マニュアルから学ぶ安全のモデルケース

雪道の怖さを知ろう! 安全運転管理アドバイザー 清水 昭 = 文
(輸送リーダー:2010年3月号)

4コマ漫画
4コマ漫画
イラスト = 奥田 孝明

秋の気配が深くなった某日、ときおり安全情報を送っていただいている仙台市の輸送企業の管理者Bさんからメールが届きました。
「雪道のスキッド防止訓練を行いたいので、ご視察の上、講評を」とのことでした。
久しぶりの冬の仙台を楽しみに訪ねてみると、社内はいきいきとした雰囲気でした。
この会社は大型トラック32台という中堅企業ですが、広い駐車場を持っており、そこに厚い鉄板を敷いたスキッド・パンが作られています。これに水を撒くと「滑り」の体験ができ、ある程度の対応訓練ができるため、同社では以前から訓練に使っていたのですが、今回は運転理論と実技を組み合わせて、効果的な講習を行う計画のようです。

学・技一体教育
Bさんは北海道の工業短大の出身で、専門課程で動体力学を専攻しただけあって車の「滑り」には特に詳しいのですが、そのBさんが「氷上ではブレーキもハンドルも全く効かないと考えるべきだ」と言うと、とても説得力があります。ノーマルタイヤのアスファルト・コンクリート面での摩擦係数は0.75〜0.85であるのに対し、氷上では0.07と、1/10にも満たないのです。
こうしたことは頭の中で分かっていても、体験してみないと実感できないことが厄介であり、「滑り」が毎年起きる多重衝突事故の要因になっていることを考えると、運転者への分かりやすく徹底した教育の必要性を痛感させられます。

制動距離は速度の2乗に比例する
この訓練では、制動距離・遠心力衝突時の破壊力などは「速度の2乗に比例して増大する」ということが徹底的に強調されました。移動体の速度が2倍であればエネルギーは4倍に、3倍であれば9倍にと著しく増加します。こうした速度と制動に関する諸要件を軽視したために大惨事に繋がってしまった例は多いため、この講習の効果が大いに期待されます。
凍結路の運転において、完全にアイスバーン状態の道路をタイヤチェーン無しで走ることはほとんど無いと思いますが、早朝などに道路の一部が凍結している場所を走ることはあり得るでしょう。そうした場合にパニックに陥らないためにも、こうした訓練は大変重要となります。

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