マニュアルから学ぶ安全のモデルケース

事故原因を分析し、得られた教訓を安全対策に活かす 安全運転管理アドバイザー 清水 昭 = 文
(輸送リーダー:2009年7月号)

4コマ漫画
4コマ漫画
イラスト = 奥田 孝明

事故要因を探ることから始める
中型トラック30台を擁し、東北自動車道、秋田自動車道を中心に地域運送事業に活躍するYロジスティック。厳しい経済情勢に対応する合理化をなし遂げ、交通安全でも成果を上げて3年目を迎えます。
安全対策を推し進め、指導の結果ここまで成果を上げたのは取締役社長のAさんと、総務課長で安全運転管理者のSさん(かつては航空自衛隊のベテラン整備士!)です。
「ともかく事故が多く、ほぼ毎日事故の連絡がありました」(社長)
「乗務員から電話が入ると、『また事故か!?』とギクリとしたものです。管理者はまるで専属の事故処理係。これではだめだと思いましたね」(管理者Sさん)
そこで二人は、事故が起きてから対症療法的に指導するのではなく、事故を未然に防ぐための指導を行っていくために、まず事故原因の分析を行いました。

原因の大部分がうっかりミス
改革への苦難の道は、まず、同社での過去5年間分の主な事故である約50件分の原因調査を、自動車安全運転センターに依頼することから始まりました。社内で行わず専門家にお願いしたのは、迅速かつ公平な、説得力のある知見が得られると考えたからです。そして、[専門家による分析]+[社内交通安全委員会の討議]の結果、大部分の要因が「うっかりミス」であり、「慣れ」がそれを誘発していることが明らかになりました。(表1)
管理者Sさんはこうした事実を踏まえ、他業界から次のルールを参考にして、社員の体質改革指導を始めたのです。

表1 慣れによって起こる問題
慣れの例 起こる問題
1. 同じ行動を長年繰り返している
2. 仕事の中身をよく知っている
3. 作業全般を苦労せずにできる
4. 大抵のことは巧くでき、誤りが少ない
5. つい早く仕上げることを考える
6. 作業が容易だと考える
→   慣れで全てが型にはまってしまう。
→   立ち止まって考えなくなる。
→   気軽に、不用意に行動(操作)してしまう。
→   「うぬぼれ」が生じてしまう。
→   操作の抜けや省略に結びつきやすい。
→   気配りの習慣がなくなる。作業への意識水準が低下しやすくなる。

  1/2   Next