「輸送事業の鍵を握る『燃料コスト』」−新型ギガ発売に寄せて−

(輸送リーダー:2010年7月号)
株式会社メッツ研究所 主席研究員 矢坂 良雄

"世界同時不況"との言葉が聞かれるようになって久しい今、未曾有の業況不振で トラック輸送事業の経営においても、予断を許さない状況にある。そのような状況下で、荷主企業からの より高度な輸送サービスへの要求とともに、安全・環境対策における様々な対応が社会全体から 輸送事業者に求められるいま、『燃費』に目を向けることが今後の輸送事業経営にとって大きな鍵となる。

これからの輸送事業 鍵を握るのは『燃料コスト』

"危険水域"に入ったトラック輸送事業の経営
 全日本トラック協会によれば、平成20年度の営業収入は前年度と比べ1社平均で2.4%の減収となり、3年連続のマイナス。営業利益率は-1.3%と2年連続の赤字で、経常利益率も0.8%減少し、同調査を開始(平成3年度決算版)して以来、はじめての赤字となった(経営分析報告書・平成20年度決算版より)。
 経常利益を事業規模(保有車両台数)別にみると、すべての規模で前年度に比べ減少し、特に業界の約半数を占める「10台以下」(前年度比2.4%減)の事業者は12年連続で赤字、「11〜20台」(同1.4%減)の事業者も4年連続の赤字となった。また、「51〜100台」では同5.2%減、「101台以上」では同10.0%と平均を上回る大幅な減少となったことは業界に大きな波紋を広げている。これまでの景気後退とは違い大手・中堅の経営も苦境にあるところが増えているのだ。
 こうした深刻な事業経営の悪化は、平成20年度後半に起こった「リーマン・ショック」に端を発した急激な景気後退と、それに伴う輸送需要の大幅な減少が最大の要因であろう。平成20年10-12月期の国内総生産(実質GDP)は年率換算-12.7%と、第一次オイルショックの昭和49年の年率換算-13.7%に次ぐ大きさとなった。これを受け、平成20年度のトラック運送事業者(一般貨物運送事業者)による輸送量は251,766百万トンキロと初めて前年度実績を下回った。
 一方で、トラック運送事業者の総数は平成19年度に6.3万社に達し、平成2年度の規制緩和以降の17年間で1.5倍以上に増え(毎年約1,500社の増加)、市場競争は熾烈を極めている。しかし、一般貨物運送事業者1社当たりの平均保有車両数(トレーラ、特殊・特種車、軽除く)は、平成12年度の52.5台/社から平成20年度には42.2台/社にまで減っており、経営規模の縮小が急ピッチで進行している。
 また、トラック運送事業者の倒産件数は、平成18〜20年度の3年間をみると、18年度の116件から20年度には302件に急増しており、倒産1件当りの負債額は18年度の約1億8900万円に対し、20年度は約2億5100万円へと拡大。倒産が中堅事業者にも及びはじめていることを裏付けている。まさにいま、トラック輸送事業の経営は、"危険水域"に入ったと言えるのだ。


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