揖斐運輸株式会社

人材戦略で組織を活性化 東海3県をカバーする配送のエキスパート企業へ。

岐阜県揖斐郡揖斐川町を拠点に事業を展開する揖斐運輸株式会社。
80余年の歴史を重ねてきた同社は、20年ほど前から定時定配の地場ルート配送業務に参入。人材戦略で組織を活性化すると共に「プレイズム」や「MIMAMORI」を活用して物流品質を向上。配送のエキスパート企業として成長を続ける。

配送業務を得意とする老舗の輸送企業

岐阜県の最西部に位置する揖斐川町において、1938年に創業した揖斐運輸株式会社。当時は馬車で、木材や石材などを運んでいたという。その後、戦時体制下の統合を経て、1946年に分離し、運送免許を取得。本格的に近代的な運送事業を始動させる。以来、西濃地区(岐阜県南西部)の老舗の輸送企業として、80余年の歴史を重ねてきた。

現社長の廣瀬巧氏が同社に入社したのは1966年のことである。ドライバーの助手として、主に資材や農産物の輸送に従事したそうだ。また、この頃から食品や各種資材の貸切輸送、路線便の小口貨物(岐阜県揖斐郡内)なども取り扱うことになる。安定した事業基盤を築く中で、1978年に現在の所在地に本拠を新築移転。さらに、営業拠点(岐阜営業所、大垣営業所)を開設すると共に、揖斐川町と大垣市に保管用倉庫を建設(現在6棟の倉庫を所有)し、保管サービスを提供するようになった。

本社倉庫(一時保管)
本社オフィス

1996年、廣瀬社長は48歳という若さで社長に就任。それから間もなくして、同社は大きなターニングポイントを迎えることになる。同社は、高い配送品質を求められるドラッグストア向けの地場ルート配送業務に参入。それは同社の事業体制を刷新する、という廣瀬社長の決意の表れでもあった。

「それまで当社は、地場及び中部地域や関東、関西方面への貸切輸送を主要事業としており、現状を維持するだけの事業体制に一抹の不安を感じていました。そんなとき、あるお客様から、ドラッグストアの県内配送ができないか打診されたのです。ちょうどその頃、岐阜県内にドラッグストアやコンビニが増え始めた時期でもあり、これから成長の余地がある仕事だと思いました。社内からは、経験もノウハウもないのに大丈夫なのか、という声も上がりましたが、会社を大きく飛躍させる絶好のチャンスと捉え、引き受けることにしたのです」

当初は車両5台からスタートしたそうだが、同社の堅実な仕事振りが顧客から高く評価され、仕事量が増大。現在は、そこから取り組みを開始した定時定配の地場ルート配送業務が同社の得意分野となり、主に東海3県のドラッグストアやホームセンターなど、様々な小売りチェーン店舗への配送のほか、昨年からは自動車部品のルート配送なども新規で取り組みを開始しているという。さらに、路線便の集配業務では、西濃地区に加え、全国各地をカバーする輸送ネットワーク(協力会社と提携)を構築している。

現在車両は、2トン・4トン車をメインに140台を保有。ウイング車、パワーゲート付き車両、平ボディなど、様々な輸送ニーズに対応できる多彩な車種を取り揃えている。車両に施された躍動的なロゴマークが同社の目印である。

会社概要
代表取締役 廣瀬 巧 氏
代表取締役 廣瀬 巧 氏
会社名
揖斐運輸株式会社
所在地
岐阜県揖斐郡揖斐川町志津山298-4
設立年月日
1946年11月12日
(創業:1938年8月1日)
代表者
代表取締役 廣瀬 巧
従業員数
135名
保有車両台数
140台

社員と感動を共有 配送のエキスパート企業へ

将来を見据えた経営判断により、飛躍的に業績を伸ばしてきた同社。あらためて、廣瀬社長に経営方針についてお話を伺った。

「言うまでもなく、物流は、人々の生活や企業活動を支える重要なインフラです。しかも、その重要性は年々高まっています。当社としても、お客様の多様な物流ニーズにお応えできるように、変化する市場動向を素早くキャッチしつつ、運輸業から物流業、さらにサービス業へと事業体制をシフトしてきました。そして、事業を遂行する上で『信用第一』『顧客第一』『安全第一』を経営の原点とし、事業をとおして『社員一同感動を共有できる企業』をめざしています。つまり、社員一人ひとりが活躍できる組織づくりが、成長戦略の基盤になるということですね」

