米代トラック株式会社

最新鋭の車両・機器は林業と地域を支えるために

米代トラック株式会社は、米代川流域の運送会社が戦時統合し1943年に創業。
戦後の木材需要拡大で成長する中で林業部門を設け、素材生産から輸送まで一貫した事業体制を構築。
近年は最新鋭の車両や機器を導入すると共に労働環境の改善に努め、併せて持続可能な林業の発展に取り組んでいる。
※掲載内容は2026年2月1日紙面掲載時点のものとなります。

「東洋一の木都」能代と共に林業に特化した輸送企業へ成長

奥羽山脈の中岳を源流とし、能代平野を東西に流れ、日本海に注ぐ米代川。その流域の山間部は、日本三大美林の一つである秋田杉や白神山地(世界遺産)のブナの植生地として知られ、古くから林業が盛んな地域。かつて米代川では、上流で丸太を筏に組んで下流まで運んでいたそうだ。

“米代川”を社名の由来とする米代トラック株式会社は、戦時下の1943年に、国策によって米代川流域の運送会社3社が統合して誕生。創立時の車両台数は36台だったという。戦後は、復興期と高度経済成長期の経済発展により木材需要が拡大。当時の能代市は、多くの木材業者が集う「東洋一の木都」と呼ばれ、同社も順調に業績を伸ばしてきた。そして1969年に林業課(1979年に部に昇格)を開設する。これが、同社の事業の方向性を定める上で大きなターニングポイントになった、と代表取締役の梅村春男氏は話す。

代表取締役 梅村 春男 氏

「当社は社内に林業部門を設けることで素材生産事業に進出。立木の伐木造材から集積場までの運搬、原木・チップ輸送まで一貫して手がけられる事業体制を築き上げました。現在は地域の貴重な森林資源を確保するため、植林・育林業務にも従事しています」

また同社は自社所有林を15ha保有。素材生産量は年間3万㎥ほどあり、原木の販売も行っているとのこと。さらに1999年には産業廃棄物収集運搬業の許可を取得し、伐採場で発生する木くずや廃材なども運んでいる。

ところで、天然秋田杉は細かい木目が均等で美しく、比較的強度も高い上に加工もしやすいことから住宅用の建築材をはじめ、様々な工芸品に使用されてきた。しかし近年、天然秋田杉は乱伐により減少著しく、資源保護の観点から伐採が禁止されている。一方で秋田県は早くから山間部の造林整備を推進。その取り組みの甲斐もあって、現在、杉の人工林は全国一(国有林・民有林)の面積を誇っており、植林された秋田杉は新たなブランド杉として市場に流通している。能代市の米代川流域に事業拠点を構える同社は、森林を管理する行政機関や自治体、各森林組合、木材会社などの要請に基づき、伐採された秋田杉を県内のほか、青森県、山形県の製材所・木工所などへ運んでいる。

会社概要
本社(秋田県能代市)
会社名
米代トラック株式会社
所在地
秋田県能代市
二ツ井町字五千苅47-6
設立年月日
1943年4月1日(創立)
代表者
代表取締役 梅村 春男
従業員数
80名
保有車両台数
59台(林業用重機を除く)

積極的な設備投資により労働環境を改善

1970年以降、安価な輸入材によって木材需要が満たされていく中、国内の木材自給率は急速に低下。林業を取り巻く様々な課題が顕在化するなど、新たな局面を迎えた時期に社長に就任された梅村社長。およそ四半世紀にわたり、どのように問題に対峙し、手を打ってこられたのか、お話を伺った。

「経営理念にも掲げていますが、当社は地域との共生、社員の安全安心、多様な顧客ニーズへの対応を念頭に置いて事業を展開してきました。特に注力したのは労働環境の改善。急勾配や足場の悪い現場での作業は、事故の原因になるだけではなく、生産性も低下しますので、作業の安全性向上、軽労化、効率化を実現する車両や機器を導入してきました。こうして積極的に設備投資を実施したことで、木材需要に応じた原木の安定供給に貢献。また人材確保に寄与すると共に収益性も高まりました」

林業用クレーンを備えた最新鋭の車両を導入

年間約40万㎥もの原木・チップを運ぶという同社。近年は、原木の運搬には、操作性に優れたローダークレーン(ヒアブ社製)を装着した車両や、積載性に優れたギガフルトレーラなどを積極的に導入。荷役作業の効率化やリードタイムの短縮、輸送コストの削減に努めてきたという。

また2021年には、大型トラックギガに林業用クレーンを備えた「ハイビジョン」と「キャビン付き」(どちらもヒアブ社製)の原木運搬車を導入。最新鋭の車両ということもあり、同業者からも注目を集めている。

国内初導入となった「ハイビジョン」は、車両後部に林業用クレーンが搭載されており、作業範囲が見渡せる位置に複数のカメラが取り付けられている。クレーンを操作する際は、車両の助手席に座り、VR(仮想現実)ゴーグルを装着。カメラに映し出された3D映像を見ながら2本のジョイスティックでクレーンを操作するシステムだ。

大型トラックギガ(ハイビジョン)原木運搬車
助手席でVRゴーグルに映し出される3D映像を見ながら、クレーン操作ができる。

もう1台の「キャビン付き」は、風雨にさらされることなくクレーン操作が行えるキャビン(操作室)が車両後部に備えられたタイプ。人間工学に基づいて設計されたキャビンは視界が広く、操作レバーや各種モニターが最適な位置に配置されている。

大型トラックギガ(キャビン付き)原木運搬車

梅村社長は、導入する1年ほど前に同車両を視察。労働環境の改善などに役立つと考え購入を決めたそうだ。

「これらの車両は、オペレーターの快適で安全な操作環境を実現。また『ハイビジョン』はゲーム感覚で操作を習得できるところが魅力で、地域の若い人に関心を持ってもらえれば、と考えました」

と語られた梅村社長。今後も同社は、業務の効率化や生産性の向上と共に、社員の高齢化、人材不足対策として期待ができる最新鋭の車両及び機器を増やしていく方針である。

リモコン草刈機やドローンなど最新機器を積極的に導入することで、作業の安全性及び生産性の向上、森林管理の効率化・省力化を実現。

秋田杉のように力強く、地域と業界を支える企業へ

木材業界は、2021年の「ウッドショック」以降、輸入材の不足・価格高騰から国産材へ切り替える事業者が増え、それに伴う新たな輸送需要が生じている。現在も円安やエネルギー価格高騰、国際情勢の影響などで、木材価格は依然として高水準で維持されている。こうした市場動向を踏まえ、最後に梅村社長に今後の展望や事業計画についてお話を伺った。

代表取締役 梅村 春男 氏

「ここ数年、業界的には好景気に沸いており、米代川流域からも膨大な原木が市場へ供給される見通しです。当社としては、車両・機器の調達、人材確保に努めるなど、柔軟に対応できる体制を敷いています。林業は、カーボンニュートラルなど様々な面から将来的に有望な産業であり、今後は自社所有林の拡大及び造林、木材チップ事業への進出なども検討しています。このビジネスチャンスを十分に生かせるように社員と共に事業に邁進していく所存です」

同社を「木都能代」屈指の輸送企業へと成長させた梅村社長は、これからも風雪に耐えながら天高く伸びていく秋田杉のように、しっかりと地域に根を張り、持続可能な物流の未来を見据えて事業を推進していくことだろう。

常務取締役
髙橋 多妥雄 氏
取締役営業部長
吉田 金光 氏
取締役営業課長 造林担当
安保 博 氏

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