起業の想いは“人を幸せにする”
「残りの人生を懸けて、必ず周囲の人たちを幸せにする、そう誓いを立てて起業しました」
と語るのは、株式会社サンライズの代表取締役社長、柳澤伸光氏である。30代からドライバーとして働き始め、40歳で管理職を務められた柳澤社長は、44歳のときに独立。2013年に資本金100万円、社員8名で会社を設立し、特定労働派遣事業からスタート。その半年後に第一種貨物利用運送事業を取得すると、精力的に業績アップに努め、創業1年目から黒字経営を実現。そして、2015年に念願の一般貨物自動車運送事業を取得し、ようやく車両を手に入れた。ちなみに、このときに導入した車両は、いすゞ車だったそうだ。柳澤社長は、当時を振り返って次のように語られた。
「起業時の想いを成就するため、まずは事業免許を取得し、車両を持つことを目標としました。当時は経営経験がありませんでしたので、多くの方に教えを請いながら事業を進めました。初めて車両を導入する際は、いすゞ自動車中部様に大変お世話になりました。今日まで、ご支援いただいた皆さまへの感謝の気持ちを忘れず、事業に邁進しております」
- 会社名
- 株式会社サンライズ
- 所在地
- 岐阜県可児市広見2030番地1
- 設立年月日
- 2013年11月1日
- 代表者
- 代表取締役社長 柳澤 伸光
- 従業員数
- 205名
- 保有車両台数
- 161台(2020年12月時点)
多様な物流ニーズに応え 5年間で保有車両150台超
車両が導入されると、同社の成長は一気に加速し始める。まさに社名の“サンライズ”のごとく輝きを増しながら、上昇を続けてきた。最初はスポットの仕事を次から次へと引き受けて顧客を開拓。運送事業者として実績を上げる中で、地場(岐阜県・愛知県・三重県)の輸配送体制を確立する。同時に、商品の保管、包装、仕分けなどの流通加工サービスを提供する東濃物流センター(岐阜県)と小牧物流センター(愛知県)を開設。さらに、中部という地の利を活かして関西、関東方面への中長距離輸送ネットワークを築き上げる。
主な輸送サービスは、商品を集荷し、指定先へ配送する定期便をはじめ、突発的な輸送に対応するフリー便、顧客専用のチャーター便、複数の顧客の積荷を混載して運ぶ混載便など。最適な車両と輸送ルート、事業拠点を効果的に組み合わせることで、顧客の多様な物流ニーズに応えている。当初5台だった保有車両は、翌年に17台、3年目に50台を超え、5年目の現在は161台まで増車。破竹の勢いで事業を拡大してきた。必要なときに、必要な場所へ、必要なカタチで輸送できる輸送品質の高さが同社の強みと言えるだろう。
売上高100億円をめざして
実は、起業時の“周囲の人たちを幸せにする”という言葉には続きがある。柳澤社長は、将来的な売上高の目標として、100億円をめざすと宣言している。
「幸せの源泉は、まず雇用を安定させ、社員が安心して働き続けられる会社をつくること、さらに、お客様に満足いただけるサービスを提供すること、そして、事業をとおして地域の発展に貢献することです。これらを実現するには、継続的に会社を成長させていかなくてはなりません。設定目標が低いと、達成したときに満足してモチベーションが低下する恐れがあったので、自分自身を鼓舞する意味も込めて100億円としました。気持ち的には1,000億円なんですけどね」
と笑顔で語られた柳澤社長。しかし、この目標売上高は、根拠もなく宣言したわけではない。同社は、起業時からブレーン(税理士、社労士等)と顧問契約を結んで信頼関係を築き、適切なアドバイスを受けながら中長期的な経営計画を策定し、着実に売上高を伸ばしてきたのだ。その具体的な経営戦略の一端を柳澤社長に伺うことができた。
