企業理念を刷新 これからも安全を最優先に
今年7月1日、株式会社大原運輸は企業理念を刷新。わかりやすく、共感できる企業理念を社員と共有することで、会社の持続的な発展をめざしていくという。その企業理念とは「安全から安心を、そして信頼へ-We do our best every day!-」である。
「当社は、創業以来、安全運行を徹底することで、顧客と良好なリレーションを築き上げてきました。これからも、この企業理念を事業活動にしっかり反映させ、社員と一丸となって企業価値の向上に努め、輸送サービスを提供してまいります」
と決意のほどを語られた布川裕見子社長。主に重量物を運んできた同社は、創業時から安全第一を企業理念として掲げてきたそうだ。今回あらためて、その想いを社員に伝え、強化することで、顧客との信頼を高めていきたいという。
同社が新潟県長岡市を拠点に創業したのは1972年のことである。鋼材輸送を手がける中で順調に売上を伸ばしてきた。しかし、創業者であるご尊父が体調を崩されたことから、経理業務などを手伝ってきた布川裕見子氏が、1989年に事実上の社長に就任。以来30年あまり、経営者として同社をけん引してきた。
現在は、大手物流企業の関東、関西方面向けの一般貨物の幹線輸送と、緊急性の高い貨物の集配業務や仕分け作業を請け負っている。また、什器などを店舗や施行現場に納品する貸切輸送も行っているそうだ。さらに、事業拡大に伴い新潟市と長野市にも営業拠点を開設。今日までに安定した事業基盤を築き上げてきた。ちなみに、社名の“大原”は、布川社長の母方の旧姓が由来である。“大きな草原”は、事業の前途が明るく広がるイメージがあることから、ご尊父が採用されたのだという。
- 会社名
- 株式会社大原運輸
- 所在地
- 新潟県長岡市古正寺3-95
- 設立年月日
- 1972年10月
- 代表者
- 代表取締役 布川 裕見子
- 従業員数
- 43名
- 保有車両台数
- 43台
鋼材から一般貨物へシフト
さて現在、鋼材輸送を一切行っていないという同社。実は布川社長、事業承継後、取り扱う積荷を鋼材輸送から徐々に一般貨物へシフトしてきたそうだ。これが、同社にとって大きなターニングポイントになったという。主要事業だった鋼材輸送から撤退するという英断を下された布川社長に、その経緯についてお話を伺うことができた。
「鋼材輸送は重大事故のリスクが高く、生前父は、夜眠れなくなるほど、いつも事故のことを心配していました。そんな父の様子を見ていたこともあり、経営上のリスクを低減するため、一般貨物事業へ進出することを決めました。たまたまタイミング良く、長岡に進出された大手物流企業から声をかけていただき、一般貨物の幹線輸送を始めることができました。
しかし、長年お取り引きいただいたお客様の仕事を辞退することは、断腸の思いでした。最後に、お客様のもとへご挨拶に伺ったときは『頑張ってください。気が変わったら、いつでも来てくださいね』と笑顔で送り出してくださいました。大変お世話になったお客様には、言葉で言い尽くせないほど深く感謝しております」
こうして経営の舵を大きく切った布川社長は、経営リスクの回避、持続的な成長に向けて、一般貨物輸送に特化した事業体制を構築していく。車両も平ボディから、すべてウイング車に切り替えていった。
ドライバー教育によって高品質な輸送サービスを実現
企業理念に記されているとおり、創業時から安全を第一に事業を展開してきた同社。布川社長の代になって、取り扱う積荷が変わっても、安全への取り組みは変わることなく、実践されている。布川社長は、毎日ドライバーに対する声かけを心がけ、安全運転を促してきたという。また、ドライバー教育は、足立専務と松井営業部長が担当されているとのこと。入社時に業務内容や作業手順、車両特性などを教育。つねに、二人体制でドライバーを指導すると共にフォローしている。足立専務は、ドライバーの定着率が高く、多くのベテランが在籍していることが、輸送品質を高めていると話す。
「業務に精通しているドライバーが多いので、トラブルが生じたときも迅速に対応できます。例えば、もらい事故などで車両が動けなくなった場合は、直ちにドライバーを現地に向かわせ、積荷を載せ替えて運行を再開。24時間体制でトラブル処理できるところが当社の強みであり、その対応の早さと正確さに、お客様から驚かれることもあります。一つ一つの仕事を丁寧に行うこと、そして安全確実に行うことでお客様の安心感を醸成し、仕事を増やしてきました」
なお、同社は2008年から継続してGマークを取得している。ハード面では、早くからデジタコ機能を有する運行管理システムを導入すると共に、全車両にアルコールチェックができる測定システムも装備。出先の点呼時においてもアルコールチェックを厳しく実施している。
安全性能と快適性を兼ね備えた車両選び
同社が初めていすゞ車を導入されたのは昨年のことである。安全運転をサポートする先進的な安全装備の数々。さらに、故障の事前防止に役立つ「車両コンディション自己診断機能」を高く評価。そして、今年6月にも新型ギガ1台を導入されたそうだ。
「収益力の強化や業務の効率化は、何よりも事故を起こさないことが前提となります。したがって当社では、より安全性に信頼のおける車両を選び、ドライバーに与えたいと考えています。6月に導入したギガは、開放感溢れるハイルーフに加え、座り心地にすぐれた高機能シートも採用されているそうなので、ドライバーの運転疲労軽減に貢献してくれるものと期待しています。また、500mlペットボトルを2本収納可能な『ホット&クールボックス』も、ドライバーに喜ばれそうですね」
と語られた松井営業部長。いすゞ車は、同社の安全運行の取り組みに貢献しているようだ。今後は、車両のメンテナンスサービスも積極的に活用していきたいという。
子供たちの絵で危険運転を抑止する
再来年には創業50周年を迎えようという同社。布川社長は、事業拠点である地域とのつながりも大切にしており、数年前から本社近郊の幼稚園と交流を深めてきた。卒園する子供たちに自由に絵を描いてもらい、それを車両ボディにラッピング。完成したラッピング車両をお披露目するというイベントを実施しているそうだ。
「これは、かなり以前から検討していたことで、ようやく夢がかなえられました。子供たちの絵には、危険運転を抑止する不思議な力があるんです(笑)。これからも子供たちからパワーを沢山いただいて、交通安全を全国に向けて呼びかけてまいりたいと思っております」
と笑顔で語られた布川社長。現在ラッピング車は6台。子供たちはもちろん、親御さんたちにも大変好評で、今後も幼稚園と交流を続けていきたいという。
事業においては、社内体制の一段の充実と、社員の育成、職場環境の改善に努め、安全を最優先事項と位置づけ、付加価値の高い輸送サービスを提供していく方針である。
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