者と連携しながら復職に向けたサポートを行います。生活指導や出社訓練、EAPとしてリワーク施設(外部の職場復帰支援施設)の活用も行い、復職に向けての準備をサポートします。復職後は、産業医・保健師による定期面談を通じて継続的なフォローを行い、安心して就労が続けられるよう支援しています。

健康維持増進への取り組み

従業員とその家族の健康管理については、レセプト(医療費)や健診データを定期的に分析し、優先すべき健康課題を抽出して保健事業を計画・実施しています(データヘルス計画)。

(人)
重点課題 2020年度 2021年度 2022年度
特定保健指導受診者 1,003 1,677 2,056
人間ドック受診者 4,821 4,194 5,219
メンタルヘルスカウンセリング相談者 86 100 76
24時間電話健康相談利用者 99 101 64
レクリエーション・スポーツ参加者 - - -
高齢者訪問指導 7 - 3
健康セミナー参加者 1 - -
生活習慣病予防、うがい・手洗いキャンペーン、ウォーキングチャレンジ 他 参加者 2,030 1,375 1,667
トレーニングエリア利用者 - - 1,336
婦人科検診受診者 1,373 1,399 1,456
  1. レクリエーション・スポーツや、高齢者訪問指導、健康セミナーは、新型コロナウイルス感染症の影響により未実施となったことなどから、大幅減となっています

把握している主な健康課題

  • 40歳代からの生活習慣病関連疾患の1人当たりの医療費が拡大している
  • 家族(被扶養者)の健康診断(特定健診)受診率が低く、疾病予防が後手に回っている
  • 従業員の喫煙率が平均と比較して非常に高く、その影響により健康保持・増進が進まない

これらは、現在、いすゞが保険者として把握している主な健康課題です。これらの課題への対策を中心に保健事業を展開しています。なお、健康管理やメンタルヘルス対策などは、総務人事部・労務部の健康相談室が担っています。

多様な人材の活用

多様な人材の活用の基本的な考え方

年齢・性別・国籍・障がいの有無・就業雇用環境などの違いを認め、その違いを生かすことで、従業員の働きがい向上や新たな発想、価値の創造による企業の競争力向上が期待できると考えます。
引き続き、障がい者・外国人など多様な従業員の採用や、短時間勤務や育児・介護休業などを取得しやすい環境づくりなど、さまざまな施策を推進していきます。

ワーク・ライフ・バランスの推進

いすゞでは、有給休暇について、年間18日以上を目標に取得を推進しています。具体的には、「働き方改革推進会議」において、各部門の年次有給休暇取得日数や、推進施策事例の共有などを行いながら、年次有給休暇の取りやすい風土づくりを推進しています。また、一斉退社日の設定(毎週水・金曜日)や、在宅勤務・フレックス勤務の活用なども推奨しながら、ワーク・ライフ・バランスを推進しています。

仕事と育児・介護の両立を支援する主な制度
出産・育児 育児休職制度 子どもが満2歳に達した直後の4月末まで分割して取得が可能
配偶者出産休暇 出産日より2週間以内に3日間取得が可能
看護休暇 小学校就学の始期に達するまでの子どもの看護のために取得可能
短時間勤務制度 子どもが小学3年生に達した直後の3月末まで時短勤務が可能
在宅勤務制度 妊娠時から、子どもが小学校3年生に達した直後の3月末まで在宅勤務が可能
介護 介護休職制度 介護に必要な期間(1年以内)
介護休暇 家族の介護のために取得可能
短時間勤務制度 介護に必要な期間、時短勤務が可能
在宅勤務制度 家族の介護のために在宅勤務が可能

リモートワーク

現在、各部門の業務内容に応じて在宅勤務を実施しています。また、各地区にサテライトオフィスを設置し、他事業所への外出時にリモートワークできる環境も整備しています。リモートワークについては、従来の業務の進め方や業務内容の棚卸しを行った上で実施することで、生産性の向上にも寄与しています。

女性の活躍推進

いすゞが持続的に成長し、社会に貢献し続けるためには、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が重要な要素であることを十分に認識しています。現在、いすゞには女性正社員が約450名おり、そのうち10%超が管理職(上級職)です。併せて、女性活躍推進法に基づく認定「えるぼし」の3つ星を取得しており、今後も育成ならびに登用を積極的に進め、女性の活躍を推進する取り組みを行っていきます。

女性活躍推進に関する行動計画

いすゞでは、女性活躍推進法に基づき、以下の行動計画を策定しています。

  • 女性管理職(上級職)人数について、女性管理職登用目標を定めた2014年時点に対し、2024年3月末までに2倍以上とする。
女性活躍推進法に基づく認定「えるぼし」の3つ星を取得

「えるぼし」は、女性活躍推進法に基づき、厚生労働大臣が女性活躍推進への取り組み実施状況が優良な企業を認定するものです。認定段階は、厚生労働省が定める5つの項目(採用、継続就業、労働時間などの働き方、管理職比率、多様なキャリアコース)の基準達成度に応じて4段階あり、「認定段階3」と評価されました。

