トラックの免許について解説!

普通免許でトラックは運転できる?運転可能な車両総重量からトラックの種類まで解説!

社内の新人や若い人をドライバーとして配置するときに、乗務が可能なトラックはどれなのかと、悩むことがあるのではないでしょうか。結論を言えば、トラックの運転は普通免許を取得している人であれば、運転は可能ですが、いくつか注意すべき点があります。
この記事では、普通免許で運転できるトラックの種類や免許区分のほか、積載量や車両総重量などの基礎用語についても解説しています。自社でトラックを購入する際の参考にしてください。

トラックの積載量とは?

道路交通法では、積載量を守るための基準が定められています。トラックに積み込んだ荷物の重さのことを「積載量」といい、法令に定められている積載量の上限のことを「最大積載量」と呼びます。

最大積載量の上限を決めている理由は、道路の損傷を未然に防ぐためです。トラックの重量が増えるほど、道路の劣化も早まり、補修などの手間が発生しやすくなります。また、荷物の積みすぎによる横転事故を防ぐなど、ドライバーの安全を守ることも理由のひとつです。

最大積載量は「車両総重量―(車両重量+乗車定員数×55kg)」の計算式で算出できます。このように、車両重量や乗車定員の人数などによって、最大積載量の数値は変動します。

トラックの車両総重量とは?

車両総重量とは、車両や荷物の重量のほか、乗車定員の体重などを含めた、すべての重さのことです。車両の重量を意味する言葉にも読みとれますが、トラックの車両の重さは、車両重量という言葉で表します。実際は、トラックが荷物を積み、乗車する人が乗って走行する状態の重さを意味します。

車両総重量を算出する際は、「車両重量+(乗車定員×55kg)+最大積載量」の計算式を用います。

普通免許でもトラックは運転できる

普通免許を所持している人であれば、トラックのドライバーになれます。ただし、平成29年(2017)3月12日以降は、普通免許を取得した年度によって、免許区分ごとに運転できる車両の種類が変更されています。この新制度では、「準中型免許」が新たに開設されています。現在の運転免許の区分は、普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許の4つです。

普通免許を取得した年度は、「平成19年(2007)までに取得したケース」と「平成29年(2017)までに取得したケース」「平成29年(2017)以降に取得したケース」の3つに分けられます。免許の取得時期と運転可能なトラックの種類については、後ほど詳しく解説します。

普通免許で運転できるトラックの種類

普通免許で運転できるトラックの種類は、いつ免許を取得したかによって異なります。
平成29年(2017)3月12日から免許制度が改正されたため、4つの免許区分が設定されました。以下で、詳しく解説します。

平成19年(2007)までに取得した普通免許で運転可能なトラック

平成19年(2007)6月1日までに普通免許を取得している人は、次の条件を満たしたトラックを運転できます。

  • 車両総重量 8トン未満
  • 最大積載量 5トン未満
  • 乗車定員数 10人以下

現在の免許制度にある中型限定免許は、平成19年(2007)6月1日までは存在しなかったため、当初の免許区分は普通免許と大型免許の2種類のみでした。改正後に、その中間に位置する中型免許が加わりました。

平成29年(2017)までに取得した普通免許で運転可能なトラック

平成19年(2007)6月2日から、今回の法改正の前日の平成29年(2017)3月11日に免許を取得した場合は、以下の条件を満たすトラックであれば運転することができます。

  • 車両総重量 5トン未満
  • 最大積載量 3トン未満
  • 乗車定員数 10人以下

平成29年(2017)3月12日に施行された免許制度では、新たに準中型免許が設けられました。これにより、この期間中に免許を取得した人は、「5トン限定準中型免許」と同等の技能があることが認められています。

平成29年(2017)以降に取得した普通免許で運転可能なトラック

法改正が行われた平成29年(2017)3月12日以降に免許を取得した場合は、現行の免許区分がそのまま適用されることになります。該当するトラックは、以下のとおりです。

