プレスリリース

1999年5月6日


いすゞ 小型トラック「エルフ」を改良
−直接噴射式ディーゼルエンジン搭載車が平成10年排出ガス規制に適合−
−運転席SRSエアバッグを全車に標準装備−


いすゞ自動車(株)は、小型トラック「エルフ」の直接噴射式ディーゼルエンジン搭載車を、国内小型キャブオーバートラッククラスとしては初めて平成10年排出ガス規制に適合させるとともに、運転席SRSエアバッグを全車に標準装備するなどの改良を施し、5月6日より全国一斉に発売する。

「エルフ」は1959年の誕生以来、経済性や使い勝手など、常にユーザーニーズに配慮した商品を展開し、好評を頂いている。その結果、国内2〜3トンキャブオーバートラッククラスにおいて1970年から1998年まで29年間連続登録台数第1位(※)を維持するなど市場から高い評価を獲得している。
(※自販連及び当社調べ)

今回の改良では、直接噴射式ディーゼルエンジンにおける全ての制御を電子化すると共に、
○新開発電子制御式新分配型高圧燃料噴射ポンプの採用(4H系エンジン)、
○EGRシステムの電子制御化(EGRバルブとインテークスロットルバルブの連動制御)(4HK1-Tを除く4H系エンジン)

などの技術に加え、燃料噴射ノズルの噴口径を小径化(4H系エンジン)し、PM、黒煙、NOxの低減を図った。このことにより、直接噴射式ディーゼルエンジン搭載の国内小型キャブオーバートラッククラスとしては初めて平成10年排出ガス規制に適合させると共に、燃費を約4%向上(社内実験値)させた。

安全面においては、国内小型キャブオーバートラッククラスで初めて運転席SRSエアバッグを全車に標準装備し、すでに標準装備としているロードリミッター付シートベルトとあわせてドライバーへの衝突時の衝撃緩和を図った。その他、衝撃吸収ステアリングホイールの全車標準装備や中期ブレーキ安全規制への適合など、更なる充実を図った。
また、新開発170馬力(ネット値) 4HK1-T型エンジンの追加や、クラッチペダルを踏まずにギヤチェンジが可能なクラッチフリーシステム搭載車の展開車型の追加など商品性を向上させた。

<目標販売台数> エルフ シリーズ全体で  6,000台/月

<エルフ 東京地区希望小売価格> (消費税含まず)
車型 エンジン 最大積載量 主な仕様 東京地区
希望小売価格
KK-NKR66LAR-6EXA-CF 4HF1(123馬力) 2.0トン 平ボディ、ハイキャブロングボディ、クラッチフリー 3,222,000円
KG-NHR69E-4CXA-B 4JG2(94馬力) 1.5トン 平ボディ、リミテッド仕様 1,992,000円
KK-NKR66EA-6EXA 4HF1(123馬力) 2.0トン 平ボディ、標準キャブ 2,864,000円
KK-NKR71LAR-5EXA 4HG1(133馬力) 2.0トン 平ボディ、ハイキャブロングボディ 3,149,000円
KK-NPR71LR-5EXA 4HG1(133馬力) 2.0トン 平ボディ、ワイドキャブロングボディ 3,303,000円
KK-NPR75PR-5LXAJ 4HK1-T(170馬力) 3.5トン 平ボディ、ワイドキャブ超ロングボディ 3,815,000円

【商品概要】

平成10年排出ガス規制適合

平成10年排出ガス規制は、平成6年排出ガス規制の規制値からさらにNOxを25%、PMを64%、黒煙を37%削減する規制。今回この規制に適合した7タイプのエンジンを設定した。

型式 燃焼室形式 内径x行程
(mm)
総排気量
(cc)
圧縮比 最高出力
(ネット値)
(PS/rpm)
最大トルク
(kg・m/rpm)
1.4JG2 渦流室式 95×107 3059 20.1 94/3600 20.6/1800
2.4HF1N 直接噴射式OHC 112×110 4334 18.5 110/3100 28.0/1500
3.4HF1 直接噴射式OHC 112×110 4334 18.5 123/3100 30.0/1500
4.4HG1 直接噴射式OHC 115×110 4570 18.5 133/3100 32.5/1500
5.4HK1-T 直接噴射式OHCターボ 115×125 5193 18.5 170/2900 45.0/1600
6.4HJ1N 直接噴射式OHC 8月投入予定
7.4HJ1 直接噴射式OHC
*ネット値とは、エンジンを車両搭載状態とほぼ同じ条件で測定した数値。
1は1997年に適合済み。5、6、7は新開発。

(1) エンジンのフル電子制御化 (4H系エンジン)
平成10年排出ガス規制に適合させるために、今回採用した直接噴射式ディーゼルエンジン は、エンジンにおける全ての制御を電子化した。燃料噴射量・噴射時期から吸気絞りやEGR、アイドリングの回転数など、噴射から吸排気までを1つのコントロールユニットで集中制御している。 このことにより各要素のバランスを保ちながら最適なエンジン制御が可能となった。

