輸創企業

「社員の幸せと顧客満足」を経営理念として成長

代表取締役社長 布施 重男 氏
 2018年9月、創立60周年を迎えた中央運輸株式会社は、1958年の設立以来、関東一円の危険物輸送(石油、高圧ガス、潤滑油等)を担ってきた輸送企業である。設立当時、日本は高度経済成長期に突入し、エネルギーの主役が石炭から石油へ移行。太平洋沿岸にコンビナートが立ち並び始める。その後「原油の輸入自由化」を契機に、ますます石油が大量に安く供給されるようになり、産業用や火力発電で、そして様々な交通機関の燃料として、石油の消費量は飛躍的に拡大していく。同社は、こうした時代背景のもと、隆盛を極める石油産業と共に発展。強固な事業基盤を築き上げた。
 現社長の布施重男氏が同社に入社したのは1976年のことである。当時は会社の成長期で、受注拡大に伴って車両も増車。それから間もなく、現在、本社を構える川崎市に事業所を開設した。1970年代は、二度にわたる石油危機に見舞われたものの、同社の業績は堅調に推移したという。
 しかし、1980年代は原油が供給過剰となり、世界的に販売価格が低下。こうした市場の影響もあり、一部の輸送契約に入札制度が導入されるようになったそうだ。さらに、1990年12月に「物流二法」が施行されると、同社を取り巻く事業環境は一変する。運送事業への参入規制が大幅に緩和されたことで競合他社が増加。また、2003年には営業区域も完全撤廃され、運送業界の過当競争が激化する。この時期、同社の業績は著しく落ち込み、経営方針を大きく転換せざるを得ない状況に陥ったという。その直後、役員を務められたという布施社長は、当時のことを振り返りながら次のように語られた。
「全面的なコスト削減、事業体制や勤務体系の見直しなど、身を切る思いで経営再建に取り組みました。残念ながら3分の1近くの社員が当社を去っていきましたが、これを機に社員一丸となって業務に従事しました。その結果、徐々に経営体質は改善され業績も回復。共に経営危機を乗り越えてくれた社員には、感謝の気持ちしかありません」
 その後、2012年に布施氏が社長に就任。同社の将来を託された布施社長は、新たな決意を胸に「社員の幸せと顧客満足」という経営理念を掲げた。
「そもそも社員が幸せでなければ、お客様に満足いただけるようなサービスは提供できません。一方で、顧客満足度を向上できなければ利益が上がらず、社員を幸せにすることはできません。社員の幸せと顧客満足度を両立できてこそ、会社は持続的に成長していけるのです。これが当社の存在価値であり、行動規範となります」
 同社のドライバーも務めてこられた布施社長は、現場をよく知る苦労人である。経営理念には、苦楽を共にしてきた社員に幸せになってもらいたいという布施社長の想いが込められている。

本社オフィス(神奈川県川崎市) 経営理念 創立60周年記念式典の様子
(2018年9月)

安全第一に努め配送品質を向上
 さて、同社が経営再建策として実践してきたことがある。それは、車両の積載性を向上させることだ。主流だった14KL積みタンクローリを16KL積みに代替することで、配送効率を高めたという。現在は、20KL積みや24KL積みをはじめ、最大30KL積みのタンクローリなど、150台以上の車両を保有。顧客ニーズに最適な車両を選択して運行しているそうだ。また同社では、24時間営業のガソリンスタンドにも配送しており、独自の運行体制を敷いている。
 また危険物を取り扱う同社では、輸送時の安全を確保するため、安全マネジメント体制を構築し、配送品質の向上に取り組んできた。
「安全第一が当社の社会的な責務。どのようなことがあっても、安全基準を下げるわけにはいきません。60年にわたる実績とノウハウに基づき、安全かつ確実な輸送サービスを提供してきました。このこだわりが当社の強みであり、他社との差別化につながるものと確信しています」
 と語られた布施社長。同社では、独自に運行速度を設定。ドライバーに徹底させることで、事故防止に努めてきた。また、早くからデジタコやドラレコを全車に装備し、運行データを活用して安全指導や事故検証を行っているという。

運行体制


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