時代のニーズを捉え事業を拡大
鳥取県米子市に本拠を構える株式会社八幡運輸の創業は、戦後間もない1947年のこと。地場で牛乳や青果物、木材などの輸送から事業をスタート。戦後の混乱期を乗り越え、復興期を迎えると、次第に仕事は増えてゆき、鮮魚や海産物、食品(菓子等)、タイヤの輸送業務などを獲得。その後も、中国・山陰地域の地場を中心に様々な貨物を取り扱うようになる。また、依頼があれば、関西地域への長距離輸送も積極的に引き受けてきたそうだ。こうして同社は、順調に業績を伸ばしてきた。
本社を現所在地に移転したのは1993年のことである。ところが、この頃から長期にわたる経済低迷期に突入。運送コストの高騰や過当競争により売上も急減。事業の抜本的な見直しを強く迫られるようになったという。そんな矢先、売上拡大を続ける地場の顧客(食品メーカー)から依頼を受け、物流業務をアドバイスすることになった。この出来事がきっかけとなり、事業の拡大を決断。自社倉庫を保有することで、輸送に加え、集荷、仕分け、出荷までを引き受けるようになったそうだ。しかし、倉庫の取扱量の増加に伴い、次第に業務が滞るようになった。現会長の八幡繁氏は、当時をこう振り返る。
「輸送品質を維持していくために、配送スケジュールの見直しや業務の平準化、新倉庫の確保、作業人員の再教育など、日々改善を重ねました」
こうした取組が評価され、2011年には鳥取県より表彰されるまでに至った。
この頃にGマークやグリーン経営認証も取得し、安全体制の強化、環境負荷の少ない事業運営にも乗り出す。時代のニーズを的確に捉え、顧客の物流安定化に寄与することで、社会に貢献していくと企業理念に掲げた。
平成23年度鳥取県経営革新大賞「技術革新賞」受賞
「技術革新賞」とは、経営革新計画の目標を達成した県内企業の業績を顕彰する制度。同社は、取引先を含めた物流体制を大幅に改善することで、経営の効率化を実現。従業員の意識改革も促すなど、人材育成においても成果を上げた。
- 会社名
- 株式会社八幡運輸
- 所在地
- 鳥取県米子市淀江町中間863
- 設立年月日
- 1986年1月7日(創業1947年)
- 代表者
- 代表取締役会長 八幡 繁
代表取締役社長 渡邉 武志
- 従業員数
- 22名
- 保有車両台数
- 14台
夜間の路上故障も最寄りの販社で対応
現在、同社が保有する車両は小型車から大型車まで計14台。積荷の種類や積載量に応じて、最適な車両を運行させている。気がかりなのは、長距離輸送時の路上故障だと、現社長の渡邉武志氏は話す。
「万一、車両が止まったら、レッカーを頼まなくてはならないし、さらに積荷が積載中なら、車両を手配して、積み替える必要があります。出荷先、納品先のお客様にも遅延を報告しなければなりませんので、特に夜間の対応が大変です」
八幡会長は、実際に夜間に車両の不調を知らせる連絡を、いすゞ自動車中国四国から受けたことがあるそうだ。
「携帯に連絡いただいたときには、すでに最寄りのいすゞさんに入庫できるように手配されていました。直ちにドライバーと連絡を取っていすゞさんに入庫。迅速に修理していただけたので、わずかな休車時間で運行を再開することができました」
部品ごとに最適な交換時期を設定
こうした経験から、同社では、定期・日常点検にも注力してきたそうだ。故障を予防するため、特に消耗部品については販売会社と相談し、自社の使い方を考慮した独自の点検周期を設定していたという。
「プレイズムについては、『待ってました』という感じです。エンジン・DPD・各種消耗部品の状態を遠隔でモニタリングし、故障の予兆を確実に検知してくれるので、高く評価しています」
と語られたのは専務取締役の小島淳氏である。特に消耗部品については、走行時間や距離を考慮して、交換する時期を地場用と長距離用に分けているという。
ライフサイクルで費用対効果を見ていく
比較的、故障頻度が高い消耗部品をピックアップして、早めに交換することで、事故の予防、休車時間の低減につなげているという同社。ただし、一部のベテランドライバーからは、長年の経験から「交換が早すぎる、もったいない」という声が聞かれる、と小島専務は話す。
「これは、もっともな意見ですが、交換時期を伸ばしたがために、路上故障が発生したのでは元も子もありません。まして、事故が起きてしまえば手遅れですから、長いスパンで予防整備の費用対効果を見ていきたいと考えています」
進化する車両そしてプレイズムと共に
なお、同社では年1回、いすゞ自動車中国四国から車両の性能や装備などについて説明を受けるそうだ。日進月歩する車両の特性を理解して、最適な点検整備を実施するためである。八幡会長は、今後もプレイズムを業務改善に役立てていきたいという。
「運送業界を取り巻く環境は著しく変化しています。プレイズムは、事業活動を支える重要な仕組みとして位置づけており、、これからも安全を第一に、確実で迅速な物流サービスを提供していきたいと思います」
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