1. 新開発 電子制御式新分配型高圧燃料噴射ポンプの採用 (4H系エンジン)
4つのプランジャで燃料を同時に加圧し噴射する電子制御式新分配型高圧燃料噴射ポンプを 採用。このシステムは以下のような仕組みとなっている。
・4つのプランジャで加圧された燃料が、インジェクターへ送られる。
・送られた燃料がニードルを押し上げる。
・噴射ノズルから燃料が噴射される。
この4つのプランジャを持つ燃料噴射ポンプは、従来の1つのプランジャで燃料を加圧するのに比べインジェクターへ供給する燃料の圧力を高めることが出来るため、エンジンの低回転域からも高圧噴射が可能になると共に、最大1200気圧での高圧燃料噴射を実現し、PM、黒煙の低減を図った。

2. EGRシステムの電子制御化 (EGRバルブとインテークスロットルバルブの連動制御)
(4HK1-Tを除く4H系エンジン)
EGRバルブにDCモーターを採用し無段階制御を実現すると共に、インテークスロットルバルブにステップモーターを採用し、9段階制御を実現した。更にこの2つのバルブを連動させ、EGR量と吸入空気量をきめ細かく電子制御することで、NOxの低減を図った。


(2) 燃料噴射ノズルの小径化 (4H系エンジン)
燃料噴射ノズルを小径化することにより、燃料をより微細な霧状にして噴射することが可能と なった。これにより、燃料と空気との混合が促進され、理想的な燃焼状態を実現、PM、黒煙の 低減を図った。

(3)4HJ1系エンジン(8月投入予定)の吸排気4バルブ化・中央燃焼室化
4HJ1系エンジンに吸気2バルブ、排気2バルブの4バルブ方式を採用し、吸排気の効率を高めた。 さらに、燃焼室をピストンの中心に移設(中央燃焼室化)した。これにより、 より多くの空気をスムースに送り込み、燃焼室内に空気の渦を形成し、ムラのない燃焼、 すみやかな排気を実現し、PM、黒煙の低減を図った。

安全性の向上

1. 従来オプション設定していた運転席SRSエアバッグを国内小型キャブオーバートラッククラスにおいて初めて全車に標準装備した。すでに標準装備としているロードリミッター付シートベルトとあわせ、ドライバーへの安全性の向上を図った。

2. 衝撃吸収ステアリングホイールを全車に標準装備し、衝突時のドライバーへの衝撃緩和を図った。

3. フレームのサイドメンバーを従来より強度のある材質に変更するなどの改良を行い、主に前面 衝突時の剛性を高めた。

4. 制動安定性、耐フェード性に優れた4輪ベンチレーテッドデイスクブレーキをオプション設定した。(NPRの一部車型)

5. 燃料タンクを凹凸のある形状に変更し、衝突時などの燃料タンクの落下防止を図った。

6. タンク内の燃料残量に合わせエア圧を調整するロールオーバーバルブを追加し、横転時の 燃料漏れの防止を図った。

中期ブレーキ安全規制適合

中期ブレーキ安全規制は、高速からの制動、故障時の制動距離、駐車ブレーキによる制動、オートアジャ スター(ライニングのすき間を一定に保つよう機能し、摩耗時の効き遅れを防止する装置)の取り付け、制動姿勢安定のためのABSまたはLSPV(ロード・センシング・プロポーショニング・バルブ)の取り付けなど、全体的なブレーキ性能の向上と動作の安定を義務づける規制。この規制に対応するために次の装置を採用した。

1. 主に空車制動時のタイヤロック防止に効果を発揮するLSPV(ロード・センシング・プロポーショニング・バルブ)を全車標準装備し、積載状況に関わらず安定した制動能力を確保した。*LSPVは、センサーがリヤサスペンションの沈み込みを検知し、空車時でも積車時でもブレーキの効きを最適に保つ装置。

2. ブレーキライニングとブレーキドラムとのすき間を一定に保つことで、摩耗時のブレーキの効き遅れ防止と、点検整備性の向上に貢献するオートアジャスター付ブレーキを全車に標準装備した。

3. 積載量3トン超車などにハイドロアシストブレーキを採用し、ブレーキ性能の向上を図った。

商品性の向上

1. 国内小型キャブオーバートラッククラストップの最高出力170馬力(ネット値)を確保した、新開発5.2リットル直接噴射式ターボディーゼルエンジン(4HK1-T型)搭載車をラインナップに設定した。

2. クラッチペダルを踏まずにギヤチェンジが可能なクラッチフリーシステム塔載車を、バン用シャシ系を中心に新たに6車型を追加設定し、合計14車型展開とした。

3. 従来のインデペンデントサスペンション車に液体封入式キャブサスペンションを標準装備することでキャブの揺れを効果的に吸収。更なる乗り心地の向上を図った。

4. サイドミラーを従来より丸みを帯びたミラーに変更することにより、上下左右方向の視界を拡大し視認性を向上させた。

5. 雨や雪の付着などによる視界の妨げを防止するヒーテッドサイドミラーをオプション設定し、悪天候時の視認性を向上させた。