顧客ニーズに柔軟に対応する
静岡市に本社を構える有限会社青木産業は、原木輸送専業の運送会社として1974年に創業。静岡県は、県土の約65%を森林地帯が占め、木材資源が豊富な地域でもある。代表取締役を務める青木一志氏は、自らハンドルを握り、トレーラで原木を運んでいたという。滑り出しは順調だったそうだ。ところが、次第に国内の木材需要は頭打ち。さらに、海外の廉価な木材が輸入されるようになり輸送量は減少。そこで青木社長は、以前から依頼されていた電化製品や容器(缶・ペットボトル等)の輸送も請け負うことにした。顧客の要望に柔軟に対応することで受注を拡大してきた、と青木社長は話す。
「車両があるときは当然ですが、出払っているときでも必ず手配します。お客様がお困りのときにこそ、臨機応変に対応してきました。ドライバーも特定の仕事に固定せず、どの仕事もそつなくこなせるようにしています」
こうして事業を軌道に乗せた青木社長。また同社は、2008年に「グリーン経営認証」、その翌年には「Gマーク認定」を取得。環境に配慮した経営を実践すると共に、安全体制の強化にも努め、輸送企業として持続的な成長が図れる事業基盤を構築している。
- 会社名
- 有限会社青木産業
- 所在地
- 静岡市清水区鳥坂字丸田45-1
- 設立年月日
- 1974年11月9日
- 代表者
- 代表取締役 青木 一志
- 従業員数
- 50名
- 保有車両台数
- 51台
帰り荷を100%確保 実車率を高めコスト削減
電化製品は、主にメーカー工場から関東エリアの拠点倉庫へ輸送。各種容器は、静岡県を中心に200~300km圏内(関東・関西エリア等)の工場などへ運ぶことが多いという。もちろん、顧客から要望があれば、東北や九州エリアへの輸送も引き受けているという。
同社で注目すべき点は、それぞれの運行においで、100%帰り荷を確保しているところだ。例えば、福島県まで運んだら、東京までの帰り荷を確保する。福島県に積荷がなければ、近隣の茨城県で見つけて東京まで運ぶ。さらに、神奈川県で積んで静岡県まで戻ってくることもあるという。同社の実車率は、実に80~90%を維持しているというから驚きだ。現状の運賃から諸経費を差し引くと、片道だけで利益を出すのは難しい。青木社長は、自社の成長戦略の一環として、帰り荷の確保に努めてきたそうだ。
「静岡県は、貨物が集中する関東と関西のほぼ中間に位置しており、その地の利を活かすことで、運送事業者の課題である生産性の向上に取り組んできました。つまり、実車率を上げることでコストを削減し、利益を上げられるようにしたのです。当初は、インターネットの求荷求車情報サービスなどを利用していましたが、現在は独自に同業者とのネットワークを構築し、すべての運行で帰り荷が確保できるようになりました」
ギガの機能を活用し省燃費・安全運転を徹底
同社は、帰り荷を確保する運行体制を構築する一方で、積極的にコスト削減に取り組んできた。それは「グリーン経営認証」と「Gマーク認定」を取得済みであることからもわかるとおり、省燃費・安全運転の徹底である。
最初は、車両ごとに燃費を計算して、地道にドライバーを指導していたそうだが、5年前にいすゞ車を導入してから指導方法が大きく変わったという。青木社長は、手元の車両データを示しながら、これで指導効果が格段に向上したと語る。
「大型トラックギガに標準装備されている『エコドライブ報告機能』を活用したんです。運転操作状況を解析する『省燃費運転レポート』に用いて、ドライバーをきめ細かに指導すると共に、いすゞ自動車中部が実施している省燃費運転講習会も開催しました。しかもギガは、つねに運転操作状況をモニターし、運転中に改善ポイントを音声でアドバイスしてくれます。こうして省燃費・安全運転に取り組んだ結果、ドライバーの運転スキルがみるみる上達し、想定していた以上に燃費が向上しました。また事故や車両故障も減少し、修繕費や保険料の削減にもつながったのです」
さらに同社では、同様の運行形態の同業者と実績を比較する「月刊エコ! チャレンジ」において、4カ月連続(今年1~4月)で1位(大型ドライバン部門)を獲得したそうだ。昨年、2位が続いたところ「一度は1位を取ろう」とドライバーが奮起。「エコドライブ報告機能」は、ドライバーの士気向上にも役立っているようだ。