「ときに思いがけず、お客様が離れてしまうこともあります。したがって、特定のお客様に依存しないように、つねに新規開拓に取り組み、リスクを分散してきました。現在、取引先は1,000社を超えています。大切なことは、計画遂行に向けて準備を怠らないこと。そうすれば、ビジネスチャンスを逃さずにすみます。例えば、積極的に車両台数を増やしてきたのは、幅広い仕事に対応するためであり、また即断即決で仕事をお引き受けするためです。もちろん、こうした事業計画を円滑に推進するため、金融機関と交渉して財政面も強化してきました」
実際に同社の売上高は右肩上がりに増加。今期は、コロナ禍の影響で部品関連の仕事が減少したものの、食品分野の仕事が増加したため、売上高は伸ばせる見込みだという。また柳澤社長は、有言実行の人ではあるが、決して自身の力を過信してはいない。自分を信じて力を貸してくれる仲間(社員や顧問、協力会社等)の力を結集することで、事業を拡大してきたという。特に人材確保には注力しており、ドライバーのみならず、物流実務や経理に精通した社員を採用している。
コロナ禍を契機に事業体制を強化
顧客の影響を受けにくいリスク分散型の経営を実践してきた同社だが、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大という未曾有の経営危機に直面することとなった。しかし、柳澤社長は、コロナ禍に伴い様々な経営課題が明らかになったと、むしろ前向きに捉えている。
「緊急事態宣言が発令された際は、万一仕事が激減しても、平均的な給与は保証すると伝え、社員の不安を払拭するよう努めました。また感染症対策など、自分たちでできることは全力で取り組み、共にコロナ禍を乗り切ろうと社員の結束を促しました。さらに、ここ数年間は、勢いに任せて事業を進めてきたところもあるので、今回のコロナ禍で一度立ち止まって、経営状況や方向性を見定める良い機会となりました。人事面では、社員の雇用条件(労働時間や給与等)を改善して組織力を強化。併せて収益改善の一環として業務の一部を内製化しました。それに伴い、お客様との契約内容も見直すなど、輸送企業としてステップアップする体制を整えることができたと思います。今後も社員の健康に配慮しながら、業務に集中できる職場づくりを進めていく考えです」
豊富な車両をラインナップ
余裕を持った車両運用により、急速に車両台数を増やしてきた同社。大型車から小型車まで、いすゞ車が揃っているそうだ。
「いすゞ車は、ドライバーの評価も高く、走行性能、燃費性能、安全性能にも満足しています。また、いすゞ自動車中部様が、どんなときでも迅速に対応してくださるので、安心して車両を稼動させることができます」
と語られたのは執行役員営業本部長の村上裕哉氏。同社では、事故ゼロをめざして安全管理を徹底すると共に、年に数回、安全対策会議を実施しているとのこと。日々の運行でトラブルが起こらないよう車両のメンテナンスを綿密に実施している。
社会的アクシデントにも負けない継続性を持つ
独自の経営戦略によって飛躍的に成長を遂げた同社。柳澤社長は、来期以降、これまで以上に大きく業績を伸ばしていきたいという。最後に今後の展望についてお話を伺った。
「2020年11月には、新規に可児支店(岐阜県)を開設。地場輸送を強化しました。また同時に、関東地域の輸送の需要情報を収集する春日部情報センター(埼玉県)を開設。その実働部門として、埼玉支店(岩槻市)も営業を開始しています。今後は需要が高い食品分野と医薬品輸送の仕事を拡大していく方針です。来期は売上高25億円が目標。必ず達成して見せますよ。当社には、プロ意識の高いドライバーに加え、優秀な人材もそろっていますから」
すでに同社は、新たな事業所開設に先駆けて、M&Aや業務提携の推進、グループの戦略策定を担うグループ企業を設立。売上高100億円達成に向けた段取りも整いつつある。柳澤社長は、コロナショックのような社会的アクシデントに負けない事業の継続性を持つことが重要であることを示してくれた。
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