また、新規配送分野への取り組みを 軌道に乗せることができた要因として、取締役営業部長の廣瀬公二氏は、次のように説明された。

取締役営業部長 廣瀬 公二 氏

「お客様は、つねに厳しい目線で我々の提供する配送品質をチェックされています。そのサービスの質を高めるのは会社の姿勢です。我々も人間ですから、ときに失敗することも、ミスすることもあります。そのときに誠実に対応して、業務改善につなげることが大切なのです。様々な経験を積み重ね、糧とすることで、当社は、地域でも屈指の配送のエキスパート企業へ成長することができました」

女性ドライバーを積極的に採用して組織を活性化

では実際に同社は、どのような人材戦略を講じられてきたのか、取締役業務本部長を務める佐々木洋一氏にお話を伺うことができた。

取締役業務本部長 佐々木 洋一 氏

「当社の業務は、比較的近郊のエリアを定時で運行する仕事がメインで、就業時間も毎日ほぼ一定となっています。また、パワーゲートを使用して荷物を積み卸しする業務が多く、体力面での負担も比較的少ないと考えています。主に中小型車で限られたエリアを定時で運行することから、若い人や女性を積極的に採用しています。また同時に、ドライバーのマナー教育、各種安全研修、車両の整備点検の徹底など、輸送品質の向上に取り組んできました。さらに、優良ドライバーの表彰をはじめ、仕事熱心な者をリーダーに抜擢することで職場を活性化。年齢よりも実績や行動力を評価することで、ドライバーの定着率を高めています」

なお、現在同社には10名以上の女性ドライバーが在籍。安心して働き続けられる、と年々増えているとのこと。女性ドライバーは、コミュニケーション力が高い、事故が少ない(運転が慎重)、仕事が丁寧、職場の雰囲気も明るくなるなど、良いこと尽くしだという。最近では、未経験者でも気軽に応募できるように、オートマ車を増車。今後も積極的に女性ドライバーを増やしていく考えである。

県内に点在する3カ所の営業所で業務を分担

現在同社では、本社営業所、岐阜営業所、大垣営業所の3拠点を展開しており、それぞれ業務を分担している。今回の取材では、各営業所の所長にも、お集まりいただいたので、それぞれの事業所の役割についてお話していただいた。

■本社営業所 所長 杉浦克也 氏

「揖斐郡内の荷物(路線便)の集荷、配送を行うと共に、貸切便などの受注情報を集約して、各営業所に振り分けています。日常的に実施していることはドライバーの健康チェック。事故や違反がないように安全第一に指導しています」

本社営業所

■岐阜営業所 所長 服部廣二 氏

「主にドラッグストアの配送や食品の拠点間輸送などを担当しています。当営業所は、女性ドライバーが多数在籍しているので、ロッカーやトイレ、休憩室の整備など、働きやすい職場環境づくりを進めています」

岐阜営業所
岐阜営業所(車庫)

■大垣営業所 所長 馬上五男 氏

「鉄板やアルミサッシ、商品資材などの専属輸送と、ドラッグストアの配送を担当しています。ドライバーからは、日々の運行で気づいたことを必ず聞き取り、何か問題点があれば、改善策をお客様にご提案しています」

大垣営業所
大垣営業所(車庫)

顧客に満足いただける物流サービスを提供していく

さて、同社の駐車場を見渡すと、大型から小型まで多くのいすゞ車が並んでいた。創業時から変わらず、いすゞ車を選んできたという廣瀬社長。今後の事業方針について、次のように語られた。

代表取締役 廣瀬 巧 氏

「当社は、長年にわたり、いすゞ車を導入してきました。その理由は、いつも、いすゞ自動車中部が迅速に対応していただけるから。何と言ってもアフターサービスあっての車両ですからね。365日休みなく車両を稼動させている当社としては、ドライバーが安心して乗務できる車両が一番なんです。今後の展望としては、長距離輸送を極力提携する協力会社にお願いし、中小型車を中心とした東海3県の配送業務を拡大したいと考えています。さらに、新しい顧客を開拓するため、営業活動に注力してまいります」

