先手必勝、期を逃さず、囲い込む
愛知県名古屋市に本社を置く株式会社冨士商事は、大手パンメーカーの製品の、仕分けから荷役、出荷、配送までを一手に引き受ける物流企業だ。その創業は昭和43年に遡る。当該メーカーの工場で製品管理をしていた先代が、その手腕を評価され、いわば暖簾分けのような形で配送業務を請け負って独立したのだ。平成8年に代表取締役に就任した原田啓保氏は、会社を引き継いだ当時をこう振り返る。
「自ら運転し、遅くまで現場で働いている私の姿を荷主様が見てくれていたのでしょう。これまでの信頼を継続することができました。創業者らしく石橋を叩いて渡る先代に比べ、二代目の私が心掛けたのは、チャンスを逃さないということ。例えば荷主様の新工場立ち上げ時、製品出荷作業を逆指名いただいた際には、一も二もなく引き受けました。ただ製品を出荷するだけではなくて、ドライバーが衛生のためのネット帽を被り、工場の中を回って製品をかき集め、仕分けしてから出荷するやり方を取ったんです。これは同じ運賃では他社が真似できず、囲い込みにつながりました」
いわゆる3PLを実行している同社だが、平成27年には出荷業務を分社化している。
また、パンは温度管理の必要がないと言われていた時代に、同社はいち早く温度管理車を導入した。2、3時間かけて運ぶ幹線輸送では、夏場の荷室内温度が50℃になることもある。そこで、荷室内の温度を記録して荷主に提供したところ、夏は冷やして、冬は温めて運ぶ「加温・冷蔵車」これを導入することになった。これが功を奏し、今では保有全車両が温度管理車だ。このような輸送品質の高さも、同社の強力な差別化の武器になっている。
- 会社名
- 株式会社冨士商事
- 所在地
- 愛知県名古屋市緑区元徳重1丁目1621
- 設立年月日
- 昭和45年4月(昭和43年3月創業)
- 代表者
- 代表取締役 原田 啓保
- 従業員数
- 170名
- 保有車両台数
- 76台
50年の社歴と、荷主の看板を背負って、運ぶ
こうして着実に事業を拡大している同社。その社風はどのように培われているのだろうか。原田代表にお話を伺った。
「ドライバーは、創立50年の歴史がある会社の顔として運転している責任を、こちらから教えなくても自然と感じているようです。また、お客様に育てていただいている部分も大きいですね。トラックのボディには荷主様の製品のロゴが貼ってありますから、ドライバーは文字通りお客様の看板を背負って運転しているんです。トラックへのクレームはお客様のブランドを傷つけることになりますから、ドライバーは自ずと安全運転や周囲に配慮した運転マナーを徹底し、納品の際も礼儀正しく振る舞ってくれています」人材不足と言われる中、さらに働きやすく魅力ある職場づくりを目指して、まだまだ伸び代はある、と原田代表は締めくくった。
誰が乗っても同じ車を求めて、オールいすゞ車に
同社では、保有約80台のうち、ワンボックス以外はすべていすゞ車だ。原田代表が入社してから40年間で、一度だけ他社の2トン車を導入したことがあるそうだ。ところが、食品輸送という、スライドドアを日に何度も開け閉めする特性上、耐久性の面や営業担当の対応において、いすゞが一番良いと感じたという。
同社がオールいすゞ車に決めた理由はもう一つある、と原田代表は続ける。「うちでは誰がどの車に乗るかを決めていません。誰が乗っても同じ操作、同じ感覚で、安心して運転できる車が望ましい。ステアリングの操舵感も、クラッチの踏み加減も、いつも同じ車を求めて、いすゞ車一本に絞りました」
同社では、トラックは物を運ぶ道具だと割り切っている。いすゞはプレイズムによって、その道具を常に最高の状態に保つ責任がある。
車検・法令定期点検に合わせ、早め早めに予測整備
オールいすゞで全国を巡る同社。その運行形態について、執行役員 中部統括部長の新井和正氏に詳しくお話しいただいた。
「名古屋を拠点に、関東は相模原や厚木まで毎日運行。東海北陸は富山、石川、福井まで。関西は大阪から、和歌山、兵庫、岡山まで毎日行き来しています。10トン車と4トン車で、荷主様の工場間を結ぶ幹線輸送がメインです。仮に関西エリアの工場で欠品があった場合、関東エリアの工場から支給するなど、緊急時も柔軟に対応させていただいています。こうして、実に4トン車で月に2万km、年で20万kmくらい走るんですよ。そうするとDPDやエンジンに相当な負荷がかかるんですね。いすゞさんに3ヶ月ごとの法令定期点検をお願いすると、『次回の定期点検で併せてDPDも見ておきましょうか?』と予測整備を勧めてくれます。故障する前に早め早めの対応で休車時間を減らすことができ、とても感謝しています」
また、DPD点検の提案時に、コンディションを記した「DPDレポート」の提供も随時行なっており、実際にDPDトラブルの低減も実感されているそうだ。
万が一も、必ず近くにいすゞがあるという安心
たとえ予測整備を欠かさなくとも、5年で100万km走る車両もあり、路上故障の心配は無いとは言い切れない。新井部長は続けた。
「トラブルの際、そのまま走り続けていいのか、それとも代車を用意しなければいけないのか、ということを第一に知りたい。その点、いすゞさんは、遠隔で瞬時にこれを判断してくれるので安心です」
こうした路上故障の際、保有全車両がいすゞ車であることが心強い、と原田代表。営業所長時代には、何号車が故障した、と夜中にドライバーからの電話で起こされることもあったが、すべていすゞ車なので、迷うことなくいすゞに連絡できたそうだ。
「それが今では、故障時にはドライバーよりも早く、いすゞさんの方から連絡があるので心強い。しかも、故障内容を遠隔で把握されているので、故障から復帰まで迅速に対処してくれます。また、中央道、北陸道、山陽道と、運行エリアのどこかで何かあっても、必ず近くにいすゞさんがあるので安心ですね」
いすゞはこれからも、全国ネットワークで「すぐ直す」を実践し、同社の稼動を支え続けていく。
未来の目標から逆算し、目先の課題を淡々とこなす
最後に、今後の展望について、原田代表に伺った。
「今あること、目先のことを淡々とこなす以外にありません。1ヵ月くらい先のことまでは読めます。それを確実にやることが、明日につながっていくのではないでしょうか」
目の前の仕事を着実にこなす。当たり前のことを当たり前にこなす。
そんなお客様の目標を実現するために、いすゞはこれからもプレイズムでお客様の「運ぶ」を支えていく。
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