えるぼし
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)

いすゞグループとボルボ・グループ(以下、VG)は、 DE&I(Diversity[多様性]、Equity[公平性]& Inclusion[受容性])推進を目標とするネットワーク「VOIS」を結成しています。両グループにおけるDE&Iに関する最良の事例を共有し、双方の従業員に前向きな変化をもたらすことを目指しています。
2022年10月に、VG本社(スウェーデン・イエテボリ市)で、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)をテーマとしたイベントを開催しました。アンコンシャス・バイアスが、お客様、お取引先様、パートナー企業との関係にどのような影響があるか、機能横断的に働くなかでのインクルージョンの重要性、戦略的協業におけるDE&Iの役割などを、両社の社長、経営層が参加しディスカッションしました。本イベントはライブ配信され、両グループの役員・従業員約2,500名が参加し、アンコンシャス・バイアスの理解を深めました。

VG本社会場の様子
VG本社会場の様子
アメリカ駐在時代の体験談を話す南社長
アメリカ駐在時代の体験談を話す南社長

高齢者(定年後)の活躍推進

いすゞでは、定年後再雇用制度などにより、従業員が60歳以降も継続して活躍できる環境を整えています。現在、約800人の従業員が定年後に再雇用従業員として活躍しています。

外国籍従業員について

多種多様な文化的背景を持つ従業員が働きやすい職場環境を整備する取り組みとして、事業所内の一部に「お祈り部屋」を整備し、宗教上の制約に配慮した食堂メニューを提供するなどの取り組みを行っています。

現地雇用

いすゞグループは現地での雇用を基本的な方針としており、事業展開する国、地域での現地採用を積極的に行っています。海外グループ会社では、現地雇用者を中心に15,951名が従事しています。

障がい者雇用の促進

障がいのある人もない人も、お互いに支え合い、豊かに暮らせる社会を目指し、新卒採用に限らず中途採用なども積極的に進め、障がい者の雇用に取り組んでいます。また、配属先については障がい者の方が活躍できるよう、本人適性や本人希望に鑑み、障がいの内容に配慮しながら事務系の職場のみならず技能系の職場へも配属しています。

人材育成

人材育成の基本的な考え方

いすゞでは、人材育成の中心は職場での実業務から学ぶOJTであり、職場から離れて研修を受講するOff-JTは、会社が求める能力を示し、従業員が自身の成長すべき方向性を認識する場であると考えています。これは、変化と競争の激しい経営環境の中では、従業員一人ひとりが自ら考え、行動していくことが求められるという考えに基づいています。そこで、いすゞは、各階層に求められる能力を精査して明確にし、必要なタイミングで必要なスキルを身に付けられるよう、充実した教育体系を構築しています。

OJT 自己啓発

教育・研修体系

いすゞの教育体系は、キャリア開発、スキル開発、マネジメント能力開発の3分野から成り立っています。キャリア開発では、新入社員と若手従業員を対象としており、自らの専門性を高め、自身でキャリアを開発できる人材を養成しています。スキル開発では、それぞれの階層や職位に必要とされる能力を中心に、グローバルに活躍するために必要な知識や見識を身に付けられるよう、従業員のスキルアップをサポートしています。マネジメント能力開発では、将来の経営人材を育成するために、マネジメント力や人間力強化を目的とした教育を実施しています。

事務技術職および上級職
キャリア開発 スキル開発 マネジメント能力開発 上級職 中堅 若手 新人 新入社員 OJT
技能職
いすゞ技能職 実施研修
いすゞ自動車高等工業学校

いすゞ自動車高等工業学校(以下、いすゞ高工)では、高校を卒業した技能系新入社員(以下、訓練生)に対して、教育訓練を行っています。3カ月の短期育成と1年訓練の2コースがあり、どちらも技能系社員としていすゞの「ものづくり」に必要な知識・技能、心構えを重視した教育内容となっています。
また、いすゞ高工の指導員は、現場で実務を担っている従業員から選ばれ、訓練生に指導します。これにより、指導員となった従業員が自分自身の業務知識を見直す機会にもなるとともに、人材育成の方法を学習することができ、指導員自身の成長にもつながっています。

