株式会社トッキュウ
野球チームで人材確保!地域活性化にも貢献する
「まごころ」を基本理念とし、そして「進む-progress-」を経営キーワードに運送業と倉庫業を軸とした事業を展開する株式会社トッキュウは、全国に倉庫を備えた営業所を開設し、顧客ニーズにそった物流サービスを提供。人材確保と地域活性化を目的に結成した社会人野球チームが注目を集めている。
※掲載内容は2024年10月1日紙面掲載時点のものとなります

運輸業と倉庫業を軸に道外にも事業を拡大
北海道の中西部に位置する岩見沢市は、かつて、空知地域から採掘される石炭輸送の一大中継拠点として発展した街である。1953年、国内経済が急速に復興に向かう中、道内(三笠)の炭鉱で働いていた工藤石太郎氏(現社長の祖父)は「自動車の時代が到来する」と予見し、安全・確実・迅速をモットーに「まごころ便」という名称で輸送サービスを始める。当初は自動三輪で石炭や野菜を運んでいたそうだ。すると、その丁寧な仕事振りが評判となり、地元の酒造メーカーの商品輸送を受注。1959年に特急栗山小型貨物運送(株)を設立した。さらに1975年に現在の岩見沢市栗沢町に本社を移転し、同時に倉庫事業へ進出するなど、着実に事業基盤を築き上げていった。その後も成長の歩みを止めず、1986年に道外に営業所(千葉県柏市)を開設。そして1990年に、現在の(株)トッキュウに社名を変更する。



- 会社名
- 株式会社トッキュウ
- 所在地
- 北海道岩見沢市栗沢町最上498番地9
- 設立年月日
- 1959年(創業1953年)
- 代表者
- 代表取締役会長 工藤 修二、代表取締役社長 工藤 真也
- 従業員数
- 約290名
- 保有車両台数
- 256台(グループ合計)
「現状に甘んじることなく、ゆくゆくは道外へ事業を拡大する。これは、千葉県で学生及び就業時代を過ごした現会長の強い想いでした。当社は、これを機に道内外に営業拠点を増設。また業務に特化したグループ企業も設立しました」
と語られた現社長の工藤真也氏。現在同社は、道内外に13拠点の営業所を設けると共に、グループ輸送企業2社、介護事業会社2社を有するまでに事業規模を拡大してきた。
理系大学院卒業後、IT企業に就職し、主にSE(プログラマー)としてシステムづくりに携わってきたという工藤社長は、2001年に同社に入社。前職のスキルを活かして社内のシステム化(改良・構築)を推進。10年前に独自の総合管理システム(経理・労務・業務管理等)を構築したそうだ。社長に就任してからは、トッキュウホールディングス株式会社を設立し、多角化した事業を効率的に管理・運営できる事業体制へと移行させた。
各地域に特化した独自の事業体制を構築
現在同社は、建設・土木資材をはじめ、産業機械、酒類、食品(冷蔵冷凍等)、雑貨などの輸配送を手がけている。主な積荷である建設・土木資材は、自社及び(株)真和建機運輸(グループ企業)で請け負っており、運行体制が大きく異なる食品については、専門会社として(株)トッキュウ・ロジ(グループ企業)を設立して実務を担っているという。また長年の経験とノウハウを活かし、各種(家庭・オフィス等)引越業務も手がけているほか、冬季は、社会貢献活動の一環として除雪・排雪作業を請け負っている。
各拠点に倉庫(荷役用クレーン付き)を保有するなど、顧客の多様な物流ニーズに対応。
倉庫事業は、道内外の各営業所に倉庫を有し、一般商品・資材の保管に加え、資材・機械の出荷時には整備・点検・梱包も行う。さらに、納品先での据付け・調整作業などの付帯サービスも提供しているとのこと。工藤社長に同社の特徴についてお話しを伺った。
「当社は、お客様のニーズに応えるかたちで、倉庫を備えた営業所を開設してきました。したがって運輸及び保管などのサービスは、各拠点エリアで提供。長距離輸送については、拠点間で中継するか、協力会社に依頼することで対応しています。こうした各地域に特化した独自の事業体制を構築することで、従業員が安心して働ける環境を実現。お客様にも業務の効率化にご協力いただくなど、すでに『2024年問題』におけるドライバーの労働時間問題は解決済みです」
なお、給油所は岩見沢市内で運営しており、燃料販売や各種メンテナンスサービスはもちろんのこと、一般家庭や現場へ灯油・燃料の配送も行っている。

社会人野球チームで人材確保・地域活性化
実は同社は、あるプロジェクトを実現し、周囲から注目を集めている。それは硬式野球チーム「トッキュウ ブルーローズ」の結成だ。数年前からチーム結成プロジェクトに取り組んできたという工藤社長。その動機と経緯についてお話しを伺うことができた。
「運送業界に限らず、地域は慢性的な人手不足に陥っています。一方で、この岩見沢は昔から野球が盛んな地域。それなら野球で問題が解決できないか、と考えたのです。地域の多くの企業にスポンサーとして参加してもらって、人手不足解消と地域活性化につなげたい。そんな想いでチームをつくりました」
このプロジェクトには多くの企業が賛同。部員募集では、道内の高校・大学卒業生のほか、本州からのUターン組にも声をかけたという。現在、チームには監督・コーチを含め21名が所属。そのうち同社の従業員が13名を占める。もちろん部員は、仕事と野球を両立することになる。同社の場合、始業時間から17時までドライバーや庫内作業員、営業員などとして勤務。練習は近郊の市民球場や専用の室内練習場で約3時間(週3~4日間)行う。試合は主に土日に行われるそうだ。目標は都市対抗野球大会に出場して優勝することだという。

多様な顧客ニーズに応えるサービスを提案
早くから職場環境の改善や制度の見直しに取り組んできたという同社。具体的には、ドリンク飲み放題のリフレッシュルームを完備したり、育児及び介護休業、有給休暇の活用も推奨したりしてきたという。その結果「働きやすい職場認定制度二つ星」を取得すると共に「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」の認定も受けたそうだ。さらに、従業員の育成にも注力しており、キャリアアップに必要な各種免許取得の補助制度も充実している。
「これからは、ますます従業員の高齢化が進みますので、さらに健康や安全に配慮し、長く安心して働ける魅力的な職場づくりをめざします。また施策としては、刻々と変化する時代を見据える中で品質の高い物流をめざし、多様化するお客様のニーズに的確にお応えできるよう、より効率的で最適なサービスをご提案してまいります」
と最後に今後の展望を語られた工藤社長は、経営課題を明確化する一方で、昨年、道外に2つの営業所を開設し、事業体制を強化。同社の「まごころ便」は、新たな成長のステージへ向かって力強く突き進もうとしている。
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