ディーゼルエンジン テクノロジー いすゞディーゼルエンジンの最新技術をご紹介いたします。

1.燃料噴射技術による排出ガス低減

燃料噴射技術とは、完全燃焼で発生するNOx(窒素酸化物)と、不完全燃焼で発生するPM(粒子状物質)双方の発生を同時に低減する技術です。代表的なものに、高圧化した燃料を複数回噴射するコモンレールシステムがあります。
現在は、より効率的な燃焼を実現するために、燃料噴射圧力のさらなる高圧化の研究が進められています。

コモンレールシステム

コモンレールシステムとは、高圧化した燃料をコモンレールに蓄え、各インジェクターへ均一に供給し、燃焼室へ噴射するシステムです。高圧の燃料を噴射し完全燃焼させることでPMを減少させ、噴射を複数回行うことで燃焼室の高温化を防ぎNOxを低減させます。このとき重要になるのが、燃料の噴射圧力、噴射タイミングや回数、噴射量であり、これらを電子制御によりきめ細かくコントロールします。

複数回噴射・噴射率制御のイメージ

2.吸気系の制御を行うエアマネジメント技術

NOx、PMを低減しつつ燃費を向上するためには、燃料噴射技術に加え、吸気系の制御を行うエアマネジメント技術も重要です。主な技術に排出ガスを利用してエンジンに吸気させるターボチャージャーやEGRなどがあります。

ターボチャージャー

ターボチャージャーとは、エンジンの排気エネルギーを利用して排気タービンを回し、吸気を圧縮してシリンダー内に高密度の空気を押し込む技術です。これにより吸気量が増え、燃焼効率が向上します。

インタークーラー付ターボチャージャー

インタークーラーは、ターボチャージャーで圧縮され高温になった吸入空気を一気に冷却する装置です。高密度の吸入空気がシリンダーに送り込まれると、エンジンの燃焼効率は高まり、燃費が向上し、CO2の排出量が低減されます。

インタークーラー付ターボチャージャー

VGSターボ(Variable Geometry Turbocharger System)

ターボの弱点である排気エネルギーが低いエンジンの低回転時でも、効率よく過給するターボシステムです。
低速時から高いブースト圧を供給出来るので、低燃費化、動力性能向上に繋がります。

VGSターボの構造・効果

2ステージターボ

2種類のターボを組み合わせて使う事により、発進から高加給を実現し全回転域でターボ効果を発揮するシステムです。

2ステージターボの構造

EGR(Exhaust Gas Recirculation)

EGRは、排出された排気ガスを再び吸入空気と混合することにより、燃焼室内の酸素濃度を下げて燃焼をゆるやかにし、NOxを低減させる技術です。

クールドEGR

EGRガスの通路に冷却装置を装備したものがクールドEGRシステムです。さらに燃焼温度を下げ、NOxをより低減させるとともに、燃費の向上も実現しました。

クールドEGRシステム

ワンウェイ クールドEGR

クールドEGRのガス通路内に吸入空気が侵入し、逆流を起こすことを防ぐために逆止弁を採用。
これにより空気は一方向にのみ流れ、EGRガスを無駄なく燃焼室に送り込むことができます。

4バルブ化

ディーゼルエンジンの4バルブ化とは、1気筒あたり吸気2バルブ、排気2バルブの4バルブにすることです。
シリンダーへの吸排気効率の向上と吸排気行程におけるポンプ損失を低減します。同時に燃料噴射ノズルを燃焼室中央に配置できるので、均質な燃料噴射と混合気形成を進めることができ、PM・黒煙の低減、高出力化、燃費の向上に効果があります。

2バブルと4バブルの比較

可変スワール

シリンダー内に吸入された空気が、シリンダーの中心を軸に旋回して流れることをスワールといいます。
直接噴射式のディーゼルエンジンでは、スワールが燃料と空気の混合に大きく寄与します。特に運転領域に応じて、スワールの発生を変化させる機構を可変スワールシステムといい、排出ガスの低減と燃費の向上に大きな効果があります。

3.NOx、PMを排気前に浄化する後処理技術

エンジン本体で浄化し切れなかった排出ガスを排気直前に処理する技術が排出ガス後処理技術です。
具体的には、フィルターを使いPMを集めて燃やすDPDや、触媒による化学変化を利用してNOxやPMを低減する技術があります。

酸化触媒

酸化触媒とは、「白金」「パラジウム」などの貴金属を触媒として、排出ガス中の酸素を使いPMに含まれる炭化水素(HC)を主とした未燃焼物質(SOF)を酸化し、水と二酸化炭素に変える技術です。

DPD(Diesel Particulate Defuser)

連続再生式DPDは、PMのフィルター捕集と溜まったPMの強制的処理・再生を繰り返すことで連続的にPMを処理する技術です。

酸化触媒・連続再生式DPD

尿素SCR(Urea-Selective Catalytic Reduction)

尿素SCRは、アンモニアを直接使用するのではなく、尿素水を排気ガスに吹きかけてアンモニアを生成し、アンモニアとNOxを反応させることで水と窒素に無害化します。この尿素SCRは、NOx削減率が高く、燃費への悪影響が少ない一方、尿素供給のインフラ整備が必要となります。

尿素SCRシステム