戦前に創業した揖斐運輸、当時からいすゞ車を導入。

地域特性や顧客ニーズを正しく把握し、業績を伸ばしてきた廣瀬社長。これからも、顧客の視点で事業を見据え、顧客に満足してもらえる物流サービスを提供していくという。

「MIMAMORI」の充実した機能が 安全、環境、労務課題を改善。

アフターフォローも充実した「MIMAMORI」に切り替え

環境にやさしい経営。働きやすい職場づくりに「MIMAMORI」が貢献

同社では、輸送の安全確保が事業の根幹であるとの認識により、安全への取り組みを強化。その一環として2007年にGマークを取得し、更新を重ねてきた。昨年は、安全活動や安全教育における実績が岐阜県トラック協会に高く評価され、Gマークのラッピングを施した車両を運行している。また、2008年にはグリーン経営認証も取得し、環境方針を定めて、ゼロエミッション及び省エネ運転に取り組み続けてきた。さらに、昨年4月には、自動車運送事業を対象に国土交通省が創設した働きやすい職場認証を取得したという。

同社は、安全教育、環境経営、労働環境改善といった一連の取り組みに「MIMAMORI」を活用しているそうだ。一昨年から導入し始め、現在30台以上の配送用の車両に搭載しているとのこと。今後も順次「MIMAMORI」に切り替えていく予定だと杉浦所長は話された。

同社は、安全教育、環境経営、労働環境改善といった一連の取り組みに「MIMAMORI」を活用しているそうだ。一昨年から導入し始め、現在30台以上の配送用の車両に搭載しているとのこと。今後も順次「MIMAMORI」に切り替えていく予定だと杉浦所長は話された。

「デジタコを含む豊富な機能、操作が簡単で見やすい、リーズナブルな使用料に加え、何かトラブルが生じたときに、直ちに対応してもらえる点が『MIMAMORI』に切り替えた理由です。配送業務では、お客様から詳細な運行データ(運行ルート、時間経過、運行速度等)の提出を求められることがあるので、車載機器は欠かせない装備となっています」

効率的な運行と省燃費運転を実現

毎日多くの車両が稼動している中で、運行管理に求められる機能は業務の可視化である。同社では「車両位置お知らせサービス」を活用することで、リアルタイムに運行状況をチェック。渋滞などで遅延が予想されるときは、事前にお客様に到着予想時間をお伝えしたり、運行状況に応じて配車したり、運行管理業務の効率化を実現しているという。

また、ボタンを押すだけで自動作成、印刷できる「運転日報」は、ドライバーに大変好評である。「運転日報」に記載されている評価点やタコグラフ、燃費、車速、急加速・急減速、アイドリング、前車接近などのデータから省燃費安全運転の達成状況を確認するそうだ。もちろん、管理職は、ドライバーの指導にも役立てている。現在、ドライバーの省燃費安全運転は、高水準で推移しており、事故件数も少ないという。なお、ドライバーのモチベーションが低下しないように、優良ドライバーは年1回表彰している。

安全性能では、路上故障のリスクが大幅に低減できる「プレイズム」を高く評価している、と杉浦所長は話す。

「車両のメカニックに詳しいドライバーは年々減っています。エンジンやDPDなどの不具合を自動で診断してくれる『プレイズム』は、当社の安心稼動に大きく寄与しています」

「運転日報」で労働時間と休憩時間を個別に管理

「MIMAMORI」では、もうひとつ確認している項目があるという。それは、ドライバーの休憩時間と長時間運転である。同社では、日頃からドライバーに無理な運行はしないように教育。併せて無理をさせないように会社で乗務状況を厳格に管理し、適切な運行計画、労務管理、労働環境の改善に努めている。現在は「運転日報」で、個別に運転時間を確認しているが、今後は「MIMAMORI」の「労務管理サービス」を活用して、改善基準告示に準拠した拘束時間を正確に管理していきたいという。

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