馬からトラックへ「大成期不断努力」の心で
今成運送株式会社の始まりは大正末期に遡る。群馬県渋川市にて「個人で馬一匹」、旅館の御用聞きから始まり、昭和初期に「個人でトラック1台」を購入、昭和28年に今成運送を設立した。主に食品メーカーの製品および原材料の流通を一貫して請け負い、配送だけでなく保管のための倉庫管理も行なっている。配送エリアは群馬、栃木、長野、新潟にまで及び、北関東の人々の食生活を支えている。代表取締役の今成克之氏は、先代から続く心情を「大成期不断努力」だと語る。
「事業を成功に導くためには、背伸びをせず、堅実にきっちりやっていく。こうした努力の積み重ねが大事だということですね。いまも今成運送が元気でいられるのは、コツコツと少しずつ荷主様の信頼を得てきた結果だと思います」
- 会社名
- 今成運送株式会社
- 所在地
- 群馬県渋川市八木原1428
- 設立年月日
- 昭和28年6月
- 代表者
- 代表取締役 今成 克之
- 従業員数
- 98名
- 保有車両台数
- 78台
渋川という土地から 雨でも雪でも必ず約束を守る
そんな荷主の信頼をさらに強固なものとしたのは、東日本大震災の時だという。「ちょうどあの日、荷主である食品メーカーの物流部長が在庫監査に来ていました。渋川のうちの倉庫で震災にあったのです。すぐに救援物資としてインスタント食品を供給したかったものの、全国どこの倉庫も商品が駄目になった、工場も建物が損壊した、ということで修復に1週間はかかる状態だった。そんな中、うちの倉庫だけはほとんどの商品が無事で、物流部長が『ここから出しましょう』と。1週間で倉庫がほぼ空になりました。あの時以来、渋川の今成の倉庫に預けておけば大丈夫という信頼が醸成できたのです」
渋川の強固な地盤には支えられたものの、荷物はただ預かるだけではなく、消費者に届けることが大事だと今成代表は続ける。
「お客様との約束を必ず守るということです。雨が降っても雪が降っても、はじめから今日は無理じゃなくて、とりあえず行ってみる。昔、新潟への食品配送が雪で難しいことがありました。ヘリコプターも飛べないし、そこを何とかトラックで届けたのです」
今成代表は小さい頃よく配送のトラックに乗せられて各地を回ったそうだ。どのドライバーも時間には厳しく、時間通りに届けるという意識を持っていたと言う。同社は時間の指定にも厳しく対応している。荷主が望む時間に荷物を届けられる体制を作り、荷主の信頼を得ているのだ。
救急システムの車両版 プレイズムという安心を買う
「よく大学病院などで、患者の腕にリストバンドをつけて、遠隔で異常を察知すると患者に連絡する救急システムがある。プレイズムはその車両版みたいなものですよね。でも正直、あまり実感がないな(笑)」
プレイズム導入の感想を、今成代表は率直にこう表現する。車検と法令定期点検そしてオイル交換までいすゞサービス工場に入庫し、車両のメンテナンスが行き届いている同社には、これまでいすゞから不調や故障の連絡がないと言うのだ。
「それでも万が一ってことがありますので。特に路上故障で積み替えて、延着するのは避けたい。問題は7、8年目の車の故障をどこまで減らせるか。そのためにプレイズムという安心を買っているのです。便りがないのは良い知らせではないけど、素晴らしいシステムですね。いすゞさんは黙ってプレイズムをやってくれているのがいいですよね」
車が「いつ」「どうなる」のかプレイズムで未来を読む
約100名の人と約80台の車を取り仕切る今成代表。その経営面でプレイズムが貢献できるのはどのようなことだろうか。
「うちは2トン車からローリー、バルク、トラクタまで、架装のバリエーションも豊富ですし。当たり外れではないけど、車両コンディションの個体差は気になります。以前、ターボの調子の悪い車があって、同じ年式とエンジン型式の車両全ての点検をお願いしたことがあります。それと、ドライバーにもよりますよね。使い方の荒い車は調子が悪くなってくる。それがプレイズムによって、こちらから何も言わなくても、車が不調になる前に予防整備してもらえるので助かります」
全国から膨大なデータを集積し、故障の芽を摘むのに役立てているプレイズム。そのデータは絶対に宝物だと今成代表は続ける。
「人の健康で言えば、こういう食生活をしているとこんな病気にかかりやすいとか、ありますよね。同じようにプレイズムでデータを解析して、こういう走り方をしているとこんな故障が起きやすいとか、傾向が分かるといいですね」
同社にとってプレイズムは、車両の健康状態が「いつ」「どうなる」のか、未来を読むシステムでもあるのだ。
効率を運行管理者のために安心をドライバーのために
「昔はドライバーから夜中に電話で起こされて、遠方での故障対応をすることがありました。今後はプレイズムで、私もゆっくり寝ていられるかな(笑)」
つい最近まで運行管理の実務に携わっていた今成代表は、プレイズムによる運行管理面のメリットをこう語る。
「運行管理者は人の管理で手一杯だから、車の管理が減るのは助かります。パソコンの画面で、DPDの再生状況や安全装置の作動状況を確認できるのはいいですよね。新たにオプションでタイヤ空気圧も分かるようになったのですか。自分の車に装備されていてトラックにも欲しいと思っていたので、ぜひ導入を検討したいですね」
運行管理者である間仁田賢氏は続ける。
「万一の故障は今のところ出てないですが、修理入庫がなくなって休車時間の短縮になるのは助かりますね。また、予防整備の効果も出ています。車の寿命というか、次はどこが壊れるかもしれないって分かれば、配車を組むのにも役立ちます」
20年ほど前までは自分でハンドルを握っていたという今成代表。プレイズムはドライバーのためにもなっていると言う。
「例えばエンジンチェックランプがついた時、すぐに停車したほうがいいのか、もう少し走れるのか、ドライバーは不安ですよね。それがプレイズムで適切な指示が来れば、ドライバーも安心できます。その安心は事故防止にもつながりますね」
同社ではドライバーの安全運転を支援するため、ドライブレコーダーやアルコールチェッカーなどを積極的に活用しているが、プレイズムもその一助を担っているのである。
渋川で「預かり」「届ける」の先へ プレイズムを差別化の武器に
食品の中でもインスタント食品という軽量嵩物を運んでいる同社にとって、燃費や車両の耐久性の面では問題がない。その反面、他社との差別化は容易ではなかったと言う。
「昔は荷台の床材がアピトンという木の板で、湿気を含むと虫が湧くことがありました。何しろ食品を運んでいますから、予防のために1台1台害虫駆除の処理をして、ナンバープレートが見えるように写真を撮って、綺麗にした車で運んでいますよって荷主様にアピールしました。また、出荷情報管理については、POSシステムをいち早く導入しました。250種類くらいある商品を間違いなく消費者まで届けるために必要だったのです」
渋川という地盤。荷物を確実に預かる倉庫。それを正確に届ける配送。こうした今成運送の基本への付加価値として、これからはプレイズムが差別化の武器となり、黙ってコツコツと支えていくことだろう。まさに「大成期不断努力」の心情で。
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