日本陸送株式会社

次世代の人材戦略と新型キャリアカーの導入によってブランド力を高める

群馬県太田市に本社を構える日本陸送株式会社は、安全・迅速・確実な輸送サービスと、人材育成により事業を拡大。2016年12月から新型キャリアカーも導入し、運行の効率化にも取り組んでいる。

企業理念を刷新 安全確実に車両をお届けする

事業所

群馬県南東部に位置する太田市は、自動車産業を中心に関連企業の集積地として発展してきた北関東随一の工業都市である。近年は、北関東自動車道の延伸により、多方面へのアクセスが向上。その立地特性が注目され、工業団地の拡張や新たな産業団地の整備も進められている。

日本陸送株式会社は、高度経済成長期の最盛期にあたる1965年に設立。主に商品車を運搬する輸送企業として、太田市に本拠を構える。当時、日本経済が急成長する中で日本人の暮らしも豊かになり、自動車の国内需要が急増。同時に海外への輸出量も増大し、自動車の販売台数は急速に拡大していく。こうした国内経済を背景に、同社はキャリアカーによる本格的なトレーラ輸送を開始する。また、安全・迅速・確実な輸送サービスを提供する中で新規の顧客からも陸送業務を獲得し、東北、信越、関東、中部、関西エリアに事業拠点(本社を含む9拠点)を開設。海上コンテナ輸送も展開するなど、独自の陸送体制を構築した。

太田営業所
会社概要
会社名
日本陸送株式会社
所在地
群馬県太田市清原町2-6
設立年月日
1965年7月13日
代表者
代表取締役社長 黒岩 一夫
従業員数
269名
保有車両台数
218台

顧客ニーズに応える新規事業へ進出

ところが、1986年に先代社長が早世され、当時20代だった、ご子息の黒岩一夫氏が二代目社長に就任されたそうだ。その後、黒岩社長は経営者として、めきめきと頭角を現し、事業体制の合理化、業務改善に取り組み、安定した事業基盤を確立していく。

同社に転機が訪れたのは2007年のことである。顧客の輸出入貨物輸送の要請に応えて、陸運事業部を発足。輸出用の国際海上コンテナで運ぶドレージ輸送(港と拠点工場間の運行)をスタートさせた。事業は順調に推移し、実績を重ねる中で新たな顧客も獲得。現在では売上の4分の1をドレージ輸送が占めているという。

さらに同社は、中期経営計画を策定・遂行することによって事業規模を拡大すると共に、顧客の多様なニーズに応えて、完成車にオプション用品(カーナビ・ETC等)を組み付ける納整事業や、車両の最終検査・整備を行う整備事業にも進出。同社は各事業において、安全第一・品質保持を掲げ、物流合理化に貢献できる提案活動を積極的に行っており、顧客と強固な信頼関係を築き上げている。

人が会社をつくり組織が人をつくる

取締役陸運事業部長 塚本 憲和 氏

事業が拡大していく中で、同社は組織づくりにも注力していく。企業理念である「正直」「正確」「素直」に基づいて人材育成に取り組み、安全と品質の向上を全社的に定着させてきたそうだ。

「企業理念は、激しく変動していく時代に必要とされる企業をめざし、かつ永続的に成長していくために欠かせない指針であり、当社の価値観を表したものです。仕事に対する基本姿勢を理解してもらえるように、シンプルでわかりやすい言葉を選びました。社員が仕事に責任とプライドを持ち、社会の一員として信頼される企業市民になれるように、日頃から企業理念を意識して勤務するよう指導しています。全社員が会社の価値観を共有することで組織として結束し、成長という好循環のサイクルをつくり出しています」
と語られたのは取締役陸運事業部長の塚本憲和氏。同社では、入社後の新人研修や、日々のミーティングなどで企業理念の意義を伝えており、社員の行動や判断の拠り所となっている。