いすゞ高工での訓練風景と実習風景
いすゞ高工での訓練風景と実習風景

技能の伝承と育成

いすゞでは、技能の伝承と育成に関して、技能職を対象として階層別に教育体系を定め、技能レベルの向上に努めています。

部門ごとの取り組み
生産部門
  1. 高度で長い経験が必要とされる特殊技能について、職場単位で伝承教育を実施していることに加え、生産部門全体として体系立てた技能伝承を進めています。
    1. 技能職の階層別教育:新入社員・若手・中堅・管理監督者など
  2. 国内トップレベルの技能習得を目指して技能五輪に毎年挑戦しており、例年上位入賞しています。
    • 2019年度銀賞:自動車板金(1人)
      敢闘賞:自動車板金(1人)、旋盤(1人)、機械組立て(1人)
    • 2020年度銀賞:機械組立て(1人)
      銅賞:自動車板金(1人)
      敢闘賞:自動車板金(1人)、機械組立て(1人)
    • 2021年度銅賞:機械組立て(1人)、旋盤(1人)
      敢闘賞:機械組立て(1人)
    • 2022年度敢闘賞:機械組立て(1人)、旋盤(1人)
  3. 外部教育機関と連携して、高度な技術教育や指導育成を図っています。2011年と比較すると、国家技能検定取得者数は倍増しています。引き続き管理部門と職場が一体となり、資格取得を支援するための勉強会・練習会を実施していきます。
開発部門
  1. キャリア目標を上司・部下が共有するキャリアプランを毎年策定し、それぞれの階層に応じた技能研修とOJTで身に付けることを目指して、各種カリキュラムを実施しています。
  2. いすゞの教育施設である「いすゞものづくりサービストレーニングセンター」に加え、職業能力開発促進センターなどの外部教育機関と連携することにより、高度な技能研修を行っています。
  3. 試験車両の運転業務に対して独自の認定制度を定めて、運転技能レベル向上に努めています。

人事評価制度

人材育成・活用サイクル

いすゞでは、育成~配置~評価・処遇の流れを「人材育成・活用サイクル」として整備し、自律的かつ計画的に人材が育つ仕組みとして導入しています。

公正な評価・処遇

いすゞでは、従業員個々人の仕事、役割、貢献度、能力伸長/発揮度などを基軸とした評価制度を導入しています。これにより、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すとともに、社会的身分・出身・人種・信条または性別など、非合理的な理由での差別を認めない公平・公正な評価によって処遇することで、従業員のやりがいや意欲向上につなげています。

キャリア開発支援

いすゞでは、階層別教育プログラムのほかに、自ら選択し受講できる各種ビジネス講座や、オンライン英会話の研修といった、従業員のさらなるキャリア形成のための自己啓発支援を行っています。

働きがいの向上

働きがいの向上の基本的な考え方

いすゞグループで働く全ての従業員の働きがいを経営理念体系のミッションに掲げ、経営課題と捉え重点的に取り組んでいきます。従業員が活性化している状況を確認するため、働きがいに関する意識調査を継続的に実施し、データの変化を観測していきます。これらの調査の結果については、次なる施策を策定する上での貴重なデータとして活用し、働きがいNo.1に向け取り組んでいきます。

労使関係

労使関係の基本的な考え方

いすゞでは、従業員の「結社する自由(しない自由)」、および「団体交渉の自由」を尊重し、労使が協力して働きやすい環境づくりに努めています。労使相互信頼を基盤として公正かつ健全な労使関係を確立しており、労使が協力して課題解決への取り組みを進めています。

  • 特に重要な経営上の課題:労使間で定期的に開催している労使協議会などを通じて検討・協議
  • 経営施策:労働組合から職場の現況を踏まえた提言を受け、活発に議論
  • 人事・労務関連の諸制度の運用・改定:労使双方の課題認識を基に十分に協議した上で実施

こうした労使関係により、企業運営の客観性や透明性とともに諸施策の実効性を高めており、今後も労使が協力して働きやすい環境づくりに努めていきます。

実施している主な労使協議会

主な労使協議実施内容
労使交渉 春闘 主旨:総合生活改善に関する労使交渉の場
議題:賃金/賞与、労働条件全般
出席者:社長、部門EVP
労使検討委員会 主旨:年間を通じた議論の場
議題:労働諸条件全般
出席者:人事企画部長、総務人事部長、労務部長
労使協議会 中央労使協議会 主旨:全社の事業活動を協議する場
議題:会社の経営方針、生産、販売、経理、賃金、研究開発など
出席者:社長、部門EVP
専門労使協議会 主旨:生産活動に関する専門的な労使協議の場
議題:生産に関する取り組み方針、生産性、課題進捗など
出席者:生産に関する役員、VP、部長
工場労使協議会 主旨:毎月実施の労使協議の場
議題:稼働体制、職場環境、福利厚生など
出席者:工場長、担当部長など
労使懇談会 主旨:部門単位の労使の意見交換の場
議題:各部門の方針や課題、職場の声など
出席者:部門EVP、VP、部長など
年間の主な労使交渉・労使協議会スケジュール Ⅰ期(4~9月)  Ⅲ期(10月~翌3月) 全社イベント  5月 決算発表 11月決算発表 労使交渉 春闘  労使検討委員会  通年議論 労使協議会 中央労使協議会 専門労使協議会 工場労使協議会 労使懇談会 2月中旬~3月中旬 6月中旬 12月上旬頃 5月下旬頃 11月中旬頃 毎月下旬 5月中旬~6月上旬 11月頃