  • 車両総重量 3.5トン未満
  • 最大積載量 2トン未満
  • 乗車定員数 10人以下

新免許制度において、普通免許では車両総重量3.5トンまでの車両を運転できます。最大積載量2トン以上のトラックを運転するには、準中型免許の取得が必須です。

普通免許と準中型免許・中型免許・大型免許で運転できるトラックの違い

ここでは、普通免許以外の準中型免許以上の3つの免許区分について解説します。

準中型自動車免許で運転可能なトラック

準中型免許は、平成29年(2017)3月12日に新設され、普通免許と中型免許の中間に区分されている免許です。満18歳以上であれば、普通免許をもっていない人でも取得できます。該当する車両は、以下のとおりです。

  • 車両総重量 3.5~7.5トン未満
  • 最大積載量 2~4.5トン未満
  • 乗車定員数 10人以下

警察庁の「運転免許統計(令和2年版)」によると、準中型免許の取得数は10万7,910人で、試験の合格率は90.6%でした。前年度に比べると取得数は7.7%減少していますが、合格率は前年度よりも2.9%増加しています。合格者のうち、指定自動車教習所を卒業した人は2万8,001人で、5人に1人が教習所に通っていることがわかります。

※参考:運転免許統計(令和2年版)|警察庁交通局運転免許課

中型免許で運転可能なトラック

大型免許に次いで運転できる車両のバリエーションが多い中型免許は、平成19年(2007)6月2日に設けられました。取得に必要な条件は、満20歳以上かつ、普通免許を保有期間が2年以上となっています。運転可能なトラックの種類は、以下のとおりです。

  • 車両総重量 7.5~11トン未満
  • 最大積載量 4.5~6.5トン未満
  • 乗車定員数 11~29人以下

警察庁の「運転免許統計(令和2年版)」によると、中型免許の取得数は17万412人で、合格率は99.1%と、準中型免許よりも合格率が高いことがわかります。前年度と比較すると、取得数は8.8%増加しており、合格率も4.1%上昇しています。合格者のうち、教習所を卒業している人は3万9,561人でした。

※参考:運転免許統計(令和2年版)|警察庁交通局運転免許課

大型免許で運転可能なトラック

大型免許は、大型バスやトラクタ(トレーラー)などを運転する際に必要な免許です。大型免許の取得条件は、満21歳以上の人で、普通免許・準中型免許・中型免許・大型特殊免許の中で、所持しているものがあるほか、通算で3年以上の運転歴をもつ人が対象になります。該当する車両は、以下のとおりです。

  • 車両総重量 11トン以上
  • 最大積載量 6.5トン以上
  • 乗車定員数 30人以上

警察庁の「運転免許統計(令和2年版)」によると、大型免許の取得数は6万5,498人で、試験の合格率は94.0%でした。前年度と比較すると、取得数は0.1%の増加、合格率は1.8%上昇しています。合格者のうち、約9割にあたる5万8,443人が、教習所を卒業しています。

※参考:運転免許統計(令和2年版)|警察庁交通局運転免許課

免許区分の違うトラックを運転するとどうなる?

免許区分に該当しない種類のトラックを運転した場合、無免許運転の扱いとなり、法律で罰せられます。一般的に無免許運転は、免許を取得していない人による違法な運転を指しますが、免許の有無や不携帯のほかにも、免許区分の異なる車両を運転した場合でも「無免許」と判断されてしまいます。

法律で定められている以上、知らなかったでは済まされません。業務上でトラックを運転する場合はもちろん、レンタカーなどでトラックを借りるときにも注意が必要です。

普通免許で運転できないトラックに乗るにはどうしたらよいか?

普通免許は、取得した年度によって、運転可能なトラックの種類が異なります。また、免許区分を外れたトラックを運転すれば、無免許運転で罰せられてしまいます。中型や大型の免許区分のトラックを運転する場合は、上位の免許の所持が必要になるため、トラックの種類に応じた運転免許の取得を検討しましょう。以下では、免許の取得方法について解説します。

通学による免許の取得

自動車教習所への通学を選んだ場合、自由に予定が組めます。ただし、教習所は繁忙期や閑散期があるため、自分のペースで予定を組みたい場合は、閑散期を狙いましょう。一般的に、免許の取得までの期間は数カ月とされています。以下では、通学した場合のメリット・デメリットを解説します。

