株式会社東配

東日本大震災から10年 高度なコールドチェーンで 顧客の物流戦略をサポート。

株式会社東配は、食品に特化した高品質な共同物流を事業の核として、 1,000社以上の顧客にオールインワンの物流サービスを提供している。 全国各地に広がる物流ネットワークと、独自の情報処理システムは、 高度なコールドチェーンを実現。全車両には「MIMAMORI」を標準装備。

食品物流に特化した コールドチェーンを構築

宮城県仙台市を中心に、東北エリアにおいて食品に特化した共同物流事業を展開する株式会社東配。同社は、1969年に仙台市中央卸売市場の輸送部門として組織化され、その翌年に東北配送センターとして独立。以来、顧客の多様なニーズに応える中で、小口の集荷から保管、流通加工、輸配送まで代行できるオールインワンの物流体制を築き上げる。1978年には社名を現在の東配に変更。その後、札幌市、成田市、盛岡市に拠点を開設し、独自のコールドチェーンを構築。自らを「生産者・供給者の代行人」と位置づけ、高品質な物流サービスを提供することで、順調に業績を伸ばしてきた。

ところが、2011年に同社は、創業以来、最大の経営危機に直面する。未曾有の被害をもたらした東日本大震災に見舞われたのだ。太平洋沿岸地域に押し寄せた津波により、同社の仙台空港営業所とグループ会社である岡崎運輸の石巻センターが被災。複数の車両が津波に飲み込まれたほか、施設が浸水するなど、両事業所の閉鎖を余儀なくされたという。「震災直後、直ちに全従業員の安否を確認すると共に、各拠点の被害状況の把握に追われました。翌日からは、出勤できる従業員たちによって事務所及び倉庫を復旧。従業員が結束して業務に邁進してくれたお陰で、早期に事業を再開することができました」 と語られたのは、代表取締役社長を務める渡辺誠治氏である。震災後、同社は、各拠点の業務を見直すと共に人員を再配置。結果的に事業の合理化が促され、事業体制が強化されることになった。

2019年、創業50周年を迎えた同社は、1,000社以上に及ぶ顧客の生鮮食品を365日24時間体制で取り扱う総合物流企業へと成長。関東、東北、北海道を結ぶ輸配送ネットワークと、流通加工機能を有した3温度帯の物流センター、そして、安全、正確、迅速な物流を可能にする最新の情報処理システムを駆使することで、顧客の様々な物流課題を解決に導いている。

昨年は、コロナ禍の影響で明暗が分かれたそうだ。航空貨物や業務系(ホテル、外食産業等)の出荷量が落ち込む一方で、食品小売業(量販店やスーパー等)の内食需要が拡大し、売上高はトータルで現状を維持。同社は、激動の時代だからこそ、物流の重要性は今後ますます高まると考えており、これからも「確かな実行力」と「適切な対応力」で、食品業界の様々なニーズに対応し、お客様に最適な物流ソリューションを提案していきたいという。

創立50周年の記念楯
東配の事業体制
会社概要
代表取締役社長 渡辺 誠治 氏
会社名
株式会社東配
所在地
仙台市若林区卸町四丁目8-12
設立年月日
1970年6月23日(創業1969年6月)
代表者
代表取締役 萩原 茂雄
従業員数
245名
保有車両台数
67台

高度なシステムを構築した 汎用型の物流センターを保有

同社の物流ネットワークは、全国各地の協力会社(約100社)と提携することで確立。配送可能な顧客は1,600社以上にも及ぶとのこと。定期便路線は、中央卸売市場や地方卸売市場、問屋、量販店の配送センターなどを網羅。もちろん、顧客の要望に応じて集荷便やチャーター便なども随時運行している。また同社の物流センター(7拠点)は、複数の顧客、様々な温度帯の商品(生鮮食品、加工食品等)の保管、在庫管理、流通加工を可能とする汎用型の物流センターとして稼働。様々な物流業務に対応できるフルライン化を実現することで、リードタイムの短縮、物流コストの最小化に貢献している。物流プラットフォームとして使い勝手の良いところが同社の強みであり、これを活用して、顧客の物流改善策を積極的に提案しているという。

