トラック大図鑑

ラジエータ・クーラント編
ここは、神奈川県湘南台の喫茶店『いすゞCafe』。
しぶいマスターが一人で切り盛りしている。
若いころはトラックドライバーとして活躍したらしく、店にはそのころの写真や思い出の品が飾られている。
今日も地元の若いカップルが、おいしい珈琲に惹かれてやってきたようで・・・。
あきら 「マスター、ぼくはアイスコーヒー」
きょうこ 「あたしもアイスコーヒー」
マスター 「今日は二人とも冷たいものなんだね」
あきら 「ちょっと車の中が蒸し暑かったから、冷たいものが欲しくって」
きょうこ 「少し冷やさないとオーバーヒートしちゃうよね」
マスター 「きょうこちゃん、道でオーバーヒートしている自動車見たことある?」
きょうこ 「子供のころ、坂道とかでみたことがあるかな」
あきら 「そういえば近頃あまり見ないなあ。車の性能がよくなったのかなあ」
マスター 「うん。車にはラジエータという大事な部分があるんだ。とくにその性能が向上したことが大きいと思うよ」
あきら 「ラジエータってよく聞く部分だけど、実はよくわかってないんだ」
マスター 「うん。目立たないけれど、ほんとうに大事な仕事をしているんだよ。むろんトラックにおいてもそれは同じだし、トラックならではの工夫がされているんだ。ちょっと話をさせてくれないかな?」

ラジエータ図解
ラジエータがエンジンなどの熱を冷却するという仕事を受け持っていることは何となく知られていると思います。カンタンに言うと、ラジエータの冷却液がエンジンを中心に発生した「熱」を奪っていき、外に放出させて「冷やす」という一連の仕組みです。これがうまくいかないとどんどんエンジンの熱が上がりついには動かなくなる、つまりオーバーヒートしてしまうのですね。

ラジエータが効果的に働くためには、エンジンルームに風を効率的に取り入れて、熱を奪った熱い風を外に出すため「風のながれ」をよくする工夫が必要なんです。

風の入り口である「グリル」の工夫
キャブの前面の格子状の部分をグリルといいます。ここの穴が風の入り口になるのですが、この穴の形により、冷やす性能は違ってきます。大きさや、風を取り入れる「向き」について、最適の形が研究されていますが、車の前面にあり目立つところですので、車体のデザインと両立させなくてはならず、開発には苦労がつきもののようです。デザインも大事ですが、ラジエータの性能に悪く影響しては何にもならないですからね。
あと、ただ穴を大きくすればいいというものではありません。悪路も走るトラックでは、小石や虫が飛び込んでくることもあるからです。それらはラジエータを痛めたりする可能性もあるんです。
グリル図解

熱い風が逆流しないようすき間を埋める工夫
グリルから流れ込んだ風はエンジンなどを冷やした結果「熱い風」となります。この「熱い風」がエンジンルームを逆流したり、滞留したりしないよう、スムーズに外に流し出す「風のながれ」をつくってあげなくてはなりません。スポンジ状のものでキャブとラジエータのすき間をぴっちり埋め、熱い風がエンジンルームを逆流しないように防ぎ、スムーズに外に流し出すようにしています。

さて、ラジエータにもトラックならではの工夫がされています。「働く車」であるトラックは、季節を問わず、朝も夜も荷物を運び続けなくてはなりませんので、ラジエータの性能はより大事になってきます。

トラックは荷物を満載して走るので、スピードをあまり出せません。そうすると、グリルからあまり風が入ってこないので、冷却効果自体が落ちてしまいます。少ない風を有効利用するために、ラジエータを大きくするなど、性能を上げるための研究が日夜続けられているんです。

サブタンク図解
もうひとつ典型的なトラックならではの工夫は「サブタンク」が紫外線の影響を受けないように作られていることです。
「サブタンク」は「サージタンク」や「リザーブタンク」とも呼ばれ、ラジエータとホースでつながっていて、冷却液をラジエータに補充したり、ラジエータから受け取ったりということを自動で行っているものです。
これは乗用車ではボンネットの中にありますが、トラックでは外に出されていることが多いのです。
つまり日光にさらされているんですね。それは、トラックでは乗用車のようにボンネットをさっと開けてラジエータの冷却液を確認するというようなことができないので、外において、残量を一目で確認できるようにしているんです。しかし、日にさらされ、紫外線の影響でサブタンクがボロボロにならないように特殊な配合の樹脂で作られており、また冷却液自身にも紫外線で品質が悪くなってしまわないような工夫がされています。

  1/2   Next