メリット・デメリット

通学のメリットは、休日や空き時間を利用して、学科や実地の予定を組めることです。自分の学習ペースにあったタイミングで予約できます。また、居住地の近くにある教習所に通学するケースも多いため、所外の道路で技能教習を行う際に、近辺の道路状況などを把握しやすいです。

ただし、数カ月間、教習所に通う必要があるほか、合宿による免許取得よりもコストがかかります。また、繁忙期は予約がすぐに埋まってしまうため、希望する時間帯を予約できない可能性もあります。

合宿による免許の取得

合宿では、宿泊施設のある教習所で免許取得に必要な学科や技能教習が受けられます。免許の取得までにかかる期間は、2週間程度です。スケジュールを開けておく必要があるため、長期の休みをとれる人が利用します。以下では、合宿のメリット・デメリットを解説します。

メリット・デメリット

合宿のメリットは、短期間で免許を取得できることです。毎日、学科や技能教習の予定が組まれているため、前回の学習内容を忘れる前に復習できます。また、完全予約制で指導員の配置人数などに無駄がなく、合宿費用も安い傾向にあります。さらに、通学のように追加料金もかかりません。

一方、デメリットは、2週間程度の予定を空けられなければ参加できないことです。また、合宿中は朝から夕方まで学習スケジュールが詰め込まれているほか、期間中は自宅に帰宅できません。

運転免許の取得にかかる費用相場

運転免許の取得に必要な費用は、免許区分や教習所、合宿所などによって異なります。詳細は実際に通う場所に確認をとるようにしましょう。ここでは、2021年4月時点での費用相場について解説します

準中型自動車免許の取得にかかる費用相場

通学する場合の費用相場は、35万円台後半からで、合宿所で取得する場合は、30万円台前半~30万円台後半が一般的な目安です。繁忙期と閑散期があり、閑散期のほうが比較的安い費用で免許を取得できます。このほかに、教習所などに通わずに独学で受験する方法もあります。通学や合宿に比べ、価格は数万円程度と安いものの、一発で合格できるケースは稀です。

中型自動車免許の取得にかかる費用相場

すでに普通免許を所持していれば、通学の費用は10万円台後半~20万円台前半で、合宿の場合は10万円台前半で取得できるケースもあります。また、8トン限定の中型免許を所持している場合は、通学が10万円台後半からで、合宿は10万円台前半からが相場です。一発試験で取得する場合の価格は、数万円程度に抑えられますが、合格のハードルは高くなります。

大型自動車免許の取得にかかる費用相場

MTの普通免許を所持している場合は、通学に30万円台後半~40万円前後の費用が必要で、合宿では20万円台後半~30万円台後半が一般的な相場です。8トン限定の中型免許を所持しているケースでは、教習所の費用が20万円台~30万円台で、合宿では20万円前後が相場となっています。

運転免許を取得する条件

免許区分ごとに取得条件が設けられています。以下では、2021年4月時点での免許の取得条件を解説します。詳細については、実際に通う教習所や合宿所などに確認しましょう。

準中型免許を取得する条件

準中型免許は、修了検定を受ける際に18歳になっていることが条件にあります。視力は片眼で0.5以上あり、両眼では0.8以上が必要です。色の識別ができることはもちろん、10メートル先の警音器の音を聞き分けられることなどが条件に挙げられます。持病がある人や身体的な心配がある人は、居住地の運転免許試験場で相談しましょう。

中型免許を取得する条件

中型免許は、満20歳以上でなければ取得できません。さらに、MT車の普通免許を取得して、通算2年以上の運転歴が必要です。AT車限定の場合は、通算2年以上の運転歴にはカウントされないため、注意しましょう。このほかの視力や色の識別、警音器の音の聞き分けなどの条件は、準中型免許や普通免許と同様です。

大型免許を取得する条件

大型免許は、21歳以上の人が対象で、MT車の普通免許を取得後、通算3年以上の運転歴があることが前提条件です。視力や色の識別、運転に影響するような身体障害をもっていない、10メートル先の警音器の音を聞き分けられるなどの条件は、他の免許区分と同様です。

まとめ

普通免許を所持していればトラックの運転は可能ですが、取得した年度によって、運転できるトラックの種類が変わります。トラックの運転に慣れていない人がいる場合は、先進安全装置が整備されているトラックの購入も検討してみましょう。

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