バス大図鑑

教えて「駆動メカニズム」のこと

大森の商店街の小さなレストラン「キッチンいすゞ」。マスターは路線バスの運転手でしたが引退して、実家の洋食店を継ぎ、カウンター越しに、お客との会話を楽しみながら、おいしいランチを提供しています。常連のお客さんにバスの話が大好きな親子がいて、今日もやってきたようです。
お父さん
「マスター、スタミナランチふたつ!」
マスター
「はい、スタミナランチふたつ。元気がつきますよ」
ムスコくん
「おいしい!」
お父さん
「明日は学校の運動会だからね。スタミナつけてがんばって走れよ!」
ムスコくん
「お父さん、人ごとじゃないよ。自分も出るんじゃない」
お父さん
「うーん。お父さんの『走る仕組み』は、ちょっとさび付いているからなあ」
マスター
「ははは。ところでバス好きのお二人にお聞きします。バスが『走る仕組み』ってどこにあるか知っていますか?」
ムスコくん
「う、うんとね・・・。やっぱり前の方?」
マスター
「はは、パスの『走る仕組み』は外から見えないですからなあ。今日はバスの『走る仕組み』についてお話ししますね。バスの『走る仕組み』の中心になるのは『駆動メカニズム』というんですよ」

駆動メカニズムとは、バスを動かすメインの仕組みです。その中心はエンジンで、バスをしっかり走らせます。ところがこの重量の大きいエンジンを中心とした駆動システムは大きなスペースを必要とするものなのです。なので、どこに置くかがバスのレイアウトに大きな影響を与えるのです。

昔、駆動メカニズムはバスの前方に設置されていました。今は見なくなったボンネットバスというレトロな形のバスがありました。ボンネットバスでは駆動メカニズムが前の方にあったのです。ところが時代が変わり、バスを利用する人がどんどん増えてきました。そうすると、もっとたくさんの人をバスに乗せたいという要望がいろんな所から出てきました。とくに、バスを運行させているバス会社さんは、一人でも多くのお客さんを乗せて運びたいと願ったのです。

それじゃ「もっと大きなバスを作ればいいじゃん!」と思うかも知れませんが、そうはいかないのです。バスの長さは法律で決められていて、その中におさまるように設計しなくてはいけません。バスを作る人たちは、バスの長さを変えずにもっとお客さんが乗れるようにできないか? と日夜考えました。そこで大きな問題になったのが駆動メカニズムをどこに置くかです。その結果、いろいろな方式が考えられました。

駆動メカニズムのいろんな方式

(1) フロントエンジンリヤドライブまたはミッドシップエンジンリヤドライブ

駆動メカニズムをバスの前部または真ん中付近に配置する方式。
マイクロバスまたは小型バスに使われますが、いわゆる普通の路線バスではほとんど見なくなりました。

(2) リヤエンジンリヤドライブ

駆動メカニズムをバスの後部、つまりバスの後輪の真ん中から後ろの部分の床下に、エンジンを縦置きにして配置する方式。
大型の路線バス、観光バスなど、多くに使われる方式ですが、バスの最後部の床が高くなってしまいました。ノンステップ(車内の床を平に)にして欲しいという要求にもとづいて、この方式のまま、ノンステップにすることもできるようになりました。

(3) アンギュラー型リヤエンジンリヤドライブ

やはり駆動メカニズムはバスの後部に配置しますが、エンジンの置き方を横置きにしてリヤオーバーハング(後輪の中心からバス最後部のバンパーまでの長さのこと)を小さくした方式。バスの最後部までノンステップにしたいときに見られる方式です。

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