マニュアルから学ぶ安全のモデルケース

中高年ドライバーの事故を防ごう! 安全運転管理アドバイザー 清水 昭 = 文
(輸送リーダー:2010年1月号)

4コマ漫画
4コマ漫画
イラスト = 奥田 孝明

経験豊富で、技術やノウハウを若手に伝える役目も担う中高年ドライバー。しかし中高年特有の傾向から、ミスや事故に繋がってしまうことがあるのも事実です。
今回は、中高年ドライバーの運行やその指導において、特に気をつけるべきことについて解説します。

急成長の陰の事故増加
9月某日、「企業と高齢者の交通安全を考える」というタイムリーなセミナーが運転適性検査を行う企業の主催で開かれました。
そこでお会いしたのが三重県のM陸運の常務取締役で、旧知の先代社長の長男Aさん。40歳の若さですが急成長した会社を懸命に支え、発展させてきました。しかし当初、業績の向上に伴い重大事故が相次いで、経営を揺るがす状況が続きました。これでは急成長も意味がありません。

中高年ドライバーの危険特性
そこで発奮したのは、もともとまじめで研究熱心な人柄のAさんです。
まず、社内の職制と交通安全委員会とで、交通事故の経営的なデメリットと社会的信用に対するマイナス点について徹底的に討議しました。
そして、同社の安全管理上におけるネックについても議論を重ねました。
すると、こんなことが浮かび上がってきました。M陸運には、中高年ドライバーが30人ほどいて皆まじめに働いてくれているのですが、業務運転でのウッカリミスが多く、また健康上の不調による事故もあり徹底的な管理の改善をはかる必要があったのです。
Aさんはセミナーに参加して、中高年ドライバーの事故防止について、いくつかのヒントを見出していました。
まず、中高年運転者の危険特性(傾向)についてです。
1.車の側方を傷つけそうになる。
2.後方確認時、首が後ろに回りにくい。
3.見慣れない標識をみると急減速する。
4.夜間対向車の光をまぶしく感じる。
5.発進時に左右の確認を忘れる。
6.後方から接近する車に気付かない。
7.カーブでブレーキを踏むタイミングが遅い。
8.ハンドル操作が遅れがちになる。
9.体が柔軟でなく車の乗降が難しい。
10.バックで駐車時にまっすぐに停められない。

管理者Aさんが感じている自社の中高年ドライバーの特性もほとんどこれに近く、こうした自分自身の傾向を自覚し、計画的で慎重な行動(挙動)によって錯誤を防ぐため教育・訓練を行うように基本計画を定めました。

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