独自の物流サービスでお客様の信頼を獲得
「このまま会社員として定年まで働くよりも、生まれ育った富山のために何かをしたい」そう決意して昨年9月、ホクトミ運輸株式会社へ入社した澤飯紀大氏。同社の4代目社長が誕生した瞬間である(就任は今年4月)。
- 会社名
- ホクトミ運輸株式会社
- 所在地
- 富山県魚津市上村木2-3-22
- 設立年月日
- 1966年4月30日(創業1963年)
- 代表者
- 代表取締役社長 澤飯 紀大
- 従業員数
- 93名
- 保有車両台数
- 80台
富山県魚津市に本拠を構える同社は1963年に創業。澤飯社長の父親と叔父が共同で始めた運送会社である。創業時より化学薬品などの危険物輸送を手がけることで事業を拡大。さらに、北陸地域に生産拠点を構える企業の各種製品、原材料、一般貨物などの輸配送も開始。また、顧客の要望に応えて保管サービスも提供するなど、安定した経営基盤を確立してきた。現在、営業拠点は本社のほか3カ所(金沢は倉庫も保有)。また滑川市と魚津市に物流倉庫を設け、顧客の物流ニーズに応えている。輸配送エリアは、北陸4県(富山県、石川県、福井県、新潟県)に加え、関東全域をメインに全国に及ぶ。車両はウイングボディ、平ボディをはじめ、化学薬品を運ぶローリーや原材料輸送用のダンプなどを保有。澤飯社長に会社の特徴についてお尋ねした。
「当社の特徴の一つは、多くのお客様(荷主)と直取引している点にあります。主要なお客様の生産拠点の近郊に営業拠点、自社倉庫を設けることで、様々な要望に迅速に対応してきました。二つ目は、化学薬品(危険物)を安全確実に運べるスペシャリストであること。これらの強みを活かして継続的に物流サービスを提供することで、お客様と揺るぎない信頼関係を築き上げてきました」
と語られた澤飯社長。信頼のマンパワーと独自の物流ノウハウが同社の強みと言えるだろう。なお澤飯社長は、この社風をより社内に浸透させるため、経営理念「安全第一/まごころ・信頼/融和貢献」に基づいた「ビジョン・ミッション・バリュー」を作成。事故やクレームなどをなくす「ゼロへの挑戦」と共にコンプライアンスを徹底し、社員一人ひとり、各部門が相互に助け合いながら成長していける物流企業をめざしている。


柔軟な物流体制と「メンテナンス受諾」でサービスの質を高める
詳しい運行状況について毛利常務にお話しを伺った。
毛利 一夫 氏
「売上の約30%を占めるアルミ形材は、富山県内の製造工場で引き取り、関東全域の加工会社へ納品しています。またアルミコイルについては、自社で運営する滑川物流センター(富山県)で保管し、発注に応じて加工会社へ配送。各種建材は、金沢営業所(石川県)の専用倉庫で保管後、福井・石川・富山の3県へ届けています。危険物の化学薬品(各種カーバイド等)は、専用のローリー車で輸送。担当ドライバーは、危険物取扱者(危険物第3類)などの資格を取得しています。その他に食品を含む一般貨物なども運んでいます。このように当社では、お客様の要望に柔軟に対応できる物流体制を構築しています」

敷地面積:6,971㎡
倉庫面積:2,678㎡



ところで最近同社は、大型トラックギガを3台導入したそうだ。車両整備をいすゞに委託する「メンテナンス受諾」を採用。以前から1運行約1,000キロ以上に及ぶ北陸関東間の輸送で、路上故障や故障に伴う事故が発生しないか心配だったという。以前に導入した車両の整備費が予想以上にかさんだこともあり、実際に「メンテナンス受諾」を試してみることにしたそうだ。
路上故障を未然に防ぎ、万が一路上故障が起きても、迅速に対応してもらえるため、ドライバーも安心。さらに、事故防止、稼動率の向上、整備費用の削減などが期待できる、と判断したとのこと。お客様へのアピールポイントにもなるので、今後も長距離運行する車両での導入を検討しているという。
合計61名に報奨金を支給社員のモチベーション向上
経営理念でも掲げられている安全に対する取り組みとしては、毎月、発生した「ヒヤリ・ハット報告」を検証し、教材などを活用して継続的に教育しているという。また、月ごとの省燃費データ(ランキング表)を休憩所に掲示すると共に、その運転技術も指導していると谷林部長は話す。
谷林 寿浩 氏
「省燃費運転は20年以上続けてきた取り組みで、ほとんどのドライバーに定着しています。ドライバー自身に意識してもらうことが大切なので、根気よく指導しています」
また、同社ではドライバーの確保、定着率を上げるため各種表彰制度のほか、有給休暇取得促進、健康管理や福利厚生も充実させている。中澤部長に人材確保対策について、お話を伺うことができた。
中澤 悟 氏
「昨年度は61名(複数受賞者含む)に報奨金を支給しました。ドライバーを含め社員のモチベーション向上に役立てています。特に若い人が、しっかり休暇を取得できる職場づくりを推進しています。採用については、スマホで応募できるエージェントを活用しており、近々ホームページ(採用ページも充実)を刷新する予定です」
地域と共に成長できる新たなビジネスをつくる
現状では、すべてが順調に見える同社の経営だが、澤飯社長は次世代を見据えた取り組みが急務だと話す。

澤飯 紀大 氏
「今輸送している製品が将来も運べる保証はありません。したがって現状に甘んじることなく、将来を見据えて、お客様の要望に応じた新たな体制(システム、仕組み)づくりを進めていく必要があります。北陸は、多様な地場産業や製造拠点が混在している地域なので、その潜在的な可能性を新たなビジネスにつなげたいと考えています。社内的には、当面ドライバー対策が急務となります。ドライバーの確保と育成が成長戦略の大きな要であり、積極的にドライバーの給与アップ、待遇改善に努めることで、運送事業者の地位向上に貢献していく方針です」
と最後に中長期的な展望を語られた澤飯社長。今年3月、北陸新幹線が敦賀まで開業するなど人的交流も盛んになりつつある北陸エリア。地域の活性化が能登半島地震の復興をはじめ、地域の経済発展につながることは間違いないだろう。澤飯社長が北陸地域に何をもたらしてくれるのか、今後の活躍に期待が寄せられている。
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