企業理念

人材育成に注力未経験者も積極採用

同社では、新人育成を独自のプログラム(4段階)にそって実施しているという。第一段階は、マニュアルや映像資料を用いて安全教育(KYT等)、車両の特性(大型車・トラクタ等)、積み込みの作業手順などについて座学講習を行う。次に車両を使用した実技訓練(運転・積み込み等)。この段階で技能が正しく身につくまで徹底指導する。3段階目は、専任の教育係による指導、見極めが行われ、最終段階で先輩ドライバーによる添乗教育を実施する。3~6カ月間かけて教育するという。執行役員の岡村光夫氏に、キャリアカーの積載作業についてお話を伺うことができた。

「まずドライバーは、お客様ごとに定められているルールや作業手順を正確に覚えてもらいます。そもそもキャリアカーは、積載スペースが限られているため、積み降ろし時は細心の注意が必要です。したがって当社では、しっかり時間をかけて、丁寧にドライバー教育を行っています」

さらに同社では、社員のレベルアップを目的とした研修会(年1回)や、同業者と安全キャンペーン活動なども実施しているという。また毎月、ドライバーから運行中のヒヤリハットを提出してもらい、社内に掲示して情報を共有化しているそうだ。こうした多角的に安全教育を行うことによって、同社は輸送サービスの品質を維持。各顧客が実施する評価制度においても、最高レベルの評価を獲得している。

経験や運転スキルが求められるキャリアカーだが、同社には、ドライバー未経験で入社した者も少なくないそうだ。数年前から積極的に業界未経験者を採用している、と総務課長の鈴木広志氏は語る。

総務課長 鈴木 広志 氏

「経験者の採用にこだわらず、未経験者を一から育てよう、ということです。新人教育後は、主に2台積みの積載車やセーフティーローダーに乗務させて、ドライバーとしての経験を積んでもらいます。もちろん、希望者には大型免許やけん引免許の取得費用を会社で全額負担するなど、ドライバーのスキルアップを全面的に支援しています」

また同社では、ドライバーの紹介制度を実施。入社後、紹介者が先輩社員として指導役を担うことで、定着率を高めているという。指導役に教育手当てを支給されることもあり、この制度で入社するドライバーも多いそうだ。同社は女性ドライバーも積極的に採用しており、現在10名ほどが在籍している。

新型キャリアカーを導入より効率的な運行を実現

太田営業所 所長代理 小山 仁 氏

さて、同社には注目すべき点がもう一つある。それは主力車両のキャリアーカーだ。以前は、主にフルキャブ仕様の全長17m車を使用してきたが、荷台からのはみ出しや積載性に課題があったそうだ。そこで同社は、荷役性と積載性を向上させるためショートキャブを採用した車両を特注。2016年12月から全長17.5m(リアカー延長)、最大積載量9,700kg(既存車両:8,100~8,400kg)を確保したキャリアカー(最大軽8台まで積載可能)を導入している。また、同社のキャリアカーには、前方・左右・車内を写すドラレコが装備されているほか、いすゞの車両運行・動態管理システム「MIMAMORI」も搭載。さらに、最近のいすゞ車の場合、車両コンディション自己診断機能により、最適な車両整備が可能となり、運行中の故障リスクも大幅に低減される。

「いすゞの協力もあり、積載性にすぐれたキャリアカーを導入することができました。仕様を統一したことで、より効率的な運行が可能です」
と大変満足そうに語られた太田営業所、所長代理の小山仁氏。この車両はドライバーからの評判も良く、周囲の目も引くことから、同社のブランドイメージ向上に一役買っているという。

自社のブランド力を高める

社員一人ひとりが十分に能力を発揮できる職場環境を整えると共に、長年積み上げてきた技術を継続して、業績を伸ばしてきた同社。今後も優秀な人材育成はもちろん、次代を担う幹部社員、女性の管理職を育成していくと同時に、福利厚生の充実化も図り、社員の満足度を向上させ、企業の永続性を高めたていきたいという。事業面では、業務及び運行体制の効率化に取り組むなど、各部門を強化することで売上を上積みしていく方針である。そのための設備投資として、事業施設の移転計画を推進中とのこと。「日本陸送に任せたい」と顧客から指名されるように、さらに自社のブランド力を高めていきたいという。

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