もともと省燃費・安全運転に熱心だったという同社のドライバー。「エコドライブ報告機能」が、さらにモチベーションを高めることになったそうだ。ギガに乗務されているドライバーの深谷友拡氏にもお話を伺うことができた。
「私は1年ほど前に入社したのですが、省燃費・安全運転に対するドライバーの意識は非常に高いですね。多くのドライバーが、ほぼ限界と言える燃費レベルを達成しており、それが当たり前になっています。積荷や運行経路、時間帯によって走り方が若干異なるので、ドライバー間で情報交換することもあります。運転中は、時々省燃費運転の状態を示すディスプレイのエコマークも見てますね。目安は1,000回転を維持した運転です。私が気をつけていることは、少し先を見据えながら運転すること。惰性走行を活用し、アクセルを踏みすぎないように運転しています。また“かもしれない”という危険予知をしながら、車間距離を取るように心がけています。ただし、燃費を気にするあまり、低速で走りすぎて後続車をイライラさせないように注意を払っています。一旦路肩に停車して、後続車に道を譲り、事故やトラブルが起きないようにしています」
年功序列は廃止 頑張る社員を認める会社
省燃費・安全運転をサポートするギガのポテンシャルを最大限引き出すことで、大幅なコスト削減を実現した同社。現在、同社のいすゞ車は35台。ドライバーの評価もすこぶる高く、今後もいすゞ車を増車してく方針である。
また青木社長は、ドライバーの運転環境の改善にも積極的で、全車両にアイドリングストップクーラー「アイクール・プラス」(トラクタはアイクール・ミニ)を装備しているそうだ。さらに、ドライバーの努力に報いるため、半年間に1回、平均リッター5km以上(大型車)を達成したドライバーを表彰し、報奨金を授与。最近は、ドライバーの3割が表彰されているという。ちなみに同社では年功序列に基づく待遇は廃止しており、日頃の勤務態度や事故・違反の有無、クレーム・トラブルの有無、省燃費運転の実績、車両の取り扱い状況を評価している。成果主義ではなく、頑張る社員を認める会社でありたいのだという。したがって、新車も優秀なドライバー順に乗務させている。
顧客満足度に加え、社会的な評価も向上
ところで、多くの優秀なドライバーを育成してきた同社の教育方法はというと、運転操作、運行経路、荷扱いなどに関する2週間のマンツーマン指導と、年3回の省燃費・安全・環境保全などをテーマにした勉強会や講習会である。やはり「省燃費運転レポート」に基づいた日々のギヤ段、アクセル、ブレーキ操作の改善を繰り返してきたことが大きな成果に結びついたという。
「省燃費・安全運転は、強制やインセンティブでは長続きしません。ドライバーの自主性を育てることが大事なんです。ドライバーと信頼関係を築き上げ、粘り強く指導し、そして成果を公平に評価してあげる。実績はドライバーの自信となり、やがてプロ意識を醸成します。優秀なドライバーは、他のドライバーに良い刺激を与ところで、多くの優秀なドライバーを育成してきた同社の教育方法はというと、運転操作、運行経路、荷扱いなどに関する2週間のマンツーマン指導と、年3回の省燃費・安全・環境保全などをテーマにした勉強会や講習会である。やはり「省燃費運転レポート」に基づいた日々のギヤ段、アクセル、ブレーキ操作の改善を繰り返してきたことが大きな成果に結びついたという。
「省燃費・安全運転は、強制やインセンティブでは長続きしません。ドライバーの自主性を育てることが大事なんです。ドライバーと信頼関係を築き上げ、粘り強く指導し、そして成果を公平に評価してあげる。実績はドライバーの自信となり、やがてプロ意識を醸成します。優秀なドライバーは、他のドライバーに良い刺激を与え、職場も活気づきます。最終的にお客様は満足し、社会的な評価も高まるのです」
と最後に語られた青木社長。ギガを導入して以来、同社の業績は好調だったそうだが、現在はコロナ禍の影響で足踏み状態だという。とは言え、いずれコロナは収束し、そうすれば仕事量も増えると見込んでいる。その日のために、しっかり準備を整えていきたいという。
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