常務取締役 管理部門統括 佐藤 博史 氏

そして、この共同物流の基盤となるのが、早くから導入してきた情報処理システムである。最初にシステムを導入(コンピュータ処理開始)したのは、1977年のことだそうだ。1984年にリアルタイム対応新輸送システムが稼動。その翌年には、顧客との物流EDI(受発注データ等のオンライン化)を開始するなど、同社は先進の情報処理システムを次々と導入してきた。入社以来、システム開発に携われてきた常務取締役 管理部門統括の佐藤博史氏にお話を伺うことができた。「食品物流は、附帯作業が多い上に納品時間が厳格で、しかも、つねに厳しい温度管理と衛生管理が要求されます。したがって当社では、情報と商品の流れを一元管理できる輸配送管理システム(TMS)や物流倉庫管理システム(WMS)を早くから導入し、独自にカスタマイズ。長年培ってきた当社の物流ノウハウを取り込み、継続的にバージョンアップしてきました。情報処理システムは、当社の競争優位性を保つ重要な役割を果たしており、これからも物流市場を見据えた先進のシステムを開発していきたいと考えています」

独自の情報処理システムを構築

顧客に信頼される イコールパートナーとして

近年、食品物流業界は、消費者ニーズの変化に伴う多頻度小ロット化、業務負担・コストの増加、過当競争の激化、労働環境の是正、ドライバー不足、安全性の向上、地球環境への配慮など課題が山積しており、以前にも増してコンプライアンスの徹底が求められている。一昨年、社長に就任された渡辺社長は、経営環境が大きく変化する中で、顧客と相互に価値観を共有しながら、共に成長・発展していける“イコールパートナー(対等な関係による提携・協力)”となることを経営方針として打ち出し、顧客満足度ナンバーワンをめざしている。「また、当社では、食品物流を担う企業として、パートナーからのご要望に誠実に対応する『顧客中心主義』の基本観と併せ、企業の社会的責任(CSR)として、物流を社会の一構成要素として認識し、様々なステークスホルダー(利害関係者)の要請にも適切に応えながら、社会の維持・発展に貢献していけるよう努めています」

チャレンジできる職場づくり

さらに事業エリアを広げ、物流企業として発展させたい、と考えている渡辺社長は、成長戦略の一環として人材育成に注力しているという。「社員の成長なくして会社の成長なし」「仕事が社員を育てる」という考えのもと、失敗を恐れずにチャレンジできる職場環境づくりを進めているそうだ。生産年齢人口が年々減少している状況を踏まえ、入社後の社外講習や各社内研修をはじめ、免許取得支援(各種運転免許、運行管理者資格、衛生管理者資格等)などを充実させると共に、社内の各部門で業務経験を積ませることで、物流のプロフェッショナルを育成している。経験者の育成はもとより、特に新卒採用の従業員を育てることに力を入れているところが同社の特徴である。

「当社の企業理念は『働きがいのある会社であること』『お客様に感謝される会社であること』『地域社会に必要とされる会社であること』です。当社は、このビジョンにそって成長する中で、仕事に情熱を注ぎ、食品物流を支えていける人材を育成していきたいと考えています」 と渡辺社長。すべての従業員は、会社と対等な立場にあり、適切なパートナーシップを結んでいるという。

経験豊富な配車担当者のノウハウを駆使し、季節的な波動やその日の物量の変化に応じて 最適な配送サービスを提供

プラットフォーム化された 共同物流を進化させていく

東日本大震災から10年、仙台市内は平穏な日常を取り戻し、同社も業務の合理化、効率化を実行することで、総合物流企業として着実に成長を遂げてきた。渡辺社長は、今まで培ってきたことを大切にし、時代の潮流に敏感に対応した経営をめざしていくという。

「当時の被災経験により、ライフラインである物流の重要性を認識し、あらためて災害への備えが、いかに大切か実感しています。今後も継続的にお客様へ物流サービスが提供できるように万全を期してまいります。さらに、従業員一人ひとりの相互理解を深めながら、当社の強みであるプラットフォーム化された共同物流を進化させていきたいと思います」 東北エリアから広がった質の高いコールドチェーンは、これからも多様なニーズに応えながら確実に販路を拡大していくことだろう。

共同物流体制
代表取締役社長 渡辺 誠治 氏

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