トラック大図鑑

車両突入防止装置編
ここは、神奈川県湘南台の喫茶店『いすゞCafe』。
しぶいマスターが一人で切り盛りしている。
若いころはトラックドライバーとして活躍したらしく、店にはそのころの写真や思い出の品が飾られている。
今日も地元の若いカップルが、おいしい珈琲に惹かれてやってきたようで・・・。
きょうこ 「マスター、アメリカンください」
マスター 「了解! おいしいのをいれるよ」
あきら 「マスターは仕事がていねいだよね。きっとトラックドライバーだったときも、ていねいな運転ぶりだったんでしょ?」
マスター 「もちろんだよ。ドライバーはみんな安全運転を心がけるべきだけど、トラックは車体が大きいからね。とくに慎重に運転しないと」
きょうこ 「車体が大きい車だとどうなるの?」
マスター 「万一の事故のとき、相手が普通の乗用車だと、大きな被害を与えることになってしまうかも知れないからね。ぜったいにそんなことがないよう、みんな気を引き締めて運転しているんだ」
あきら 「きょうこちゃん、たとえば大きなプロレスラーと普通のぼくらが正面衝突したと考えてみろよ。大けがしちゃうぜ」
マスター 「トラックは、トラックドライバーの安全や、歩行者の安全を守るためにさまざまな工夫をしているんだけど、それだけではないんだね。同じ道を走る他の自動車の安全のことも考えなきゃいけない。そのひとつとしてね、『車両突入防止装置』というものがあるんだ。知ってる?」
あきら 「車両突入防止装置?」
マスター 「ちょうどいい機会だから説明してあげよう。実はね・・・」

車両突入防止装置位置図解
トラックの『車両突入防止装置』というものをご存じですか?
少し変わった名前ですね。
車両突入防止装置とは、車両の前側と後側に設定されている横棒タイプの装置で、前側をFUPD(Front Under-run Protection Device)、後側をRUPD(Rear Under-run Protection Device)と言います。その役目は、相手の車の乗員、とくに乗用車の乗員の安全をできるだけ守ることです。
トラックは、普通の乗用車より「背が高く」「全体の重量も大きい」ものです。あきらくんがいったように、普通の人とプロレスラー以上の体格差をイメージしていただければと思います。
背の高いトラックと、背の低い乗用車がぶつかった場合、乗用車はトラックの下の方にもぐりこんでしまうような形になってしまうことが多いのです。そうすると、乗用車のキャビンは、大きく壊れ、乗員が大けがをする可能性が高くなってしまいます。場合によっては命を失ってしまいます。
車両突入防止装置は、万一の事故のときにも、乗用車がトラックの下部にもぐりこまないように設置されるものです。

FUPD(Front Under-run Protection Device)、RUPD(Rear Under-run Protection Device)解説図

車両突入防止装置 断面図
さて、車両突入防止装置とはどんな特性をもつのでしょうか?
まず、乗用車がトラックの下部にもぐりこむような状態を防ぐ壁になるべきものですから、丈夫なものでなくてはなりません。鉄かアルミでできています。形として典型的なものは、「コの字」を向かい合わせて組み合わせたような、長い「枠」のようなものをイメージしてください。
位置としては、乗用車がもぐりこむのを止めるため、「低い位置」に取付けられることになります。また、乗用車を受け止めるために、上下の幅も広く取れるように気が遣われているのです。
車両突入防止装置の両端はカバーでおおわれています。それは、万一のとき、相手の乗員の安全を守るほか、歩行者などが鋭利な側面でケガをしないようにという配慮です。

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