バス大図鑑

教えて「サスペンション」のこと

大森の商店街の小さなレストラン「キッチンいすゞ」。マスターは路線バスの運転手でしたが引退して、実家の洋食店を継ぎ、カウンター越しに、お客との会話を楽しみながら、おいしいランチを提供しています。常連のお客さんにバスの話が大好きな親子がいて、今日もやってきたようです。
お父さん
「マスターの店はとても居心地がいいよなあ」
マスター
「うれしいですね。こんな小さなお店ですが、椅子はいいものを使っているんですよ」
お父さん
「この店でゴハンを食べながらマスターのバスの話を聞いていると、ずっといたくなっちゃうよ」
ムスコくん
「このお店もそうだけど、バスもずっと乗っていて居心地がいいよね」
マスター
「ムスコくんはほんとバスに乗るのが好きなんですなあ(笑)」
ムスコくん
「どうしてバスってあんなに乗り心地がいいのかなあ?」
マスター
「はは、確かにそうですなあ。その理由のひとつには『サスペンション』という部分が乗り心地に貢献しているからなんですよ」

バスは普通の乗用車と違い、たくさんの人を運ぶための自動車です。とは言え、人が乗る自動車であることにはかわりありません。人が乗る自動車では乗り心地や居住性が大切ですよね? バスも同じです。

しかし、バスが普通の乗用車と違うのは、たくさんの人数が乗るだけでなく、中にはつり革や手すりにつかまって立って乗っている人もいることです。その人たちもできるだけ快適に乗っていられるように、さまざまな工夫がされています。中でも「乗り心地をよくするため」に、大きな役割を受け持つのが『サスペンション』と言われる部分。ここには「エアスプリング」や「ショックアブソーバー(注)」などの仕組みが、フロントサスペンション(前輪のほぼ上)とリヤサスペンション(後輪のほぼ上)として車体を支えるように配置されています。これらでバスの車体にかかる衝撃を和らげて、乗り心地をよくしているのです。
(注) ショックアブソーバーはバスが走るときの振動や衝撃を和らげる働きをするものです。

フロントサスペンション リヤサスペンション

これら小さなエアスプリングがバス全体を支えて、乗り心地をよくしているとはびっくりですね。それではその種類を簡単に説明しましょう。

(1) フロントサスペンション

・リーフスプリングサスペンション

「板バネ」つまり金属なのですが、「リーフ」、つまり葉っぱのように薄い板バネを重ね合わせて使うものです。トラックのサスペンションに使われているものをバスに応用したのですが、乗り心地をよりよくするために、さらに軟らかいスプリングを用います。トラックやバスでは以前はこの方式が主流でしたが、バスでは乗り心地などを考えて、いち早くエアスプリングを使ったエアサスペンションに移行しました。

・エアリーフ混合サスペンション

リーフスプリングサスペンションの構造を活かして、そこにエアスプリングを組み合わせた方式です。

・インデペンデント式エアサスペンション

エアスプリングを使ったエアサスペンションにより、ソフトな乗り心地を実現するための方式です。

・ダブルウイッシュボーン式インデペンデントサスペンション

まず「インデペンデントサスペンション」とは、左右の車輪(車軸)をそれぞれ独立して上下させることができるようにするもので「独立懸架」とも言います。ダブルウイッシュボーン式インデペンデントサスペンションの方式は、前輪を「独立懸架」にして、より乗り心地をよくするようにしたエアサスペンション方式です。豪華な観光バスなどに使われることが多いです。

(2) リヤサスペンション

・リーフスプリングサスペンション(マイクロバス・小型バス・中型バス・大型バス)

(フロントサスペンションと同じです)

・エアリーフスプリング混合サスペンション(小型バス・中型バス)

エアスプリングを前後に2個合計4個装備したサスペンションと、左右に1個ずつ合計2個装備したサスペンションがあります。

・エアサスペンション(中型バス・大型バス)

リーフスプリング式ではリーフスプリングが車軸(アクスル)をつなぎ止める役割をしますが、このエアサスペンションでは、エアスプリング自体で車軸をつなぎ止められないので、トルクロッドという部分が車軸を支える働きを行ないます。

・ワイドエアサスペンション(大型バス)

エアサスペンションの位置を左右外側に広げて、より乗り心地をよくしようとする方式です。電子制御によりバネやショックアブソーバーの利き具合を切り替えられるサスペンションもあり、観光バスによく使われています。

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